旭あさひ (広島ひろしま市し)

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旭あさひ（あさひ）は、広島ひろしま県けん広島ひろしま市し南みなみ区くに所在しょざいする地区ちくの名称めいしょうである。ここでは同区どうくにおいて「旭あさひ」を町名ちょうめいに含ふくむ各かく町まちの総称そうしょうとして用もちいる。「旭あさひ町まち」（ - まち）は旧称きゅうしょう。

概要がいよう

地理ちり

広島ひろしま県けんを流ながれる太田おおた川がわの三角州さんかくす上うえ、猿猴えんこう川かわと京橋きょうばし川がわに挟はさまれた州しゅうの内陸ないりく部ぶに位置いちする。

地誌ちし

黄金山おうごんざんの西麓にしふもと、国道こくどう2号ごうおよび広島ひろしま県けん道どう86号ごう翠みどり町まち仁保にほ線せん（黄金山おうごんざん通どおり）によって挟はさまれた地域ちいきに位置いちする。かつては旧きゅう国鉄こくてつ宇品線うじなせん（現在げんざいは車道しゃどうとして整備せいび）によって町内ちょうないが縦断じゅうだんされていた。地区ちくのほとんどは宅地たくちである。古ふるくからの漁師りょうし町まちであった大河おおかわ地区ちくとの関かかわりが深ふかく（後述こうじゅつのように小学校しょうがっこう・銀行ぎんこう支店してんなどいくつかの施設しせつで「大河たいが」を名称めいしょうに関かんするものがこの地区ちく内ないに立地りっちする）、旧きゅう・宇品線うじなせんと交差こうさする古ふるくからの通とおりが商店しょうてん街がいとして発達はったつし、主要しゅような施設しせつのほとんどがこの界隈かいわいに集中しゅうちゅうしている。

住居じゅうきょ表示ひょうじ

旭あさひ1〜3丁目ちょうめ
西旭にしあさひ町まち（にしあさひまち）

隣接りんせつしている地区ちく

すべて南みなみ区内くない。

北側きたがわ：出汐でしおおよび西霞にしかすみ町まち。
南側みなみがわ：宇品東うじなひがし。
西側にしがわ：翠みどり。
東側ひがしがわ：大河たいが・山城やましろ町まち。

歴史れきし

広島ひろしまの新開地しんかいち発展はってん図ず（『概観がいかん広島ひろしま市し史し』1955年ねん） / 現在げんざいの「旭あさひ」地区ちくを含ふくむ皆実みなみ新開しんかいが宝たから暦れき3年ねん（1753年ねん）以前いぜんの開発かいはつであり、広島ひろしま築城ちくじょう時じにはこの地区ちくが海うみであったことが示しめされている。

1945年ねんの米べい軍ぐん作成さくせいの地図ちず / "ASAHIMACHI"（旭あさひ町まち）や"Ōkō Grade School"（大河たいが小学校しょうがっこう）などが確認かくにんできる。"TANNABASHI"（丹那にな橋きょう）北側きたがわの英えい橋きょうの位置いちも示しめされている。

「皆実みなみ町まち (広島ひろしま市し)#歴史れきし」も参照さんしょう

地名ちめいの由来ゆらい

「朝日あさひ（旭あさひ）のごとく繁栄はんえいする町まち」の意いがある^[1]。

沿革えんかく

江戸えど時代じだいから戦前せんぜん期きまで

江戸えど初期しょき、広島ひろしま湾わん頭あたまの遠浅とおあさの干潟ひがたに過すぎなかったこの地区ちくは、1662年ねん（寛文ひろふみ2年ねん）から翌よく1663年ねんにかけて行おこなわれた仁保にほ島西しまにし新開しんかいの造成ぞうせいにより、近隣きんりんの皆実みなみ町まち・出汐でしお・翠みどりなどとともに新あらたな埋うめ立たて地ちとなった。仁保にほ島西しまにし新開しんかいはのち「皆実みなみ新開しんかい」と改称かいしょうされ、明治維新めいじいしん後のちには皆実みなみ村むら、1889年ねん（明治めいじ22年ねん）の広島ひろしま市制しせい施行しこう後ごは同市どうしの（大字だいじ）皆みな実じつに属ぞくすることとなった。日にち清しん戦争せんそう開戦かいせんとともに軍港ぐんこうである宇品うじな港こうへの軍事ぐんじ輸送ゆそうのためにこの地区ちくを縦断じゅうだんして国鉄こくてつ宇品線うじなせんが敷設ふせつされた。昭和しょうわ期きに入はいって1932年ねん、地区ちく内ない（現げん・西旭にしあさひ町まち「ポッポ広場ひろば」）に宇品線うじなせん唯一ゆいいつの行いき違ちがい駅えきとして下した大河おおかわ駅えきが開業かいぎょうした。そして、それまで皆実みなみ町まち（1916年ねんに改称かいしょう）の東ひがし半はん部ぶ（当時とうじは「東下組ひがししもぐみ」^[2]）であったこの地区ちくは、1933年ねんになって初はじめて「旭あさひ町まち」として分立ぶんりつした。1945年ねん 8月がつ6日にちの原爆げんばく投下とうかに際さいして、爆ばく心地ごこちから3km前後ぜんこうの位置いちにあったこの地域ちいきは、半壊はんかい地域ちいきとされているものの被害ひがいは比較的ひかくてき小ちいさかった。

戦後せんごから現在げんざいまで

蔬菜そさい・麦むぎ・レンコンなどが栽培さいばいされる近郊きんこう農業のうぎょう地域ちいきであった町まちは戦後せんご、次第しだいに宅地たくち化かが進行しんこうし、一時いちじは下した大河おおかわ駅えきが近隣きんりんの学校がっこうに通学つうがくする学生がくせいの乗降じょうこうでにぎわっていた。1970年ねんには宇品線うじなせん以東いとうの地区ちくを旭あさひ1〜3丁目ちょうめに再編さいへんし、1980年ねんには残のこりの地区ちくを西旭にしあさひ町まちに改称かいしょう、町名ちょうめいとしての旭あさひ町まちは消滅しょうめつした。また1960年代ねんだいに入はいって利用りよう者しゃを減へらしていた宇品線うじなせんは、1966年ねん平面へいめん交差こうさする新しん広島ひろしまバイパス（現げん・国道こくどう2号ごう）の開通かいつうにより致命ちめい的てきな影響えいきょうを受うけ、同年どうねん末まつ、一般いっぱん旅客りょかく営業えいぎょう停止ていしにともない下か大河おおかわ駅えきも廃止はいしされた（路線ろせん自体じたいはその後ごも貨物かもつ線せんとして1986年ねんまで存続そんぞくした）。また、現在げんざいの旭あさひ3丁目ちょうめ地区ちくの南半みなみはん部ぶ（広島ひろしま南みなみ警察署前けいさつしょまえ交差点こうさてんから大河おおかわ保育園ほいくえんの南側みなみがわまで）は、戦後せんごに至いたるまで広島ひろしま湾わんへの入江いりえが深ふかく切きり込こみ、付近ふきんの児童じどうの水遊みずあそびの場ばなどとして利用りようされていたが、1964年ねんに南側みなみがわの宇品東うじなひがしに工場こうじょう用地ようちが埋うめ立たてられたのち、1967年ねんにはこの入江いりえも埋うめ立たてられて細ほそい水路すいろとなり、その後ご1980年ねんに下水道げすいどう整備せいび事業じぎょうにより水路すいろも暗渠あんきょ化かされた。1986年ねんの廃止はいし後ごしばらく廃はい線せん跡あとが放置ほうちされていた旧きゅう宇品線うじなせんは、1990年代ねんだい後半こうはんには線路せんろなどの施設しせつが完全かんぜんに撤去てっきょされ、国道こくどう2号ごう（出汐でしお2丁目ちょうめ北東ほくとう角かく交差点こうさてん）と黄金山おうごんざん通どおり（広島ひろしま南みなみ警察署前けいさつしょまえ交差点こうさてん）を結むすぶ車道しゃどうとして生うまれ変かわっている。その一方いっぽう、旧きゅう宇品線うじなせんの沿線えんせんに発達はったつした旭あさひ町まち商店しょうてん街がいなど、古ふるくからの下町したまちの雰囲気ふんいきを残のこす街並まちなみも健在けんざいである。

年表ねんぴょう

1662年ねん（寛文ひろふみ2年ねん）〜1663年ねん：仁保にほ島西しまにし新開しんかいとして造成ぞうせいされる（のち「皆実みなみ新開しんかい」と改称かいしょう）。
1882年ねん（明治めいじ15年ねん）：皆実みなみ新開しんかいを皆実みなみ村むらと改称かいしょう。
1894年ねん：国鉄こくてつ宇品線うじなせんの敷設ふせつ。
1889年ねん：市制しせい施行しこうにより広島ひろしま市し大字だいじ皆みな実じつに属ぞくする。
1916年ねん（大正たいしょう5年ねん）：（大字だいじ）皆実みなみを皆実みなみ町まちと改称かいしょう。この地区ちくは「東下組ひがししもぐみ」と称しょうされた。
1932年ねん（昭和しょうわ7年ねん）：宇品線うじなせん下した大河おおかわ駅えきを開業かいぎょう（現げん・西旭にしあさひ町まち）。大河たいが尋常じんじょう高等こうとう小学校しょうがっこう（現げん・大河おおかわ小学校しょうがっこう）が現在地げんざいち（旭あさひ1丁目ちょうめ）に移転いてん。
1933年ねん：町名ちょうめい変更へんこうにより「旭あさひ町まち」として分立ぶんりつ。
1966年ねん：下した大河おおかわ駅えき廃止はいし。
1967年ねん：現げん・旭あさひ3丁目ちょうめ南部なんぶにあった入いり江えが埋うめ立たてられる。
1970年ねん：町まち域いきの一部いちぶを旭あさひ1〜2丁目ちょうめに再編さいへん。
1980年ねん：町まち域いきの一部いちぶを西旭にしあさひ町まちに再編さいへん。
1980年ねん：広島ひろしま市しの政令市せいれいし移行いこうにより南みなみ区くに属ぞくす。

施設しせつ

公共こうきょう施設しせつ

広島ひろしま南みなみ警察けいさつ署しょ旭あさひ町まち交番こうばん（旭あさひ2丁目ちょうめ）
広島ひろしま旭あさひ郵便ゆうびん局きょく（旭あさひ2丁目ちょうめ） - 旧称きゅうしょう「大河おおかわ郵便ゆうびん局きょく」。
広島ひろしま市し旭あさひ町まちポンプ場じょう（旭あさひ3丁目ちょうめ）

教育きょういく機関きかん

広島ひろしま市立しりつ大河たいが小学校しょうがっこう（旭あさひ1丁目ちょうめ） - 1873年ねん創立そうりつの古ふるい歴史れきしをもつ小学校しょうがっこうで、創立そうりつ時じは現在げんざいの大河おおかわ地区ちく内うちに所在しょざいしていたが1932年ねん7月がつ、現在地げんざいちに移転いてん。
あさひ幼稚園ようちえん（旭あさひ2丁目ちょうめ）

金融きんゆう機関きかん

広島銀行ひろしまぎんこう大河おおかわ支店してん（旭あさひ2丁目ちょうめ）

商業しょうぎょう施設しせつ

旭あさひ商店しょうてん街がい（旭あさひ1・2丁目ちょうめ） - 愛称あいしょう「アイビータウン」。出汐でしお三さん丁目ちょうめ9番ばん交差点こうさてん（旧きゅう・出汐でしお踏切ふみきり）付近ふきんから旭あさひ一いち丁目ちょうめ20番ばん交差点こうさてん付近ふきんにかけて形成けいせい。
マルショク旭あさひ町まち店てん（旭あさひ1丁目ちょうめ） - 上記じょうきの旭あさひ商店しょうてん街がい南限なんげんに位置いちし、この地区ちくでは最大さいだい規模きぼのショッピングセンターである。店舗てんぽ建替たてかえのため2021年ねん1月がつ17日にち午後ごご5時じを以もって一時いちじ閉店へいてん、2022年ねん4月がつ8日にちより新しん店舗てんぽにて「マルショク旭あさひ店てん」として営業えいぎょう再開さいかい。^[3]

宗教しゅうきょう施設しせつ

PL広島ひろしま東部とうぶ教会きょうかい（旭あさひ1丁目ちょうめ）

公園こうえん

旭あさひ町まち公園こうえん（西旭にしあさひ町まち）
旭あさひ町まち第だい一いち公園こうえん（旭あさひ2丁目ちょうめ）
山城やましろ町まち公園こうえん（旭あさひ3丁目ちょうめ） - 隣となり町まちの山城やましろ町まちにまたがって所在しょざい。埋うめ立たてられた入江いりえの一部いちぶを公園こうえんとしたもの。
ポッポ広場ひろば（西旭にしあさひ町まち） - 旧きゅう下した大河おおかわ駅えき跡地あとちに整備せいびされたポケットバーク。敷地しきち内ないに西旭にしあさひ町まち集会しゅうかい所しょが所在しょざい。

その他た

広島ひろしま大河たいがフットボールクラブ - 大河おおかわ小学校しょうがっこうを拠点きょてんに活動かつどう。

かつて存在そんざいした施設しせつ

英えい橋きょう（はなぶさばし / 旭あさひ1丁目ちょうめ） - 現在げんざいの大河たいが保育園ほいくえん南側みなみがわに所在しょざいした。1897年ねんかつて大河たいが地区ちくとを隔へだてていた入江いりえを渡わたるため、英えい修作しゅうさくが私財しざいを投とうじて架橋かきょうしたことからこの名ながある。1980年ねんに入江いりえが暗渠あんきょ化かした際さいに橋はしも消滅しょうめつした。現在げんざいは大河たいが公民館こうみんかん前まえに英えいによる架橋かきょうを顕彰けんしょうする碑いしぶみだけが残のこされている^[4]。

交通こうつう

鉄道てつどう

かつては国鉄こくてつ宇品線うじなせんが本ほん地区ちくを縦断じゅうだんし西旭にしあさひ町まちに下した大河おおかわ駅えきが所在しょざいしていたが、現在げんざい、地区ちく内ないを通とおる鉄道てつどうは存在そんざいしない。

バス

著名ちょめいな出身しゅっしん者しゃ

外部がいぶリンク

参考さんこう文献ぶんけん

大竹おおたけ嘉治よしはる『広島ひろしま大河たいが附近ふきんの街まち旭あさひ町まち翠みどり町まち出汐でしお町まち霞かすみ町まち丹那新たんなしん町まち』大河おおかわ郷土きょうど史し研究けんきゅう会かい、1981年ねん
『広島ひろしま県けんの地名ちめい』（日本にっぽん歴史れきし地名ちめい大系たいけい第だい35巻かん）平凡社へいぼんしゃ、1982年ねん
『角川かどかわ日本にっぽん地名ちめい大だい辞典じてん第だい34巻かん：広島ひろしま県けん』角川書店かどかわしょてん、1987年ねん ISBN 4040013409

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ 『角川かどかわ日本にっぽん地名ちめい大だい辞典じてん：広島ひろしま県けん』p.76。
^ 大河おおかわ小学校しょうがっこうの歴史れきし
^ “サンリブグループ”. www.sunlive.co.jp. 2022年ねん4月がつ13日にち閲覧えつらん。
^ 英えい橋きょう・記念きねん碑ひ