司法しほう精神せいしん医学いがく

司法しほう精神せいしん医学いがく（しほうせいしんいがく、英えい: Forensic psychiatry、フォレンジック・サイキアトリー）とは、法ほう科学かがくのうちの法医学ほういがくにおける一いち分野ぶんやで、心神喪失しんしんそうしつ状態じょうたいにある者ものが触法しょくほう行為こういに至いたった場合ばあいの処遇しょぐうや治療ちりょう、経過けいか観察かんさつを中心ちゅうしんに研究けんきゅうする精神せいしん医学いがくの応用おうよう学問がくもんである。犯罪はんざい精神せいしん医学いがくと似にているが、犯罪はんざい精神せいしん医学いがくが犯罪はんざいの原因げんいん論ろん全般ぜんぱんを包括ほうかつするのに対たいして、司法しほう精神せいしん医学いがくは、触法しょくほう行為こうい者しゃの責任せきにん能力のうりょくの有無うむを判定はんていすることを主務しゅむとする。

現在げんざい、日本にっぽんでは国立こくりつ精神せいしん・神経しんけいセンター精神せいしん保健ほけん研究所けんきゅうじょに司法しほう精神せいしん医学いがく研究けんきゅう部ぶが設置せっちされており、唯一ゆいいつの研究けんきゅう機関きかんとして活動かつどうしている。日本にっぽんの大学だいがくには講座こうざがなく、真しんの専門せんもん家かがいるとはいえない。なお海外かいがいでは司法しほう精神せいしん医学いがくが精神せいしん医学いがくから独立どくりつした講座こうざになっている場合ばあいが多おおく、教授きょうじゅが存在そんざいしている^[1]。

用語ようご

「法ほう科学かがく#用語ようご」も参照さんしょう

法ほう科学かがく（Forensic sciences）の諸しょ分野ぶんやにおいて頭あたまに付つけられる「フォレンジック（“Forensic”）」（形容詞けいようし）は、ラテン語らてんごの“forēnsis”つまり「フォーラム（広場ひろば）」に由来ゆらいしている^[2]。ロろーマ帝国まていこく時代じだい、「起訴きそ」とは、ローマ市街しがいの中心ちゅうしんにあるフォロ・ロマーノで聴衆ちょうしゅうを前まえに訴状そじょうを公開こうかいすることであった。被告ひこくと原告げんこくはともに自みずからの主張しゅちょうを行おこない、よりよい主張しゅちょうをしてより広ひろく受うけ入いれられたものが裁判さいばんにおいて判決はんけつを下くだすことができた。この起源きげんは、現代げんだいにおける“forensic”という語かたりの２ふたつの用法ようほうのもとになっている。一ひとつ目めは「法的ほうてきに有効ゆうこうな」という意味いみ、そして２ふたつ目めが「公開こうかい発表はっぴょうの」という意味いみの形容詞けいようしである。

各国かっこくの状況じょうきょう

カナダ

カナダ刑法けいほう（英語えいご版ばん）の第だい20.1章しょうでは精神せいしん疾患しっかんについて記載きさいしており、精神せいしん疾患しっかんのため刑事けいじ責任せきにん能力のうりょくがないと思おもわしき場合ばあいに裁判所さいばんしょは精神せいしん鑑定かんていを命めいずることができる（672.11条じょう）としている^[3]。

日本にっぽん

詳細しょうさいは「心神喪失しんしんそうしつ等とうの状態じょうたいで重大じゅうだいな他た害がい行為こういを行おこなった者ものの医療いりょう及および観察かんさつ等とうに関かんする法律ほうりつ」を参照さんしょう

刑法けいほう39条じょうでは責任せきにん能力のうりょくの規定きていがあり、「心神喪失しんしんそうしつ者しゃの行為こういは、罰ばっしない。心神耗弱しんしんこうじゃく者しゃの行為こういは、その刑けいを減げん軽けいする。」とされている。この決定けっていがされた場合ばあいは医療いりょう観察かんさつ法ほうの規定きていにより、裁判所さいばんしょは、患者かんじゃの精神せいしん障害しょうがいを改善かいぜんし、これに伴ともなって同様どうようの行為こういを行おこなうことなく、社会しゃかいに復帰ふっきすることを促進そくしんするため、指定してい入院にゅういん医療いりょう機関きかんへの入院にゅういん措置そち（43条じょう）、または指定してい通院つういん医療いりょう機関きかんに3年間ねんかんの通院つういん措置そち（44条じょう）を決定けっていすることができる。

心神喪失しんしんそうしつ、心神耗弱しんしんこうじゃく者しゃとの判断はんだんがなされない場合ばあいは、医療いりょう刑務所けいむしょまたは医療いりょう少年院しょうねんいん^[4]などに送致そうちされることもある。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ 精神せいしん障害しょうがい者しゃをどう裁さばくか　岩波いわなみ明あきら　光文社こうぶんしゃ　2009年ねん　ISBN 9784334035013　36頁ぺーじ
^ Shorter Oxford English Dictionary（英語えいご版ばん） (6th ed.), Oxford University Press, (2007), ISBN 978-0-19-920687-2
^ Criminal Code　- R.S.C., 1985, c. C-4, カナダ司法省しほうしょう, PART XX.1 MENTAL DISORDER
^ 少年院しょうねんいん法ほう第だい2条じょう: 心身しんしんに著いちじるしい故障こしょうのある、おおむね十じゅう二に歳さい以上いじょう二に十じゅう六ろく歳さい未満みまんの者もの

外部がいぶリンク

司法しほう精神せいしん医学いがく研究けんきゅう部ぶ - 国立こくりつ精神せいしん・神経しんけい医療いりょう研究けんきゅうセンター
日本にっぽん司法しほう精神せいしん医い学会がっかい
医療いりょう観察かんさつ制度せいどとは - 法務省ほうむしょう

この項目こうもくは、法ほう分野ぶんやに関連かんれんした書かきかけの項目こうもくです。この項目こうもくを加筆かひつ・訂正ていせいなどしてくださる協力きょうりょく者しゃを求もとめています（P:法学ほうがく/PJ:法学ほうがく）。

[1] 精神せいしん障害しょうがい者しゃをどう裁さばくか　岩波いわなみ明あきら　光文社こうぶんしゃ　2009年ねん　ISBN 9784334035013　36頁ぺーじ

[2] Shorter Oxford English Dictionary（英語えいご版ばん） (6th ed.), Oxford University Press, (2007), ISBN 978-0-19-920687-2

[3] Criminal Code　- R.S.C., 1985, c. C-4, カナダ司法省しほうしょう, PART XX.1 MENTAL DISORDER

[4] 少年院しょうねんいん法ほう第だい2条じょう: 心身しんしんに著いちじるしい故障こしょうのある、おおむね十じゅう二に歳さい以上いじょう二に十じゅう六ろく歳さい未満みまんの者もの

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