多た号ごう作戦さくせん

多た号ごう作戦さくせん（たごうさくせん）は、大だい東亜とうあ戦争せんそう末期まっきのフィリピンの戦たたかいで、日本にっぽん陸軍りくぐんと日本にっぽん海軍かいぐんが協同きょうどうで実施じっししたレイテ増援ぞうえん輸送ゆそう作戦さくせんのこと。 主おもな揚陸ようりく地ちの名なをとりオルモック輸送ゆそう作戦さくせんとも呼よばれる。 1944年ねん（昭和しょうわ19年ねん）10月がつ末まつから12月がつ上旬じょうじゅんまで、レイテ島れいてとう地上ちじょう戦せんにともなうレイテ島れいてとう西岸せいがんオルモックへの増援ぞうえん部隊ぶたい輸送ゆそうを第だい1次じ（当初とうしょは鈴すず二に号ごう作戦さくせんと呼称こしょう）から第だい9次じ作戦さくせんまで繰くり返かえされた。第だい10次じ作戦さくせんも予定よていしていたが、12月15日にちの連合れんごう軍ぐんミンドロ島みんどろとう上陸じょうりくにともなうミンドロ島みんどろとう地上ちじょう戦せんの生起せいきにより、多た号ごう作戦さくせんは中止ちゅうしされた。

概要がいよう

1944年ねん（昭和しょうわ19年ねん）10月がつ17日にち、連合れんごう軍ぐんはレイテ湾わんに集結しゅうけつして上陸じょうりく作戦さくせんを開始かいし（ダグラス・マッカーサー将軍しょうぐんによるレイテ島れいてとう上陸じょうりくは20日はつか）、フィリピンの戦たたかいにおけるレイテ島れいてとう地上ちじょう戦せんがはじまる。 日本にっぽん軍ぐんは捷一しょういち号ごう作戦さくせんを発動はつどうし、日本にっぽん海軍かいぐんは連合れんごう艦隊かんたいの大だい部分ぶぶんを投入とうにゅうしたが大だい損害そんがいを受うけた（レイテ沖おき海戦かいせん）。 一方いっぽう、台湾たいわん沖おき航空こうくう戦せんで日本にっぽん海軍かいぐんが発表はっぴょうした大だい戦果せんかを信しんじた日本にっぽん陸軍りくぐんは、従来じゅうらいのルソン島るそんとう地上ちじょう決戦けっせんの方針ほうしんを転換てんかんし、レイテ島れいてとう地上ちじょう決戦けっせんに切きりかえた。 日本にっぽん陸軍りくぐん（中央ちゅうおう・現地げんち軍ぐん）は海上かいじょう決戦けっせんに期待きたいしておらず、独力どくりょくでレイテ地上ちじょう決戦けっせんを進すすめることにした。10月27日にち、昭和しょうわ天皇てんのうは第だい四よん航空こうくう軍ぐんの奮闘ふんとうを誉ほめると共ともに、「地上ちじょう戦せんで連合れんごう軍ぐんを撃滅げきめつしなければ勝かったとはいえない」と強調きょうちょうした。

レイテ島れいてとうへの最初さいしょの増援ぞうえん輸送ゆそうは、第だい35軍ぐん（司令しれい官かん：鈴木すずき宗はじめ作さく陸軍りくぐん中将ちゅうじょう）が10月19日にちに発動はつどうした鈴すず二に号ごう作戦さくせんにともない、第だい16戦隊せんたい司令しれい官かん左近さこん允まこと尚なお正ただし海軍かいぐん中将ちゅうじょうの指揮しきで行おこなわれた。 だが、作戦さくせん開始かいし前まえの10月がつ23日にちにマニラ沖合おきあいで重じゅう巡洋艦じゅんようかん青葉あおば（第だい16戦隊せんたい旗艦きかん）がアメリカ軍ぐん潜水せんすい艦かんの雷撃らいげきで大破たいはする。残のこる2隻せき（軽けい巡洋艦じゅんようかん鬼怒きぬ（第だい16戦隊せんたい旗艦きかん）・駆逐くちく艦かん浦うら波は）と輸送ゆそう艦かん5隻せきによる第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい警戒けいかい部隊ぶたいは、ミンダナオ島みんだなおとうカガヤンからレイテ島れいてとう西岸せいがんオルモックへの増援ぞうえん作戦さくせんを行おこなう。輸送ゆそう部隊ぶたいは10月26日にち朝あさに到着とうちゃく、揚陸ようりくに成功せいこうした。だが帰路きろでアメリカ軍ぐん機動きどう部隊ぶたい艦載かんさい機きの攻撃こうげきを受うけ、鬼怒きぬと浦うら波はが沈没ちんぼつした。また鬼怒きぬ救援きゅうえんのため派遣はけんされた駆逐くちく艦かん不知火しらぬひ（第だい18駆逐くちく隊たい）も、空襲くうしゅうで撃沈げきちんされた。

10月29日にち、南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたいによりレイテ島れいてとう増援ぞうえん輸送ゆそう作戦さくせん多た号ごう作戦さくせんが発動はつどうされる。この計画けいかくは第だい2次じと第だい3次じ作戦さくせんからなり、10月がつ下旬げじゅんから11月がつ上旬じょうじゅんまでに実施じっし、レイテ島れいてとうのアメリカ軍ぐん飛行場ひこうじょうが本格ほんかく始動しどうする前まえに速すみやかに輸送ゆそう作戦さくせんを行おこなうことを考かんがえていた。なお多た号ごう作戦さくせん発動はつどう前まえにレイテ増援ぞうえん第だい1陣じんとして、第だい16戦隊せんたい司令しれい官かんが鈴すず号ごう作戦さくせんにともなう増援ぞうえん作戦さくせんを既すでに行いっており（上述じょうじゅつ）、鈴すず号ごう作戦さくせん（10月がつ19日にち発動はつどう）を多た号ごう作戦さくせんの第だい一いち次じ作戦さくせんとする場合ばあいもある。本ほん作戦さくせんでは通常つうじょうの輸送ゆそう船せんのほかに、敵てき制空権せいくうけん下かでの輸送ゆそう作戦さくせんを前提ぜんていとした第だい一いち号ごう型がた輸送ゆそう艦かんと第だい百ひゃく一いち号ごう型がた輸送ゆそう艦かん（SB艇てい）が集中しゅうちゅう投入とうにゅうされた

日本にっぽん海軍かいぐんは多た号ごう作戦さくせんの掩護えんごに、第だい五ご艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん志摩しま清英きよひで中将ちゅうじょうを指揮しき官かんとする第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいを投入とうにゅうした。本ほん作戦さくせんのため、第だい二に艦隊かんたいや第だい一いち機動きどう艦隊かんたいから駆逐くちく艦かんを第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいに編入へんにゅうした。第だい五ご艦隊かんたい麾下きかの第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたい司令しれい官かん木村きむら昌福まさとみ少将しょうしょう（旗艦きかん：霞かすみ）指揮しき下かで行おこなわれた第だい2次じ作戦さくせん（第だい1師団しだん主力しゅりょく、第だい26師団しだん一部いちぶ）では、11月1日にちから2日にちにかけて、第だい1師団しだんのレイテ島れいてとうオルモックへの輸送ゆそうおよび揚陸ようりくに成功せいこうした。被害ひがいは輸送ゆそう船せん1隻せき沈没ちんぼつだった。

多た号ごう作戦さくせん実施じっし中ちゅうの11月1日にち、南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかんは三川みかわ軍一ぐんいち中将ちゅうじょうから大だい川内かわうち傳七でんしち中将ちゅうじょうに交代こうたいする。 11月4日にちに、改あらためて第だい3次じ作戦さくせんから第だい7次じ作戦さくせんまでが発令はつれいされた。この計画けいかくでは第だい3次じ作戦さくせんで主おもに兵站へいたん部隊ぶたいを、第だい4次じ作戦さくせんで第だい26師団しだんを輸送ゆそうし、第だい5次じ作戦さくせん以降いこうは第だい68旅団りょだんを輸送ゆそうする計画けいかくだった。 作戦さくせん準備じゅんび中ちゅうの11月5日にち、マニラ空襲くうしゅうで重じゅう巡洋艦じゅんようかん那智なち（第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい旗艦きかん）が沈没ちんぼつ、第だい二に次じ輸送ゆそうに参加さんかした駆逐くちく艦かん2隻せき（曙あけぼの・沖おき波なみ）が損傷そんしょうする。 準備じゅんびの関係かんけいから第だい4次じ作戦さくせん（指揮しき官かん：木村きむら昌福まさとみ第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたい司令しれい官かん）が先さきにおこなれ、11月9日にち夕刻ゆうこくにオルモック湾わんに到着とうちゃくしたが大だい発動はつどう艇ていが揃そろわず揚陸ようりく作業さぎょうに難航なんこう、人員じんいんの輸送ゆそうのみ実施じっしした。空襲くうしゅうにより、優ゆう速そく輸送ゆそう船せん2隻せきと海防かいぼう艦かん1隻せきが沈没ちんぼつした。

第だい3次じ作戦さくせんは11月11日にちにオルモック湾わんでアメリカ軍ぐん機動きどう部隊ぶたい（第だい38任務にんむ部隊ぶたい）艦載かんさい機きの猛攻もうこうを受うけ、駆逐くちく艦かん朝あさ霜しもを除のぞいて全滅ぜんめつする（島しま風ふう・若月わかつき・浜はま波なみ・長波ちょうは・掃海そうかい艇てい・輸送ゆそう船せん沈没ちんぼつ）。第だい二に水雷すいらい戦隊せんたい司令しれい官かん早川はやかわ幹夫みきお少将しょうしょうも旗艦きかん島とう風ふう沈没ちんぼつ時じに戦死せんしした。 レイテ島れいてとうへの補給ほきゅうは断絶だんぜつし、上陸じょうりくした部隊ぶたいも弾薬だんやく、糧食りょうしょくの不足ふそくに苦くるしんだ。 そこで第だい5次じ以降いこうは軍需ぐんじゅ品ひんの輸送ゆそうに切きり替かえられた。

作戦さくせん準備じゅんび中ちゅうの11月13日にちと14日にち、アメリカ軍ぐん機動きどう部隊ぶたい（第だい38任務にんむ部隊ぶたい）によるマニラ空襲くうしゅうでマニラ在ざい泊はく中ちゅうの艦船かんせんは大だい打撃だげきを受うける。 多た号ごう作戦さくせん部隊ぶたいの軽けい巡洋艦じゅんようかん木曾きそと駆逐くちく艦かん4隻せき（沖波おきなみ・秋霜しゅうそう・初春しょしゅん・曙あけぼの）が沈没ちんぼつ、大破たいは着ぎ底そこする。この被害ひがいにより、第だい二に次じ～四よん次じ作戦さくせんで護衛ごえい部隊ぶたいの主力しゅりょくを担になった第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたいと第だい二に水雷すいらい戦隊せんたいの残余ざんよはマニラから撤収てっしゅうした。 日本にっぽん軍ぐんは、残存ざんそんする松まつ型がた駆逐くちく艦かん・睦月むつき型がた駆逐くちく艦かん・第だい一いち号ごう型がた輸送ゆそう艦かん・第だい百ひゃく一いち号ごう型がた輸送ゆそう艦かん・駆潜艇くせんていを主力しゅりょくとして多た号ごう作戦さくせんを続行ぞっこうした。投入とうにゅう可能かのう輸送ゆそう船せんはマニラ空襲くうしゅうですべて沈没ちんぼつし、駆逐くちく艦かん・輸送ゆそう艦かん・機動きどう艇てい・大だい発動はつどう艇てい・海上かいじょうトラックしか手段しゅだんがなくなっていたのである。この事態じたいに、陸軍りくぐん潜水せんすい艦かんまるゆもレイテ輸送ゆそう作戦さくせんに投入とうにゅうされた。海軍かいぐん側がわの甲きのえ標的ひょうてき（特殊とくしゅ潜航せんこう艇てい）も、少数しょうすう艇ていが偵察ていさつや襲撃しゅうげきをつづけた。

第だい3次じ輸送ゆそう船団せんだんの全滅ぜんめつ前まえ、大本営だいほんえいは第だい23師団しだん（満州まんしゅう）、第だい10師団しだん（台湾たいわん）、第だい19師団しだん（朝鮮半島ちょうせんはんとう）を、レイテ地上ちじょう戦せんに投入とうにゅうすることを企図きとしていた。第だい23師団しだんは11月末まつ頃ごろ、第だい10師団しだんは12月上旬じょうじゅん、第だい19師団しだんは12月下旬げじゅん以降いこう、現地げんちに進出しんしゅつする計画けいかくであった。 第だい23師団しだんはヒ81船団せんだんでフィリピンへ移動いどう中ちゅう、11月15日にちから17日にちにかけてアメリカ軍ぐん潜水せんすい艦かんに襲撃しゅうげきされ、大だい損害そんがいをうける。レイテ地上ちじょう決戦けっせん継続けいぞくは不可能ふかのうとなったが、大本営だいほんえいはレイテ決戦けっせんと増援ぞうえん作戦さくせん（多た号ごう作戦さくせん）を続行ぞっこうした。

11月23日にち以降いこうの第だい5次じ作戦さくせんは、第だい一いち梯団ていだん（駆潜艇くせんてい46号ごう・輸送ゆそう艦かん3隻せき）、第だい二に梯団ていだん（駆逐くちく艦かん竹たけ・輸送ゆそう艦かん3隻せき）とも空襲くうしゅうをうけて失敗しっぱいした。25日にちにはアメリカ軍ぐん機動きどう部隊ぶたい艦載かんさい機きの空襲くうしゅうで、軽けい巡洋艦じゅんようかん八十島やそじま（輸送ゆそう戦隊せんたい旗艦きかん。輸送ゆそう艦かん3隻せきとともに一式いっしき砲ほう戦車せんしゃを内地ないちからマニラへ輸送ゆそう任務にんむ中ちゅう）と重じゅう巡洋艦じゅんようかん熊野くまのが沈没ちんぼつした。 同どう時期じきのアメリカ海軍かいぐん機動きどう部隊ぶたいも長期間ちょうきかんの行動こうどうによる疲労ひろうと、日本にっぽん軍ぐん特別とくべつ攻撃こうげき隊たい（陸軍りくぐん機き・海軍かいぐん機き）による損害そんがいに悩なやまされており、補給ほきゅうと休養きゅうようのために後退こうたいする。連合れんごう軍ぐんは航空こうくう攻撃こうげきと共ともに魚雷ぎょらい艇ていや水雷すいらい戦隊せんたいを投入とうにゅうし、日本にっぽん軍ぐんを迎撃げいげきした。 第だい6次じ作戦さくせんは陸軍りくぐん輸送ゆそう船せん2隻せきと護衛ごえい艦艇かんてい3隻せきをもって実施じっしされ、一部いちぶ揚陸ようりくに成功せいこうするも船団せんだんは帰路きろで全滅ぜんめつした。 第だい7次じ作戦さくせんは機動きどう艇てい5隻せき・輸送ゆそう艦かん3隻せき・駆逐くちく艦かん2隻せきをもって行おこなわれた。連合れんごう軍ぐん水雷すいらい戦隊せんたいの迎撃げいげきにより、日本にっぽん側がわは駆逐くちく艦かん桑くわを失うしなう。だが竹たけがアメリカ軍ぐん駆逐くちく艦かんクーパーを撃沈げきちんし、輸送ゆそう作戦さくせんは成功せいこうした。多た号ごう作戦さくせんの部分ぶぶん的てき成功せいこうにより、日本にっぽん軍ぐんはレイテ決戦けっせん続行ぞっこうへの希望きぼうをつないだ。

12月7日にちにアメリカ軍ぐんはレイテ島れいてとうオルモック南部なんぶに部隊ぶたいを上陸じょうりくさせ、オルモック市内しないを目指めざした。そのため第だい68旅団りょだん主力しゅりょくを輸送ゆそうする第だい8次じ作戦さくせん（輸送ゆそう船せん4・輸送ゆそう艦かん1・駆逐くちく艦かん〈梅うめ・桃もも・杉すぎ〉・駆潜艇くせんてい〈18号ごう・38号ごう〉）は揚陸ようりく地ちをオルモック北方ほっぽうのサンイシドロに変更へんこうする。陸りく兵へいの揚陸ようりくには成功せいこうしたが、軍需ぐんじゅ品ひんの揚陸ようりくは失敗しっぱいした。輸送ゆそう船せんも全滅ぜんめつ状態じょうたいになった。 第だい9次じ作戦さくせん（輸送ゆそう船せん3、輸送ゆそう艦かん2、駆逐くちく艦かん2、駆潜艇くせんてい2）では、オルモック陸上りくじょう戦せんの中なかを強行きょうこう揚陸ようりくという形かたちとなった。空襲くうしゅう・魚雷ぎょらい艇てい襲撃しゅうげき・地上ちじょう砲火ほうかで駆逐くちく艦かん2隻せき（夕ゆう月がつ・卯月うづき）・輸送ゆそう船せん2隻せき・輸送ゆそう艦かん1隻せきを喪失そうしつした。

第だい10次じ作戦さくせんも「決けつ号ごう作戦さくせん」として計画けいかくされていたが、12月13日にちにルソン島とうへ向むかうアメリカ軍ぐんの上陸じょうりく部隊ぶたいが発見はっけんされた（実際じっさいにはミンドロ島みんどろとうに上陸じょうりく）。情勢じょうせいの急転きゅうてんにより、第だい14方面ほうめん軍ぐんは輸送ゆそう予定よてい部隊ぶたいをルソン島るそんとうに配備はいびした。14日にちには、海軍かいぐん側がわも第だい10次じ作戦さくせんの中止ちゅうしを決定けっていし、ここに多た号ごう作戦さくせんは終了しゅうりょうした。レイテ島れいてとうに取とり残のこされた日本にっぽん陸軍りくぐんは持久じきゅう作戦さくせんに転てんじた。12月31日にち附ふで多た号ごう作戦さくせん部隊ぶたいは編成へんせいを解とかれた。

レイテ沖おき海戦かいせんと本ほん作戦さくせんによる大だい損害そんがいにより、日本にっぽん海軍かいぐんの水上すいじょう部隊ぶたいは機能きのうを失うしなった。またフィリピン方面ほうめんの日本にっぽん陸軍りくぐんも精鋭せいえい部隊ぶたいを消耗しょうもうし、第だい23師団しだん（ヒ81船団せんだん）の被害ひがいも相乗そうじょうして、ルソン島るそんとう地上ちじょう戦せんに重大じゅうだいな支障ししょうを与あたえた。

背景はいけい

1944年ねん（昭和しょうわ19年ねん）10月がつ16日にち、及川おいかわ古志こし郎ろう軍令ぐんれい部ぶ総長そうちょうは昭和しょうわ天皇てんのうに台湾たいわん沖おき航空こうくう戦せんの戦果せんか合計ごうけいを奏上そうじょう、航空こうくう母艦ぼかんだけで轟とどろき撃沈げきちん10隻せき・火災かさい炎上えんじょう（撃破げきは）6隻せきという大だい戦果せんかであった。フィリピン方面ほうめんの日本にっぽん陸軍りくぐん（第だい14方面ほうめん軍ぐん、第だい4航空こうくう軍ぐん）は海軍かいぐんの戦果せんか発表はっぴょうを疑問ぎもん視しする向むきもあったが、日本にっぽん陸海りくかい軍ぐんの大だい部分ぶぶんや国民こくみんはひさしぶりの大だい戦果せんかに熱狂ねっきょうした。 同日どうじつ午前ごぜん中ちゅう、日本にっぽん軍ぐん索敵さくてき機きが台湾たいわん東方とうほう430浬かいりに空母くうぼ7隻せきを基幹きかんとする機動きどう部隊ぶたいを発見はっけん、大本営だいほんえい海軍かいぐん部ぶに動揺どうようが走はしった。日本にっぽん海軍かいぐんが台湾たいわん沖おき航空こうくう戦せんの戦果せんか判断はんだんを「空母くうぼ4隻せき撃破げきは程度ていど」（実際じっさいは空母くうぼ2隻せき損傷そんしょう・巡洋艦じゅんようかん3隻せき損傷そんしょう程度ていど）と修正しゅうせいするのには相当そうとうの時間じかんを要ようし、この間あいだにアメリカ軍ぐんはレイテ島れいてとうに来襲らいしゅう、レイテ島れいてとう地上ちじょう戦せんがはじまった。

10月17日にち、アメリカ軍ぐんを主力しゅりょくとする連合れんごう軍ぐんの大だい艦隊かんたいがフィリピン中部ちゅうぶのレイテ湾わん周辺しゅうへんに集結しゅうけつ、まもなくレイテ島れいてとうおよび周辺しゅうへんへの上陸じょうりく作戦さくせんを開始かいしした。 連合れんごう艦隊かんたいは、横浜よこはま市しの日吉ひよし司令しれい部ぶから対応たいおうを指示しじする。連合れんごう艦隊かんたいの作戦さくせん指導しどうの骨子こっしは以下いかのようなものだった。また神風かみかぜ特別とくべつ攻撃こうげき隊たいや水上すいじょう特攻とっこう部隊ぶたい（まるレ（陸軍りくぐん）・震ふるえ洋よう（海軍かいぐん））の編成へんせいと準備じゅんびも始はじまっていた。

一いち　リンガ泊地はくちの第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたい（指揮しき官かん：栗田くりた健男たけお第だい二に艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん、通称つうしょう「栗田くりた艦隊かんたい」）をレイテ湾わんの連合れんごう軍ぐん上陸じょうりく地点ちてんに突入とつにゅうさせる。

二に　内海うつみ西部せいぶの第だい一いち機動きどう艦隊かんたい（司令しれい長官ちょうかん：小沢おざわ治おさむ三郎さぶろう中将ちゅうじょう。第だい三さん航空こうくう戦隊せんたい・第だい四よん航空こうくう戦隊せんたい）を南下なんかさせてアメリカ軍ぐん機動きどう部隊ぶたいを北方ほっぽうに誘致ゆうち、第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたいの突入とつにゅうを間接かんせつ支援しえんする。

三さん　残敵ざんてき掃蕩そうとうのため南西諸島なんせいしょとう方面ほうめんで行動こうどう中ちゅうの第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい（司令しれい長官ちょうかん：志摩しま清英きよひで第だい五ご艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん、通称つうしょう「志摩しま艦隊かんたい」）を中心ちゅうしんに、海上かいじょう機動きどう反撃はんげき作戦さくせんを実施じっし。

四よん　基地きち航空こうくう部隊ぶたいをフィリピンに集中しゅうちゅうし、総そう攻撃こうげきを実施じっし。

五ご　潜水せんすい艦かんを全力ぜんりょく出撃しゅつげきさせる。

10月18日にち、日本にっぽん軍ぐん（大本営だいほんえい陸軍りくぐん部ぶ・海軍かいぐん部ぶ）は捷一しょういち号ごう作戦さくせん（大陸たいりく命いのち第だい1153号ごう・大陸たいりく指ゆび第だい2234号ごう）を発動はつどうする。日本にっぽん軍ぐんの地上ちじょう部隊ぶたいは、南方なんぽう軍ぐん隷下れいかの第だい14方面ほうめん軍ぐん（司令しれい官かん：山下やました奉文ともゆき陸軍りくぐん大将たいしょう、通称つうしょう号ごう「尚武しょうぶ」、ルソン島るそんとう）、第だい14方面ほうめん軍ぐん隷下れいかの第だい35軍ぐん（司令しれい官かん：鈴木すずき宗はじめ作さく陸軍りくぐん中将ちゅうじょう、通称つうしょう号ごう「尚なお」、中ちゅう比ひ～南みなみ比ひ）と第だい16師団しだん（司令しれい官かん：牧野まきの四郎しろう陸軍りくぐん中将ちゅうじょう、通称つうしょう号ごう「垣かき」、レイテ島れいてとう）を基幹きかんとする。 台湾たいわん沖おき航空こうくう戦せん以前いぜん、日本にっぽん陸軍りくぐんはフィリピン方面ほうめんの決戦けっせんにおいて、地上ちじょう決戦けっせんはルソン島るそんとうで、中央ちゅうおう・南部なんぶ方面ほうめん（レイテ島れいてとう・ミンダナオ島みんだなおとう）では航空こうくう攻撃こうげきを行おこなう方針ほうしんであった。だが台湾たいわん沖おき航空こうくう戦せんで日本にっぽん海軍かいぐんが主張しゅちょうする大だい戦果せんか（誤認ごにん）にもとづき、大本営だいほんえい陸軍りくぐん部ぶはレイテ島れいてとう地上ちじょう決戦けっせんに踏ふみ切きる。 戦局せんきょくを楽観らっかん視ししていた南方なんぽう軍ぐんも、大本営だいほんえいの意向いこうによりレイテ増援ぞうえんの方針ほうしんに転換てんかんする。 ルソン島るそんとう決戦けっせん方針ほうしんのもとに準備じゅんびをすすめてきた山下やました大将たいしょう（第だい14方面ほうめん軍ぐん）は不ふ同意どういであったが、上級じょうきゅう司令しれい部ぶからの命令めいれいで同意どういした。 大本営だいほんえいの指導しどうにより、寺内てらうち寿一ひさいち元帥げんすい（南方なんぽう軍ぐん）は山下やました大将たいしょう（第だい14方面ほうめん軍ぐん）と富永とみなが恭次きょうじ中将ちゅうじょう（第だい4航空こうくう軍ぐん）に対たいし10月がつ22日にちに「第だい十じゅう四よん方面ほうめん軍ぐんハ海うみ空軍くうぐんト協力きょうりょくシ成なりルヘク多たクノ兵力へいりょくヲ以テ『レイテ』島しまニ来らい攻おさむセル敵てきヲ撃滅げきめつスヘシ」と命令めいれいした。

日本にっぽん陸軍りくぐん（大本営だいほんえい、南方なんぽう軍ぐん）が描えがいていたレイテ島れいてとう地上ちじょう決戦けっせんの骨子こっしは、ルソン島とうの第だい26師団しだん（通称つうしょう号ごう「泉いずみ」）、上海しゃんはいからフィリピンへ進出しんしゅつ中ちゅうの第だい1師団しだん（通称つうしょう号ごう「玉たま」）、台湾たいわん所在しょざいの第だい68旅団りょだん（第だい10方面ほうめん軍ぐんの海上かいじょう機動きどう反撃はんげき部隊ぶたい。23日にちの大陸たいりく命いのち第だい1159号ごうで第だい14方面ほうめん軍ぐんに編入へんにゅう）をレイテ島れいてとうに急速きゅうそく増援ぞうえんし、レイテ島れいてとうの第だい16師団しだん（第だい35軍ぐん隷下れいか）と共ともに上陸じょうりくした敵てき部隊ぶたいを一挙いっきょに撃滅げきめつしようというものだった。南方なんぽう軍ぐんは、たまたま馬うま公こう市しに到着とうちゃくした第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい（志摩しま艦隊かんたい）に、第だい68旅団りょだんの増援ぞうえん輸送ゆそうを期待きたいしていた（詳細しょうさい後述こうじゅつ）。日本にっぽん海軍かいぐんは「レイテ島れいてとうに連合れんごう軍ぐんの航空こうくう基地きちが完成かんせいすると、制空権せいくうけんの喪失そうしつによりルソン島るそんとう地上ちじょう決戦けっせんは成立せいりつしない」と考かんがえており、レイテ島れいてとう地上ちじょう決戦けっせんに賛成さんせいだった。

10月19日にち、フィリピン中ちゅう南部なんぶの防衛ぼうえいを担当たんとうする日本にっぽん陸軍りくぐん第だい35軍ぐん（司令しれい官かん：鈴木すずき宗はじめ作さく陸軍りくぐん中将ちゅうじょう。第だい16師団しだん・第だい30師団しだん・第だい100師団しだん・第だい102師団しだん・独立どくりつ混成こんせい第だい54旅団りょだん）は、南方なんぽう軍ぐんと第だい14方面ほうめん軍ぐんの下した令れいにより鈴すず二に号ごう作戦さくせんを発動はつどうした。鈴すず号ごう作戦さくせんは、敵てき主力しゅりょくの上陸じょうりく地点ちてんに応おうじて兵力へいりょくを重点じゅうてん地区ちくに海上かいじょう機動きどうし、当面とうめんの敵てきを撃滅げきめつするという作戦さくせんである。鈴すず一いち号ごう作戦さくせんはミンダナオ島みんだなおとうダバオに上陸じょうりくした場合ばあい、鈴すず二に号ごう作戦さくせんはレイテ湾わん方面ほうめん上陸じょうりくを想定そうていしている。鈴すず二に号ごう作戦さくせんは第だい16戦隊せんたい司令しれい官かん左近さこん允まこと尚なお正せい海軍かいぐん中将ちゅうじょう指揮しき下かの艦艇かんていで実施じっしされた（詳細しょうさいは下しも述じゅつ）。

10月26日にち午前ごぜん中ちゅう、大本営だいほんえい海軍かいぐん部ぶ（軍令ぐんれい部ぶ）で及川おいかわ古志こし郎ろう軍令ぐんれい部ぶ総長そうちょう米内よない光政みつまさ海軍かいぐん大臣だいじん・井上いのうえ成美まさみ海軍かいぐん次官じかんなどが出席しゅっせきし、今後こんごの方針ほうしんについて検討けんとうをおこなった。連合れんごう艦隊かんたいからの報告ほうこくでは、レイテ沖おき海戦かいせんの戦果せんかは「第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたい（指揮しき官かん：栗田くりた健男たけお中将ちゅうじょう〈第だい二に艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん〉）はレイテ湾わん突入とつにゅうと敵てき攻略こうりゃく部隊ぶたい撃滅げきめつを断念だんねん、一方いっぽうで敵てき機動きどう部隊ぶたいに痛やめ打だを与あたえたが、連合れんごう艦隊かんたいの被害ひがいも少すくなくない」というものだった。 大本営だいほんえい発表はっぴょう（10月がつ27日にち版ばん）の戦果せんか発表はっぴょうは「連合れんごう軍ぐん艦艇かんてい 撃沈げきちん：空母くうぼ8隻せき、巡洋艦じゅんようかん3隻せき、駆逐くちく艦かん2隻せき、輸送ゆそう船せん4以上いじょう」・「撃破げきは：空母くうぼ7隻せき、戦艦せんかん1隻せき、巡洋艦じゅんようかん2隻せき」・撃墜げきつい約やく500機き・「日本にっぽん軍ぐん損害そんがい　沈没ちんぼつ：空母くうぼ1隻せき、巡洋艦じゅんようかん2隻せき、駆逐くちく艦かん2隻せき」・「損傷そんしょう：空母くうぼ1隻せき中ちゅう破やぶ、未み帰還きかん126機き」で、31日にちに追加ついかで「撃沈げきちん：巡洋艦じゅんようかん1、駆逐くちく艦かん2」・「撃破げきは：空母くうぼ2、巡洋艦じゅんようかんまたは駆逐くちく艦かん3」である。 同日どうじつ、大本営だいほんえい陸軍りくぐん部ぶ・海軍かいぐん部ぶの作戦さくせん会議かいぎがひらかれた。先さきに行おこなわれた台湾たいわん沖おき航空こうくう戦せんの戦果せんか報告ほうこくもふまえ、アメリカ軍ぐんの空母くうぼ40隻せきを撃げき沈破と認識にんしき、残存ざんそん兵力へいりょくは正規せいき空母くうぼ3、巡洋艦じゅんようかん改造かいぞう空母くうぼ3、特設とくせつ航空こうくう母艦ぼかん10、戦艦せんかん10程度ていどという判断はんだんを下くだす。今後こんごの作戦さくせんでは「特攻とっこう兵器へいきによる必死ひっし必殺ひっさつの戦法せんぽう」を主力しゅりょくとすることになった。また連合れんごう軍ぐん艦隊かんたいへの攻撃こうげきを続行ぞっこうすると共ともに、日本にっぽん陸軍りくぐん地上ちじょう兵団へいだんのレイテ増援ぞうえん輸送ゆそうを支援しえんすることを決きめた。連合れんごう軍ぐんの航空こうくう兵力へいりょくが大幅おおはばに弱体じゃくたい化か（誤認ごにん戦果せんか判断はんだん）した現げん戦局せんきょくしか、勝機しょうきはないと判断はんだんしたのである。ただし、大本営だいほんえい陸軍りくぐん部ぶ・海軍かいぐん部ぶともレイテ地上ちじょう戦せんは容易よういに勝利しょうりできると判断はんだんしており、すでにモロタイ島とう奪還だっかんを視野しやにいれていた（モロタイ島とうの戦たたかい）。 梅津うめづ参謀さんぼう総長そうちょうの上奏じょうそうに対たいし、昭和しょうわ天皇てんのうは「地上ちじょう戦せんで敵てきを撃滅げきめつしなければ勝かったことにならない。今こん一息ひといきであるから第だい一線いっせん（部隊ぶたい）を激励げきれいせよ」と指導しどうした。

10月27日にち午前ごぜん11時じ、第だい14方面ほうめん軍ぐんは第だい一いち師団しだん・第だい二に十じゅう六ろく師団しだん・第だい六ろく十じゅう八はち旅団りょだんのレイテ島れいてとう投入とうにゅうと同島どうとう決戦けっせん（レイテ地上ちじょう戦せんは第だい35軍ぐんが指揮しき）を発令はつれいした（尚武しょうぶ作さく命いのち甲かぶと第だい125号ごうおよび126号ごう）。 同日どうじつ夕刻ゆうこく、連合れんごう艦隊かんたい（司令しれい長官ちょうかん：豊田とよだ副ふく武ぶ大将たいしょう、参謀さんぼう長ちょう：草くさ鹿しか龍之介りゅうのすけ中将ちゅうじょう、参謀さんぼう副長ふくちょう：高田たかだ利とし種しゅ少将しょうしょう、首席しゅせき参謀さんぼう：神かみ重徳しげのり大佐たいさ）は聯合れんごう艦隊かんたい機密きみつ第だい271715番ばん電でん・聯合れんごう艦隊かんたい電でん令れい作さく第だい392号ごうでレイテ島れいてとう決戦けっせんに関かんする連合れんごう艦隊かんたいの基本きほん命令めいれいを出だす。

一いち　敵てきハ我わが累次るいじ猛攻もうこうニ屈こごめセズ「レイテ」島とう「サマール」島方しまかた面めんニ橋頭堡きょうとうほヲ拡大かくだい中ちゅうナリ

二に　聯合れんごう艦隊かんたいハ陸軍りくぐんト協同きょうどう　第だい一いち、第だい二に十じゅう六ろく師団しだん及第きゅうだい六ろく十じゅう八はち旅団りょだんヲ基幹きかんトスル兵力へいりょくヲ速そくニ「レイテ」島方しまかた面めんニ輸送ゆそう　一挙いっきょニ敵てきヲ撃滅げきめつセントス

三さん　南西なんせい方面ほうめん部隊ぶたいハ所在しょざい基地きち航空こうくう兵力へいりょくト協同きょうどうシ　陸軍りくぐん上陸じょうりく部隊ぶたいノ直接ちょくせつ護衛ごえい敵てき空母くうぼ及輸送ゆそう船せんノ撃滅げきめつニ任にんジ　且戦略りゃく要点ようてんノ防備ぼうびヲ強化きょうか之のヲ確保かくほスベシ

四よん　第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたいハ菲島又またハ北部ほくぶ「ボルネオ」方面ほうめんヲ根拠こんきょトシ　陸軍りくぐん上陸じょうりく部隊ぶたいノ間接かんせつ護衛ごえいニ任にんジ　南西なんせい方面ほうめん部隊ぶたいノ作戦さくせんヲ強力きょうりょくニ支援しえんスベシ

五ご　先遣せんけん部隊ぶたいハ全力ぜんりょくヲ菲島方面ほうめんニ集中しゅうちゅう　敵てき輸送ゆそう路ろノ遮断しゃだん及敵機動きどう部隊ぶたいノ捕捉ほそく撃滅げきめつニ任にんズベシ

六ろく　機動きどう部隊ぶたい本隊ほんたいノ一部いちぶハ補給ほきゅう終了しゅうりょう後ご内海うつみ西部せいぶニ回航かいこう　第だい四よん航空こうくう戦隊せんたい（隼はやぶさ鷹たか・龍りゅう鳳おおとり・第だい六ろく三さん四よん航空こうくう隊たい欠かけ）、第だい三さん十じゅう一いち戦隊せんたいヲシテ　主しゅトシテ特別とくべつ攻撃こうげき隊たい主力しゅりょくヲ速そくニ菲島方面ほうめんニ急送きゅうそうセシムベシ
右みぎ兵力へいりょく菲島到着とうちゃくノ時機じきヲ以テ　第だい四よん航空こうくう戦隊せんたい（隼はやぶさ鷹たか、龍りゅう鳳おおとり、第だい六ろく三さん四よん航空こうくう隊たい欠かけ）ヲ第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたいニ　第だい三さん十じゅう一いち戦隊せんたいヲ南西なんせい方面ほうめん部隊ぶたいニ夫おっと々編入へんにゅうノ予定よてい

以上いじょうの基本きほん命令めいれいにより、南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん三川みかわ軍一ぐんいち中将ちゅうじょうは南方なんぽう軍ぐんと協同きょうどう。航空こうくう作戦さくせんを第だい一いち連合れんごう基地きち航空こうくう部隊ぶたい（指揮しき官かん：福留ふくとめ繁しげる中将ちゅうじょう、次席じせき指揮しき官かん兼けん参謀さんぼう長ちょう：大西おおにし瀧たき治郎じろう中将ちゅうじょう）、レイテ増援ぞうえん陸軍りくぐん部隊ぶたいの護衛ごえいを第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい（指揮しき官かん：志摩しま清英きよひで第だい五ご艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん、旗艦きかん：那智なち）、一連いちれんの作戦さくせん支援しえんを潜水せんすい艦かん部隊ぶたい（指揮しき官かん：三輪みわ茂義しげよし中将ちゅうじょう）と第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたい（指揮しき官かん：栗田くりた健男たけお第だい二に艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん、旗艦きかん：大和やまと）が担当たんとうする。 また連合れんごう艦隊かんたいはレイテ増援ぞうえん船団せんだんの支援しえんとして、第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたい所属しょぞくの第だい31駆逐くちく隊たい（岸波きしなみ・沖おき波なみ・長波ちょうは・朝あさ霜しも）を27日にち附ふで、また第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたいの第だい二に水雷すいらい戦隊せんたい（司令しれい官かん：早川はやかわ幹夫みきお少将しょうしょう）を28日にち附ふで、それぞれ第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいに編入へんにゅうした（GF電でん令れい作さく第だい387号ごう）。この措置そちにより、第だい二に水雷すいらい戦隊せんたいは旗艦きかん島とう風ふう、第だい2駆逐くちく隊たい（秋霜しゅうそう・清きよし霜しも）、第だい31駆逐くちく隊たい（岸波きしなみ・沖おき波なみ・長波ちょうは・朝あさ霜しも）、第だい32駆逐くちく隊たい（浜はま波なみ）以下いかすべての艦艇かんていが第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいに所属しょぞくすることになった。 第だい三さん艦隊かんたい（機動きどう部隊ぶたい）からは、秋月しゅうげつ型がた駆逐くちく艦かんで編制へんせいされた第だい41駆逐くちく隊たい（霜月しもづき・冬ふゆ月がつ）と第だい61駆逐くちく隊たい（若月わかつき・涼りょう月がつ）が編入へんにゅうされたが、稼働かどう艦かんは2隻せき（霜月しもつき・若月わかつき）だけだった。

10月29日にち、海軍かいぐん側がわの最高さいこう責任せきにん者しゃたる三川みかわ軍一ぐんいち南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかんは「レイテ増援ぞうえん輸送ゆそう実施じっし計画けいかく」（NSB電でん令れい作さく第だい30号ごう）を発令はつれい、一連いちれんの増援ぞうえん輸送ゆそう作戦さくせんを多た号ごう作戦さくせんと呼称こしょうし、「海陸かいりく空軍くうぐんノ緊密きんみつナル協力きょうりょくノ下しもニ敵てきガ『レイテ』島方しまかた面めん航空こうくう基地きちヲ全幅ぜんはば活用かつようシ得とくザル以前いぜんニ終了しゅうりょうスル如ク万難ばんなんヲ排はいシ迅速じんそくニ輸送ゆそうヲ強行きょうこうス」と述のべた。だがレイテ島れいてとうの戦局せんきょくは、日本にっぽん軍ぐんの予想よそう以上いじょうに悪化あっかしつつあった。

作戦さくせん経過けいか

太字ふとじの艦船かんせん名めいは作戦さくせん中ちゅうの喪失そうしつを表あらわす。

多た号ごう作戦さくせん以前いぜん

第だい1次じ輸送ゆそう

• 第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい警戒けいかい部隊ぶたい（指揮しき官かん：左近さこん允まこと尚なお正せい第だい16戦隊せんたい司令しれい官かん）
  • 第だい16戦隊せんたい：青葉あおば・鬼怒きぬ・浦うら波は
  • 第だい1輸送ゆそう隊たい：一等いっとう輸送ゆそう艦かん第だい6号ごう・9号ごう・10号ごう
  • 第だい2輸送ゆそう隊たい：二に等とう輸送ゆそう艦かん第だい101号ごう・102号ごう

重じゅう巡洋艦じゅんようかん青葉あおば、軽けい巡洋艦じゅんようかん鬼怒きぬ、軽けい巡洋艦じゅんようかん北上ほくじょう（内地ないちで修理しゅうり中ちゅう、レイテ沖おき海戦かいせん・多た号ごう作戦さくせんには関係かんけいせず）、駆逐くちく艦かん浦うら波はで編成へんせいされた第だい16戦隊せんたい（司令しれい官かん：左近さこん允まこと尚なお正せい中将ちゅうじょう）は、複雑ふくざつな経緯けいいでレイテ沖おき海戦かいせんおよび鈴すず号ごう作戦さくせん（多た号ごう作戦さくせん第だい一いち次じ輸送ゆそう）にのぞんだ。 まず第だい16戦隊せんたいは戦時せんじ編制へんせいにおいて南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい（司令しれい長官ちょうかん：三川みかわ軍一ぐんいち中将ちゅうじょう、所在しょざい：マニラ）に所属しょぞくするが、捷とし号ごう作戦さくせん時じの兵力へいりょく部署ぶしょは第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたい（指揮しき官かん：栗田くりた健男たけお中将ちゅうじょう、旗艦きかん：愛宕あたご）の第だい四よん部隊ぶたいで、リンガ泊地はくちで栗田くりた艦隊かんたい各かく艦かんとともに訓練くんれんに従事じゅうじしていた。 10月18日にち朝あさ、連合れんごう艦隊かんたい司令しれい部ぶは第だい16戦隊せんたいを第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい（指揮しき官かん：志摩しま清英きよひで中将ちゅうじょう、通称つうしょう志摩しま艦隊かんたい、旗艦きかん：那智なち）に編入へんにゅうし、同時どうじに第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいを三川みかわ中将ちゅうじょう（南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい）の指揮しき下かに入いれた。連合れんごう艦隊かんたいは第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい（志摩しま艦隊かんたい）を海上かいじょう機動きどう反撃はんげき作戦さくせんに投入とうにゅうする意図いとをもち、第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいはマニラへの進出しんしゅつを命めいじられた。 当時とうじ、第だい16戦隊せんたいは第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたいと共ともにリンガ泊地はくちを出動しゅつどう、ブルネイに向むけて移動いどう中ちゅうであった。ところが三川みかわ中将ちゅうじょうは南方なんぽう軍ぐん総そう司令しれい部ぶの海上かいじょう機動きどう計画けいかくが確定かくていしていないのを見みて、第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいは馬うま公方くぼう面めんで、第だい16戦隊せんたいはブルネイ湾わんで待機たいきするよう命めいじた。

10月19日にち正午しょうご、連合れんごう艦隊かんたい司令しれい部ぶは「三川みかわ中将ちゅうじょう指揮しきの海上かいじょう機動きどう反撃はんげき作戦さくせんの準備じゅんびがおくれる場合ばあいは、第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいを小沢おざわ機動きどう部隊ぶたいの指揮しき下かに復帰ふっきさせる」予定よていを通知つうちした。同日どうじつ、南方なんぽう軍ぐん総そう司令しれい部ぶのレイテ島れいてとう陸りく兵へい増援ぞうえん計画けいかくが具体ぐたい化かする。ビサヤ地区ちく（中部ちゅうぶフィリピン諸島しょとう）から二に個こ大隊だいたい2000名めいをレイテ島れいてとうに輸送ゆそうするという案あんだった。レイテ島れいてとう東側ひがしがわ（連合れんごう軍ぐん上陸じょうりく作戦さくせん中ちゅう）に逆ぎゃく上陸じょうりくするか、レイテ島れいてとう西岸せいがんに揚陸ようりくするか、判断はんだんをせまられた三川みかわ中将ちゅうじょうは後者こうしゃに決定けっていし「陸りく兵へい輸送ゆそうは第だい16戦隊せんたいと輸送ゆそう艦かん2隻せき程度ていどで可能かのう」と報ほうじた。 三川みかわ中将ちゅうじょうの報告ほうこくに対たいし、連合れんごう艦隊かんたい司令しれい部ぶは第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいを三川みかわ中将ちゅうじょう（南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい）の指揮しき下かで作戦さくせんに従事じゅうじさせる旨むねを伝つたえた。

10月がつ20日はつか朝あさ、第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいは澎湖列島れっとう馬うま公こう市しに到着とうちゃくする。同日どうじつ正午しょうご、第だい16戦隊せんたいは第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたいと共ともにブルネイに入港にゅうこうした。 同日どうじつ夕刻ゆうこく、志摩しま中将ちゅうじょうは「第だい16戦隊せんたいを海上かいじょう機動きどう反撃はんげき作戦さくせんに従事じゅうじさせ、本隊ほんたい（第だい21戦隊せんたい、第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたい）は栗田くりた艦隊かんたいと共ともにレイテ湾わんに突入とつにゅうしたい」と意見いけん具申ぐしんする。ちょうどこの時とき、南方なんぽう軍ぐん総そう司令しれい部ぶは台湾たいわん所在しょざいの第だい68旅団りょだんをフィリピンに輸送ゆそうするよう命めいじられており、大本営だいほんえい陸軍りくぐん部ぶを通つうじて第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいに第だい68旅団りょだんの海上かいじょう輸送ゆそうを要請ようせいした。南方なんぽう軍ぐんの要請ようせいを知しった西尾にしお秀彦ひでひこ南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい参謀さんぼう長ちょうは大本営だいほんえい海軍かいぐん部ぶに対たいし「第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい（第だい21戦隊せんたいと第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたい）は掩護えんご決戦けっせん兵力へいりょくとして使用しようするのが妥当だとう」、南方なんぽう軍ぐんの要請ようせいは「却ッテ戦機せんきヲ失しつスル虞おそれ（おそれ）大だいニシテ適当てきとうナラズト思考しこうス」と意見いけん具申ぐしんした。 大本営だいほんえい海軍かいぐん部ぶと陸軍りくぐん部ぶが協議きょうぎした結果けっか、第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいの第だい68旅団りょだん輸送ゆそうは中止ちゅうしとなった。

10月21日にち、草くさ鹿しか龍之介りゅうのすけ連合れんごう艦隊かんたい参謀さんぼう長ちょうは第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいのレイテ湾わん突入とつにゅうを認みとめた。同日どうじつ1600、第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい（第だい21戦隊せんたい：那智なち〈志摩しま長官ちょうかん旗艦きかん〉・足柄あしがら・第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたい〈司令しれい官かん：木村きむら昌福まさとみ少将しょうしょう、旗艦きかん〈軽けい巡洋艦じゅんようかん阿武隈あぶくま〉・第だい7駆逐くちく隊たい〈曙あけぼの・潮しお〉・第だい18駆逐くちく隊たい〈不知火しらぬい・霞かすみ〉〉）は馬うま公こうを出撃しゅつげき、ルソン島るそんとう西岸せいがんを南下なんかした。 この間あいだ、第だい二に航空こうくう艦隊かんたいの基地きち物件ぶっけんを台湾たいわんからフィリピンに輸送ゆそうするため、第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたいの第だい21駆逐くちく隊たい（若葉わかば・初はつ霜しも）を分派ぶんぱ。このあと、第だい21駆逐くちく隊たいはスル海うみで空襲くうしゅうを受うけ若葉わかばを喪失そうしつした（10月がつ24日にち）。 三川みかわ中将ちゅうじょうが第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいのスリガオ海峡かいきょう経由けいゆレイテ湾わん突入とつにゅうを正式せいしきに命めいじたのは23日にち午前ごぜん10時じの南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい電でん令れい作さく第だい687号ごう「第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい本隊ほんたいハ指揮しき官かん所定しょていニ依よリ行動こうどう　X日にち黎明れいめい「スリガオ」海峡かいきょう突破とっぱ「レイテ」湾わんニ突入とつにゅう　第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたいノ作戦さくせんニ策応さくおう　同どう方面ほうめん所在しょざい敵てき攻略こうりゃく部隊ぶたいヲ撃滅げきめつスルト共どもニ間接かんせつニ警戒けいかい部隊ぶたいヲ援助えんじょスベシ」「警戒けいかい部隊ぶたい（第だい十じゅう六ろく戦隊せんたい）ハ電でん令れい作さく第だい六ろく八はち四よん号ごうニ依よリ行動こうどう陸軍りくぐん部隊ぶたいノ輸送ゆそう揚陸ようりくニ任にんズベシ」だったが、志摩しま中将ちゅうじょうはレイテ湾わん突入とつにゅうを確信かくしんしてすでに行動こうどう中ちゅうであった。以後いごの第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい（第だい21戦隊せんたい、第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたい）のスリガオ海峡かいきょうにおける戦闘せんとうは省略しょうりゃくする。

最終さいしゅう的てきにレイテ島れいてとうへの増援ぞうえん第だい1陣じんは、鈴すず二に号ごう作戦さくせんにともなう日本にっぽん陸軍りくぐん第だい35軍ぐんの兵力へいりょく（第だい30師団しだん、通称つうしょう号ごう「豹ひょう」の一部いちぶ）、すなわちミンダナオ島みんだなおとうカガヤンからの2個こ大隊だいたい・2,000名めい強きょうと決きまった。またビサヤ地区ちくの第だい102師団しだん（通称つうしょう号ごう「抜」）を、陸軍りくぐん舟艇しゅうてい部隊ぶたいと応援おうえんの海軍かいぐん舟艇しゅうてい隊たい（セブ島とうに配備はいびの小型こがた機帆船きはんせん3隻せき、第だい33特別とくべつ根拠地こんきょち隊たいの大だい発動はつどう艇てい4隻せき）で海上かいじょう輸送ゆそうすることになった。 22日にち午後ごご、南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん・三川みかわ軍一ぐんいち中将ちゅうじょうは第だい16戦隊せんたい司令しれい官かん左近さこん允まこと尚なお正せい中将ちゅうじょうに、16戦隊せんたい3隻せき（青葉あおば・鬼怒きぬ・浦うら波は）と輸送ゆそう艦かん5隻せき（第だい6号ごう、第だい9号ごう、第だい10号ごう、第だい101号ごう、第だい102号ごう）による陸りく兵へい輸送ゆそう任務にんむを命めいじた。NSB（南西なんせい方面ほうめん部隊ぶたい）電でん令れい作さく第だい684号ごうは以下いかのとおり。

一いち、 101号ごう、6号ごう輸送ゆそう艦かんは22日にち便宜べんぎマニラ発はつ、24日にち夕刻ゆうこくまでにカガヤンへ回航かいこうすべし。先任せんにん艦長かんちょう指揮しきの下したに回航かいこうするものとす。

二に、 9、10号ごう輸送ゆそう艦かんはセブにおける作業さぎょう終了しゅうりょう後ご先任せんにん艦長かんちょう指揮しき、24日にち夕刻ゆうこくまでにカガヤンに回航かいこうすべし。

三さん、 16戦隊せんたいは24日にち夕刻ゆうこくまでにカガヤンへ回航かいこうすべし（状況じょうきょうによりマニラ寄港きこう差支さしつかえなし。）

四よん、 前項ぜんこう各かく輸送ゆそう艦かんカガヤン着ぎ後ご、NSB警戒けいかい部隊ぶたい指揮しき官かん（十じゅう六ろく戦隊せんたい司令しれい官かん）の指揮しき下かに入はいるべし。

五ご、 警戒けいかい部隊ぶたい指揮しき官かんはNSB第だい211910番ばん電でんによる陸海りくかい軍ぐん協定きょうていに基もとづき歩兵ほへい二に大隊だいたい基幹きかん兵力へいりょくをカガヤンより輸送ゆそう、これをレイテ島れいてとうに揚陸ようりくせしむべし。

六ろく、 右みぎ作戦さくせん終了しゅうりょうせば各かく艦かんは警戒けいかい部隊ぶたい指揮しき官かん所定しょていによりマニラに回航かいこう、第だい二に次じ陸りく兵へい輸送ゆそうに備うべし。但ただし16戦隊せんたいは決戦けっせんの状況じょうきょうにより一いちYB（第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたい）の作戦さくせんに策応さくおうせしむることあるべし。

左近さこん允まこと中将ちゅうじょう直じき率りつの各かく艦かんは「第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい警戒けいかい部隊ぶたい」と呼よばれていたが、兵力へいりょくは分散ぶんさんしていた。 22日にち時点じてんで左近さこん允まこと指揮しき官かん直じき率りつの第だい16戦隊せんたい（青葉あおば・鬼怒きぬ・浦うら波は）は前日ぜんじつにブルネイを出発しゅっぱつし、23日にちマニラ着ぎの予定よていで南シナ海みなみしなかいを北上ほくじょう中ちゅうだった。第だい6号ごう・第だい101号ごう・第だい102号ごう輸送ゆそう艦かんは、マニラ湾まにらわん方面ほうめんにあった。第だい9号ごう・第だい10号ごう輸送ゆそう艦かんは甲かぶと標的ひょうてきをセブ島とうの第だい33特別とくべつ根拠地こんきょち隊たいに輸送ゆそうする任務にんむについていた。

10月23日にち4時じ45分ぶんのマニラ入港にゅうこう直前ちょくぜん、青葉あおばはアメリカ潜水せんすい艦かんブリームの魚雷ぎょらい攻撃こうげきを受うけて大破たいは、航行こうこう不能ふのうになる。第だい16戦隊せんたい司令しれい官かんは洋上ようじょうで旗艦きかんを青葉あおばから鬼怒きぬに変更へんこうした。鬼怒きぬは青葉あおばをマニラまで曳航えいこう、青葉あおばはそのまま同地どうちにとどまった。

10月24日にち午前ごぜん7時じ、第だい16戦隊せんたい（鬼怒きぬ・浦うら波は）はマニラを出撃しゅつげきしたが、昼ひる頃ごろまで断続だんぞく的てきに空襲くうしゅうを受うけ若干じゃっかんの被害ひがいをこうむった。同日どうじつ夜よる、日本にっぽん陸軍りくぐん第だい35軍ぐんの陸りく兵へい約やく500名めいが機帆船きはんせん3隻せきでセブ島とうからレイテ島れいてとうへむかったが、1隻せきが沈没ちんぼつした。

10月25日にち8時じ30分ふんから正午しょうご頃ごろまで、第だい16戦隊せんたい（鬼怒きぬ・浦うら波は）はミンダナオ島みんだなおとうとネグロス島とうの間あいだでB-24爆撃ばくげき機きの空襲くうしゅうを受うけた。鬼怒きぬは至近しきん弾だんで通信つうしん機きが故障こしょうしたが、航海こうかいには問題もんだいなかった。1600、2隻せき（鬼怒きぬ・浦うら波は）はミンダナオ島みんだなおとうカガヤンに到着とうちゃくした。 これより前まえ、第だい1輸送ゆそう隊たい（輸送ゆそう艦かん第だい6号ごう・9号ごう・10号ごう）と第だい2輸送ゆそう隊たい（輸送ゆそう艦かん第だい101号ごう・102号ごう）にもカガヤンからオルモックへの兵員へいいん輸送ゆそうが命めいぜられており（第だい1輸送ゆそう隊たいは各かく艦かん350名めい、第だい2輸送ゆそう隊たいは各かく艦かん400名めい）、こちらは既すでに陸りく兵へいを乗のせ25日にち朝あさにカガヤンを出港しゅっこう、オルモックに向むかっていた。 第だい16戦隊せんたい（鬼怒きぬ・浦うら波は）も直ただちにカガヤンで陸りく兵へい約やく700名めい（2隻せき合計ごうけい）と物資ぶっしを搭載とうさいし、17時じ30分ふんにオルモックへ向むけて出港しゅっこうした。

翌よく10月26日にち黎明れいめい、それぞれオルモックに到着とうちゃくし兵員へいいんを揚陸ようりくする。第だい16戦隊せんたい（鬼怒きぬ・浦うら波は）は5時じ0分ふんにオルモックを出発しゅっぱつし、マニラ（鬼怒きぬ航海こうかい長ちょうの回想かいそうではコロン）に向むかった。続つづいて出発しゅっぱつした第だい1輸送ゆそう隊たいもマニラに向むかい、残のこる第だい2輸送ゆそう隊たいは次つぎの輸送ゆそう任務にんむのためビサヤ地区ちくに向むかった。 マニラに向むけ帰投きとう中ちゅうの第だい16戦隊せんたいパナイ島とう北東ほくとう端はし附近ふきんを航行こうこう中ちゅうの同日どうじつ10時じ15分ふん頃ごろから、アメリカ軍ぐん空母くうぼ艦載かんさい機きの攻撃こうげきを受うける。これはトーマス・スプレイグ少将しょうしょうの第だい77.4任務にんむ部隊ぶたい（サマール沖おき海戦かいせんで栗田くりた艦隊かんたいに攻撃こうげきされた護衛ごえい空母くうぼ部隊ぶたい）で、海戦かいせんや神風かみかぜ特攻隊とっこうたいの攻撃こうげきで沈没ちんぼつ艦かんや損傷そんしょう艦かんを出だしたものの健在けんざい空母くうぼ約やく10隻せきを擁ようしており、まだ充分じゅうぶんな戦力せんりょくを保持ほじしていた。 浦うら波はは12時じ24分ふんに沈没ちんぼつ。鬼怒きぬも被ひ雷かみなりと被弾ひだんにより昼ひる頃ごろには航行こうこう不能ふのうとなり、17時じ30分ふんに沈没ちんぼつした。左近さこん允まこと中将ちゅうじょうは輸送ゆそう艦かん10号ごうに救助きゅうじょされたあと、27日にちにマニラで青葉あおばに将はた旗はたを掲かかげた。

この頃ころ、第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいは主おも隊たい（那智なち〈艦かん首くび大破たいは〉・足柄あしがら・不知火しらぬい・霞かすみ・潮しお〈損傷そんしょう〉）がコロン湾わんに、駆逐くちく艦かん3隻せき（初春しょしゅん・初はつ霜しも〈直撃ちょくげき弾だん1〉・曙あけぼの）がマニラにあった。浦うら波は沈没ちんぼつ・鬼怒きぬ航行こうこう不能ふのうとの速報そくほうにより、不知火しらぬひ（第だい18駆逐くちく隊たい司令しれい駆逐くちく艦かん、司令しれい：井上いのうえ良雄よしお大佐たいさ）が救援きゅうえんのため出動しゅつどうする。だが鬼怒きぬは既すでに沈没ちんぼつしており（上述じょうじゅつ）、不知火しらぬいは帰投きとう中ちゅうの27日にちにセミララ島とうで空襲くうしゅうを受うけ、駆逐くちく艦かん早霜はやじも座礁ざしょう地点ちてんのすぐそばで撃沈げきちんされた。不知火しらぬいと同様どうように、早霜はやじも座礁ざしょう地点ちてんの側がわで駆逐くちく艦かん藤波ふじなみも撃沈げきちんされた。 なお鬼怒きぬ航海こうかい長ちょうによれば、不知火しらぬいは26日にち午後ごご6時じ30分ふん頃ごろ、鬼怒きぬ生存せいぞん者しゃの目めの前まえで空襲くうしゅうを受うけ轟沈ごうちんしたと回想かいそうしている。救助きゅうじょされた鬼怒きぬ航海こうかい長ちょうは、松まつ型がた駆逐くちく艦かん竹ちくの臨時りんじ艦長かんちょうに任命にんめいされた。

第だい2次じ輸送ゆそう

• 第だい2輸送ゆそう隊たい：輸送ゆそう艦かん第だい101号ごう、同どう102号ごう

ビサヤ地区ちくに向むかっていた第だい2輸送ゆそう隊たいの輸送ゆそう艦かん第だい101号ごうにはボホール島とうタガビラランから、また102号ごうにはネグロス島とうバコロドからオルモックへの兵員へいいん輸送ゆそうがそれぞれ新あらたに命めいぜられた。これは鈴すず二に号ごう作戦さくせんにともなう、第だい35軍ぐんの第だい102師団しだん輸送ゆそう任務にんむである。第だい102号ごう輸送ゆそう艦かんはバコロドへ向むかう途中とちゅうで、敵てき機きの攻撃こうげきにより沈没ちんぼつした。101号ごうは陸りく兵へいを乗のせ10月がつ26日にち深夜しんやにタガビラランを出発しゅっぱつした。途中とちゅうの空襲くうしゅうで艦長かんちょう、航海こうかい長ちょうが重傷じゅうしょうを負おったがそのままオルモックに向むかう。28日にち早朝そうちょうに揚陸ようりくは成功せいこうしたが揚陸ようりく中ちゅうに敵てき機き約やく80機きの空襲くうしゅうを受うけ沈没ちんぼつした。

第だい2次じ作戦さくせん

多た号ごう作戦さくせん正式せいしき発動はつどう

第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいは10月27日にちに不知火しらぬいを喪失そうしつする一方いっぽう、輸送ゆそう作戦さくせんにそなえて兵力へいりょくの増強ぞうきょうを受うけた。第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたいより第だい二に水雷すいらい戦隊せんたい（島しま風ふう型がた駆逐くちく艦かん島しま風ふう、第だい2駆逐くちく隊たい〈秋霜しゅうそう・清きよし霜しも〉・第だい32駆逐くちく隊たい〈浜はま波なみ〉・第だい31駆逐くちく隊たい〈岸波きしなみ・長波ちょうは・沖おき波なみ・朝あさ霜しも〉）、第だい三さん艦隊かんたい（第だい一いち機動きどう艦隊かんたい）より第だい十じゅう戦隊せんたいの第だい41駆逐くちく隊たい（霜月しもつき・冬ふゆ月がつ）と第だい61駆逐くちく隊たい（若月わかつき・涼りょう月がつ）が加くわわった。だが10月がつ中ちゅうにマニラに到着とうちゃくしたのは沖おき波はのみ（同艦どうかんは重じゅう巡洋艦じゅんようかん熊野くまのを護衛ごえいしてマニラに先行せんこうしていた）。編入へんにゅうされた秋月しゅうげつ型がた駆逐くちく艦かんも涼りょう月がつと冬ふゆ月がつは修理しゅうり中ちゅうのため、稼働かどう艦かんは2隻せき（霜月しもつき・若月わかつき）だけだった。南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたいはレイテ島れいてとう増援ぞうえん作戦さくせんを多た号ごう作戦さくせんと命名めいめいし、この第だい二に次じ輸送ゆそうから本格ほんかく的てきな作戦さくせんがはじまった。

第だい3船団せんだん

• 輸送ゆそう艦かん第だい131号ごう

独立どくりつ速射そくしゃ砲ほう大隊だいたい1個いっこ師団しだん（約やく340名めい）と武器ぶき弾薬だんやく、糧食りょうしょくなどを積つみ10月がつ28日にちマニラを出港しゅっこう。途中とちゅう3か所しょで仮泊かはくし10月がつ30日にちにオルモック到着とうちゃく、揚陸ようりくは成功せいこうした。帰途きとにB-24の爆ばく撃げきを受うけて航行こうこう不能ふのうとなり、第だい二に次じ輸送ゆそう部隊ぶたいから救援きゅうえんにかけつけた第だい9号ごう輸送ゆそう艦かんと駆逐くちく艦かん2隻せき（初春しょしゅん・初はつ霜しも）に救援きゅうえんされる。曳航えいこうされてマニラに帰港きこうした。

第だい4船団せんだん

• 輸送ゆそう艦かん第だい10号ごう・同どう6号ごう・同どう9号ごう

第だい一いち梯団ていだんは第だい一いち号ごう型がた輸送ゆそう艦かん3隻せき（6号ごう、9号ごう、10号ごう）が第だい二に十じゅう六ろく師団しだんの先遣せんけん部隊ぶたい今堀いまぼり支隊したい（隊長たいちょう今堀いまぼり銕作陸軍りくぐん大佐たいさ、約やく1,400名めい）を輸送ゆそうする。 10月31日にち、マニラを出港しゅっこうした（第だい二に次じ輸送ゆそう部隊ぶたいと同日どうじつ）。味方あじかた直ただし掩機の支援しえんを受うけつつ進撃しんげきする。11月1日にち14時じ15分ふんにオルモックに到着とうちゃくした。1415には揚陸ようりくを終了しゅうりょうしマニラへ向むけ出発しゅっぱつする。輸送ゆそう艦かん第だい10号ごう、6号ごうは2日にち午後ごごに帰着きちゃくした。 輸送ゆそう任務にんむ終了しゅうりょう後ご、9号ごう輸送ゆそう艦かんはセブ島とうに立たち寄より第だい35軍ぐん司令しれい部ぶ（鈴木すずき陸軍りくぐん中将ちゅうじょう）と陸りく兵へい100名めいを載のせ、第だい2次じ輸送ゆそう部隊ぶたい（指揮しき官かん木村きむら昌福まさとみ少将しょうしょう）揚陸ようりく中ちゅうにオルモックに到着とうちゃくした。マニラまでは後述こうじゅつの第だい2次じ輸送ゆそう部隊ぶたいに組くみ込こまれ帰着きちゃくした。第だい35軍ぐん司令しれい部ぶのレイテ進出しんしゅつにより、第だい33特別とくべつ根拠地こんきょち隊たい司令しれい官かんの原田はらだ覚さとし海軍かいぐん少将しょうしょう（原田はらだは、太平洋戦争たいへいようせんそう開戦かいせん時じの甲かぶと標的ひょうてき母艦ぼかん千代田ちよだの艦長かんちょう）がセブ島とう陸海りくかい軍ぐんの指揮しきをとることになった。

玉船たまふね団だん（第だい2次じ輸送ゆそう部隊ぶたい）

• 第だい1船団せんだん：能登のと丸まる（7,191トン）・香椎かしい丸まる（8,407トン）・金華きんか丸まる（9,305トン）・高津たかつ丸まる（陸軍りくぐん特種とくしゅ船せん、5,350トン）
• 護衛ごえい部隊ぶたい：沖縄おきなわ・占うらない守もり・海防かいぼう艦かん11号ごう・同どう13号ごう
• 警戒けいかい部隊ぶたい：霞かすみ・沖おき波なみ・曙あけぼの・潮しお・初春しょしゅん・初はつ霜しも

日本にっぽん陸軍りくぐんのレイテ輸送ゆそう作戦さくせんはなかなか決きまらず、第だい一いち師団しだん・第だい二に十じゅう六ろく師団しだんのレイテ派遣はけんと第だい三さん十じゅう五ご軍ぐん司令しれい官かん指揮しき下か編入へんにゅう、第だい一いち師団しだんのレイテ突入とつにゅう先頭せんとう決定けっていとマニラ到着とうちゃくは、いずれも10月27日にちであった。 第だい1師団しだん（通称つうしょう号ごう「玉たま」）は輸送ゆそう船せん4隻せき（能登のと丸まる・香椎かしい丸まる・金華きんか丸まる・高津たかつ丸まる）に分乗ぶんじょうし、特設とくせつ護衛ごえい船団せんだん司令しれい官かん・松山まつやま光治こうじ少将しょうしょう指揮しき下かの海防かいぼう艦かん4隻せき（占うらない守もり・沖縄おきなわ・11号ごう・13号ごう）に護衛ごえいされて到着とうちゃくした。 第だい2次じ多た号ごう作戦さくせんは、この輸送ゆそう船せん4隻せき（第だい1師団しだん、通称つうしょう号ごう「玉たま」より玉船たまふね団だんと呼称こしょう）をマニラからオルモックに輸送ゆそうする作戦さくせんである。日本にっぽん陸軍りくぐん航空こうくう隊たい（第だい四よん航空こうくう軍ぐん、司令しれい官かん：富永とみなが恭次きょうじ陸軍りくぐん中将ちゅうじょう）は船団せんだん直ちょく掩を担当たんとう、海軍かいぐん航空こうくう隊たいは泊地はくち掩護えんご・魚雷ぎょらい艇てい掃蕩そうとう・間接かんせつ護衛ごえいを担当たんとうする。この第だい二に次じ輸送ゆそう作戦さくせんに、日本にっぽん軍ぐん（大本営だいほんえい陸軍りくぐん部ぶおよび海軍かいぐん部ぶ、現地げんち軍ぐん）は絶大ぜつだいの期待きたいを寄よせていた。

10月29日にちにマニラを出発しゅっぱつ予定よていだったが、アメリカ軍ぐん機動きどう部隊ぶたい艦載かんさい機きの攻撃こうげきを受うけて第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいの旗艦きかん那智なちが損傷そんしょうした。

10月30日にちの出発しゅっぱつ予定よていも、諸しょ事情じじょうにより延期えんきされた。第だい1師団しだんは海難かいなん事故じこにそなえて軍旗ぐんき3旗はたを上海しゃんはいにのこしており、第だい四よん航空こうくう軍ぐんの第だい七なな輸送ゆそう飛行ひこう隊たいで軍旗ぐんきをマニラへ空輸くうゆした（11月2日にち着ぎ）。連合れんごう軍ぐんはB-24重じゅう爆ばくで日本にっぽん軍ぐん拠点きょてんを空襲くうしゅうしつつ、レイテ島れいてとうの飛行場ひこうじょう整備せいびを進すすめていた。

10月31日にち、及川おいかわ古志こし郎ろう軍令ぐんれい部ぶ総長そうちょうは昭和しょうわ天皇てんのうに第だい一いち師団しだん輸送ゆそう計画けいかくについて奏上そうじょうする。連合れんごう軍ぐんの戦闘せんとう機き・魚雷ぎょらい艇てい・水上みずかみ艦艇かんてい出現しゅつげんの徴候ちょうこうに対たいし、第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいだけでなく甲かぶと標的ひょうてきや水上すいじょう機き部隊ぶたいも投入とうにゅうして作戦さくせんを支援しえんすると述のべ、「各種かくしゅノ手段しゅだんヲ尽つきシテ本ほん作戦さくせんノ成功せいこうヲ期きシテ居きょリマス」と結むすんでいる。 同日どうじつ8時じ0分ふん、玉船たまふね団だん（第だい二に次じ輸送ゆそう部隊ぶたい）はマニラを出港しゅっこう。 陸軍りくぐん徴用ちょうようの優ゆう速そく船せん4隻せき（能登のと丸まる・香椎かしい丸まる・金華きんか丸まる・高津たかつ丸まる）を、第だい一水雷戦隊司令官木村昌福少将指揮下の警戒けいかい部隊ぶたい6隻せき（旗艦きかん霞かすみ・第だい7駆逐くちく隊たい〈曙あけぼの・潮しお〉・第だい21駆逐くちく隊たい〈初春しょしゅん・初はつ霜しも〉・第だい31駆逐くちく隊たい〈沖波おきなみ〉）、第だい七なな護衛ごえい船団せんだん司令しれい官かん松山まつやま光治こうじ少将しょうしょう指揮しき下かの護衛ごえい部隊ぶたい4隻せき（沖縄おきなわ・占うらない守もり・第だい11号ごう・第だい13号ごう海防かいぼう艦かん）が護衛ごえいする。また第だい4船団せんだんの輸送ゆそう艦かん3隻せきも同時どうじにマニラを出撃しゅつげきした。

玉船たまふね団だんは日本にっぽん陸軍りくぐん機き（一式いっしき戦闘せんとう機き・三さん式しき戦闘せんとう機き・四よん式しき戦闘せんとう機き）に掩護えんごされて進撃しんげき。11月1日にち、空襲くうしゅうにあったが被害ひがい無なく、18時じ30分ふんオルモックに到着とうちゃく、19時じ0分ふんより揚陸ようりくを開始かいしした。富永とみながは、第だい4航空こうくう軍ぐん司令しれい拝命はいめい時じに陸軍りくぐん中央ちゅうおうから期待きたいされていたとおり、地上ちじょう軍ぐんとの連携れんけいを重視じゅうししており、輸送ゆそう船団せんだんの護衛ごえい任務にんむにできうる限かぎりの戦闘せんとう機きを投入とうにゅうしていた。富永とみながは船団せんだん護衛ごえいと同時どうじに、アメリカ軍機ぐんきによる空襲くうしゅうをけん制せいするため、一式いっしき戦闘せんとう機きと九きゅう九きゅう式しき双発そうはつ軽けい爆撃ばくげき機きに「タ弾だん」を装備そうびさせて、レイテ島れいてとう内ないのアメリカ軍ぐん飛行場ひこうじょうを爆撃ばくげきさせ、地上ちじょうで相当そうとう数すうの航空機こうくうきを撃破げきはした。船団せんだん護衛ごえいは戦闘せんとう機き隊たいが定期ていき的てきに交代こうたいしつつ、常つねに十じゅう数すう機きが船団せんだん上空じょうくうに張はり付ついているといった手厚てあついもので、途中とちゅうで｢B-24｣や｢P-38｣の来襲らいしゅうがあったが、護衛ごえい戦闘せんとう機きがその都度つど数すう機きを撃墜げきついして撃退げきたいしている。

同日どうじつの日没にちぼつは18時じ13分ふん、月齢げつれいは14.9。潮汐ちょうせきの干満かんまん差さが大おおきく、揚陸ようりくには約やく24時じ間あいだかかる見通みとおしだった。 翌よく11月2日にちは快晴かいせいで、朝あさから連合れんごう軍機ぐんきの連続れんぞく空襲くうしゅうを受うける。味方みかた戦闘せんとう機き（零れい式しき艦上かんじょう戦闘せんとう機き・四よん式しき戦闘せんとう機き）の護衛ごえいもあり被害ひがいは無なかった。正午しょうご頃ごろより来襲らいしゅう機き数すうが増ふえ、直衛なおえ戦闘せんとう機き隊たいはP-38に妨害ぼうがいされてB-24の爆ばく撃げきを阻止そしできなくなった。13時じ5分ふん、B-24型がた重じゅう爆ばく24機きなどの攻撃こうげきを受うけた。駆逐くちく艦かんが展開てんかいした煙幕えんまくからはずれた能登のと丸まるは、爆ばく撃げきを受うけ沈没ちんぼつした。ただし能登のと丸まるは馬うま32頭とうと若干じゃっかんの弾薬だんやくをのぞく90%の揚陸ようりくを終おわっており、他たの船ふねも最終さいしゅう的てきに金華きんか丸まる97.5%、香椎かしい丸まる・高津たかつ丸まるは100%の揚あげ荷に率りつをあげ、輸送ゆそう作戦さくせんはほぼ成功せいこうした。

帰路きろ、3隻せき（第だい9号ごう輸送ゆそう艦かん・初春しょしゅん・初はつ霜しも）は第だい131号ごう輸送ゆそう艦かん救援きゅうえんのため分離ぶんりした。11月4日にち、部隊ぶたいはマニラに帰投きとうした。日本にっぽん陸軍りくぐん機きの総そう出動しゅつどう機き数すう142、未み帰還きかん2、大破たいは1、撃墜げきつい8、撃破げきは2、飛行場ひこうじょう炎上えんじょう5ヶ所かしょ（レイテ島れいてとうタクロバン飛行場ひこうじょう襲撃しゅうげきを含ふくむ）と記録きろくされている。

第だい一いち師団しだんは11月4日にちにリモン峠とうげにおいてオルモックへ南下なんかするアメリカ陸軍りくぐんの第だい24師団しだんと遭遇そうぐうし、12月末まつまで激戦げきせんを繰くり広ひろげた。

南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい長官ちょうかんの交代こうたいと輸送ゆそう計画けいかく

玉船たまふね団だん（第だい二に次じ輸送ゆそう船団せんだん）が作戦さくせん中ちゅうの10月がつ30日にち、及川おいかわ軍令ぐんれい部ぶ総長そうちょうは豊田とよだ連合れんごう艦隊かんたい長官ちょうかんに対たいし「一いち　聯合れんごう艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかんハ第だい一いち輸送ゆそう戦隊せんたいヲシテ第だい六ろく十じゅう八はち旅団りょだんノ比島ひじま方面ほうめん作戦さくせん輸送ゆそうヲ実施じっしスベシ」「二に　基もと隆たかしニ於テ陸軍りくぐんSS艇てい五ご隻せきヲ第だい一いち輸送ゆそう戦隊せんたい司令しれい官かんノ指揮しき下かニ入にゅうル」という指示しじを与あたえた（大海おおうみ指ゆび第だい483号ごう）。 11月1日にち、南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかんは三川みかわ軍一ぐんいち中将ちゅうじょうから大川内おおかわち傳でん七なな中将ちゅうじょうに交代こうたい、大川内おおかわち中将ちゅうじょうは第だい十じゅう三さん航空こうくう艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかんと第だい三南遣艦隊司令長官を兼務けんむした。 同日どうじつ、軍令ぐんれい部ぶ次長じちょう伊藤いとう整一せいいち中将ちゅうじょう、軍令ぐんれい部ぶ第だい一いち課長かちょう山本やまもと親雄ちかお少将しょうしょう、航空こうくう担当たんとう源田げんた実み大佐たいさはクラーク基地きちに到着とうちゃくし、現地げんち部隊ぶたいと打うち合あわせをおこなった。 11月4日にち、南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたいは第だい三さん次じから第だい七なな次じまでの輸送ゆそう作戦さくせん実施じっし計画けいかくを発令はつれいした（NSB電でん令れい作さく第だい31号ごう）（部隊ぶたい・指揮しき官かん・兵力へいりょくの順じゅんに表記ひょうき）。第だい三さん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいと第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいは11月6日にちのマニラ出撃しゅつげきを予定よていしていた。

第だい三さん次じ輸送ゆそう部隊ぶたい

第だい二に警戒けいかい部隊ぶたい　第だい二水雷戦隊司令官早川幹夫少将　駆逐くちく艦かん4隻せき

第だい二に護衛ごえい部隊ぶたい　先任せんにん指揮しき官かん　掃海そうかい艇てい1隻せき、駆潜艇くせんてい1隻せきほか

第だい二に船団せんだん　先任せんにん指揮しき官かん　低速ていそく輸送ゆそう船せん4隻せき・泉いずみ兵団へいだん（第だい26師団しだんの一部いちぶ、兵站へいたん部隊ぶたい）

第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたい

第だい一いち警戒けいかい部隊ぶたい　第だい一水雷戦隊司令官木村昌福少将　駆逐くちく艦かん6隻せき

第だい一いち護衛ごえい部隊ぶたい　第だい七なな護衛ごえい船団せんだん司令しれい官かん　海防かいぼう艦かん4隻せき

第だい六ろく船団せんだん　先任せんにん指揮しき官かん　高速こうそく輸送ゆそう船せん3隻せき（玉船たまふね団だんを輸送ゆそうした3隻せき）・泉いずみ兵団へいだん

第だい五ご次じ輸送ゆそう部隊ぶたい

第だい三さん護衛ごえい部隊ぶたい　第だい二に十じゅう一いち駆逐くちく隊たい司令しれい　駆逐くちく艦かん2隻せき

第だい七なな船団せんだん　先任せんにん輸送ゆそう艦長かんちょう　第だい一いち輸送ゆそう戦隊せんたい所属しょぞく輸送ゆそう艦かん6隻せき（11月5日にちマニラ着ぎ予定よてい）、第だい68旅団りょだん

第だい六ろく次じ輸送ゆそう部隊ぶたい

第だい四よん護衛ごえい部隊ぶたい　第だい一いち輸送ゆそう戦隊せんたい司令しれい官かん　駆逐くちく艦かん3隻せき

第だい八はち船団せんだん　第だい一いち輸送ゆそう戦隊せんたい司令しれい官かん所定しょてい　陸軍りくぐんSS艇てい・輸送ゆそう艦かん2隻せき（11月7日にちマニラ着ぎ予定よてい）、第だい68旅団りょだん

第だい七なな次じ輸送ゆそう部隊ぶたい

第だい九きゅう船団せんだん　陸軍りくぐん側がわ所定しょてい　陸軍りくぐんSS艇てい・輸送ゆそう艦かん2隻せき、第だい68旅団りょだん

11月5日にちのマニラ空襲くうしゅう

11月5日にち午前ごぜん1時半じはん、損傷そんしょう中ちゅうの重じゅう巡洋艦じゅんようかん2隻せき（青葉あおば・熊野くまの）はマタ31船団せんだんを護衛ごえいしてマニラを出港しゅっこうした（6日にちに熊野くまのは潜水せんすい艦かんの攻撃こうげきにより被ひ雷かみなり・脱落だつらくしルソン島とうサンバレス州しゅうサンタクルーズへ寄港きこう）。日ひの出で後ご、アメリカ軍ぐん第だい38任務にんむ部隊ぶたい（機動きどう部隊ぶたい）艦載かんさい機きのべ600機きがルソン島るそんとうに襲来しゅうらい、マニラとクラーク地区ちくを空襲くうしゅうする。 マニラ湾まにらわんでは、第だい五ご艦隊かんたい旗艦きかん（第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい旗艦きかん）那智なちが沈没ちんぼつする。多た号ごう作戦さくせん従事じゅうじ中ちゅうの駆逐くちく艦かん曙あけぼの・沖おき波はが損傷そんしょうした。 志摩しま清英きよひで中将ちゅうじょうなど第だい五ご艦隊かんたい司令しれい部ぶは、前日ぜんじつよりマニラ陸上りくじょうの南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい司令しれい部ぶを訪問ほうもんしており（偶然ぐうぜん、伊藤いとう整一せいいち軍令ぐんれい部ぶ次長じちょうと遭遇そうぐう）、無事ぶじだった。クラーク地区ちくでは海軍かいぐん戦闘せんとう機きが邀撃ようげきするが、味方みかた機きの損害そんがいは未み帰還きかん機き32を含ふくめ80機きに達たっした。陸軍りくぐん航空こうくう隊たいは未み帰還きかん3・炎上えんじょう13・大中おおなか破やぶ13で、地上ちじょう待機たいき中ちゅうの輸送ゆそう機きや爆ばく撃げき機きの損害そんがいも多おおかった。

11月6日にち、アメリカ軍ぐん機動きどう部隊ぶたい艦載かんさい機きは再ふたたびルソン島とうを襲撃しゅうげきしたが、マニラ方面ほうめんの艦船かんせんの被害ひがいはほとんどなかった。一連いちれんの空戦くうせん・空襲くうしゅうにより航空こうくう隊たいの損害そんがいは空中くうちゅう戦せん・地上ちじょう待機たいき中ちゅう被害ひがいとも甚大じんだいで、フィリピン各地かくちの日本にっぽん陸軍りくぐん航空こうくう隊たいにも限界げんかいがみえはじめた。 第だい三さん次じ輸送ゆそう部隊ぶたい・第だい四よん時じ輸送ゆそう部隊ぶたいは同日どうじつマニラを出撃しゅつげき予定よていだったが、出撃しゅつげきできなかった。一連いちれんの空襲くうしゅうにより、輸送ゆそう計画けいかくに遅延ちえんが生しょうじた。

日本にっぽん側がわの索敵さくてき機きは三さん群ぐんにわかれたアメリカ軍ぐん機動きどう部隊ぶたいを発見はっけん、南西なんせい方面ほうめん部隊ぶたい（指揮しき官かん：大川内おおかわち傳でん七なな南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん）は「敵てき機動きどう部隊ぶたいは空母くうぼ約やく15隻せき」と報ほうじ（NSB戦闘せんとう概がい報ほう、機密きみつ第だい06314番ばん電でん）、続つづいて機密きみつ第だい06743番ばん電でんで以下いかの状況じょうきょう判断はんだんを報告ほうこくした。

（一いち）「レイテ」島しま正面しょうめん陸戦りくせんノ戦況せんきょう決けつシテ楽観らっかんヲ許もとサズ

（二に）航空こうくう作戦さくせん有利ゆうりニ展開てんかいセザレバ　爾後じごノ我わがガ兵力へいりょく注入ちゅうにゅう作戦さくせんハ成立せいりつシ難なんシ

（三さん）「レイテ」方面ほうめんニ対たいスル我わがガ地上ちじょう軍ぐんノ圧力あつりょく緩和かんわセバ　敵てきハ陸軍りくぐん兵力へいりょくノ余裕よゆうヲ以テ比較的ひかくてき早期そうきニ「ルソン」作戦さくせん実施じっしノ算さんアリ

（四よん＿航空こうくう兵力へいりょくノ急速きゅうそく増強ぞうきょうニ依よリ制せい空そら制海権せいかいけんノ優勢ゆうせい取得しゅとくニ努つとむムルト共どもニ　有力ゆうりょくナル地上ちじょう兵力へいりょくヲ「レイテ」島しまニ補給ほきゅうシ　天佑てんゆうヲ確信かくしん　全力ぜんりょくヲ集中しゅうちゅうシテ差さ当とうリ重点じゅうてんヲ「レイテ」島しま決戦けっせんニ指向しこう　本ほん作戦さくせんノ完遂かんすいヲ期きスルヲ要ようス

軍令ぐんれい部ぶ出張しゅっちょう班はん（伊藤いとう中将ちゅうじょう、山本やまもと少将しょうしょう、源田げんた大佐たいさ）は11月7日にちにマニラを出発しゅっぱつする。天候てんこう不良ふりょうのため台湾たいわんと九州きゅうしゅうを経由けいゆし、9日にちに帰京ききょう、翌よく10日とおかに軍令ぐんれい部ぶ作戦さくせん室しつで現地げんちの状況じょうきょうを説明せつめいした。 一方いっぽう、現地げんちでは第だい14方面ほうめん軍ぐん（司令しれい官かん：山下やました奉文ともゆき陸軍りくぐん大将たいしょう）が南方なんぽう軍ぐんに「第だい二に十じゅう六ろく師団しだんのレイテ派遣はけん中止ちゅうし」を進言しんげんしていた。南方なんぽう軍ぐんは進言しんげんを却下きゃっかしたが、7日にちの輸送ゆそう部隊ぶたいマニラ出撃しゅつげきは延期えんきされた。 同どう7日にち、連合れんごう艦隊かんたい司令しれい部ぶ（司令しれい長官ちょうかん：豊田とよだ副ふく武ぶ大将たいしょう、参謀さんぼう長ちょう：草くさ鹿しか龍之介りゅうのすけ中将ちゅうじょう、参謀さんぼう副長ふくちょう：高田たかだ利とし種しゅ少将しょうしょう、首席しゅせき参謀さんぼう：神かみ重徳しげのり大佐たいさ）は「11日にちを期きし、航空こうくう総そう攻撃こうげきのもと、第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたいのレイテ突入とつにゅうとともに第だい三さん次じ、第だい四よん次じ増援ぞうえんを強行きょうこうするの案あん」を通知つうちした。現地げんち陸海りくかい軍ぐん部隊ぶたいは、第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいを8日にちに、第だい三さん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいは第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいのマニラ帰着きちゃく後ごに出発しゅっぱつさせることに決けっする（NSB機密きみつ第だい08310番ばん電でん）。計画けいかくでは軍需ぐんじゅ品ひんの輸送ゆそうを担当たんとうするはずだった第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいは、第だい26師団しだん主力しゅりょくの輸送ゆそうをになうことになった。 同日どうじつ、及川おいかわ軍令ぐんれい部ぶ総長そうちょうは昭和しょうわ天皇てんのうへの戦況せんきょう奏上そうじょうの中なかで「第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたい司令しれい官かんノ指揮しきスル駆逐くちく艦かん六ろく隻せき、海防かいぼう艦かん四よん隻せき及輸送ゆそう船せん三さん隻せきヨリ成なりリマスル多た号ごう作戦さくせん第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいハ　第だい二に六ろく師団しだん主力しゅりょくヲ乗艦じょうかんセシメ本日ほんじつ『マニラ』出港しゅっこう　明日あした午後ごご『オルモック』ニ突入とつにゅう致ス予定よていデ御座ぎょざイマス」と説明せつめいした。

第だい4次じ作戦さくせん

B-25の空襲くうしゅうを受うける海防かいぼう艦かん第だい11号ごう

第だい3次じ作戦さくせんより先さきに実行じっこうされた。そのため本ほん項目こうもくも先さきに記しるす。

• 第だい6船団せんだん：香椎かしい丸まる・金華きんか丸まる・高津たかつ丸まる
• 第だい1護衛ごえい部隊ぶたい：沖縄おきなわ・占うらない守もり・海防かいぼう艦かん第だい11号ごう・13号ごう
• 第だい1警戒けいかい部隊ぶたい：霞かすみ・秋霜しゅうそう・潮しお・朝あさ霜しも・長波ちょうは・若月わかつき

第だい26師団しだん主力しゅりょくを輸送ゆそう船せん3隻せき（香椎かしい丸まる・金華きんか丸まる・高津たかつ丸まる）で輸送ゆそう、この3隻せきと海防かいぼう艦かん4隻せきは第だい二に次じ輸送ゆそう部隊ぶたいに参加さんかした艦艇かんていである。 第だい一水雷戦隊司令官木村昌福少将（旗艦きかん：霞かすみ）の指揮しき下か、駆逐くちく艦かん6隻せき（朝あさ潮しお型がた〈霞かすみ〉・吹雪ふぶき型がた〈潮しお〉・夕ゆう雲くも型がた〈秋霜しゅうそう・朝あさ霜しも・長波ちょうは〉・秋月しゅうげつ型がた〈若月わかつき〉）と海防かいぼう艦かん4隻せき（沖縄おきなわ・占うらない守もり・第だい11号ごう・13号ごう）に護衛ごえいされた第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいは、11月8日にち午前ごぜんマニラを出港しゅっこうする。第だい一いち師団しだんの残余ざんよを乗のせた第だい四よん船団せんだんは夕刻ゆうこくマニラを出撃しゅつげきした。パラオ方面ほうめんに発生はっせいした熱帯ねったい低てい気圧きあつがフィリピンに接近せっきんしており、天候てんこうは悪化あっかしつつあった。

同日どうじつ、豊田とよだ連合れんごう艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかんは第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたい指揮しき官かん・栗田くりた健男たけお第だい二に艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん（旗艦きかん：大和やまと）に「第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたいノ大部おおべヲ率りつヰ第だい三さん次じ輸送ゆそう船団せんだんノ泊地はくち入にゅう泊はくニ策応さくおう『スルー』海うみ又またハ『ミンダナオ』海うみ方面ほうめんニ進出しんしゅつ　輸送ゆそう船団せんだんノ間接かんせつ護衛ごえいニ任にんズ」（GF電でん令れい作さく第だい08号ごう、8日にち11時じ21分ふん発電はつでん）と下した令れいした。栗田くりた艦隊かんたいは2日にち前まえに入港にゅうこうした空母くうぼ隼はやぶさ鷹たかから弾薬だんやくの補給ほきゅうを受うけていた。第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたいは8日にち未明みめいにブルネイを出撃しゅつげきし、翌日よくじつにはスルー海うみに進出しんしゅつした。レイテ沖おき海戦かいせんでの損害そんがいが大おおきかった重じゅう巡洋艦じゅんようかん利根とねは隼はやぶさ鷹たか隊たい（隼はやぶさ鷹たか・木曾きそ・夕ゆう月がつ・卯月うづき）に同行どうこうし、マニラに向むかった。

この日ひに第だい4航空こうくう軍ぐんが護衛ごえい機きとして準備じゅんびできたのは、飛行ひこう第だい200戦隊せんたい（通称つうしょう｢皇すめらぎ戦隊せんたい」）の四よん式しき戦闘せんとう機き「疾風しっぷう」わずか8機きであり、しかも途中とちゅうからは、僚機の7機きとはぐれてしまった吉良きら勝秋かつあき曹長そうちょう機き1機きとなってしまった。吉良きら機きは途中とちゅうで酸素さんそボンベが破裂はれつしてしまったため高度こうどを下さげるため降下こうかしていると、そこで船団せんだんを攻撃こうげきに来きた｢P-38｣10数すう機きと鉢合はちあわせになり、吉良きら機きは単機たんきで10数すう機きの｢P-38｣から船団せんだんを護まもることとなった。しかし、経験けいけん豊富ほうふな吉良きらは、｢P-38｣が高空こうくうでは優ゆう速そくで手強てごわいが、低空ていくうでは旋回せんかい性能せいのうが劣おとるために戦たたかいやすいことを熟知じゅくちしており、低空ていくうの空戦くうせんに持もち込こんで2機きを返かえり討うちにして、見事みごとに船団せんだんを護まもりきり、第だい26師団しだんの兵員へいいんは無事ぶじにレイテ島れいてとうに上陸じょうりくできた。司令しれい官かんの富永とみなが恭次きょうじ中将ちゅうじょうは輸送ゆそう船団せんだんに乗船じょうせんしていた部隊ぶたいからこの報告ほうこくを聞きくと、とても喜よろこんで、すぐに吉良きらを司令しれい部ぶに呼よんで自みずから面談めんだんし｢船団せんだん前まえで、敵てき10数すう機きと単機たんきよく戦たたかい、2機きを撃墜げきつい、友軍ゆうぐんの士気しきを高たかめること大だいであった。吉よし良りょう、よくやった。只今ただいまより准尉じゅんいに進級しんきゅうさせる｣と熱あつく語かたりかけ、すぐさま青あお鉛筆えんぴつで｢赫々かくかくたる武勲ぶくんを賞しょうし、特とくに准尉じゅんいに進級しんきゅうせしむ｣という階級かいきゅうの特進とくしん状じょうを書かいて吉良きらを感激かんげきさせている

11月9日にち、第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいはオルモック湾口わんこうで空襲くうしゅうをうけた。被害ひがいは輸送ゆそう船せん2隻せき小破しょうはで、18時じ15分ふんにオルモック着ぎ、揚陸ようりくを開始かいしした。30分ふん後ごには第だい四よん船団せんだんの輸送ゆそう艦かん3隻せきもオルモックに到着とうちゃくした。ところが、オルモックはすでにアメリカ軍ぐん重砲じゅうほう隊たいの射程しゃていにはいっており、船団せんだんは沖合おきあいに停泊ていはくせざるを得えなかった（揚陸ようりく地点ちてんをイビルに変更へんこう）。さらに事前じぜんに用意よういしていた50隻せき以上いじょうの大発だいはつは台風たいふうの高波たかなみで多おおくが砂すなに埋うずもれ、揚陸ようりくには5隻せきしか使用しようできなかった。高津たかつ丸まる搭載とうさいの大発だいはつも空襲くうしゅうによる損傷そんしょうで使つかえなくなっており、揚陸ようりく作業さぎょうは難航なんこうする。そこで、吃水きっすいの浅あさい海防かいぼう艦かんを大だい発動はつどう艇ていのかわりに使用しようした。また揚陸ようりく作戦さくせんにはセブ島とうの大だい発動はつどう艇てい部隊ぶたいが協力きょうりょくしていたが、第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたい揚陸ようりく日びには抜兵団だん（第だい102師団しだん）海上かいじょう機動きどう任務にんむのためセブ島とうに帰かえって分散ぶんさんしており、一部いちぶしか協力きょうりょくできなかった。

翌よく11月10日にち午前ごぜん10時じ30分ふん頃ごろ、第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいは揚陸ようりく作業さぎょうを打うち切きり、マニラに向むけ出港しゅっこうした。人員じんいんは全すべて揚陸ようりくしたが、兵器へいき弾薬だんやくなどの揚陸ようりくは若干じゃっかんにとどまった。第だい26師団しだんは装備そうびの欠乏けつぼうと糧食りょうしょくの不足ふそくに悩なやまされ、最終さいしゅう的てきにレイテ島れいてとう上陸じょうりく部隊ぶたいは壊滅かいめつしたとみられる。

第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいは出港しゅっこう直後ちょくご、オルモック湾わんでB-25爆撃ばくげき機き35機きの空襲くうしゅうを受うけ、高津たかつ丸まると香椎かしい丸まるが沈没ちんぼつ、海防かいぼう艦かん11号ごうが航行こうこう不能ふのうのため味方みかたにより処分しょぶんされる。また金華きんか丸まると駆逐くちく艦かん秋霜しゅうそうが損傷そんしょうした。 帰路きろで第だい三さん次じ輸送ゆそう部隊ぶたい（早川はやかわ少将しょうしょう）とすれ違ちがうときに、四よん次じ部隊ぶたいの駆逐くちく艦かん3隻せき（若月わかつき・長波ちょうは・朝あさ霜しも）と三さん次じ部隊ぶたいの駆逐くちく艦かん2隻せき（初春しょしゅん・竹たけ）を入いれ替かえた。第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいは11日にち夜よるにマニラへ戻もどった。

陸軍りくぐん航空こうくう隊たいはのべ42機きが出動しゅつどうし、13機きを喪失そうしつ。第だい二に飛行ひこう師団しだんの出動しゅつどう可能かのう機きは戦闘せんとう機き19（四よん式しき戦闘せんとう機き12・三さん式しき戦闘せんとう機き4・複ふく戦せん1・一式いっしき戦闘せんとう機き2）・襲撃しゅうげき機き5・双そう軽けい3・司つかさ偵6に減少げんしょう。夕刻ゆうこく、飛行ひこう第だい54戦隊せんたいの増援ぞうえん11機きが到着とうちゃくした。

第だい4船団せんだん

• 輸送ゆそう艦かん第だい10号ごう、同どう6号ごう、同どう9号ごう

第だい1師団しだんの残ざん員いん約やく1,000名めい（第だい49連隊れんたい・第だい57連隊れんたい）を載のせて11月8日にち夕刻ゆうこくにマニラを出港しゅっこう。9日にち18時じ30分ふんにオルモックへ到着とうちゃくした（第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいのオルモック着ぎから約やく30分ふん後ご）。

第だい3次じ作戦さくせん

空襲くうしゅうを受うける駆逐くちく艦かん「島しま風ふう」。魚雷ぎょらい発射はっしゃ管かんが横よこを向むいており、投棄とうきされた後のちであることが判わかる。また既すでに速力そくりょくも低下ていかしている。

炎上えんじょうし沈没ちんぼつ寸前すんぜんの駆逐くちく艦かん「若月わかつき」。

• 第だい2船団せんだん：せれべす丸まる・泰山たいざん丸まる・三笠みかさ丸まる・西にし豊丸とよまる・天てん照あきら丸まる
• 護衛ごえい部隊ぶたい：掃海そうかい艇てい第だい30号ごう・駆潜艇くせんてい46号ごう
• 警戒けいかい部隊ぶたい：島しま風ふう・浜はま波なみ・初春しょしゅん・竹たけ

糧食りょうしょく・弾薬だんやくなど6,000トン、兵站へいたん部隊ぶたいおよび第だい26師団しだん（泉いずみ兵団へいだん）の一部いちぶを輸送ゆそうする。計画けいかくでは第だい4次じ輸送ゆそう部隊ぶたいがマニラ帰港きこう後ごに出港しゅっこうする予定よていだったが、フィリピン周辺しゅうへんの天気てんき予報よほうは悪天候あくてんこうが続つづき「連合れんごう軍ぐん側がわは航空機こうくうきの攻撃こうげきが出来できない」と予想よそうされた。南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい司令しれい部ぶは「八日菲島中部東方海面ニ出現しゅつげんセル低てい気圧きあつノ影響えいきょう及目下か敵てき機動きどう部隊ぶたい菲島ヨリ離隔りかくセル算さんアルコト並なみニ第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたい出動しゅつどうノ好機こうきヲ利用りようスルタメ」と報告ほうこくしている。大本営だいほんえい海軍かいぐん部ぶも「通信つうしん情報じょうほうニ依よレバ五ご、六ろく日にち菲島ニ来襲らいしゅうセシ敵てき機動きどう部隊ぶたいハ『パラオ』東方とうほう海面かいめんニテ補給ほきゅう中ちゅうナルモノノ如ク」と判断はんだんした。

以上いじょうの判断はんだんにより南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい司令しれい部ぶは、悪天候あくてんこうが続つづくうちに輸送ゆそうを終了しゅうりょうさせようと、第だい三さん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいの11月9日にち出撃しゅつげきを決定けっていした。低速ていそく船せん5隻せきの内訳うちわけは、せれべす丸まる（5,863トン）・泰山たいざん丸まる（3,587トン）・三笠みかさ丸まる（3,143トン）・西にし豊丸とよまる（4,639トン）・天てん照あきら丸まる（4,982トン）である。 午前ごぜん3時じに出港しゅっこう後ごまもなく、せれべす丸まるがポンドク半島はんとう（ルソン島るそんとう南部なんぶ）で座礁ざしょうし、駆潜艇くせんてい46号ごうが現場げんばに残のこった。 しかし予報よほうは外はずれ、天候てんこうは回復かいふくしつつあった。 10日とおか、本隊ほんたいは途中とちゅうで第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいとすれ違ちがい（上述じょうじゅつ）、警戒けいかい部隊ぶたいの艦かんを一部いちぶ交換こうかんする形かたちとなった。初春しょしゅんと竹たけは第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいに編入へんにゅうされマニラに引ひき返かえし、駆逐くちく艦かん3隻せき（長波ちょうは・朝あさ霜しも・若月わかつき）が第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいから第だい三さん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいに編入へんにゅうされた。その結果けっか、オルモック突入とつにゅう時じの船団せんだんは以下いかの通とおりとなった。

• 第だい2船団せんだん：泰山たいざん丸まる・三笠みかさ丸まる・西にし豊丸とよまる・天てん昭あきら丸まる
• 護衛ごえい部隊ぶたい：掃海そうかい艇てい第だい30号ごう
• 警戒けいかい部隊ぶたい：島しま風ふう・浜はま波なみ・長波ちょうは・朝あさ霜しも・若月わかつき

11月11日にち日付ひづけ変更へんこう後ご、アメリカ軍ぐん魚雷ぎょらい艇ていや空襲くうしゅうを受うけたが被害ひがいはなかった。同日どうじつ朝あさ、予定よていどおりオルモック湾口わんこうまでたどり着ついた。 12時じ0分ふんにオルモック到着とうちゃく予定よていだったが、オルモック湾わん手前てまえで8時じ30分ふんから11時じ40分ふんまでに艦上かんじょう機き延のべ347機きの攻撃こうげきを受うけた。これは「日本にっぽん軍ぐん戦艦せんかん部隊ぶたいがレイテに向むけ進撃しんげき中ちゅう」との情報じょうほうにより、燃料ねんりょう補給ほきゅうを中断ちゅうだんしてひきかえしてきた第だい38任務にんむ部隊ぶたいの艦載かんさい機きであった。この戦艦せんかん部隊ぶたいはモロタイ基地きち機きを牽制けんせいするために出動しゅつどう中ちゅうの第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたいだったが、アメリカ軍機ぐんきは戦艦せんかん部隊ぶたいを発見はっけんできず、オルモックに向むけ航行こうこう中ちゅうの輸送ゆそう船団せんだん（第だい三さん次じ輸送ゆそう部隊ぶたい）を発見はっけんし、攻撃こうげきしたのである。こうして見みると、第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたいの牽制けんせい出動しゅつどうが却かえって仇かたきとなり、第だい三さん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいの全滅ぜんめつを招まねいたことになるが、当時とうじ、中央ちゅうおうでも現地げんち部隊ぶたいでもこうした実情じつじょうを知しるはずもなかった。

駆逐くちく艦かんは煙幕えんまくを張はったが、輸送ゆそう船せんは全ぜん船ふね沈没ちんぼつした。続つづいて護衛ごえい・警戒けいかい部隊ぶたいも攻撃こうげきされた。朝あさ霜しもを除のぞく駆逐くちく艦かん4隻せき（島しま風ふう・若月わかつき・長波ちょうは・浜はま波なみ）と掃海そうかい艇てい第だい30号ごうなど、全すべての艦かんが沈没ちんぼつした。島しま風ふう沈没ちんぼつにより、座乗ざじょうしていた第だい二水雷戦隊司令官早川幹夫少将も戦死せんしした。 直衛なおえの陸軍りくぐん航空こうくう隊たい約やく20機きは、飛行ひこう第だい54戦せん隊長たいちょう黒川くろかわ直ただし輔少佐さをふくめ8機きを喪失そうしつした。

レイテ決戦けっせん方針ほうしんの動揺どうよう

11月10日にちの時点じてんで、多た号ごう作戦さくせん第だい三さん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいと第だい四よん次じ輸送ゆそう部隊ぶたいは順調じゅんちょうに輸送ゆそう作戦さくせんを続行ぞっこうしているようにみえた。大本営だいほんえいはあくまでレイテ決戦けっせんと精鋭せいえい戦力せんりょくの増強ぞうきょう（輸送ゆそう）を基本きほん方針ほうしんとしており、南方なんぽう軍ぐんに対たいし台湾たいわん配備はいびの第だい十じゅう師団しだんのフィリピン投入とうにゅうを通知つうち、くわえて「今こんヤ決戦けっせんノ機きヲ目前もくぜんニ控ひかえユルノ秋あき　決戦けっせん兵団へいだんカ逐次ちくじ順調じゅんちょう裡うらニ主ぬし決戦けっせん場じょうニ到着とうちゃくシツツアルコトハ同慶どうけいニ堪こらえヘサルト共どもニ　大本営だいほんえいハ更さらニ現地げんち軍ぐんノ有力ゆうりょく兵団へいだん（部隊ぶたい）ノ果敢かかん機きニ投とうスル投入とうにゅう断行だんこうヲ期待きたいシ其ノ必成ひっせいヲ記念きねんシアリ」と要望ようぼうした。 この前後ぜんご、マニラで南方なんぽう軍ぐん（寺内てらうち元帥げんすい）と第だい14方面ほうめん軍ぐん（山下やました大将たいしょう）はレイテ決戦けっせんについて合同ごうどう研究けんきゅうを実施じっしする。 翌よく11月がつ11日にち、寺内てらうち総そう司令しれい官かんはレイテ決戦けっせん続行ぞっこうを決断けつだんし、山下やました第だい14方面ほうめん軍ぐん司令しれい官かんも了承りょうしょうした。 南方なんぽう軍ぐんと南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたいでは、今後こんごのレイテ決戦けっせん輸送ゆそう計画けいかくを立案りつあんする。歩兵ほへい第だい5連隊れんたい1コ大隊だいたいは15日にち（マニラ）発はつ、第だい26師団しだん軍ぐん需品じゅひんは18日にち発はつ、歩兵ほへい第だい5連隊れんたい主力しゅりょくは20日はつか発はつ、第だい68旅団りょだん主力しゅりょくは20日はつか発はつ、独立どくりつ混成こんせい58旅団りょだん主力しゅりょくは20日はつか発はつ、第だい23師団しだん主力しゅりょくは27日にち発はつという内容ないようである。 直後ちょくご、第だい三さん次じ輸送ゆそう部隊ぶたい全滅ぜんめつの急報きゅうほうが入はいり「望もちミヲ嘱しょくシタル第だい二に十じゅう六ろく師団しだんハ三さん分ぶんノ一いち強きょう　軍需ぐんじゅ品ひんノ突入とつにゅう輸送ゆそうハ意外いがいナル蹉跌さてつニ依よリテ成果せいか予期よきノ如クナラザル報ほうニ接せっシ」、南方なんぽう軍ぐんは「レイテ地上ちじょう決戦けっせん続行ぞっこうは不利ふり」と大本営だいほんえいに意見いけん具申ぐしんしてレイテ決戦けっせん中止ちゅうしの決断けつだんを（暗あんに）求もとめた。

11月13日にち、大本営だいほんえい陸軍りくぐん部ぶはレイテ決戦けっせん方針ほうしんの堅持けんじを現地げんち陸軍りくぐんに伝達でんたつし、大本営だいほんえい陸軍りくぐん部ぶ・海軍かいぐん部ぶはさらに増援ぞうえん部隊ぶたいの派遣はけんを計画けいかくしていると述のべた。 14日にち、参謀さんぼう総長そうちょうは昭和しょうわ天皇てんのうに「『レイテ』方面ほうめんノ補給ほきゅうノ状況じょうきょうニ就テ」上奏じょうそうし、18日にちに輸送ゆそう船せん4〜5隻せき、24日にちに輸送ゆそう船せん3〜4隻せきで軍需ぐんじゅ品ひんを輸送ゆそうするとの計画けいかくを述のべた。ところが、投入とうにゅう予定よていの輸送ゆそう船せんは13日にちと14日にちのマニラ空襲くうしゅうで全滅ぜんめつした（詳細しょうさい後述こうじゅつ）。

その頃ころ、日本にっぽん陸軍りくぐん第だい23師団しだん乗船じょうせんの輸送ゆそう船せんはヒ81船団せんだんに加くわわり、11月13〜14日にちに北九州きたきゅうしゅうを出発しゅっぱつ、マニラに向むけ南下なんか中ちゅうであった。第だい23師団しだんは12月上旬じょうじゅんにレイテ島れいてとうへ進出しんしゅつする予定よていだった。 11月15日にち以降いこう、アメリカ海軍かいぐん潜水せんすい艦かんの襲撃しゅうげきにより3隻せき（空母くうぼ神かみ鷹たか〈11月17日にち〉・あきつ丸まる〈11月15日にち〉・摩耶山まやさん丸まる〈11月17日にち〉）が沈没ちんぼつし、6,000名めい以上いじょうが戦死せんしする大だい惨事さんじとなった。第だい23師団しだん司令しれい部ぶは師団しだん長ちょうと参謀さんぼう1名めいのみ救助きゅうじょされ残のこりは全滅ぜんめつ、機能きのうを喪失そうしつした。残存ざんそん部隊ぶたいを乗のせた特種とくしゅ船せん2隻せき（神州しんしゅう丸まる・吉備きび津丸つまる）も台湾たいわんに退避たいひした。 大本営だいほんえい陸軍りくぐん部ぶはレイテ地上ちじょう決戦けっせんが不可能ふかのうになったことを悟さとったが、対外たいがい的てきには断固だんことしてレイテ決戦けっせんを遂行すいこうすると表明ひょうめいした。昭和しょうわ天皇てんのうも戦況せんきょう奏上そうじょうの際さいに「陸海りくかい協力きょうりょく、全力ぜんりょくをかけて勝かち抜ぬくよう」と指導しどうした（11月20日にち）。

11月17日にち、南方なんぽう軍ぐん司令しれい部ぶ（寺内てらうち元帥げんすいほか）は空路くうろでマニラからサイゴンへ後退こうたいした。

水上みずかみ艦隊かんたいの再編さいへん

11月5日にち、日本にっぽん海軍かいぐんは第だい四よん航空こうくう戦隊せんたい（司令しれい官かん：松田まつだ千秋ちあき少将しょうしょう）を第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいに編入へんにゅうする。第だい四よん航空こうくう戦隊せんたいの航空こうくう戦艦せんかん2隻せき（日向ひなた・伊勢いせ）は第だい三さん十じゅう一いち戦隊せんたい（五十鈴いすず・霜月しもつき・桑くわ・槇まき・杉すぎ・桃もも・梅うめ）各かく艦かんと共ともに内地ないちを出撃しゅつげき、南西なんせい方面ほうめんにむかった。

11月10日にち夜よる、隼はやぶさ鷹たか輸送ゆそう隊たい（空母くうぼ隼はやぶさ鷹たか・巡洋艦じゅんようかん2隻せき〈利根りこん・木曾きそ〉・第だい30駆逐くちく隊たい〈夕ゆう月がつ、卯月うづき〉）がマニラに到着とうちゃく、隼はやぶさ鷹たかは搭載とうさいしていた陸軍りくぐんパラシュート部隊ぶたいや特攻とっこうボート・震ふるえ洋よう・第だい31特別とくべつ根拠地こんきょち隊たい（司令しれい官かん：有馬ありま馨かおる少将しょうしょう、17日にちより岩淵いわぶち三次みつじ少将しょうしょう）向むけの物資ぶっしを陸揚りくあげした。 第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたい（司令しれい官かん：木村きむら昌福まさとみ少将しょうしょう）はレイテ沖おき海戦かいせんで旗艦きかん阿武隈あぶくまを失うしなっていたので、木曾きそがマニラに残のこり第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたい旗艦きかんとして多た号ごう作戦さくせんに参加さんかすることになった。隼はやぶさ鷹たか隊たいには、スリガオ海峡かいきょう夜戦やせんから生還せいかんしたものの損傷そんしょうの大おおきい白露しらつゆ型がた駆逐くちく艦かん時雨しぐれが加くわわる。11月12日にち、隼はやぶさ鷹たか隊たい（隼はやぶさ鷹たか・利根りこん・時雨しぐれ・夕ゆう月がつ・卯月うづき）はマニラを出港しゅっこう、内地ないちに向むかった。

大本営だいほんえいがレイテ決戦けっせん方針ほうしんを示しめした11月13日にち、アメリカ軍ぐん機動きどう部隊ぶたい（第だい38任務にんむ部隊ぶたい）はマニラを襲撃しゅうげきした。 マニラに到着とうちゃくしたばかりの軽けい巡洋艦じゅんようかん木曾きそは大破たいは着ぎ底そこする。駆逐くちく艦かん4隻せき（初春しょしゅん・沖おき波なみ・秋霜しゅうそう・曙あけぼの）は沈没ちんぼつするか大破たいは着ぎ底ていし、給油きゅうゆ艦かん隠かくれ戸どが大破たいは、駆逐くちく艦かん潮しおが損傷そんしょうした。輸送ゆそう船せんの被害ひがいは甚大じんだいだった。唯一ゆいいつの優ゆう速そく船せんだった金華きんか丸まるを含ふくめ、輸送ゆそう船せん15隻せき（約やく7.3万まんトン）が沈没ちんぼつ、ミンドロ島みんどろとう付近ふきんの輸送ゆそう船せん2隻せきが沈没ちんぼつした。

志摩しま長官ちょうかんは「このままでは健在けんざいの駆逐くちく艦かんも全滅ぜんめつする」と南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい（司令しれい長官ちょうかん：大川内おおかわち傳でん七なな中将ちゅうじょう、参謀さんぼう長ちょう：有馬ありま馨かおる少将しょうしょう）に進言しんげんし、水雷すいらい戦隊せんたいのマニラ脱出だっしゅつを意見いけん具申ぐしんした。13日にち午後ごごの時点じてんで、大川内おおかわち中将ちゅうじょうは木村きむら第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたい司令しれい官かんに水雷すいらい戦隊せんたいのボルネオ島とう西北せいほく部ぶブルネイへの回航かいこうを命めいじた（NSB電でん令れい作さく第だい749号ごう）。旗艦きかん那智なちを喪失そうしつしていた第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい司令しれい部ぶ（志摩しま清英きよひで第だい五ご艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかんなど）も、各かく駆逐くちく艦かんに便乗びんじょうして撤退てったいすることになった。 同日どうじつ夜半やはん、木村きむら少将しょうしょう指揮しき下かの駆逐くちく艦かん5隻せき（霞かすみ〈木村きむら司令しれい官かん〉・初はつ霜しも〈志摩しま長官ちょうかん〉・朝あさ霜しも・潮しお・竹たけ）はマニラを出発しゅっぱつし、ブルネイにむかった。 11月14日にち、ふたたびアメリカ軍ぐん機動きどう部隊ぶたい艦載かんさい機きがマニラを襲撃しゅうげきし、曙あけぼの・駆潜艇くせんてい116号ごう・輸送ゆそう船せん3隻せきなどが沈没ちんぼつした。 アメリカ軍ぐん機動きどう部隊ぶたいの一連いちれんの空襲くうしゅうと情報じょうほう分析ぶんせきにより、先さきの台湾たいわん沖おき航空こうくう戦せんやレイテ沖おき海戦かいせんで日本にっぽん海軍かいぐんが主張しゅちょうした大だい戦果せんかは誤報ごほうであることが確実かくじつとなった。

11月15日にち、豊田とよだ連合れんごう艦隊かんたい長官ちょうかんは栗田くりた中将ちゅうじょうに対たいし第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたい所属しょぞくの戦艦せんかん3隻せき（大和やまと・長門ながと・金きむ剛つよし）、軽けい巡洋艦じゅんようかん矢や矧はぎ、第だい17駆逐くちく隊たい（浦うら風ふう・雪ゆき風ふう・磯いそ風ふう・浜風はまかぜ）の内地ないち回航かいこうと修理しゅうりを、シンガポールで修理しゅうり中ちゅうの2隻せき（高雄たかお・妙みょう高だか）を除のぞく3隻せき（戦艦せんかん榛名はるな、巡洋艦じゅんようかん〈羽黒はぐろ・大淀おおよど〉）を大川内おおかわち傳でん七なな中将ちゅうじょう（南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん）の指揮しき下かに編入へんにゅうするよう命めいじた（GF電でん令れい作さく第だい419号ごう）。 大川内おおかわち長官ちょうかんは、3隻せき（榛名はるな・羽黒はぐろ・大淀おおよど）を第だい二遊撃部隊指揮官志摩清英中将指揮下の支援しえん部隊ぶたいに編入へんにゅうしたが、榛名はるなはリンガ泊地はくち到着とうちゃく直前ちょくぜんに座礁ざしょうし、高速こうそく航行こうこうと長期ちょうき航海こうかいに支障ししょうをきたすようになった。 同日どうじつ夜よる、大川内おおかわち長官ちょうかんは多た号ごう作戦さくせん警戒けいかい部隊ぶたい（第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい）に部署ぶしょされていた第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたいと第だい二に水雷すいらい戦隊せんたいを支援しえん部隊ぶたいに編入へんにゅう、17日にちには支援しえん部隊ぶたいの待機たいき位置いちをスマトラ島すまとらとうのリンガ泊地はくちに指定していした。

11月20日にち、日本にっぽん海軍かいぐんは水上すいじょう艦艇かんていの兵力へいりょくを再編さいへんする。島しま風ふう沈没ちんぼつ時じに全滅ぜんめつした第だい二に水雷すいらい戦隊せんたいを再建さいけんするため、第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたいを解かい隊たいして二水にすい戦せんに転用てんようする（木村きむら昌福まさとみ少将しょうしょうが第だい二に水雷すいらい戦隊せんたい司令しれい官かんに就任しゅうにん）。 旧きゅう第だい十じゅう戦隊せんたいの構成こうせい艦かん（矢や矧はぎ・雪ゆき風ふう・浦うら風ふう〈21日にち沈没ちんぼつ〉・磯いそ風ふう・濱風はまかぜ・霜月しもつき・冬ふゆ月がつ・涼りょう月がつ）も、二水にすい戦せんに編入へんにゅうされた。また第だい一いち水雷すいらい戦隊せんたいの穴埋あなうめとして、第だい三さん十じゅう一いち戦隊せんたい（軽けい巡洋艦じゅんようかん五十鈴いすず〈11月19日にち潜水せんすい艦かん雷撃らいげきで損傷そんしょう、桃もも護衛ごえい下かでシンガポール回航かいこう〉、第だい30駆逐くちく隊たい〈卯月うづき・夕ゆう月がつ〉・第だい43駆逐くちく隊たい〈竹たけ・梅うめ・桃もも・槇まき・桐きり〉・第だい52駆逐くちく隊たい〈11月15日にち新編しんぺん、11月25日にち編入へんにゅう。桑くわ・杉すぎ・樅もみ・檜ひのき〉・第だい21海防かいぼう隊たい）を第だい五ご艦隊かんたいに編入へんにゅうし、対たい潜せん作戦さくせんと輸送ゆそう作戦さくせん護衛ごえいに従事じゅうじさせた。 ここに、多た号ごう作戦さくせんは松まつ型がた駆逐くちく艦かん・第だい一いち号ごう型がた輸送ゆそう艦かん・第だい百ひゃく一いち号ごう型がた輸送ゆそう艦かん（陸軍りくぐん側がわ呼称こしょうSB艇てい）・機動きどう艇てい（陸軍りくぐん側がわ呼称こしょうSS艇てい）を主力しゅりょくとして再開さいかいされることになった。

22日にち時点じてんでの支援しえん部隊ぶたい（第だい五ご艦隊かんたい旗艦きかん足柄あしがら）の兵力へいりょくは、戦艦せんかん3隻せき（榛名はるな・伊勢いせ・日向ひなた）、巡洋艦じゅんようかん3隻せき（足柄あしがら・羽黒はぐろ・大淀おおよど）、駆逐くちく艦かん5隻せき（霞かすみ・潮しお・朝あさ霜しも・岸波きしなみ・霜月しもつき）となった。第だい三さん十じゅう一いち戦隊せんたい司令しれい部ぶは秋月しゅうげつ型がた駆逐くちく艦かん霜月しもつきを旗艦きかんとしてシンガポールからマニラに進出しんしゅつしようとしたが、25日にちに潜水せんすい艦かんカヴァラの雷撃らいげきで霜月しもつきは沈没ちんぼつ、司令しれい官かん江戸えど兵太郎へいたろう少将しょうしょうを含ふくめ司令しれい部ぶ全滅ぜんめつという結果けっかになった。第だい三さん十じゅう一いち戦隊せんたい司令しれい部ぶ（新任しんにん司令しれい官かんは鶴岡つるおか信道のぶみち少将しょうしょう）は12月上旬じょうじゅんに内地ないちで新編しんぺんされ、12月22日にちに空路くうろでマニラに進出しんしゅつした。

一方いっぽう、栗田くりた長官ちょうかんの第だい一いち遊ゆう撃げき部隊ぶたい（大和やまと・長門ながと・金きむ剛つよし・矢や矧はぎ・浦うら風ふう・雪ゆき風ふう・磯いそ風ふう・浜風はまかぜ）は11月16日にち夕方ゆうがたにブルネイを出発しゅっぱつして内地ないちへ帰投きとうしたが、21日にち未明みめいに台湾たいわん沖おきでアメリカ軍ぐん潜水せんすい艦かん・シーライオン二に世せいの襲撃しゅうげきにより金きむ剛つよしと浦うら風ふうを喪失そうしつした。他たの艦かんは23日にちに内海うつみ西部せいぶに到着とうちゃく。第だい17駆逐くちく隊たい（浜風はまかぜ・雪ゆき風ふう・磯いそ風ふう）は長門ながとを横須賀よこすかまで護衛ごえいしたあと、今度こんどは空母くうぼ信濃しなの（特攻とっこう兵器へいき桜花おうか50基き登載とうさい）を横須賀よこすかから呉くれまで護衛ごえいする。29日にち、信濃しなのはアメリカ軍ぐん潜水せんすい艦かんアーチャーフィッシュの雷撃らいげきで沈没ちんぼつした。

第だい5次じ作戦さくせん

11月13日にちと14日にちのマニラ空襲くうしゅうで、軍需ぐんじゅ品ひんの輸送ゆそうを担当たんとうするはずだった輸送ゆそう船せんは全滅ぜんめつした。レイテ島れいてとうの日本にっぽん軍ぐんは補給ほきゅうを断たたれ、重じゅう装備そうびも不足ふそくし、苦戦くせんを強しいられていた。そこで第だい68旅団りょだんの輸送ゆそうをおこなうはずだった第だい五ご次じ～七なな次じ作戦さくせんは、軍需ぐんじゅ品ひんの輸送ゆそうに振ふり替かえられた。 同どう時期じき、第だい14方面ほうめん軍ぐん司令しれい官かん山下やました奉文ともゆき大将たいしょうは、第だい三さん船舶せんぱく司令しれい部ぶにレイテ島れいてとう輸送ゆそう作戦さくせんの決行けっこうを下した令れいする。これにより陸軍りくぐん潜水せんすい艦かん・まるゆ（三さん式しき潜航せんこう輸送ゆそう艇てい）3隻せきも投入とうにゅうされた。これは記録きろくに残のこる陸軍りくぐん潜水せんすい艦かんの最初さいしょの実戦じっせん参加さんかである。またセブ島とう・レイテ島れいてとう間あいだでは水雷すいらい艇ていや魚雷ぎょらい艇ていによる輸送ゆそうと連絡れんらくが行おこなわれていたが、こちらも制空権せいくうけんの喪失そうしつと優秀ゆうしゅうなアメリカ軍ぐん魚雷ぎょらい艇ていの活動かつどうにより、損害そんがいを出だしながらの運用うんようだったという。海路かいろでの物資ぶっし補給ほきゅうは期待きたいできず、日本にっぽん陸軍りくぐん航空こうくう隊たいは、空中くうちゅう空輸くうゆという方式ほうしきでレイテ島れいてとう日本にっぽん軍ぐんに補給ほきゅうをつづけた。

第だい1梯団ていだん

• 輸送ゆそう船せん：輸送ゆそう艦かん第だい101号ごう、同どう141号ごう、同どう160号ごう
• 護衛ごえい艦艇かんてい：駆潜艇くせんてい第だい46号ごう

11月23日にち、第だい一いち梯団ていだんは兵員へいいん1,000名めいと軍需ぐんじゅ品ひんを搭載とうさいしてマニラを出港しゅっこうする。24日にち、マステバ島とうカタイガン湾わんに待避たいひしていたが、空襲くうしゅうにより輸送ゆそう艦かんは3隻せきとも沈没ちんぼつした。駆潜艇くせんてい46号ごうもマニラへの帰途きと、翌よく25日にちに被爆ひばく沈没ちんぼつし船団せんだんは全滅ぜんめつした。セブ島とうの第だい33特別とくべつ根拠地こんきょち隊たい（志柿しかき大佐たいさ〈先任せんにん参謀さんぼう〉）は「ビサヤ地区ちくでの昼間ひるま避泊は絶対ぜったい不可ふか」「今いまごろこんなことをやるというのは、よほどどうかしている」として意見いけん具申ぐしんしたが、採用さいようされなかったという。輸送ゆそう艦かんの生存せいぞん者しゃはマステバ島とうに上陸じょうりくした。

第だい2梯団ていだん

• 輸送ゆそう船せん：輸送ゆそう艦かん第だい6号ごう、同どう9号ごう、同どう10号ごう
• 護衛ごえい艦艇かんてい：竹たけ

竹たけ駆逐くちく艦長かんちょうの宇那木き勁少佐さ（新南しんなん群島ぐんとうで飯村いいむら少佐しょうさと艦長かんちょう交替こうたい）の指揮しき下かで、船団せんだん4隻せき（護衛ごえい艦かん竹ちく・第だい一いち号ごう型がた輸送ゆそう艦かん3隻せき〈6号ごう・9号ごう・10号ごう〉）という編成へんせいで、11月24日にちにマニラを出港しゅっこうした。 25日にち未明みめいよりマリンドーケ島とうバナラカン湾わんへ待避たいひしていたが、アメリカ軍ぐん機動きどう部隊ぶたい艦載かんさい機きの空襲くうしゅうにより輸送ゆそう艦かん6号ごうと10号ごうが沈没ちんぼつする。9号ごうは損傷そんしょうにより揚陸ようりく装置そうちが故障こしょう、竹たけも損傷そんしょうした。 第だい2梯団ていだんは竹たけ駆逐くちく艦長かんちょうの決断けつだんにより、マニラに引ひき返かえした。『戦史せんし叢書そうしょ』では大河内おおこうち長官ちょうかんの命令めいれいで帰投きとうしたとの記述きじゅつがあるが、竹たけの宇那木き艦長かんちょうは「輸送ゆそう戦隊せんたい司令しれい官かんより作戦さくせん続行ぞっこう命令めいれいが出でたが独断どくだんでマニラに帰投きとうした」と証言しょうげんしている。 26日にちにマニラに到着とうちゃくすると、第だい一輸送戦隊司令官曽爾章少将が宇那木きを出迎でむかえ「南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい参謀さんぼう長ちょう有馬ありま馨かおる少将しょうしょうが強硬きょうこうだった。無事ぶじにもどってきてくれてよかった」と語かたったという。第だい5次じ多た号ごう作戦さくせんは失敗しっぱいした。

その他た

アメリカ軍ぐん機動きどう部隊ぶたいのルソン島とうに対たいする空襲くうしゅうは25日にち早朝そうちょうからはじまり、サンタクルズ沖おきにおいてマニラへ向むかう第だい一いち輸送ゆそう戦隊せんたい（通称つうしょう「八十島やそじま船団せんだん」。軽けい巡洋艦じゅんようかん八十島やそじま・二に等とう輸送ゆそう艦かん〈113号ごう・142号ごう・163号ごう〉）が沈没ちんぼつ、サンタクルズで修理しゅうり中ちゅうの重じゅう巡洋艦じゅんようかん熊野くまのも沈没ちんぼつした。八十島やそじま船団せんだんはフィリピン地上ちじょう戦せんに投入とうにゅう予定よていの一式いっしき砲ほう戦車せんしゃを輸送ゆそう中ちゅうであった。

マニラを出撃しゅつげきした陸軍りくぐん潜水せんすい艦かんまるゆ3隻せきは、11月26日にちにカモテス海うみのバシハン島とうに到着とうちゃくし、揚陸ようりく用ようの人員じんいんと物資ぶっしを搭載とうさいした。11月27日にち未明みめい、まるゆ2号ごう艇てい（指揮しき官かん艇てい、潜航せんこう不能ふのう状態じょうたいで出撃しゅつげき）は哨戒しょうかい中ちゅうのフレッチャー級きゅう駆逐くちく艦かん4隻せきに補足ほそくされて撃沈げきちんされた。まるゆ1号ごう艇ていと3号ごう艇ていはレイテ島れいてとうオルモック湾わんに到着とうちゃくし、米べい、緊急きんきゅう食しょく、通信つうしん用ようバッテリー、大だい発動はつどう艇てい修理しゅうり部品ぶひんを陸揚りくあげした。レイテ島れいてとうに対たいする17日にちぶりの物資ぶっし補給ほきゅう成功せいこうであった。

第だい6次じ作戦さくせん

• 輸送ゆそう船せん：神かみ祥さち丸まる・神かみ悦えつ丸まる
• 護衛ごえい艦艇かんてい：駆潜艇くせんてい45号ごう・53号ごう・哨戒しょうかい艇てい105号ごう

11月27日にち、戦時せんじ標準ひょうじゅん型がた貨物かもつ船せんの神かみ祥さち丸まる（2,880トン）と神かみ悦えつ丸まる（2,211トン）を、護衛ごえい艦艇かんてい3隻せき（哨戒しょうかい艇てい105号ごう・駆潜艇くせんてい〈45号ごう・53号ごう〉）が護衛ごえいし、マニラを出撃しゅつげきした。途中とちゅう空襲くうしゅうを受うけたが大おおきな損傷そんしょう無なく、日本にっぽん軍ぐんの空挺くうてい部隊ぶたいの陽動ようどう作戦さくせん（飛行場ひこうじょう制圧せいあつ作戦さくせん）の支援しえんをうけ、28日にち19時じ0分ふんにオルモックに突入とつにゅうした。弾薬だんやく250m³、糧食りょうしょく1100m³を揚陸ようりくした。 しかし夜間やかんに敵てき魚雷ぎょらい艇ていの攻撃こうげきを受うけ駆潜艇くせんてい53号ごう、哨戒しょうかい艇てい105号ごうが沈没ちんぼつした。 翌よく30日にち朝あさの空襲くうしゅうで揚陸ようりくの遅おくれていた神かみ悦えつ丸まるが炎上えんじょうし、接岸せつがんしたまま擱座かくざする。残のこった神かみ祥さち丸まると駆潜艇くせんてい45号ごうはマニラを目指めざしたが、30日にちにセブ島とう東方とうほうで遭難そうなん沈没ちんぼつ。船団せんだんは全滅ぜんめつした。 だが軍需ぐんじゅ品ひんの一部いちぶ揚陸ようりくに成功せいこうしたことは、日本にっぽん軍ぐん各部かくぶにレイテ作戦さくせん遂行すいこうへの希望きぼうを抱いだかせた。

第だい7次じ作戦さくせん

第だい1梯団ていだん

• 輸送ゆそう船せん：陸軍りくぐんSS艇てい3隻せき
• 護衛ごえい艦艇かんてい：駆潜艇くせんてい第だい20号ごう

11月28日にち、SS艇てい（5号ごう・11号ごう・12号ごう）を駆潜艇くせんてい20号ごうが護衛ごえいし、兵員へいいん200名めいと糧食りょうしょく弾薬だんやくを乗のせてマニラを出港しゅっこうする。29日にちマスバテ島とうでSS艇てい5号ごうが座礁ざしょうする。残ざん2隻せきは30日にち23時じ0分ふんにレイテ島れいてとうイピル（オルモック南方なんぽう4km）に到着とうちゃくし、人員じんいん200名めい、糧食りょうしょく510m³、弾薬だんやく60m³、衛生えいせい材料ざいりょう45m³を揚陸ようりくした。12月1日にち1時じ40分ふんに揚陸ようりく完了かんりょうし、2日にちに無事ぶじマニラに帰着きちゃくした。

第だい2梯団ていだん

• 輸送ゆそう船せん：陸軍りくぐんSS艇てい2隻せき

11月30日にち、SS艇てい（10号ごう・14号ごう）でマニラを出港しゅっこうする。マステバ島とう沖合おきあいでアメリカ軍ぐん駆逐くちく艦かん4隻せきに発見はっけんされ、撃沈げきちんされた。

第だい3、第だい4梯団ていだん

• 輸送ゆそう船せん：輸送ゆそう艦かん第だい9号ごう・140号ごう・159号ごう
• 護衛ごえい艦艇かんてい：竹たけ・桑くわ

12月1日にち、桑くわ駆逐くちく艦長かんちょう山下やました正ただし倫りん中佐ちゅうさの指揮しき下か、輸送ゆそう艦かん（9号ごう・140号ごう・159号ごう）を松まつ型がた駆逐くちく艦かん2隻せき（桑くわ・竹たけ）が護衛ごえいしてマニラを出撃しゅつげきする。 2日にち23時じ30分ふんころ、オルモックに突入とつにゅうした。 翌よく3日にち0時じ30分ふんころ、護衛ごえい部隊ぶたい（桑くわ・竹たけ）がアメリカ側がわ大型おおがた駆逐くちく艦かん3隻せき（モール、アレン・M・サムナー、クーパー）および魚雷ぎょらい艇ていと交戦こうせんした。戦闘せんとう前まえ、日本にっぽん軍ぐん小数しょうすう機き（夜間やかん戦闘せんとう機き月光げっこう・水上みずかみ爆撃ばくげき機き瑞雲ずいうん）の夜間やかん爆撃ばくげきと機銃きじゅう掃射そうしゃでアレン・M・サムナーが小破しょうはする。 つづいて日本にっぽん側がわ駆逐くちく艦かん（桑くわ・竹たけとも魚雷ぎょらいを発射はっしゃ）の雷撃らいげきにより駆逐くちく艦かんクーパーが轟沈ごうちんする。残のこるアメリカ側がわ駆逐くちく艦かん2隻せき（サムナー、モール）は甲かぶと標的ひょうてきの攻撃こうげきと判断はんだんして撤退てったいした。だが日本にっぽん側がわも桑くわが沈没ちんぼつ、竹たけも損傷そんしょうした。このとき竹たけが魚雷ぎょらいにより戦果せんかをあげたのが、日本にっぽん海軍かいぐん水上すいじょう艦艇かんてい最後さいごの魚雷ぎょらい戦せんと言いわれている。ただし、12月26日にちの礼れい号ごう作戦さくせんでも魚雷ぎょらいは使用しようされている。輸送ゆそう艦かん3隻せきと竹たけは12月4日にち、マニラに帰着きちゃくした。竹たけは応急おうきゅう修理しゅうりをうけたあと、内地ないちへ帰投きとうした。

第だい8次じ作戦さくせん

擱座かくざした第だい11号ごう輸送ゆそう艦かん。

• 輸送ゆそう船せん：赤城山あかぎやま丸まる・白馬はくば丸まる・第だい5真盛しんぜい丸まる・日にち洋よう丸まる
• 護衛ごえい艦艇かんてい：梅うめ・桃もも・杉すぎ・駆潜艇くせんてい第だい18号ごう・38号ごう・輸送ゆそう艦かん第だい11号ごう

第だい六ろく次じ多た号ごう作戦さくせんと第だい七なな次じ多た号ごう作戦さくせんは部分ぶぶん的てきに成功せいこうし、方法ほうほう如何いかによってはレイテへの輸送ゆそうが可能かのうであるとみなされた。また日本にっぽん陸軍りくぐん航空こうくう隊たいの空挺くうてい作戦さくせんも、連合れんごう軍ぐんの飛行場ひこうじょうに損害そんがいを与あたえたと判断はんだんした。大本営だいほんえいはひきつづきレイテ作戦さくせんの続行ぞっこうを企図きとした。持久じきゅうに転てんじても、数すうか月げつの時間じかんを得えると判断はんだんした。

現地げんちでは、第だい8次じ多た号ごう作戦さくせんが実施じっしされた。第だい8次じでは、第だい68旅団りょだん（通称つうしょう号ごう「星ほし」）の主力しゅりょく約やく4,000名めいを輸送ゆそうする。12月5日にち10時じ30分ふん、第だい43駆逐くちく隊たい司令しれい菅間すがま良吉りょうきち大佐たいさ（司令しれい駆逐くちく艦かん：梅うめ）の指揮しき下か、輸送ゆそう船せん赤城山あかぎやま丸まる（4,714トン）、白馬はくば丸まる（2,857トン）、日にち祥さち丸まる（6,482トン）、輸送ゆそう艦かん11号ごうは、艦艇かんてい5隻せき（駆逐くちく艦かん〈梅うめ・桃もも・杉すぎ・駆潜艇くせんてい〈18号ごう・38号ごう〉）の護衛ごえい下かでマニラを出港しゅっこうした。船団せんだんの速力そくりょくは6ノットで、7日にち17時じ30分ぶんのオルモック到着とうちゃくを予定よていしていた。6日にちには支援しえんのためにテ号ごう作戦さくせんが行おこなわれた。

「挺進ていしん連隊れんたい#高千穂たかちほ空挺くうてい隊たい」も参照さんしょう

だが、揚陸ようりく当日とうじつにアメリカ軍ぐんの大だい部隊ぶたいがオルモック南部なんぶのアルベイラに上陸じょうりくする。そのため第だい8次じ多た号ごう作戦さくせん部隊ぶたいは、揚陸ようりく地ちをレイテ島れいてとう北西ほくせい岸がんのサンイシドロ（漁村ぎょそん）に変更へんこうした。 7日にち10時じ0分ふん以降いこう、擱座かくざ・揚陸ようりくを始はじめた。揚陸ようりく中ちゅうにB-24多数たすうに空襲くうしゅうされ、さらに連合れんごう軍ぐん戦闘せんとう爆撃ばくげき機き（P-40・P-47）32機き、P-38ライトニング50機き、海兵かいへい隊たいF4Uコルセア16機きの波状はじょう攻撃こうげきをうける。人員じんいんは上陸じょうりくしたが軍需ぐんじゅ品ひんの揚陸ようりくには失敗しっぱい、物資ぶっしは砲ほう2門もん他たの揚陸ようりくに留とどまった。梅うめと杉すぎは損傷そんしょう、輸送ゆそう船せん4隻せきと輸送ゆそう艦かん第だい11号ごうは大破たいはしたため放棄ほうきされ、残のこりの護衛ごえい艦艇かんてい5隻せきはマニラに帰投きとうした。 第だい68旅団りょだん長ちょう栗栖くりす猛夫たけお陸軍りくぐん少将しょうしょうふくめ幹部かんぶ将校しょうこうは、その後ごの地上ちじょう戦せんで戦死せんしした。第だい68旅団りょだんは合計ごうけい約やく7,000名めいがレイテ島れいてとうに上陸じょうりくしたとされるが、その戦闘せんとう状じょう況きょうはよくわからない。

12月5日にち正午しょうごすぎ、日本にっぽん陸軍りくぐんのSS艇てい3隻せき（6号ごう・7号ごう・9号ごう）もマニラを出撃しゅつげき、第だい八はち次じ輸送ゆそう部隊ぶたいの後方こうほうについた。6日にち5時じ30分ふん、SS艇てい6号ごうは故障こしょうのためマンドリーケ島とう附近ふきんで速力そくりょく低下ていか、落伍らくごした。7日にち朝あさ、第だい43駆逐くちく隊たい司令しれいより「隊列たいれつを解とき各かく船ふね艇てい付近ふきんに擱座かくざすべし」の命令めいれいが出だされ、SS艇てい9号ごうはパロンポン（レイテ島れいてとう北西ほくせい岸がん）に向むかった。SS艇てい7号ごう（川井かわい輝あきら臣しん陸軍りくぐん中尉ちゅうい）はサンイシドロ手前てまえ2マイルの陸りく岸がんに擱座かくざし、独立どくりつ歩兵ほへい第だい380大隊だいたいの159名めい・独立どくりつ混成こんせい56師団しだん通信つうしん隊たい37名めい・迫撃はくげき砲ほう2門もん・機関きかん砲ほう2門もん・輜重しちょう車両しゃりょう4・弾薬だんやく食糧しょくりょうの揚陸ようりくに成功せいこうする。午後ごご0時じ30分ふん、レイテ島れいてとうを離脱りだつし、12月8日にち夕刻ゆうこくにマニラへ帰投きとうした。6号ごう艇ていと9号ごう艇ていは未み帰還きかんとなった。川井かわい艇てい長ちょうは山下やました陸軍りくぐん大将たいしょうより直接ちょくせつ感状かんじょうを授与じゅよされたという。

第だい9次じ作戦さくせん

陸上りくじょうからの砲撃ほうげきによりオルモック湾わんで大破たいはした第だい159号ごう輸送ゆそう艦かん。

• 輸送ゆそう船せん：美濃みの丸まる・空知そらち丸まる・たすまにや丸まる
• 護衛ごえい艦艇かんてい：夕ゆう月がつ・卯月うづき・桐きり・駆潜艇くせんてい第だい17号ごう・37号ごう
• 輸送ゆそう艦かん第だい140号ごう・159号ごう
• 輸送ゆそう艦かん第だい9号ごう（セブ島とうに向むかうが途中とちゅうまで同行どうこう）

連合れんごう軍ぐんがレイテ島れいてとう西岸せいがんに上陸じょうりくしたためオルモック揚陸ようりくは困難こんなんになったが、日本にっぽん軍ぐんはレイテ増援ぞうえん作戦さくせんを続行ぞっこうした。 第だい九きゅう次じ作戦さくせんの輸送ゆそう船せん3隻せき（美濃みの丸まる（4,667トン）、空知そらち丸まる（4,107トン）、たすまにや丸まる（4,106トン））には、第だい八はち師団しだん歩兵ほへい第だい5連隊れんたいを基幹きかんとする高階たかしな部隊ぶたい約やく4,000名めいと、臨時りんじ歩兵ほへい第だい5連隊れんたい（カモテス支隊したい）約やく1,200名めい、兵器へいき弾薬だんやく1,200m³、糧食りょうしょく800m³を搭載とうさいする。 輸送ゆそう艦かん2隻せき（第だい140号ごう・159号ごう）にはオルモック湾わんへの逆ぎゃく上陸じょうりくを目指めざす海軍かいぐん特別とくべつ陸戦りくせん隊たい約やく400名めい（伊藤いとう徳夫のりお少佐しょうさ、特とく二に式しき内火艇ないかてい（水陸すいりく両用りょうよう戦車せんしゃ）10輌りょう・噴進砲ほう21基き）を搭載とうさいした。またセブ島とうの第だい三さん十じゅう三さん根拠地こんきょち隊たい向むけの甲かぶと標的ひょうてき2隻せきを載のせた輸送ゆそう艦かん第だい9号ごうも途中とちゅうまで同行どうこうした。護衛ごえいの駆逐くちく艦かんは、第だい30駆逐くちく隊たい司令しれい澤村さわむら成しげる二に大佐たいさ（司令しれい駆逐くちく艦かん：夕ゆう月がつ）指揮しき下かの3隻せき（睦月むつき型がた駆逐くちく艦かん〈夕ゆう月がつ・卯月うづき〉・松まつ型がた駆逐くちく艦かん桐きり）であった。

12月9日にち14:00、第だい九きゅう次じ輸送ゆそう部隊ぶたい（駆逐くちく艦かん〈夕ゆう月がつ・卯月うづき・桐きり〉・駆潜艇くせんてい〈17号ごう・37号ごう〉・輸送ゆそう船せん〈美濃みの丸まる・空知そらち丸まる・たすまにや丸まる〉・輸送ゆそう艦かん〈140号ごう・159号ごう・9号ごう〉）はマニラを出港しゅっこうした。12月11日にち午前ごぜん11頃ごろ、第だい9号ごう輸送ゆそう艦かんはセブ島とうにむけ分離ぶんりする。一方いっぽう、第だい九きゅう次じ輸送ゆそう部隊ぶたいは連合れんごう軍ぐん戦闘せんとう爆撃ばくげき機き（P-40・F4U・P-38）多数たすうの本格ほんかく的てきな攻撃こうげきを受うけ、卯月うづきが損傷そんしょう（艦長かんちょう重傷じゅうしょう）、たすまにや丸まる・美濃みの丸まるが擱座かくざ・沈没ちんぼつした。澤村さわむら司令しれいは指揮しき下か艦艇かんていを分割ぶんかつし、護衛ごえい3隻せき（卯月うづき・17号ごう・37号ごう）に沈没ちんぼつ者しゃ救助きゅうじょと空知そらち丸まるのパロンポン揚陸ようりく護衛ごえいを命めいじた。夜間やかんになり、卯月うづきはオルモックに向むかったが、アメリカ軍ぐん魚雷ぎょらい艇てい2隻せき（PT490・PT492）の雷撃らいげきにより轟沈ごうちんした。

澤村さわむら司令しれい指揮しき下かのオルモック揚陸ようりく組ぐみ（駆逐くちく艦かん〈夕ゆう月がつ・桐きり〉・輸送ゆそう艦かん〈140号ごう・159号ごう〉）は22時じ0分ふんにオルモック西方せいほう2km地点ちてんに突入とつにゅう、輸送ゆそう艦かんは揚陸ようりくを開始かいしする。人員じんいん・戦車せんしゃの全部ぜんぶと機材きざいの半分はんぶんを揚陸ようりくしたが、第だい159号ごうは陸上りくじょうからの砲撃ほうげきと艦かん砲ほう射撃しゃげきで破壊はかいされた。 第だい九きゅう次じ輸送ゆそう部隊ぶたいの揚陸ようりく実施じっし中ちゅう、アメリカ軍ぐんも輸送ゆそう船団せんだんをオルモックに派遣はけんし、揚陸ようりく作戦さくせんを実施じっししていた。アメリカ軍船ぐんせん団だんを護衛ごえいしていた大型おおがた駆逐くちく艦かんは5隻せきで、夜戦やせんとなったが日米にちべい双方そうほうとも損害そんがいなくオルモック湾わんを離脱りだつした。夜戦やせん終了しゅうりょう後ご、桐きりは澤村さわむら司令しれいの命令めいれいによりパロンポンに戻もどり、桐きり便乗びんじょう中ちゅうの陸りく兵へい（沈没ちんぼつ船せん生存せいぞん者しゃ）を揚陸ようりくした。パロンポンにいた空知そらち丸まると駆潜艇くせんてい2隻せきはそれより先さきに揚陸ようりくを終了しゅうりょうし、マニラに向むかった（13日にち15時じ0分ふん帰着きちゃく）。

単たん艦かんとなった夕ゆう月がつは、揚陸ようりくを終おえた140号ごう輸送ゆそう艦かんを護衛ごえいしてオルモック湾わんを脱出だっしゅつ、もどってきた桐きりと合流ごうりゅうしてマニラへ向むかった。夕刻ゆうこく、3隻せき（夕ゆう月がつ・桐きり・140号ごう）はパナイ島とう東方とうほうでF4UコルセアとP-38の爆ばく撃げきを受うけて夕ゆう月がつは大破たいは、桐きりも至近しきん弾だんで片かた舷ふなばた航行こうこうとなった。澤村さわむら司令しれいは桐きりに移乗いじょうし、夕ゆう月がつを自沈じちん処分しょぶんにした。1213日にち19時じ0分ふん、2隻せき（桐きり・140号ごう）はマニラに帰着きちゃくした。

第だい10次じ作戦さくせん

• 輸送ゆそう船せん：有馬ありま山さん丸まる・和かず浦うら丸まる・日にち昌あきら丸まる
• 駆逐くちく艦かん：清きよし霜しも

12月7日にちにレイテ島れいてとう西岸せいがんのアルベイラにアメリカ軍ぐんが上陸じょうりくし、レイテ島れいてとうの日本にっぽん軍ぐんは揚陸ようりく地点ちてん（オルモック）と最前線さいぜんせん部隊ぶたいの連絡れんらくが遮断しゃだんされる事態じたいになった。南西なんせい方面ほうめん部隊ぶたい指揮しき官かんの大川内おおかわち傳でん七なな南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかんは、戦艦せんかんと戦闘せんとう行動こうどうに支障ししょうがあるものを除のぞく第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいのブルネー進出しんしゅつ待機たいきを命めいじた。だが該当がいとうする艦艇かんていは足柄あしがらと大淀おおよどのみで、ブルネイも頻繁ひんぱんに空襲くうしゅうをうける状態じょうたいであった。最終さいしゅう的てきに第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい（指揮しき官かん：志摩しま清英きよひで第だい五ご艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん）のカムラン湾わん回航かいこうと待機たいきが命めいじられる。 12月12日にち、第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいはリンガ泊地はくちを出発しゅっぱつし、14日にちにカムラン湾わんに到着とうちゃくする。第だい二水雷戦隊司令官木村昌福少将は、旗艦きかんを駆逐くちく艦かん朝あさ霜しもから軽けい巡洋艦じゅんようかん大淀おおよどに変更へんこうした。カムラン湾わん集結しゅうけつ時じの兵力へいりょくは、重じゅう巡洋艦じゅんようかん足柄あしがら（第だい五ご艦隊かんたい旗艦きかん）・第だい四よん航空こうくう戦隊せんたい（日向ひなた〈旗艦きかん？〉・伊勢いせ）・第だい二に水雷すいらい戦隊せんたい（軽けい巡洋艦じゅんようかん大淀おおよど・駆逐くちく艦かん〈朝あさ霜しも・霞かすみ・初はつ霜しも〉）・給油きゅうゆ艦かん日び栄丸さかえまるであった。

一方いっぽう、大本営だいほんえい陸軍りくぐん部ぶ・海軍かいぐん部ぶはタマ35船団せんだん（高雄たかお～マニラ行ゆき）としてルソン進出しんしゅつ中ちゅうの陸軍りくぐん歩兵ほへい部隊ぶたい（第だい10師団しだんの歩兵ほへい第だい39連隊れんたい・第だい23師団しだんの歩兵ほへい第だい79連隊れんたい）を、輸送ゆそう船せん4隻せき（有島ありしま丸まる・日にち昌あきら丸まる・和かず浦うら丸まる・鴨かも緑みどり丸まる）に乗船じょうせんのままカリガラ湾わんに突入とつにゅうさせることに決きめ、これを「決けつ号ごう作戦さくせん」と呼称こしょう、第だい十じゅう次じ多た号ごう作戦さくせんとして実施じっしすることになった。大川内おおかわち中将ちゅうじょうは、第だい二に水雷すいらい戦隊せんたいの駆逐くちく艦かん1隻せき（清きよし霜しも）と輸送ゆそう艦かん1隻せきを護衛ごえい部隊ぶたいに編入へんにゅうした。 船団せんだんは11日にちにマニラへ入港にゅうこう、出撃しゅつげき準備じゅんびに入はいる。大本営だいほんえいの意向いこうに対たいし、第だい14方面ほうめん軍ぐんはタマ35船団せんだんの陸軍りくぐん部隊ぶたいをルソン島るそんとうに配備はいびするよう希望きぼうした。協議きょうぎの結果けっか鴨かも緑みどり丸まるは作戦さくせんから外はずされ、永吉ながよし支隊したい（歩兵ほへい第だい39連隊れんたい（一いち大隊だいたい欠かけ）基幹きかん）のレイテ島れいてとうカリガラ湾わん西部せいぶ逆ぎゃく上陸じょうりく、畠中はたけなか支隊したい（歩兵ほへい第だい71連隊れんたいの一いち大隊だいたい）の小しょうレイテ湾わん補給ほきゅう基地きち設定せっていが決きまる。第だい10次じ多た号ごう作戦さくせん部隊ぶたいは12月14日にちのマニラ出撃しゅつげきを予定よていした。

しかし13日にちに発見はっけんされた敵てき上陸じょうりく部隊ぶたいが14日にちには北上ほくじょうを始はじめ、ルソン島とうへ向むかう公算こうさんが大おおきくなった（実際じっさいにはミンドロ島みんどろとうに上陸じょうりく）。そこで第だい14方面ほうめん軍ぐんは計画けいかくを中止ちゅうし、輸送ゆそう予定よてい部隊ぶたいをルソン島るそんとう守備しゅびの配置はいちに就つかせた。 これを受うけ同日どうじつ第だい10次じ作戦さくせんの中止ちゅうしが発令はつれいされ、ここで多た号ごう作戦さくせんは終了しゅうりょうした。大川内おおかわち中将ちゅうじょう（南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい司令しれい長官ちょうかん）もアメリカ軍ぐんがルソン島るそんとうに来襲らいしゅうすると報ほうじ、水上みずかみ部隊ぶたいの突入とつにゅう作戦さくせんを企図きとして第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたいのカムラン湾わんから新南しんなん諸島しょとうへの進出しんしゅつを下した令れい、第だい二に遊ゆう撃げき部隊ぶたい決戦けっせん用意ようい（NSB電でん令れい作さく第だい827号ごう）を発令はつれいする。フィリピンの戦たたかいはミンドロ島みんどろとう地上ちじょう戦せんという局面きょくめんを迎むかえた。 12月25日にち、第だい14方面ほうめん軍ぐん司令しれい官かん山下やました大将たいしょう（ルソン島とうマニラ）は、レイテ島れいてとうの第だい35軍ぐんに対たいし、持久じきゅう作戦さくせんへの転移てんいを命めいじた（尚武しょうぶ作さく命いのち第だい二に七なな二に号ごう要旨ようし）。 12月31日にち、多た号ごう作戦さくせん部隊ぶたいは編成へんせいを解とかれた。

参考さんこう文献ぶんけん

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• 生出おいで寿ひさし「第だい十じゅう九きゅう章しょう ― 陸軍りくぐんを大敗たいはいさせた海軍かいぐんの戦果せんか発表はっぴょう」『連合れんごう艦隊かんたい・名めい指揮しき官かんの生涯しょうがい　戦場せんじょうの将器しょうき　木村きむら昌福まさとみ』光人みつひと社しゃ、1997年ねん12月。ISBN 4-7698-0835-6。 
• 岸見きしみ, 勇いさむ美よし『地獄じごくのレイテ輸送ゆそう作戦さくせん　敵てき制空権せいくうけん下かの多た号ごう作戦さくせんの全貌ぜんぼう』光人みつひと社しゃ、2010年ねん12月。ISBN 978-4-7698-2666-8。 
• 木俣きまた滋しげる郎ろう『日本にっぽん空母くうぼ戦史せんし』図書としょ出版しゅっぱん社しゃ、1977年ねん7月がつ。 
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• 木俣きまた滋しげる郎ろう「15　アメリカ駆逐くちく艦かん「クーパー」」『連合れんごう軍ぐん艦艇かんてい撃沈げきちんす　日本にっぽん海軍かいぐんが沈しずめた艦船かんせん21隻せきの航跡こうせき』光人みつひと社しゃ〈光人みつひとNF文庫ぶんこ〉、2013年ねん8月がつ。ISBN 978-4-7698-2794-8。 
• 佐藤さとう和正かずまさ『艦長かんちょうたちの太平洋戦争たいへいようせんそう 続篇ぞくへん』（光人みつひと社しゃ、1984年ねん） ISBN 4-7698-0231-5
• 志柿しかき, 謙吉けんきち『海軍かいぐん参謀さんぼうのフィリピン戦記せんき　回想かいそうレイテ作戦さくせん』光人みつひと社しゃ〈光人みつひとNF文庫ぶんこ〉、2005年ねん7月がつ（原著げんちょ1996年ねん）。ISBN 4-7698-2462-9。 
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• 防衛庁ぼうえいちょう防衛ぼうえい研修けんしゅう所しょ戦史せんし室しつ『戦史せんし叢書そうしょ　大本營だいほんえい陸軍りくぐん部ぶ＜9＞　―昭和しょうわ二に十じゅう年ねん一いち月がつまで―』 第だい81巻かん、朝あさ雲くも新聞しんぶん社しゃ、1975年ねん2月がつ。 
• 防衛庁ぼうえいちょう防衛ぼうえい研修けんしゅう所しょ戦史せんし室しつ『戦史せんし叢書そうしょ　大本營だいほんえい海軍かいぐん部ぶ・聯合れんごう艦隊かんたい＜7＞　―戦争せんそう最終さいしゅう期き―』 第だい93巻かん、朝あさ雲くも新聞しんぶん社しゃ、1976年ねん3月がつ。 
• 防衛庁ぼうえいちょう防衛ぼうえい研修けんしゅう所しょ戦史せんし室しつ『戦史せんし叢書そうしょ 潜水せんすい艦かん史し』 第だい98巻かん、朝あさ雲くも新聞しんぶん社しゃ、1979年ねん6月がつ。 
• 松田まつだ源はじめ吾われほか『軽けい巡じゅん海戦かいせん史し　駆逐くちく艦かんを率ひきいて突撃とつげきした戦隊せんたい旗艦きかんの奮戦ふんせんと最後さいご』潮しお書房しょぼう光人みつひと社しゃ、2017年ねん3月がつ。ISBN 978-4-7698-1639-3。 
  • (30-67頁ぺーじ)当時とうじ「鬼怒きぬ」航海こうかい長ちょう・海軍かいぐん大尉たいい飯村いいむら忠彦ただひこ『十じゅう六ろく戦隊せんたい「鬼怒きぬ」オルモック輸送ゆそうに潰つぶせゆ　レイテ海戦かいせんの舞台裏ぶたいうらで兵器へいき人員じんいん輸送ゆそうに苦闘くとうした航海こうかい長ちょうの血涙けつるいの手記しゅき』
• 雑誌ざっし「丸まる」編集へんしゅう部ぶ『写真しゃしん 日本にっぽんの軍艦ぐんかん 第だい10巻かん 駆逐くちく艦かんI』（光人みつひと社しゃ、1990年ねん） ISBN 4-7698-0460-1
• 雑誌ざっし『丸まる』編集へんしゅう部ぶ 編へん『写真しゃしん 日本にっぽんの軍艦ぐんかん　小しょう艦艇かんていＩ 特務とくむ艦かん・潜水せんすい母艦ぼかん 特設とくせつ潜水せんすい母艦ぼかん 駆潜艇くせんてい・哨戒しょうかい艇てい　掃海そうかい艇てい・輸送ゆそう艦かん』 第だい13巻かん、光人みつひと社しゃ、1990年ねん8月がつ。ISBN 4-7698-0463-6。 
• 「丸まる」編集へんしゅう部ぶ編へん 編へん『巡洋艦じゅんようかん戦記せんき　重じゅう巡じゅん最上さいじょう出撃しゅつげきせよ』光人みつひと社しゃ〈光人みつひと社しゃNF文庫ぶんこ〉、2011年ねん8月がつ（原著げんちょ1990年ねん）。ISBN 978-4-7698-2700-9。 
  • (163-250頁ぺーじ)連合れんごう艦隊かんたい最後さいごの決戦けっせん場じょうレイテ沖おき海戦かいせん回想かいそう録ろく―左近さこん允まこと尚なお敏さとし『われらが軍艦ぐんかん 重じゅう巡じゅん「熊野くまの」の最期さいご』
• 「丸まる」編集へんしゅう部ぶ編へん 編へん『小しょう艦艇かんてい戦記せんき　海防かいぼう艦かん「占うらない守もり」電でん探さがせ室しつ異状いじょうなし』株式会社かぶしきがいしゃ潮しお書房しょぼう光人みつひと社しゃ〈光人みつひと社しゃNF文庫ぶんこ〉、2012年ねん10月がつ。ISBN 978-4-7698-2756-6。 
  • (15-72頁ぺーじ)海防かいぼう艦かん「占うらない守もり」電でん探さがせ室しつ異状いじょうなし"学徒がくと兵へいかく戦せんへり"電でん探さがせ員いんが見みた船団せんだん護衛ごえい始末しまつ記き ― 北村きたむら栄作えいさく
• 門司もじ, 親おや徳とく『空そらと海うみの涯で 第だい一いち航空こうくう艦隊かんたい副官ふっかんの回想かいそう』光人みつひと社しゃ〈光人みつひと社しゃNF文庫ぶんこ〉、2012年ねん5月がつ（原著げんちょ1978年ねん）。ISBN 978-4-7698-2098-7。 
• 茂呂もろ, 計けい造みやつこ、(茂呂もろは竹たけ水雷すいらい科か)『南海なんかいの死闘しとう　少年しょうねん水兵すいへいの海戦かいせん記き』近代きんだい文藝ぶんげい社しゃ、1994年ねん9月がつ。ISBN 4-7733-3262-X。 
• 森田もりた友幸ともゆき、(森田もりたは多た号ごう作戦さくせん時じの霞かすみ水雷すいらい長ちょう)「第だい三さん章しょう ― 捷一しょういち号ごう作戦さくせん」『25歳さいの艦長かんちょう海戦かいせん記き 駆逐くちく艦かん「天津てんしん風ふう」かく戦せんえり』光人みつひと社しゃ、2000年ねん、32-54頁ぺーじ。ISBN 4-7698-0953-0。 
• 山本やまもと平たいら弥わたるほか『秋月しゅうげつ型がた駆逐くちく艦かん<付づけ・夕ゆう雲くも型がた・島しま風ふう・丁ひのと型がた> 戦時せんじに竣工しゅんこうした最さい新鋭しんえい駆逐くちく艦かんの実力じつりょくと全貌ぜんぼう』潮しお書房しょぼう光人みつひと社しゃ、2015年ねん3月がつ。ISBN 978-4-7698-1584-6。 
• 日本にっぽん雄飛ゆうひ会かい『あゝ少年しょうねん航空こうくう兵へい―かえらざる十じゅう代だいの手記しゅき』原はら書房しょぼう、1967年ねん。ASIN B000JA8J3Q。 
• 読売新聞社よみうりしんぶんしゃ編へん『昭和しょうわ史しの天皇てんのう 13』読売新聞社よみうりしんぶんしゃ〈昭和しょうわ史しの天皇てんのう13〉、1971年ねん。ASIN B000J9HYAQ。 
  • (73-83頁ぺーじ)戦史せんし研究けんきゅう家か落合おちあい康夫やすお『艦かん名めい別べつ秋月しゅうげつ型がた駆逐くちく艦かん十じゅう二に隻せきの生涯しょうがい』
  • (207-219頁ぺーじ)当時とうじ「浜はま波なみ」乗組のりくみ・海軍かいぐん中尉ちゅうい中沢なかざわ五郎ごろう『オルモック急行きゅうこう「浜はま波なみ」砲塔ほうとうに息いき絶たえて　長波ちょうは、朝あさ霜しも、若月わかつきらと行くだりを共ともにした第だい三さん次じ多た号ごう作戦さくせんの悲惨ひさん』
  • (220-229頁ぺーじ)戦史せんし研究けんきゅう家か伊達だて久ひさ『夕ゆう雲くも型がた駆逐くちく艦かん十じゅう九きゅう隻せき&島しま風ふうの太平洋戦争たいへいようせんそう』
  • (230-238頁ぺーじ)当時とうじ「島しま風ふう」機関きかん長ちょう・海軍かいぐん少佐しょうさ上村うえむら嵐あらし『追随ついずいをゆるさぬ最さい高速こうそく艦かん「島しま風ふう」の最後さいご　乗員じょういん四よん五ご〇名めいのうち生存せいぞん者しゃたった三さん名めいという制空権せいくうけんなき輸送ゆそう作戦さくせんの結末けつまつ』
  • (264-272頁ぺーじ)元もと「柳やなぎ」艦長かんちょう・海軍かいぐん少佐しょうさ大熊おおくま安之助やすのすけ『松まつ型がた「柳やなぎ」艦長かんちょう三さんたび痛恨つうこんの海うみに没ぼっしたけれど　乗艦じょうかん三さん隻せきの最期さいごをみとった駆逐くちく艦長かんちょうが綴つづる海うみの勇者ゆうしゃたちへの鎮魂歌ちんこんか』
  • (297-307頁ぺーじ)当時とうじ「桑くわ」一番いちばん高角こうかく砲ほう射手しゃしゅ・海軍かいぐん上等じょうとう兵曹へいそう山本やまもと貢みつぐ『小ちいさな勇者ゆうしゃ「桑くわ」オルモックに死しすとも　瑞みず鳳おおとり直衛なおえの比島ひじま沖おき海戦かいせんをへて七なな次じ多た号ごう作戦さくせんに果敢かかんな砲戦ほうせんを演えんじた勇者ゆうしゃの最後さいご』
  • (308-319頁ぺーじ)当時とうじ「梅うめ」乗組のりくみ・海軍かいぐん上等じょうとう兵曹へいそう市川いちかわ國雄くにお『香かおり浅あさき「梅うめ」バシー海峡かいきょうに消きえたり　熾烈しれつなる対空たいくう戦闘せんとうの果はて誕生たんじょう六ろくヶ月かげつ余あまりで海底かいていに没ぼっした愛あい艦かんへの鎮魂歌ちんこんか』
  • (332-338頁ぺーじ)戦史せんし研究けんきゅう家か伊達だて久ひさ『丁ひのと型がた駆逐くちく艦船かんせん団だん護衛ごえいダイアリィ　松まつ型がた十じゅう八はち隻せきと橘たちばな型がた十じゅう四よん隻せきの太平洋戦争たいへいようせんそう』

• アジア歴史れきし資料しりょうセンター（公式こうしき）（防衛ぼうえい省しょう防衛ぼうえい研究所けんきゅうじょ）
  • Ref.C08030751400「昭和しょうわ19年ねん11月～終戦しゅうせん時じ　T型がた駆逐くちく艦かん(竹たけ)戦せん誌し」
  • 『昭和しょうわ19年ねん6月がつ1日にち～昭和しょうわ19年ねん12月13日にち　第だい30駆逐くちく隊たい戦時せんじ日誌にっし戦闘せんとう詳報しょうほう(3)』。Ref.C08030149800。 

関連かんれん項目こうもく

• 捷一しょういち号ごう作戦さくせん
• レイテ島れいてとうの戦たたかい