(Translated by https://www.hiragana.jp/)
脚本 - Wikipedia

脚本きゃくほん

物語ものがたりしめ展開てんかいてき役割やくわりたす文章ぶんしょう

脚本きゃくほん(きゃくほん、えい: screenplayあるいはscript)とは、演劇えんげき映画えいが・テレビ放送ほうそう・ラジオ放送ほうそうなどの台本だいほん[1]。「いつ・どこで・だれが」(場所ばしょにん)をしめはしらおよび台詞せりふト書とがだけで構成こうせいされた設計せっけいてき役割やくわりになうテキスト。映画えいがのものはとくシナリオ (scenario) とばれる。

墓場はかば鬼太郎おにたろう仮題かだい』の脚本きゃくほん台本だいほん

概要がいよう

編集へんしゅう

小説しょうせつとは形式けいしきことなる。

脚本きゃくほんでは文学ぶんがくてき表現ひょうげん美文びぶん要求ようきゅうされず、小説しょうせつなどでは活用かつようされる主観しゅかん描写びょうしゃ登場とうじょう人物じんぶつ心情しんじょうなど)は極力きょくりょく排除はいじょされる。ラジオやテレビ、映画えいがなどのメディアによって、そのメディアの特質とくしつ慣習かんしゅうしたがった一定いっていのフォーマットが推奨すいしょう、または必須ひっすとされる場合ばあいがある。

かたは、よく絵画かいが彫刻ちょうこくつく方法ほうほうたとえられる。絵画かいがでは画用紙がようしやキャンバスに絵具えのぐけたふでで、いきなり人物じんぶつかおえがひとはいない。また彫刻ちょうこくでも丸太まるた彫刻ちょうこくがたなたてて、から丁寧ていねいひともいない。絵画かいがではまず全体ぜんたいあら素描そびょう(デッサン)し、つぎ完成かんせい予測よそくしながら下書したがきをし、そのつぎにバランスをながら細部さいぶ徐々じょじょ仕上しあげていく。脚本きゃくほん同様どうように、どこからストーリーをはじめてどこにかってすすんでいくのか。そしてひろがったストーリーの最後さいごはどう収束しゅうそくするのか。それらのバランスに配慮はいりょしつつ、まず(絵画かいがのデッサンに相当そうとうする)プロットき、それからいてゆく。

脚本きゃくほんは、監督かんとくプロデューサーなどとわせをしつつつくげていくことがおおい。(とく映画えいがでは)スポンサーとのわせがおこなわれることもある。また出演しゅつえん俳優はいゆう大物おおもの俳優はいゆうだったりすると、俳優はいゆうからの細部さいぶ修正しゅうせい要望ようぼうはいってしまう事態じたいになることもある。

映画えいが場合ばあいでは、わせと執筆しっぴつ平行へいこうしておこなわれることがおおく、このたびに印刷いんさつ製本せいほんされることがおおい。このため、準備じゅんび稿こう改定かいてい稿こう決定けってい稿こうはんかさねることになる。改定かいていはほぼすべえる場合ばあいから些細ささい部分ぶぶん修正しゅうせいするにめる場合ばあいもあり、準備じゅんび稿こう決定けってい稿こう、さらにつくられた映画えいがとはストーリーが大幅おおはばことなっていることもある。さらに日程にってい予算よさん都合つごうで、実際じっさい撮影さつえいはいっても改定かいていおこなわれる場合ばあいがあり、脚本きゃくほんあるいは監督かんとく現場げんば執筆しっぴつする場合ばあいもある。これは「号外ごうがい」ともばれる。

執筆しっぴつかかわる脚本きゃくほんかず、および脚本きゃくほんとともに監督かんとく脚本きゃくほんかかわる場合ばあいは、作品さくひんてき価値かちだけではなく印税いんぜい使用しようりょう著作ちょさくけんなどの配分はいぶん影響えいきょうすることがおおく、昨今さっこん監督かんとく脚本きゃくほん執筆しっぴつすることもおおい。戯曲ぎきょく単独たんどく執筆しっぴつすることがおおい。

脚本きゃくほんは、小説しょうせつとはことなり、複数ふくすうひとによってかれることがそれなりにある。テレビドラマシリーズでは、執筆しっぴつ作業さぎょう負荷ふかおおきさや放送ほうそうスケジュールを考慮こうりょして、すうめい交代こうたい担当たんとうすることもある。テレビドラマシリーズで視聴しちょうりつ低迷ていめいすれば、途中とちゅう脚本きゃくほん交代こうたいすることもある。またいちなかでも複数ふくすうめい関与かんよする場合ばあいもある。

基本きほんてきに、戯曲ぎきょくのぞいて脚本きゃくほん単独たんどく発表はっぴょうされない。はら作品さくひん映像えいぞう漫画まんがすることでひとつの作品さくひんとみなされる。そのために脚本きゃくほん存在そんざいかんよわくなり、監督かんとくやプロデューサーらが無断むだん改変かいへんしてあらそ事例じれい散見さんけんされる。戯曲ぎきょく場合ばあい脚本きゃくほんのみで発表はっぴょうされることもおおい。

従来じゅうらい日本にっぽん脚本きゃくほんもちいられた原稿げんこう用紙ようし基本きほんてきに200字詰じづめ(20×10ぎょう)で、この原稿げんこう用紙ようし状態じょうたい脚本きゃくほんは「ペラ」ともばれる。近年きんねんはテキストエディタをもちいることがおおい。役者やくしゃわたまえ印刷いんさつ製本せいほんするので、製本せいほんした状態じょうたいにすると「台本だいほん」(ほん)とぶ。

種類しゅるい

編集へんしゅう
台本だいほん
元来がんらい脚本きゃくほん台本だいほんしょうしたが、現在げんざい演者えんじゃ使つかわれる台詞せりふとく中心ちゅうしんとしたものをすことがおおい。
台帳だいちょうあるいは正本まさもと(しょうほん)、根本こんぽん(ねほん)[1]
歌舞伎かぶき脚本きゃくほんふるかた[1]歌舞伎かぶき昨今さっこん脚本きゃくほんしょうする[1]
シナリオ。
シナリオは映画えいが脚本きゃくほん台本だいほん[2]。scenarioはアメリカの映画えいが用語ようごである。scenarioの表現ひょうげんを、その語源ごげんから説明せつめいすると、もとはラテン語らてんごのscena(舞台ぶたい場面ばめん という意味いみ言葉ことば)から派生はせいした言葉ことばであり[2]、イタリアではイタリア演劇えんげきオペラの "場面ばめん(シエーナ)をつないだ筋書すじがき" の意味いみ使つかわれていた(もともとは即興そっきょうげきようのおおまかなすじいたものを意味いみしていた[3]とも)、てんじてアメリカで映画えいが用語ようごとして使つかわれた。
日本にっぽんでアメリカの映画えいが用語ようごの「シナリオ」を使つかはじめた経緯けいいは、1920ねん松竹しょうちく映画えいが事業じぎょうすため、アメリカから招聘しょうへいしたヘンリー・小谷おたにがアメリカの映画えいが用語ようごのsecenarioを使つかったことにはじまる。それまでは日本にっぽんでは「台本だいほん」としょうした[4]
「シナリオ」の辞書じしょ基本きほんてき用法ようほうとしては、映像えいぞうげき脚本きゃくほん舞台ぶたい脚本きゃくほんから区別くべつするために使つかわれる。
「シナリオ」は、コンピュータゲーム制作せいさくするために時代じだい場所ばしょ人物じんぶつ(キャラクター)の設定せっていやセリフなどをいたテキストをすためにも使つかわれる。
映像えいぞう脚本きゃくほん
編集へんしゅうにより撮影さつえいから前後ぜんご不要ふよう部分ぶぶんられたひとつの動画どうがをカットとしょうする。カットは「屋外おくがいひるひかりのもと少女しょうじょかおうえ見上みあげる」などの単一たんいつ映像えいぞうである。このカットがあつまって「昼間ひるま草原そうげんで。少女しょうじょそら見上みあげる。まぶしい太陽たいようほそめる。ははこえこえく、ははがやってくる」などの同一どういつ場所ばしょおな時間じかんながれでひとつの場面ばめんつくり、これをシーンとしょうする。シーンがあつまって「少女しょうじょはは再会さいかい」などの単一たんいつのストーリー(エピソード)になり、これをシークエンスとしょうする。さらにそのシークエンスがあつまり「父母ちちはは離婚りこんははわかれた少女しょうじょすうねんにまた同居どうきょする」などのおおきなストーリー(エピソード)になる。そしてさらにこのパターンがあつまったものが作品さくひんである。つまりカットの集合しゅうごうはシーンを形成けいせいし、それの集合しゅうごうはシークエンスを形成けいせいし、それの集合しゅうごう作品さくひん形成けいせいする。その設計せっけいである脚本きゃくほんでは作品さくひん最終さいしゅうてきにはカットの集合しゅうごう表現ひょうげんされることを意識いしきしつつも同一どういつ場所ばしょ時間じかんごとであるシーンごとにその場面ばめん内容ないよう記述きじゅつする。
脚本きゃくほん関係かんけいしゃ全員ぜんいん作品さくひんとその内容ないようについて統一とういつされたイメージをつための唯一ゆいいつ基礎きそになる。作品さくひん中核ちゅうかくとなるアイデアとストーリー、登場とうじょう人物じんぶつたち性格せいかくけ、物語ものがたり整合せいごうせい脚本きゃくほん完成かんせいしていなければならない。また、脚本きゃくほん作品さくひん規模きぼ完成かんせいまでの作業さぎょう期間きかん必要ひつよう予算よさん見積みつもるためにも必要ひつようである。
関係かんけいしゃ脚本きゃくほんもとづいてそれぞれの担当たんとう分野ぶんやでのプランを作成さくせいする。役者やくしゃ脚本きゃくほんもとづいてやく肉付にくづけをかんがえ、照明しょうめいスタッフは照明しょうめいプランを、美術びじゅつスタッフはセットや衣装いしょうのプランを、音響おんきょうスタッフは音響おんきょうプランを、特撮とくさつスタッフは特撮とくさつカットのプランをげていく。
よって、そこには一定いってい文法ぶんぽうなり、書式しょしき存在そんざいする。かつて溝口みぞぐち健二けんじが、修行しゅぎょう時代じだい新藤しんどう兼人かねと脚本きゃくほん一読いちどくし、「これは脚本きゃくほんではなくストーリーだ」とコメントしたことに象徴しょうちょうされる。ただし最近さいきん[いつ?]では、漫画まんがふうコンテとアバウトな説明せつめいだけを用意よういする岩井いわい俊二しゅんじや、登場とうじょう人物じんぶつ台詞せりふすべ役者やくしゃのアドリブにまかせる石川いしかわひろしなど、従来じゅうらいのスタイルとはことなる脚本きゃくほん使用しようする監督かんとく少数しょうすうながらいる。
演劇えんげき舞台ぶたい作品さくひん)の脚本きゃくほん
稽古けいこ段階だんかい演出えんしゅつ演技えんぎ指導しどうこまかくはい場合ばあいおおく、したがってト書とがきは極端きょくたんすくなく、台詞せりふだけで構成こうせいされることがおおい。美術びじゅつ舞台ぶたい監督かんとく本番ほんばんちか舞台ぶたい装置そうち稽古けいこじょう仮設かせつし、音響おんきょう照明しょうめいスタッフは芝居しばいつくられるにしたがって、演出えんしゅつがねらった効果こうかつくげていく。
戯曲ぎきょく
舞台ぶたい演劇えんげき脚本きゃくほんのなかでも、テキスト(もの)として鑑賞かんしょうできるものは戯曲ぎきょくともばれる。通常つうじょう戯曲ぎきょく」とうと、印刷いんさつされたテキスト自体じたい独立どくりつした作品さくひんとしてんで鑑賞かんしょうすることができる水準すいじゅん作品さくひんであることを意味いみする。シェークスピア作品さくひんぐんは、すぐれた古典こてん戯曲ぎきょくであり(つまり、印刷いんさつされた古典こてん文学ぶんがく作品さくひんとしてたのしめ)、同時どうじにそのままでとくじょう演劇えんげき台本だいほん演劇えんげき脚本きゃくほん)である[1](つまり舞台ぶたい上演じょうえんよう脚本きゃくほんとしてもちいても最上級さいじょうきゅうのものである)。一方いっぽう作家さっかによっては、表現ひょうげんしたいこと(読者どくしゃつたえたいこと)と作品さくひん形式けいしき関係かんけい熟慮じゅくりょして、あえて小説しょうせつではなく戯曲ぎきょく形式けいしき脚本きゃくほん形式けいしき)で作品さくひんいて、そもそもそれが未来永劫みらいえいごう舞台ぶたい上演じょうえんされることを全然ぜんぜん期待きたいしない場合ばあいもあり、つまりあくまで最初さいしょから読者どくしゃに "もの" としてたのしんでもらう目的もくてき戯曲ぎきょく形式けいしき脚本きゃくほん形式けいしき)で作品さくひんくこともある。
漫画まんが原作げんさくなか脚本きゃくほん形式けいしきのもの
漫画まんが作品さくひん原作げんさくには脚本きゃくほん形式けいしきのものもふくまれる。ただし漫画まんが原作げんさく脚本きゃくほん形式けいしきでないものもありべつ概念がいねんであり、本来ほんらいとう記事きじ説明せつめいするのが妥当だとう微妙びみょうなので(おそらくは本来ほんらいは【漫画まんが原作げんさく】というべつ記事きじてるべきなので)、詳細しょうさい末尾まつび#漫画まんが原作げんさくふし説明せつめい

物語ものがたり簡単かんたん紹介しょうかいしたもの。よんひゃくからはちひゃく程度ていどにまとめ、エンディングまでく。最初さいしょ必要ひつようなもの。スポンサーやプロデューサーによっては、あらすじがないと脚本きゃくほんまないことがおおい。一般いっぱんてきにストーリーやプロットとばれることがあるが、これらはべつなものになる。企画きかくしょとはことなる。

ストーリー
物語ものがたり表面ひょうめんあさくなぞったもの。ふかげたものは必要ひつようなく、あらすじよりもみじかく、がりを誇張こちょうして企画きかくしょ添付てんぷすることがおおい。
プロット
構成こうせい展開てんかい意識いしきしたもの。ストーリーやあらすじよりもげ、脚本きゃくほん執筆しっぴつ準備じゅんびちかいもの。

人物じんぶつひょう

編集へんしゅう
脚本きゃくほん戯曲ぎきょく
脚本きゃくほんなか登場とうじょうする人物じんぶつ主役しゅやくから端役はやくまで一覧いちらんひょうにしたもの。主要しゅよう人物じんぶつ名前なまえ年齢ねんれい性別せいべつ人物じんぶつ関係かんけいまれる。名前なまえのつかない人物じんぶつは、通行人つうこうにん1、しくは店員てんいんAなどの記号きごう表記ひょうきする。
漫画まんが原作げんさく
書式しょしき脚本きゃくほんおなじ。身長しんちょうかお特徴とくちょう、またキャラクターをてる行動こうどう要求ようきゅうされる。《れい両津りょうつかんきち(28)警察けいさつしょ巡査じゅんさ》など。性別せいべつ人間にんげん関係かんけい割愛かつあいされることがおおい。

はしら

編集へんしゅう

※「はしら」「はしらしょ」などともぶ。

脚本きゃくほん漫画まんが原作げんさく
シーンの最初さいしょかれ、その場所ばしょ時間じかんしめしている。はしらあたまにはシーンナンバーをる。シーンナンバーはわせを円滑えんかつすすめ、映像えいぞう場合ばあい撮影さつえい計画けいかく、または編集へんしゅう作業さぎょう必要ひつようとされる。
れい:○警察けいさつしょ外観がいかんよる)》など。原稿げんこう執筆しっぴつする段階だんかいでは、シーンナンバーは○でしめされる。これはシーンが移動いどうする場合ばあいがあるため。印刷いんさつされる段階だんかいで、はじめてシーンナンバーをることがほとんどである。
英語えいごでは、sluglineとぶ。場所ばしょ名称めいしょうまえに、その場所ばしょ内側うちがわなのか外側そとがわなのかをあらわすために、INT(うち)やEXT(そと)などの記号きごう付記ふきするのが、アメリカ映画えいが脚本きゃくほんでは一般いっぱんてきである。たとえば、ただ「ジョージのいえ」といてあっても、いえまえなのか室内しつないなのかが区別くべつできないからである。
戯曲ぎきょく
舞台ぶたい装置そうち転換てんかんしてシーンをえることを「」。まくろすほどの場面ばめん転換てんかん休憩きゅうけいはさあいだを「まく」という。したがって戯曲ぎきょくはしらたる部分ぶぶんはそれにナンバーをけたものがかれる。《れいだい一幕ひとまく だい一場いちじょう 下町したまち路上ろじょう》など。

台詞せりふ(セリフ)

編集へんしゅう
脚本きゃくほん
登場とうじょう人物じんぶつがしゃべる言葉ことばを「」でくくって記述きじゅつする。「のまえ役者やくしゃ役名やくめい記述きじゅつする。性別せいべつかりやすいように男性だんせい名字みょうじ女性じょせい名前なまえくのが一般いっぱんてき。ナレーションの場合ばあいはNとく。そのにいない(映像えいぞうでは画面がめんうつっていない)人物じんぶつ台詞せりふは、冒頭ぼうとうに(OFF)《み:オフ・ボーカル》とくことで指定していする。内心ないしん台詞せりふは(M)《み:モノローグ》と表記ひょうきする。《れい両津りょうつ(OFF)「そんなことが……」》または《れい山田やまだこえ「そんなことが……」》など。
戯曲ぎきょく
書式しょしき脚本きゃくほんおなじ。劇場げきじょう規模きぼによっては、役者やくしゃ演技えんぎ道具どうぐ小道具こどうぐえない場合ばあい多々たたあるため、または演出えんしゅつねらいで状況じょうきょう台詞せりふ説明せつめいする場合ばあいおおい。これによって、だい怪獣かいじゅうあらわれたり、すうひゃくにん機動きどうたいかこまれたりする芝居しばい世界せかいかんつくす。台詞せりふながれを印象いんしょうけるため、「倒置とうちほう」の台詞回せりふまわしを使つかうことがある。《れい:「今日きょうはいい天気てんきだね」→「いい天気てんきだね! 今日きょうは」》など。
漫画まんが原作げんさく
書式しょしき脚本きゃくほんおなじ。台詞せりふしにおさまるように要求ようきゅうされる。ちょう台詞せりふ場合ばあいさんぎょう台詞せりふがあって行動こうどうト書とがき)し、さんぎょう台詞せりふかえす。基本きほんてきにはテキストなので、「強敵きょうてき(ライバル)」または「友人ゆうじん(ライバル)」などのルビをれて、ふたつの意味いみたせることもある。擬音ぎおん(オノマトペ)なども原作げんさくしゃ仕事しごとである。語尾ごびなどにキャラクターをてる台詞せりふ要求ようきゅうされることもある。《れい:「…だよーん」「…なのだ」》など。
ナレーション
登場とうじょう人物じんぶつ心象しんしょう内心ないしん人間にんげん関係かんけい説明せつめい状況じょうきょう事情じじょうなどをかたるときに使つかわれる。登場とうじょう人物じんぶつみずからがナレーションする場合ばあいと、べつにナレーターをてる場合ばあいがある。
多用たようすると、映像えいぞう作品さくひんとしての意味いみわれる場合ばあいがあるので、あまりこのまれないが、せたいシーンの構成こうせいや、ったストーリーでは物語ものがたり整理せいりをつけ、かりやすくするために使つかわれる。同様どうよう意味いみで、物語ものがたり冒頭ぼうとうでテキストされることもある。

ト書とがき」の言葉ことば由来ゆらい歌舞伎かぶき台本だいほんの「…とがりながら」などの「と」からている。文体ぶんたいは「…であった」などの過去かこがたではなく「…である」などの現在進行形げんざいしんこうけいくのが一般いっぱんてきである。

脚本きゃくほん
登場とうじょう人物じんぶつ動作どうさや、照明しょうめい演出えんしゅつおおまかな指示しじ記述きじゅつする。える具体ぐたいてき動作どうさくことが必須ひっすとされており、人物じんぶつ心理しんり描写びょうしゃ抽象ちゅうしょうてき表現ひょうげんくことは通常つうじょうおこなわれない。必要ひつようならば映像えいぞう効果こうか指定していする。最終さいしゅうてきには監督かんとく演出えんしゅつ采配さいはいゆだねるが、これは台詞せりふ人物じんぶつ性格せいかくりにすると同様どうよう映像えいぞう描写びょうしゃかかわることは脚本きゃくほん仕事しごとである。ま男女だんじょからみ、いわゆるやアクションなどはストーリーのながれだけき、具体ぐたいてきなことはかない。このながさで全体ぜんたいしゃくながさが左右さゆうされることがおおく、アクションはとく殺陣師たてし領域りょういきになるためである。
戯曲ぎきょく
舞台ぶたいじょうなにがあるか。役者やくしゃいたきか。上手じょうず下手へたどちらからるかが中心ちゅうしんになる。舞台ぶたい装置そうちとのがらみがあればそれもくが、重要じゅうようでなければかない。台詞せりふよりも映像えいぞう作画さくがせる脚本きゃくほんまたは漫画まんが原作げんさくとはここがおおきくちがう。台詞せりふだけでストーリーがかり、役者やくしゃ演出えんしゅつ自由じゆう表現ひょうげんできる「あそび」がある。様式ようしきまっている歌舞伎かぶき台本だいほん戯曲ぎきょくとは、今日きょうではおおきなへだたりがある。
漫画まんが原作げんさく
美術びじゅつ小道具こどうぐ衣装いしょうなどのスタッフがいないためト書とがきのほか必要ひつようならば設定せっていしょ作成さくせいすべく(主人公しゅじんこうはタバコをうか。うなら銘柄めいがらなにか。マッチかライターか。ライターなら〜など)。時代じだい年代ねんだいおおきくかれる場合ばあいは、そのストーリーの年表ねんぴょう作成さくせいする。原作げんさくうえ収集しゅうしゅうした資料しりょうなど、作画さくがにも必要ひつようなものはそろえる場合ばあいもある。、アクション・シーンもできるだけ具体ぐたいてきに、なおかつ荒唐無稽こうとうむけいつくりこむ。ストーリーの構成こうせい起承転結きしょうてんけつではなく、「おこりうけたまわてん」までで、きをつくる。これは連載れんさいでもりでもおなじだが、ストーリーの内容ないようによってはラスト・シーンに作画さくがせる余韻よいんつくる。1ページのだいゴマや見開みひらきなどの指定してい要求ようきゅうされる場合ばあいもある。梶原かじはらいち少年しょうねん小説しょうせつ出身しゅっしんなので、原作げんさく小説しょうせつしきいていた。
脚本きゃくほん戯曲ぎきょく
テーマの訴求そきゅうしゃく時間じかん)の制限せいげん。シーンとシークエンスの整理せいりなどの作業さぎょうたとえば起承転結きしょうてんけつよっつのハコに見立みたてたものを、だいバコとい、さらに具体ぐたいてき構成こうせいしたものをしょうバコとしょうする。台詞せりふまでかない、ト書とがきのかさねがおおい。この時点じてん制作せいさくしゃ演出えんしゅつとの打合うちあわせをする。
だいバコ
おおまかな構成こうせい。ここではトーンを統一とういつするが具体ぐたいてきなことはかない。テーマを「起承転結きしょうてんけつ」にとしんでいく作業さぎょうのみにかぎられる。
ゆい」、としどころ(ラスト・シーン)をめてから、ストーリーの雰囲気ふんいきつかむ「おこり」(ファースト・シーン)をかんがえ、「うけたまわ」でストーリーをころがして「てん」でサプライズをつく場合ばあいおおい。
ちゅうバコ
シークエンスのかんがかただいバコでつくった「おこり」(ファースト・シーン)のなかにも「起承転結きしょうてんけつ」がある。ここで主要しゅよう人物じんぶつをどう紹介しょうかいするかなどをつくる。「うけたまわ」のなかでの起承転結きしょうてんけつは、主要しゅよう人物じんぶつ葛藤かっとう絶望ぜつぼうあらたなる希望きぼうなどでドラマをつくる。後半こうはんにサプライズがあれば、ここで伏線ふくせんる。ストーリーで一番いちばんなが面白おもしろせる場所ばしょ。「てん」のなかでの起承転結きしょうてんけつでは、いままでの「おこり」「うけたまわ」が助走じょそうであれば、ここでジャンプしたか跳躍ちょうやくする場所ばしょ。サプライズがあればさきつくってから「うけたまわ」に伏線ふくせん場合ばあいおおい。たかいジャンプが着地ちゃくちした場所ばしょが、「ゆい」のなかでの「おこり」になり、テンポのよい「うけたまわ転結てんけつ」(ラスト・シーン)をつくっていく。
しょうバコ
シーンのかんがかた必要ひつようならばカット・バックやモンタージュなどを挿入そうにゅうし、シークエンスをさらにこまかくつくむ。「おこり」の「おこり」のなかでの起承転結きしょうてんけつでは、主要しゅよう人物じんぶつまたは主人公しゅじんこう暴力ぼうりょくてきならばアクションではじめるのか、ぎゃくやさしい人物じんぶつせるのか。だれたいしてその行動こうどうらせるか。クセや特徴とくちょう眼鏡めがねけているか、ひるよるか、あめっているか、ったのちかなど、決定けっていしていく。「おこり」の「うけたまわ」のなかでの起承転結きしょうてんけつでは、もうストーリーははじまっているのか、これからまれていくのか、主人公しゅじんこう相棒あいぼうがいるならここですか、二人ふたり相性あいしょうはよいのかなどをつくり、「おこり」の「てん」のなかでの起承転結きしょうてんけつでは、敵対てきたいする相手あいてているなら、それにどう対処たいしょするか、主人公しゅじんこう相棒あいぼう相対そうたいする性格せいかくならば、ここでその性格せいかく明確めいかくにする。「おこり」の「ゆい」のなかでの起承転結きしょうてんけつでは、主人公しゅじんこう、または相棒あいぼうてた方法ほうほうにどちらかがられていく、またはべつ登場とうじょう人物じんぶつたすけをもとめにくるならそれを決定けっていし、「うけたまわ」の「おこり」のなか起承転結きしょうてんけつにつなげていく。
ここまでで、「だいバコの起承転結きしょうてんけつ」からさらに「ちゅうバコの起承転結きしょうてんけつ」、そして「しょうバコの起承転結きしょうてんけつ」まで具体ぐたいし、必要ひつようならば「しょうバコの起承転結きしょうてんけつなか起承転結きしょうてんけつ」まで具体ぐたいする。各々おのおの人物じんぶつぞうかびがる、または確定かくていしているはずなので、うべき台詞せりふまることがおおい。あえて台詞せりふつくむことで人物じんぶつ強調きょうちょうさせる。
作家さっかまたは作品さくひんにより、順序じゅんじょまえてく。に、だいバコからしょうバコにうつる。またはしょうバコをいてから、だいバコになおして整理せいりするなどの方法ほうほうをとる。

脚本きゃくほん料金りょうきん目安めやす基本きほん相場そうば

編集へんしゅう
テレビドラマ
基本きほん相場そうば放映ほうえい時間じかん1ふん=1まん、2あいだドラマをれいにすると実質じっしつ放映ほうえい時間じかん100ふん×1まんえん=100まんえん。ただし、拘束こうそく時間じかんは1ほんにつき1 - 3かげつ、そのあいだなんかい修正しゅうせいがある。
中堅ちゅうけんからベテランの場合ばあい、1あいだドラマ:80まん - 100まんえん、2あいだドラマ:120 - 200まんえん契約けいやくによるが、さい放送ほうそうされると脚本きゃくほんりょう半額はんがくはいる(最初さいしょ脚本きゃくほんりょうさい放送ほうそう1回分かいぶんふくまれている契約けいやく場合ばあい、2かいさい放送ほうそうから)。プロット:1ほん=1 - 10まんえん
映画えいが脚本きゃくほん
新人しんじんなら1ほん5 - 50まんえん新人しんじん以外いがいは1ふん=1まんえん。ベテランになれば、300まんえん以上いじょう大作たいさくでは1000まんえんもある(ただし拘束こうそく期間きかんながい)。
使用しようりょう(DVDとう
著作ちょさくしゃ印税いんぜい:1.75%。れい)DVD(3980えん)×1000ほん×0.0175=69650えん使用しようりょう。これらの収入しゅうにゅう定期ていきてきはいるわけではない(2007ねん7がつ現在げんざい)。

映像えいぞう作品さくひんのシナリオでもちいる略語りゃくご

編集へんしゅう

以下いかは、時間じかん経過けいかあらわすための撮影さつえい技術ぎじゅつ

  • F・I=フェードイン(徐々じょじょあらわれる)
  • F・O=フェードアウト(徐々じょじょえる)
  • C・I=カットイン(突然とつぜんあらわれる)
  • C・O=カットアウト(突然とつぜんえる)
  • O・L=オーバーラップ(ふたつのカットがかさなりってつぎのシーンにわる)
  • W・O=ワイプ・アウト(くるまのワイパーをるごとくシーンがわる、しくはえる)

映像えいぞう作品さくひんのシナリオの描写びょうしゃ手法しゅほう

編集へんしゅう
  • フラッシュ(非常ひじょうみじか回想かいそうしくはイメージ)
  • シャドウ(実態じったいせずに状況じょうきょう表現ひょうげんする)
  • モンタージュことなるカットやシーンのかさねで状況じょうきょう説明せつめいする)
  • スライド・ショウ(一連いちれんのシークエンスをカットでかさねる)

脚本きゃくほん脚色きゃくしょく著作ちょさくけん

編集へんしゅう

おおくのくに著作ちょさくけんほうでは翻案ほんあんけん同一どういつせい保持ほじけん保護ほごされるため、脚色きゃくしょくものの原作げんさくなど、著作ちょさくけん保護ほごされた作品さくひんげん著作ちょさくしゃ意向いこうがなければ脚色きゃくしょくできない。こうした場合ばあいには翻案ほんあん許諾きょだく契約けいやくや、改変かいへん同意どうい同一どういつせい保持ほじけん行使こうし特約とくやくむすばれる[5][6][7]。ただし同一どういつせい保持ほじけん人格じんかくけん一部いちぶとも、放棄ほうきできないともされるため、行使こうし特約とくやく法的ほうてき有効ゆうこうせいには諸説しょせつある[8]改変かいへん同意どうい具体ぐたいてき内容ないようともなわない場合ばあいは、かならずしも有効ゆうこうとはされていない[7]

脚本きゃくほんそのものにも著作ちょさくけんしょうじる。映画えいがれいとするならば、その脚本きゃくほんとの関係かんけいは、脚本きゃくほん原著げんちょ作物さくもつ映画えいがてき著作ちょさくぶつ関係かんけいになる[6]。この関係かんけいにおいても、演出えんしゅつ製作せいさくめんでのクリエイティブコントロール英語えいごばんした内容ないよう改変かいへんされることがあり、上述じょうじゅつ同様どうよう権利けんり問題もんだいをはらむ。

脚本きゃくほん学校がっこう教育きょういく(とくに義務ぎむ教育きょういく

編集へんしゅう

国語こくご教材きょうざいとして、教科書きょうかしょ脚本きゃくほんることもすくなくない。狂言きょうげん附子ふし』の現代げんだいやく木下きのした順二じゅんじの『夕鶴ゆうづる』・ シェイクスピアの『リアおう(の抜粋ばっすい)』などがそうだが、これらは舞台ぶたい脚本きゃくほんとしてあつかわれるよりも、戯曲ぎきょくとして文学ぶんがくあつかいされているともいえる。

映像えいぞうげきのシナリオが国語こくご教科書きょうかしょ採用さいようされるのは、倉本くらもとさとしの『きたくにから』が光村みつむら図書としょ中学ちゅうがく教科書きょうかしょった1990年代ねんだいたなければならない。上記じょうき専門せんもん用語ようごがあり、戯曲ぎきょくのように単独たんどく発表はっぴょうされるケースもほとんどいため、戯曲ぎきょくほどに普及ふきゅうはしていない。

小学校しょうがっこう学習がくしゅう発表はっぴょうかいなどで演劇えんげき発表はっぴょうするさいにも脚本きゃくほん使用しようされる。

漫画まんが原作げんさく

編集へんしゅう
漫画まんが原作げんさく
漫画まんが作品さくひん原作げんさくなかには脚本きゃくほん形式けいしきのものもある。漫画まんが原作げんさくしゃかれる場合ばあい基本きほんてきには編集へんしゅうしゃ作画さくが担当たんとうわせをしていてゆく。つまりこの場合ばあい編集へんしゅうしゃ漫画まんが原作げんさくしゃ作画さくがしゃさんにん作業さぎょうすすめられる。
ただし原作げんさく作画さくが分業ぶんぎょうせいおこなうか、漫画まんががひとりで原作げんさく執筆しっぴつ作画さくが両方りょうほうをするか、についてはさまざまスタイルがある。グルメ法律ほうりつ技術ぎじゅつなどの専門せんもんせいたか作品さくひんは、漫画まんが原作げんさくしゃ別途べっとてられることもおおい。小説しょうせつ原案げんあんとする漫画まんがも、通常つうじょう、いきなり小説しょうせつから直接ちょくせつ漫画まんがえがかれるのではなく、一旦いったん 漫画まんが原作げんさく脚本きゃくほん)がかれ、それをもとに作画さくがされる。漫画まんがは1コマ1コマのカットのかさねによって成立せいりつするため、漫画まんが原作げんさく映像えいぞう作品さくひんよりも具体ぐたいせい要求ようきゅうされる。
漫画まんが原作げんさくには複数ふくすう手法しゅほうがある。映像えいぞう脚本きゃくほん同様どうよう手法しゅほうかれる脚本きゃくほん形式けいしき通常つうじょう文体ぶんたい内容ないよう描写びょうしゃする小説しょうせつ形式けいしき漫画まんがえがくネームと同様どうようコンテ形式けいしきのものの3種類しゅるいである。

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ a b c d e 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ』「脚本きゃくほん
  2. ^ a b 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ』「シナリオ」
  3. ^ シナリオ”. 国語こくご 英和えいわ 和英かずひで カタカナ 漢字かんじ - Infoseek マルチ辞書じしょ. 三省堂さんせいどう. 2008ねん11月5にち閲覧えつらん
  4. ^ 田中たなか純一郎じゅんいちろう日本にっぽん映画えいが発掘はっくつ冬樹ふゆきしゃ、1980ねん、160-161ぺーじ
  5. ^ 中川なかがわ裕幸ひろゆき特集とくしゅう平成へいせい19年度ねんど著作ちょさくけん・コンテンツ委員いいんかい》: アニメの著作ちょさくけん」『パテント』だい61かんだい8ごう日本にっぽん弁理べんりかい、2008ねん、11-47ぺーじNDLJP:8226018 
  6. ^ a b 加藤かとうくんじんコンテンツビジネスにおける各種かくしゅ契約けいやく経済けいざい産業さんぎょうしょう/ユニジャパン、2018ねんhttps://www.unijapan.org/producer/pdf/producer_341.pdf 
  7. ^ a b 酒井さかいあさせん著作ちょさくしゃ同一どういつせい保持ほじけんと「慣行かんこう」にかんするいち考察こうさつ」『東京大学とうきょうだいがく大学院だいがくいん情報じょうほうがくたまき紀要きよう 情報じょうほうがく研究けんきゅうだい77ごう東京大学とうきょうだいがく大学院だいがくいん情報じょうほうがくたまき、2009ねん8がつ、167-181ぺーじ 
  8. ^ 田中たなか宏和ひろかず著作ちょさくしゃ人格じんかくけんかんする課題かだい検討けんとう: 著作ちょさくしゃ人格じんかくけん行使こうし特約とくやく放棄ほうき問題もんだい参考さんこうに」『岡山大学おかやまだいがく大学院だいがくいん社会しゃかい文化ぶんか科学かがく研究けんきゅう紀要きようだい29かん岡山大学おかやまだいがく大学院だいがくいん社会しゃかい文化ぶんか科学かがく研究けんきゅう、2010ねん、111-130ぺーじdoi:10.18926/20324 

参考さんこう文献ぶんけん

編集へんしゅう

外部がいぶリンク

編集へんしゅう