『情無用の街』(なさけむようのまち、原題:The Street with No Name)は、1948年に公開されたアメリカ映画。
本作は、ハリー・クレイナーがFBIの記録をもとに脚本を書き、実際に起こった事件を描いたセミドキュメンタリー作品である。
5日間で2件の襲撃殺人事件が起こる。調査すると、2件の事件で用いられた銃は同じものであることが判明する。そこで、フーバー長官はジョージ・A・ブリッグス警部を捜査責任者に任命し、FBIは捜査を開始する。捜査した結果、ロバート・ダンカーという男が容疑者として浮上するが、彼にアリバイがあることがわかる。ブリッグス警部が彼に会いに行くと、ジョン・スミスという人物が保釈金を払い釈放されていた。その夜、ダンカーが殺害されているのが見つかり、FBIのジーン・コーデルはダンカーの行動を知るため、潜入捜査を始める。
街に来たコーデルはジョージ・マンリーとして暮らし、次第に顔を知られてきた。コーデルは、ボクシングのジムでオーナーだというアレック・スタイルズに会う。その後、ダンカーと同じ状況を作り出すため、コーデルはマンリーとして逮捕されることになり、FBIは偽の犯罪記録を作成し、彼を釈放する。街に戻ったコーデルは、アレックに会い組織に誘われる。誘いを受けた彼は、襲撃事件がアレック一味の犯行であることを確信し、FBIに報告する。コーデルが街を出たことで、アレックの部下に疑われるがやり過ごす。そして、アレック一味は襲撃計画を立て始めた。それをFBIに報告するコーデルだったが、見張っているFBIの情報を何者かが流し、アレックは計画を中止する。
アレックのアジトに忍び込んだコーデルは、銃弾を手に入れるがアレックと鉢合わせしそうになるが逃げ切る。しかし、アレックは侵入者を調べるため、銃の指紋の照合をFBIの内通者であるラルフ・デモリーに頼む。すると、コーデルのものであることが判明する。一方、コーデルが送った銃弾が、2件の事件に使われたものと一致したことで、フーバー長官がアレック一味と内通者のデモリーの逮捕命令が通達される。だが、身元がばれたコーデルは、アレックに工場の金庫を開けるよう言われ開けると、始末されそうになる。そのとき、FBIが工場に乗り込み、アレック一味は全員が射殺された。
- 監督:ウィリアム・ケイリー
- 脚本:ハリー・クレイナー
- 製作:サミュエル・G・エンゲル
- 撮影:ジョセフ・マクドナルド
- 編集:ウィリアム・レイノルズ
- 音楽:ライオネル・ニューマン