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印税 - Wikipedia

印税いんぜい(いんぜい)とは、著作ちょさくぶつ複製ふくせいして販売はんばいとうするもの出版しゅっぱんしゃレコード会社かいしゃ放送ほうそうきょくなど)が、発行はっこう部数ぶすう販売はんばい部数ぶすうおうじて著作ちょさくけんしゃ支払しはら著作ちょさくけん使用しようりょう通称つうしょうである。もとは著作ちょさくけん使用しようりょうえた著者ちょしゃ検印けんいんから印紙いんしぜいになぞらえて印税いんぜいばれるようになったが、政府せいふおさめる税金ぜいきんではない(後述こうじゅつ)。

なお、さまざまな方式ほうしきがあるが、よくある方式ほうしきは、販売はんばいがくの「一定いってい割合わりあい」(○○パーセント)を著作ちょさくけんしゃはらう、というかたち契約けいやくわす[注釈ちゅうしゃく 1]

書籍しょせきるいかみ印刷物いんさつぶつ)と音楽おんがく複製ふくせいぶつとでは、著作ちょさくけん使用しようりょう算出さんしゅつのための「一定いってい割合わりあい」の数値すうち通例つうれい平均へいきん、ありがちな)がことなっており、またこまかいルールや慣習かんしゅうことなっている。

なお発行はっこう部数ぶすうなどによらずにいちだけ著作ちょさくしゃ支払しはらわれる著作ちょさくけん使用しようりょうは、原稿げんこうりょうばれる。

概要がいよう

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著作ちょさくぶつかんする権利けんり演奏えんそうけん録音ろくおんけん貸与たいよけん出版しゅっぱんけんなど)は著作ちょさくしゃ専有せんゆうしているが(著作ちょさくけんほう21じょう - 28じょう)、レコード会社かいしゃ出版しゅっぱんしゃ放送ほうそうきょくとう利用りようしゃも、著作ちょさくけんしゃ許諾きょだくれば、その許諾きょだくかか利用りよう方法ほうほうおよ条件じょうけん範囲はんいないにおいて当該とうがい著作ちょさくぶつ利用りようすること出来できる(著作ちょさくけんほう63じょう)。そのさいに、利用りようしゃ対価たいかとして支払しはらロイヤルティー印税いんぜいである。いちれいとして、ライブやカラオケで楽曲がっきょく演奏えんそうされた場合ばあい、その楽曲がっきょく著作ちょさくしゃ著作ちょさくけんしゃたいして印税いんぜい支払しはらわれるが、これは著作ちょさくしゃ演奏えんそうけん著作ちょさくけんほう22じょう)を、コンサート主催しゅさいしゃやカラオケ事業じぎょうしゃ使用しようしたことにより発生はっせいした対価たいかである。

なお、レコード製作せいさくしゃ実演じつえんひとし著作ちょさくけん保持ほじしないもの支払しはらわれるロイヤルティーを原盤げんばん印税いんぜい、アーティスト印税いんぜいなどと事例じれいもあるが、これらは著作ちょさくけん著作ちょさくけんほう21じょう - 28じょう)ではなく著作ちょさく隣接りんせつけん著作ちょさくけんほう90じょう - 97じょう)にもとづく分配ぶんぱいである。いちれいとして、ライブやカラオケで楽曲がっきょく演奏えんそうされた場合ばあい演奏えんそうけん著作ちょさくけんほう22じょう)をゆうする著作ちょさくしゃ著作ちょさくけんしゃたいして印税いんぜい支払しはらわれるが、レコード製作せいさくしゃ実演じつえん演奏えんそうけんゆうしておらず対価たいか発生はっせいしないため印税いんぜい支払しはらわれない。

また、編曲へんきょく著作ちょさくけんほうじょうてき著作ちょさくぶつ著作ちょさくしゃとして作詞さくし作曲さっきょく同様どうよう権利けんりゆうしているが、実際じっさい印税いんぜい支払しはらわれるのは「公表こうひょう編曲へんきょく」(楽曲がっきょくはじめて音源おんげんされたさい編曲へんきょく)に限定げんていされており、カバーやリアレンジ、リミックスされた楽曲がっきょく編曲へんきょくたいしては印税いんぜい支払しはらわれない[1]

ぜいという名称めいしょういているが、印紙いんしぜいにちなんだロイヤルティーの一種いっしゅであり、租税そぜいではない。かつては、書籍しょせき著者ちょしゃが、自分じぶんせいった認印みとめいんした「検印けんいん」を書籍しょせきり、使つかわれたかみかずおうじて支払しはらわれていたが、この支払しはらい方法ほうほうが、印紙いんしぜい納付のうふていることから使つかわれるようになった。

検印けんいんかみではなく奥付おくづけページに印影いんえいじか印刷いんさつされた「検印けんいんらん」の場合ばあいもあった)は、1970年代ねんだいごろまでは、出版しゅっぱんしゃ著者ちょしゃ無断むだん増刷ぞうさつれたぶん権利けんりりょう横取よこどりする「ヤミ増刷ぞうさつ行為こういふせぐために添付てんぷされていたが、以降いこう一部いちぶ例外れいがいのぞき「著者ちょしゃとのはないにより検印けんいん廃止はいし」の文言もんごんのみが表記ひょうきされている。現在げんざい文言もんごんえていることおおい。

書籍しょせき出版しゅっぱんぶつ

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書籍しょせき出版しゅっぱんぶつ場合ばあい、『再販さいはん価格かかく×印刷いんさつ部数ぶすうしくはじつうれ部数ぶすう)×「一定いってい割合わりあい」』の印税いんぜい出版しゅっぱんしゃから著者ちょしゃ支払しはらわれる。「一定いってい割合わりあい」は設定せってい法律ほうりつさだめられているわけではなく、自由じゆうである。つまり著者ちょしゃ出版しゅっぱんしゃあいだ相談そうだんによって、一応いちおう自由じゆう設定せっていできるのだが、実際じっさいには、ありがちな通常つうじょう、つまり「相場そうば」のようなものがある。大手おおて出版しゅっぱんしゃ場合ばあい印税いんぜい通例つうれい(ありがちな設定せってい、あるいは「相場そうば」)は、消費しょうひぜい本体ほんたい価格かかくの10%である。中小ちゅうしょう出版しゅっぱんしゃ文庫本ぶんこぼん部数ぶすう見込みこめない新人しんじん作家さっかやライターの場合ばあいは10%をったり(最低さいてい保障ほしょうが5%)、流行りゅうこう作家さっかでは3%加算かさんされたりと変動へんどうする。無論むろん著者ちょしゃ出版しゅっぱんしゃあいだ交渉こうしょうして、任意にんい設定せっていすることもできる[注釈ちゅうしゃく 2]

印税いんぜいには、発行はっこう印税いんぜい売上うりあげ印税いんぜいの2種類しゅるいがある。出版しゅっぱんぶつ通常つうじょう出版しゅっぱん取次とりつぎつうじてかいもど条件じょうけんづけ販売はんばい形態けいたいるので、両者りょうしゃには差異さいしょうずる。最近さいきんでは、著者ちょしゃ有利ゆうりとされる発行はっこう印税いんぜいから、版元はんもと有利ゆうりとされる売上うりあげ印税いんぜい移行いこうしつつある。電子でんし書籍しょせき出版しゅっぱんされた場合ばあいは、上記じょうきとはことなる。

音楽おんがく

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著作ちょさくけん印税いんぜい

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著作ちょさくしゃ権利けんり著作ちょさくけんほう21じょう - 28じょう)を使用しようする対価たいかとして作詞さくし作曲さっきょく編曲へんきょく音楽おんがく出版しゅっぱんしゃひとし著作ちょさくしゃ著作ちょさくけんしゃたいして支払しはらわれる印税いんぜい日本音楽著作権協会にほんおんがくちょさくけんきょうかい(JASRAC)によって、レコード会社かいしゃテレビ局てれびきょく、ラジオきょく、コンサート主催しゅさいしゃ、カラオケ事業じぎょうしゃなどの利用りようしゃから「著作ちょさくけん使用しようりょう」として徴収ちょうしゅうされ、音楽おんがく出版しゅっぱんしゃ分配ぶんぱいされたのち契約けいやくおうじて著作ちょさくしゃ著作ちょさくけんしゃ支払しはらわれる。日本にっぽんではCDの場合ばあい定価ていかの6%、ライブの場合ばあい定価ていかの5%が一般いっぱんてきとされる[2]2015ねん総額そうがくは1117おくえん。うちライブ、カラオケとう演奏えんそうけんによる徴収ちょうしゅうがくは584おくえん。CD、DVDとう録音ろくおんけんによる徴収ちょうしゅうがくは322おくえんであった[3]

原盤げんばん印税いんぜい

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レコード製作せいさくしゃ権利けんり著作ちょさくけんほう96じょう - 97じょう)を使用しようする対価たいかとしてレコード会社かいしゃ音楽おんがく出版しゅっぱんしゃ芸能げいのうプロダクションひとしのレコード製作せいさくしゃたいして支払しはらわれる印税いんぜい日本にっぽんではCDの場合ばあい定価ていかの12 - 16%、ライブの場合ばあい定価ていかの0%が一般いっぱんてきとされる[4]使用しようについては、日本にっぽんレコード協会きょうかいによって、テレビ局てれびきょく、ラジオきょくなどの利用りようしゃから「著作ちょさく隣接りんせつけん使用しようりょう」として徴収ちょうしゅうされ、かく権利けんりしゃ団体だんたい分配ぶんぱいされたのち契約けいやくおうじてレコード製作せいさくしゃ支払しはらわれる。なお、レコード製作せいさくしゃ演奏えんそうけんゆうしていないため、ライブ、カラオケとう演奏えんそうけんかんする使用しようりょう分配ぶんぱいされることはない。

アーティスト印税いんぜい

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実演じつえん権利けんり著作ちょさくけんほう90じょう - 95じょう)を使用しようする対価たいかとしてアーティストスタジオミュージシャンひとし実演じつえんたいして支払しはらわれる印税いんぜいで、歌唱かしょう印税いんぜいともばれる。日本にっぽんではCDの場合ばあい定価ていかの1%、ライブの場合ばあい定価ていかの0%が一般いっぱんてきとされる[4]使用しようについては、日本にっぽん芸能げいのう実演じつえん団体だんたい協議きょうぎかいによって、テレビ局てれびきょく、ラジオきょくなどの利用りようしゃから「著作ちょさく隣接りんせつけん使用しようりょう」として徴収ちょうしゅうされ、かく権利けんりしゃ団体だんたい分配ぶんぱいされたのち契約けいやくおうじて実演じつえん支払しはらわれる。なお、実演じつえん演奏えんそうけんゆうしていないため、ライブ、カラオケとう演奏えんそうけんかんする使用しようりょう分配ぶんぱいされることはない。

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 通常つうじょうの「ぜい」(消費しょうひぜいなど)は、「ぜい価格かかく」に「ぜい」を「上乗うわのせ」して購入こうにゅうしゃ販売はんばいするが、印税いんぜいは、販売はんばいがくに「上乗うわのせ」するものではない。また、工業こうぎょう製品せいひん製造せいぞう原価げんかに、販売はんばいしょ経費けいひを「上乗うわのせ」することにならって、著作ちょさくぶつ制作せいさくおこなった取材しゅざい費用ひようなどを、販売はんばいしょ経費けいひとして原価げんかに「上乗うわのせして」、販売はんばい価格かかく設定せっていがされることは通常つうじょうない。実際じっさいには、印税いんぜいは、単位たんいあたり(たとえば、1さつたり、CD1まいあたり、ダウンロード1かいあたり、放送ほうそう1かいあたりなど)の「ありがちな価格かかく」を考慮こうりょして、その価格かかく一定いってい割合わりあいとされることがおおい。
  2. ^ 当然とうぜんながら、交渉こうしょう著者ちょしゃ出版しゅっぱんしゃちから関係かんけい左右さゆうされる。(例外れいがいてきではあるが)著者ちょしゃ立場たちばのほうが圧倒的あっとうてきつよ場合ばあい自分じぶん希望きぼうする「一定いってい割合わりあい」に設定せっていされないなら、出版しゅっぱんしゃから出版しゅっぱんすることにする、などと交渉こうしょうすることで、「一定いってい割合わりあい」がげられることもある。

出典しゅってん

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  1. ^ 著作ちょさくぶつ使用しようりょう分配ぶんぱい規程きてい” (PDF). 日本にっぽん音楽おんがく著作ちょさくけん協会きょうかい. 2014ねん11月25にち閲覧えつらん
  2. ^ 使用しようりょう規程きてい” (PDF). 日本にっぽん音楽おんがく著作ちょさくけん協会きょうかい. 2014ねん11月25にち閲覧えつらん
  3. ^ 2016ねん定例ていれい記者きしゃ会見かいけん資料しりょう” (PDF). 日本にっぽん音楽おんがく著作ちょさくけん協会きょうかい. 2017ねん1がつ5にち閲覧えつらん
  4. ^ a b 音楽おんがく主義しゅぎ』No.44(2011ねん日本にっぽん音楽おんがく制作せいさくしゃ連盟れんめい

外部がいぶリンク

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  • 黒田くろだ俊太郎しゅんたろう改造かいぞうしゃ印税いんぜいりつ記録きろく』の概要がいようとその意義いぎ」『三田みた國文こくぶんだい44ごう慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく国文学こくぶんがく研究けんきゅうしつ、2006ねん12月、105-142ぺーじdoi:10.14991/002.20061200-0105ISSN 0287-9204NAID 120001756057