均等 きんとう に鉛直 えんちょく 荷重 かじゅう のかかる梁 はり の変形 へんけい 。点線 てんせん が中立 ちゅうりつ 軸 じく である。
梁 はり に荷重 かじゅう がかかると、内部 ないぶ には、圧縮 あっしゅく ・引張 ひっぱ ・曲 ま げ・剪断 応力 おうりょく がはたらく。
鉛直 えんちょく 荷重 かじゅう がはたらいた場合 ばあい 、たいてい梁 はり は下 した に凸 とつ となるような形 かたち にたわみを生 しょう じ、上部 じょうぶ はわずかに縮 ちぢ み、逆 ぎゃく に下部 かぶ は伸 の びるように変形 へんけい する。また、断面 だんめん のおよそ上下 じょうげ 半分 はんぶん 近辺 きんぺん には伸 の びも縮 ちぢ みもせず、圧縮 あっしゅく 応力 おうりょく も引張 ひっぱ 応力 おうりょく も生 しょう じない面 めん があり、そこは「中立 ちゅうりつ 軸 じく 」と定義 ていぎ される。
コンクリートは圧縮 あっしゅく に強 つよ い一方 いっぽう 、引張 ひっぱ に弱 よわ いという欠点 けってん がある。このため鉄筋 てっきん コンクリート構造 こうぞう では引張 ひっぱ 側 がわ (通常 つうじょう は下 した 側 がわ 、片 かた 持 も ち梁 はり は上側 うわがわ )に鉄筋 てっきん を入 い れることで補強 ほきょう している。(現実 げんじつ には、地震 じしん などを考慮 こうりょ し、上下 じょうげ 両側 りょうがわ に鉄筋 てっきん を入 い れることがほとんど。)さらに、引張 ひっぱ によるひび割 わ れを防 ふせ ぐため、予 あらかじ め圧縮 あっしゅく 力 りょく のかかったプレストレスト・コンクリート (PC)梁 はり が造 つく られている。これは高 こう 強度 きょうど 鋼 こう の線 せん で圧縮 あっしゅく 力 りょく をかけながら型 かた 枠 わく 内 ない で硬化 こうか させて製造 せいぞう する。PC梁 はり は主 おも に高速 こうそく 道路 どうろ の橋 はし などの大 だい 規模 きぼ 構造 こうぞう 物 ぶつ に用 もち いられる。
梁 はり の構造 こうぞう 解析 かいせき に使 つか われるモデルとして、曲 きょく げを受 う けた断面 だんめん 内 ない での剪断変形 へんけい が生 しょう じないと仮定 かてい したオイラー・ベルヌーイ梁 はり が用 もち いられる。また、梁 はり の変形 へんけい の数学 すうがく 的 てき な解法 かいほう として「仮想 かそう 仕事 しごと 法 ほう 」および「たわみ角 かく 法 ほう 」がある。
梁 はり の変形 へんけい の計算 けいさん が綿密 めんみつ に行 おこな われるのは、梁 りょう 自体 じたい の破壊 はかい が問題 もんだい というよりもむしろ、変形 へんけい に追随 ついずい しきれないガラス などの破壊 はかい を避 さ けるためである。意匠 いしょう 的 てき な観点 かんてん からも、梁 はり のたわみはなるべく生 しょう じないように設計 せっけい することが望 のぞ まれる。たとえ構造 こうぞう 的 てき に安全 あんぜん ではあっても、見 み た目 め にわかるようなたわみがあれば、美観 びかん を損 そこ なったり心理 しんり 的 てき な不安 ふあん を生 しょう じたりするからである。
強 つよ い梁 はり (弾性 だんせい 係数 けいすう が高 たか く、断面 だんめん 二 に 次 じ モーメント の大 おお きいもの)ほど、たわみを生 しょう じにくい。梁 はり の内部 ないぶ 応力 おうりょく を数学 すうがく 的 てき に求 もと める方法 ほうほう は、モーメント分配 ぶんぱい 法 ほう および弾性 だんせい マトリックス法 ほう がある。
一般 いっぱん 的 てき な断面 だんめん 形状 けいじょう
編集 へんしゅう
I型 がた 断面 だんめん を持 も つ梁 はり が有利 ゆうり となる曲 きょく げの模 も 式 しき 図 ず 。
I型 がた 断面 だんめん を持 も つ梁 はり の利点 りてん を発揮 はっき できない方向 ほうこう の曲 きょく げの模 も 式 しき 図 ず 。
鉄筋 てっきん コンクリート製 せい の梁 はり は、主 おも に長方形 ちょうほうけい の断面 だんめん 形状 けいじょう を持 も つが、最 もっと も効率 こうりつ (ここでいう「効率 こうりつ 」とは、同 おな じ断 だん 面積 めんせき でどれだけ大 おお きな荷重 におも に耐 た え、たわみが生 しょう じにくい梁 はり が得 え られるかを意味 いみ する)のよい断面 だんめん 形状 けいじょう はよくある鉄骨 てっこつ のような I 字 じ 型 がた である。
中立 ちゅうりつ 軸 じく から離 はな れた位置 いち 、すなわちフランジ部分 ぶぶん に多 おお くの断 だん 面積 めんせき を割 わ り当 あ てることにより、同 おな じ断 だん 面積 めんせき でより大 おお きな断面 だんめん 二 に 次 じ モーメントを稼 かせ ぐことができるからである。
I字 じ 型 がた 断面 だんめん の梁 はり は、フランジ が上下 じょうげ を向 む いている場合 ばあい 、鉛直 えんちょく 方向 ほうこう の曲 ま げ応 おう 力 りょく に対 たい してのみ有利 ゆうり であり、水平 すいへい 方向 ほうこう の荷重 かじゅう には弱 よわ い。
鉛直 えんちょく ・水平 すいへい の両方向 りょうほうこう の荷重 におも に対 たい して有利 ゆうり な断面 だんめん 形状 けいじょう は、ちょうど “口 くち ”の字 じ 型 がた の箱 はこ 状 じょう の構造 こうぞう である。この形状 けいじょう では、できるだけ中立 ちゅうりつ 軸 じく から離 はな れた位置 いち に断面 だんめん を集中 しゅうちゅう させつつ、縦横 じゅうおう 両方 りょうほう に同等 どうとう の断面 だんめん 二 に 次 じ モーメントを持 も たせることができるからである。この断面 だんめん を持 も つ鋼材 こうざい として、角形 かくがた 鋼管 こうかん が広 ひろ く用 もち いられている。
他 ほか にも、L型 がた (アングル)、C型 がた (チャネル)などの断面 だんめん 形状 けいじょう を持 も った型 かた 鋼 こう が適材適所 てきざいてきしょ で用 もち いられている。
梁 はり の材料 ざいりょう として広 ひろ く用 もち いられるのは、木材 もくざい 、鉄筋 てっきん コンクリート、鉄骨 てっこつ などである。特 とく に鋼材 こうざい は梁 はり として用 もち いられることを前提 ぜんてい とした型 かた 鋼 こう が製造 せいぞう されている。
古 ふる くは石造 せきぞう 建築 けんちく にも梁 はり が用 もち いられていたが、石材 せきざい は曲 ま げに弱 よわ く、長 ちょう スパンがとりにくいという欠点 けってん があった。
石造 せきぞう の柱 はしら は、あらかじめ分割 ぶんかつ して採取 さいしゅ ・加工 かこう ・運搬 うんぱん し、積 つ み上 あ げれば鉛直 えんちょく 方向 ほうこう の圧縮 あっしゅく 力 りょく で構造 こうぞう が成立 せいりつ する。しかし、直線 ちょくせん 状 じょう の横 よこ 架 か 梁 はり ではスパンの中間 ちゅうかん に継 つ ぎ目 め を入 い れることは困難 こんなん となるため、寸法 すんぽう 上 じょう の制約 せいやく が発生 はっせい するのである。
圧縮 あっしゅく のみで成立 せいりつ し、小 ちい さな部材 ぶざい でも長 ちょう スパンを飛 と ばすことのできるアーチ 構造 こうぞう が普及 ふきゅう すると、石造 せきぞう 梁 はり はインド など一部 いちぶ の地域 ちいき を除 のぞ いてしだいに廃 すた れていった。
長 なが い間 あいだ 、木材 もくざい からはその原木 げんぼく を上回 うわまわ るサイズの材 ざい がとれない、繊維 せんい の方向 ほうこう のばらつきがあるといった制約 せいやく 上 じょう 、大 おお きな梁 はり が造 つく られなかった。しかし近年 きんねん 、様々 さまざま な種類 しゅるい の集成 しゅうせい 材 ざい が開発 かいはつ され、強度 きょうど のばらつきが少 すく なく、なおかつ大 おお きな梁 はり が造 つく られるようになっている。
露出 ろしゅつ する梁 はり には意匠 いしょう 的 てき な工夫 くふう がなされ、ときに細 こま かい装飾 そうしょく が施 ほどこ される。
寺社 じしゃ 建築 けんちく では、虹 にじ 梁 はり (こうりょう)と呼 よ ばれる装飾 そうしょく 的 てき な梁 はり が用 もち いられる。「虹 にじ 」の名 な は、緩 ゆる やかに湾曲 わんきょく した形状 けいじょう に由来 ゆらい する。虹 にじ 梁 はり には彫刻 ちょうこく や彩色 さいしき などの凝 こ った装飾 そうしょく がなされることが多 おお い。S字 じ 型 がた に湾曲 わんきょく した海老 えび 虹 にじ 梁 はり (えびこうりょう)は禅宗 ぜんしゅう 様 さま の特徴 とくちょう のひとつでもある。
ギリシア建築 けんちく のオーダー の一 いち 要素 ようそ であるエンタブラチュア (石造 せきぞう の梁 はり ) には、しばしば帯状 おびじょう の彫刻 ちょうこく が施 ほどこ された。
ログハウス などでは、木材 もくざい の質感 しつかん を強調 きょうちょう したデザインの一環 いっかん として、あえて樹皮 じゅひ を剥 む いだだけの丸太 まるた を梁 はり として用 もち いることが多 おお い。