歴史れきし書しょ(れきししょ)とは、歴史れきしを記述きじゅつした書物しょもつのことである。
歴史れきし書しょを記述きじゅつするのは目的もくてき意識いしきを持もった、そして多おおくの場合ばあい職業しょくぎょう的てきな歴史れきし家かである。執筆しっぴつの目的もくてきは歴史れきしそのものへの興味きょうみ、過去かこを後世こうせいに伝つたえるため、独自どくじの史観しかんを表現ひょうげんするためなどさまざまである。為政者いせいしゃの支配しはいの正統せいとう性せいを主張しゅちょうするなど、政治せいじ的てき動機どうきによる場合ばあいも多おおい。
時どき系列けいれつに従したがって事件じけんが記述きじゅつされる。記述きじゅつされる内容ないようは政治せいじ史し・軍事ぐんじ史しを主おもとすることが多おおい。基本きほん的てきなスタイルとして、事項じこうが時とき系列けいれつ順じゅんに並ならべられたもの(編年体へんねんたい)と重要じゅうような個人こじんの事績じせきを追おって記述きじゅつするもの(紀伝きでん体たい)の2つがある。
歴史れきし書しょを記述きじゅつする歴史れきし家かは既存きそんの史料しりょうを収集しゅうしゅう・比較ひかく・批判ひはんし、ある基準きじゅんによって取捨選択しゅしゃせんたく(史料しりょう批判ひはん)を行おこなう。この作業さぎょうがなされない場合ばあいは歴史れきし書しょとは言いえず単たんなる記述きじゅつにとどまる。また、歴史れきし家かの想像そうぞうはできる限かぎり排除はいじょされる。想像そうぞうが勝かつ場合ばあいは歴史れきし文学ぶんがくとなる。例たとえば『三国志さんごくし演義えんぎ』など。
原理げんり的てきに歴史れきし書しょは二に次じ史料しりょう以下いかの史料しりょうとなるが、当時とうじの史料しりょうが失うしなわれていることも多おおく、その場合ばあい一いち次じ史料しりょう並なみの扱あつかいを受うけることもある。
上記じょうきの例外れいがいとして、歴史れきし記述きじゅつを目的もくてきとしたわけではない重要じゅうよう事件じけんの記録きろくがのちに歴史れきし書しょと見みなされることも多おおい。ガイウス・ユリウス・カエサルの『ガリア戦記せんき』などは、その顕著けんちょな例れいである。