堀部ほりべほり

堀部ほりべ きち（ほりべ きち、延のべ宝たから3年ねん（1675年ねん） ‐ 享とおる保ほ5年ねん5月25日にち（1720年ねん6月30日にち））は、江戸えど時代じだい前期ぜんきの女性じょせい。赤穂あこう浪士ろうしの1人ひとり堀部ほりべ武庸たけつね（堀部ほりべ安兵衛やすべえ）の妻つま。名なをほり、幸こう（こう）、順じゅん（じゅん）と記しるす書しょもあるが、これは誤あやまりである。

概要がいよう

延のべ宝たから3年ねん（1675年ねん）に堀部金丸ほりべあきざねの長女ちょうじょとして生うまれる。母ははは金丸かねまる先妻せんさいの山田やまだ氏しの娘むすめ。

元禄げんろく7年ねん（1694年ねん）2月がつ21日にちの高田馬場たかだのばばの決闘けっとうで活躍かつやくした浪人ろうにん中山なかやま安兵衛やすべえ（堀部ほりべ武庸たけつね）を婿養子むこようしにと見込みこんだ父ちち・金丸かねまるによって娶めとわされ結婚けっこんした。なお、高田馬場たかだのばばの決闘けっとうにおいて助太刀すけだちをする際さいに、たすき代かわりに紐ひもを捜さがしていた武庸たけつねに対たいし、観衆かんしゅうの中なかからきちが出でてきて、自分じぶんの緋ひぢりめんのしごきを渡わたす。武庸たけつねはこれをたすきにして、村上むらかみ兄弟きょうだいと対決たいけつしたという逸話いつわが伝つたえられている。

元禄げんろく14年ねん（1701年ねん）3月がつ14日にち、浅野あさの長矩ながのりの吉良きら義央よしなかへの刃傷にんじょうで赤穂あこう藩はんが改易かいえきとなった後のちは、堀部ほりべ武庸たけつねとともに両国橋りょうごくばし米沢よねざわ町まちの借家しゃくやで暮くらしていたが、元禄げんろく15年ねん（1702年ねん）7月がつ、吉良きら邸ていへの仇かたき討うちが決きまった円山まるやま会議かいぎの後のちに堀部ほりべ武庸たけつねは林はやし町まち五ご丁目ちょうめの借家しゃくやに移うつっていった。きちの同道どうどうは許ゆるされず、そのまま両国りょうこく橋きょうに留とめ置おかれた。

夫おっと武庸たけつねと父ちち金丸かねまるが赤穂あこう事件じけんにより切腹せっぷくした後のちの元禄げんろく16年ねん（1703年ねん）3月がつ、きちは、金丸かねまるの後妻ごさいわかとともにわかの実家じっかである忠見ただみ氏し（二本松にほんまつ藩はん丹羽たんば家か家臣かしん）に引ひき取とられた。さらに4月がつからはわかとともに藩主はんしゅ丹羽にわ長次ちょうじの正室せいしつ冷ひや台だい院いんに召めされて仕づかえたが、10月7日にちには冷ひや台だい院いんも死去しきょしたので、再ふたたび忠見ただみ氏しの家いえに身みを寄よせた。

またこの年としに忠見ただみ扶右衛門えもんの次男じなんの言げん真しんが堀部ほりべ家かを再興さいこう。この堀部ほりべ言げん真しんは、同族どうぞくの熊本くまもと堀部ほりべ氏しが仕つかえている肥後ひご国こく熊本くまもと藩はん藩主はんしゅ細川ほそかわ綱つな利りに召抱めしかかえられることとなり、きちも言げん真しんと一緒いっしょに熊本くまもとへ移うつった（ただし元々もともと、熊本くまもと藩士はんしだった堀部ほりべ清矩きよのりの子こ・堀部ほりべ言げん芳よしを言げん真しんの養子ようしに迎むかえたため、血筋ちすじでは金丸かねまる・武庸たけつねの子孫しそんではなくなっている）。

享とおる保ほ5年ねん（1720年ねん）5月がつ25日にちに同地どうちで死去しきょ。享年きょうねん46。法名ほうみょうは芳よし山さん祖そ春はる大姉だいし。

なお、のちに堀部ほりべ武庸たけつねの妻つまと自称じしょうする妙海尼みょうかいになる女性じょせいが現あらわれて評判ひょうばんになるが、これはきちではなく、きちの偽者にせものである。

関連かんれん項目こうもく

• 高田馬場たかだのばばの決闘けっとう