松山まつやま善よし三さん

松山まつやま 善よし三さん（まつやま ぜんぞう、1925年ねん4月がつ3日にち - 2016年ねん8月がつ27日にち）は、映画えいが監督かんとく、脚本きゃくほん家か。

まつやま ぜんぞう 松山まつやま 善よし三さん
松山まつやま善よし三さんと高峰たかみね秀子ひでこ。婚約こんやく発表はっぴょうをした頃ころ（1955年ねん）
生年月日せいねんがっぴ	(1925-04-03) 1925年ねん4月がつ3日にち
没ぼつ年月日ねんがっぴ	(2016-08-27) 2016年ねん8月がつ27日にち（91歳さい没ぼつ）
出生しゅっしょう地ち	日本にっぽん・兵庫ひょうご県けん神戸こうべ市し生うまれ （神奈川かながわ県けん横浜よこはま市し育そだち）
職業しょくぎょう	映画えいが監督かんとく･脚本きゃくほん家か
ジャンル	映画えいが
活動かつどう期間きかん	1948年ねん - 2016年ねん
配偶はいぐう者しゃ	高峰たかみね秀子ひでこ（2010年ねんに死別しべつ）
著名ちょめいな家族かぞく	斎藤さいとう明美あけみ（養女ようじょ）
受賞じゅしょう 日本にっぽんアカデミー賞しょう 優秀ゆうしゅう脚本きゃくほん賞しょう 1993年ねん『虹にじの橋はし』『望郷ぼうきょう』 ブルーリボン賞しょう 脚本きゃくほん賞しょう 1961年ねん『名なもなく貧まずしく美うつくしく』『二人ふたりの息子むすこ』 その他たの賞しょう 毎日まいにち映画えいがコンクール 脚本きゃくほん賞しょう 1961年ねん『人間にんげんの條件じょうけん』 『名なもなく貧まずしく美うつくしく』『二人ふたりの息子むすこ』

人物じんぶつ・来歴らいれき

神戸こうべに生うまれ、横浜よこはまで育そだつ。

1944年ねん、横浜よこはま第だい三さん中学校ちゅうがっこう（現げん・神奈川かながわ県立けんりつ横浜よこはま緑ケ丘みどりがおか高等こうとう学校がっこう）卒業そつぎょう後ご、岩手いわて医学いがく専門せんもん学校がっこう（現げん・岩手医科大学いわていかだいがく）薬学部やくがくぶに入学にゅうがくするが、1946年ねん中退ちゅうたい。雑誌ざっし社しゃでアルバイトをしているときに、斎藤さいとう良輔りょうすけ門下もんかの脚本きゃくほん家かと知しり合あい、映画えいがに興味きょうみを持もつ。

1948年ねん、助監督じょかんとく公募こうぼに合格ごうかくして松竹しょうちく大船おおふな撮影さつえい所しょ助監督じょかんとく部ぶに入社にゅうしゃする。中村なかむら登のぼる、吉村よしむら公こう三郎さぶろうにつくかたわら、同期どうき入社にゅうしゃの斎藤さいとう武市たけいち、中平なかひら康やすし、鈴木すずき清きよし順じゅんらと「赤あか八はち会かい」というグループを作つくり、同人どうじん雑誌ざっしにシナリオを発表はっぴょうする。それが、木下きのした惠めぐみ介かいに認みとめられ、1950年ねんの『婚約こんやく指輪ゆびわ』で木下きのした監督かんとくにつき、次つぎの『カルメン故郷こきょうに帰かえる』からは、シナリオの口述こうじゅつ筆記ひっきに携たずさわった。この「木下きのした学校がっこう」の兄弟子あにでしに小林こばやし正樹まさきや川頭かわがしら義郎よしおがいる。あらかじめ作つくった構成こうせいにこだわらない木下きのした流りゅうの書かき方かたをここで会得えとくすることになる。

1954年ねん、川口かわぐち松太郎まつたろうの原作げんさくを映画えいが化かした『荒城こうじょうの月つき』で脚本きゃくほん家かデビューする。その前年ぜんねんに書かいたオリジナルシナリオ『美よしわしき歳月さいげつ』も1955年ねんに小林こばやし正樹まさき監督かんとくで映画えいが化かされた。この作品さくひん以来いらい、一貫いっかんして叙情じょじょう性せい豊ゆたかなヒューマニズムが持もち味あじとなる。同年どうねん、女優じょゆうの高峰たかみね秀子ひでこと結婚けっこんする。以後いご、成瀬なるせ巳喜男みきお監督かんとくの『娘むすめ・妻つま・母はは』、川島かわしま雄三ゆうぞう監督かんとくの『接吻せっぷん泥棒どろぼう』、渋谷しぶや実みのる監督かんとくの『好こう人ひと好日こうじつ』、小林こばやし正樹まさき監督かんとくの『あなた買かいます』など多数たすうの脚本きゃくほんを手てがける。

1961年ねん、若わかくして結婚けっこんした聴覚ちょうかく障害しょうがい者しゃの夫婦ふうふの第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん末期まっきから戦後せんごにかけての生活せいかつを描えがいた『名なもなく貧まずしく美うつくしく』で監督かんとくデビューする。この作品さくひんは、毎日まいにち映画えいがコンクールとブルーリボン賞しょうの脚本きゃくほん賞しょうを受賞じゅしょうする。

その後ごも、『ふたりのイーダ』、『典子のりこは、今いま』などの話題わだい作さくを監督かんとくする傍かたわら、『人間にんげんの條件じょうけん』『人間にんげんの証明しょうめい』、『恍惚こうこつの人ひと』、『親分おやぶんはイエス様さま』のような大作たいさく、話題わだい作さくの脚本きゃくほんもこなし続つづけていた。『人間にんげんの証明しょうめい』の脚本きゃくほんは、プロアマ問とわずとの条件じょうけんで実施じっしされた公募こうぼに応おうじたもので、ベテランの身みでありながら一般いっぱん公募こうぼにあえて応募おうぼする気骨きこつを見みせた。応募おうぼ者しゃの名なを伏ふせて角川かどかわ春樹はるきプロデューサー、佐藤さとう純じゅん彌わたる監督かんとくらによる選考せんこう会かいは『キネマ旬報きねまじゅんぽう』707号ごう(1977年ねん5月がつ1日にち刊行かんこう)誌上しじょうで公開こうかいされたが、すべての応募おうぼ作品さくひんが酷評こくひょうされる惨憺さんたんたるものであり、「いちばん修正しゅうせいしやすい」との消極しょうきょく的てき理由りゆうで入選にゅうせん作さくを決定けっていした。しかし、ふたを開あけてみれば、誰だれにとっても大だい先輩せんぱいである松山まつやまの脚本きゃくほんだったという気きまずい結果けっかとなった。なお、最終さいしゅう選考せんこうに残のこった４点てんはすべてプロの脚本きゃくほん家かか映画えいがプロデューサーの応募おうぼ作品さくひんであった。

1987年ねんに紫綬褒章しじゅほうしょう、1995年ねんに勲くん四よん等とう旭日きょくじつ小しょう綬章じゅしょうを受章じゅしょう。

近年きんねんは、『虹にじの橋はし』、『新あたらしい風ふう 若わかき日ひの依田よだ勉つとむ三さん』（原作げんさく、脚本きゃくほんのみ）など、歴史れきし上じょうの人物じんぶつに題材だいざいをとった骨太ほねぶとな作品さくひんを手てがけていた。

このほか、美空みそらひばりの歌唱かしょうにより知しられる、広島ひろしま市しへの原子げんし爆ばく弾だん投下とうかを題材だいざいとした『一本いっぽんの鉛筆えんぴつ』の作詞さくしを行おこなっている。

2016年ねん8月がつ27日にち午後ごご8時じ41分ふん、老衰ろうすいのため、東京とうきょう都内とないの自宅じたくで死去しきょ。91歳さい没ぼつ。

主おもな作品さくひん

『名なもなく貧まずしく美うつくしく』（1961年ねん）

『われ一いち粒つぶの麦むぎなれど』（1964年ねん）

• 美びわしき歳月さいげつ（1955年ねん、松竹しょうちく）
• あこがれ（1955年ねん、松竹しょうちく）
• 泉いずみ（1956年ねん、松竹しょうちく）
• 黒くろい河かわ（1956年ねん、松竹しょうちく）
• あなた買かいます（1956年ねん、松竹しょうちく）
• 忘わすれえぬ慕情ぼじょう（1956年ねん、松竹しょうちく）
• 有楽町ゆうらくちょう0番地ばんち（1958年ねん、松竹しょうちく）
• 人間にんげんの條件じょうけん 第だい一部いちぶ 純愛じゅんあい篇へん、第だい二に部ぶ 激怒げきど篇へん、第だい三さん部ぶ 望郷ぼうきょう篇へん、第だい四よん部ぶ 戦雲せんうん篇へん（1959年ねん、松竹しょうちく）
• 娘むすめ・妻つま・母はは（1960年ねん、東宝とうほう）
• 接吻せっぷん泥棒どろぼう（1960年ねん、東宝とうほう）
• 名なもなく貧まずしく美うつくしく（1961年ねん、東宝とうほう） 監督かんとく
• 人間にんげんの條件じょうけん　完結かんけつ篇へん（1961年ねん、松竹しょうちく）
• 好こう人ひと好日こうじつ（1961年ねん、松竹しょうちく）
• 山河さんがあり（1962年ねん、松竹しょうちく）監督かんとく
• ぶらりぶらぶら物語ものがたり（1962年ねん、東宝とうほう） 監督かんとく
• 乱みだれる（1964年ねん、東宝とうほう）
• われ一いち粒つぶの麦むぎなれど（1964年ねん、東宝とうほう） 監督かんとく
• 戦場せんじょうにながれる歌うた（1965年ねん、東宝とうほう） 監督かんとく
• 六ろく條じょうゆきやま紬つむぎ（1965年ねん、東宝とうほう） 監督かんとく
• お嫁よめにおいで（1966年ねん、東宝とうほう）
• 沈丁花じんちょうげ（1966年ねん、東宝とうほう) 原作げんさく、脚本きゃくほん
• 千曲川ちくまがわ絶唱ぜっしょう（1967年ねん、東宝とうほう）
• 続ぞく・名めいもなく貧まずしく美うつくしく（1967年ねん、東宝とうほう） 監督かんとく
• その人ひとは昔むかし（1967年ねん、東宝とうほう） 監督かんとく
• 日本にっぽん万国博覧会ばんこくはくらんかい 虹にじの塔とう（1970年ねん、日本にっぽん専売せんばい公社こうしゃ）構成こうせい演出えんしゅつ
• 恍惚こうこつの人ひと（1973年ねん）
• 立山たてやま（1973年ねん） 監督かんとく
• 忍しのぶ糸いと（1973年ねん）
• 野獣やじゅう狩かり（1973年ねん）
• 沖縄おきなわ海洋かいよう博はく（1976年ねん、ニュース映画えいが製作せいさく者しゃ連盟れんめい・東宝とうほう） 総そう監督かんとく
• ふたりのイーダ（1976年ねん） 監督かんとく
• 泣なきながら笑わらう日ひ（1976年ねん） 監督かんとく
• 人間にんげんの証明しょうめい（1977年ねん）
• 典子のりこは、今いま（1981年ねん） 監督かんとく
• 母ははの悲劇ひげき（1982年ねん） 監督かんとく
• 潮騒しおさい伝説でんせつ（作画さくが：ながやす巧たくみ） 原作げんさく
• 母はは（1988年ねん） 監督かんとく
• ミュージカル坂本さかもと龍馬りょうま（1989年ねん・1991年ねん、フジテレビ等とう）制作せいさく・作詞さくし
• 望郷ぼうきょう（1993年ねん）
• 虹にじの橋はし（1993年ねん） 監督かんとく
• ホーム・スイートホーム（2000年ねん）
• 親分おやぶんはイエス様さま（2001年ねん）
• 新あたらしい風ふう 若わかき日ひの依田よだ勉つとむ三さん（2004年ねん）

評伝ひょうでん

• 斎藤さいとう明美あけみ『高峰たかみね秀子ひでこが愛あいした男おとこ』ハースト婦人画報社ふじんがほうしゃ、2012年ねん／河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、2017年ねん。 

その他た

• 1989年ねん、飯めし能よくすの樹きカントリー倶楽部くらぶを設立せつりつ。同どうゴルフ場じょうが散布さんぷする農薬のうやくの飛散ひさん被害ひがいにおいて、隣接りんせつする自由じゆうの森学園もりがくえんから抗議こうぎがあった際さい、訪おとずれた高校生こうこうせいたちをにらみつけて逃にげ去さるという一幕ひとまくがテレビ放映ほうえいされた。そもそも同どうゴルフ場じょうの開設かいせつが遅おくれたのは、周辺しゅうへん住民じゅうみんの反対はんたいがあったからである。

同どうカントリークラブは2003年ねん、約やく400億おく円えんの負債ふさいで破産はさん宣告せんこくを受うけた。

外部がいぶリンク

• 松山まつやま善よし三さん - 日本にっぽん映画えいがデータベース