渚なぎさカヲル

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渚なぎさ カヲル（なぎさ カヲル）は、日本にっぽんのアニメーション作品さくひん『新しん世紀せいきエヴァンゲリオン』および『ヱヴァンゲリヲン新しん劇場げきじょう版ばん』とその派生はせい作品さくひんに登場とうじょうする架空かくうの人物じんぶつで、エヴァンゲリオンのパイロットの一人ひとりである。担当たんとう声優せいゆうは石田いしだ彰あきら。

渚なぎさ カヲル
『新しん世紀せいきエヴァンゲリオン』・『ヱヴァンゲリヲン新しん劇場げきじょう版ばん』のキャラクター
登場とうじょう（最初さいしょ）	（『新しん世紀せいきエヴァンゲリオン』） 第だい弐に拾ひろえ四よん話わ （『ヱヴァンゲリヲン新しん劇場げきじょう版ばん』） 『ヱヴァンゲリヲン新しん劇場げきじょう版ばん:序じょ』
作者さくしゃ	庵あん野の秀明ひであき 貞さだ本義ほんぎ行ぎょう（デザイン）ほか
声優せいゆう	石田いしだ彰あきら
プロフィール
別名べつめい	（『新しん世紀せいきエヴァンゲリオン』） フィフスチルドレン タブリス 第だい17使徒しと （『ヱヴァンゲリヲン新しん劇場げきじょう版ばん』） 第だい1の使徒しと 第だい13の使徒しと
生年月日せいねんがっぴ	（『新しん世紀せいきエヴァンゲリオン』） 2000年ねん9月がつ13日にち
年齢ねんれい	15歳さい
性別せいべつ	男性だんせい
身長しんちょう	（『ヱヴァンゲリヲン新しん劇場げきじょう版ばん』） 162cm
体重たいじゅう	47kg
肩書かたがき	エヴァンゲリオンパイロット
使用しよう兵器へいき	エヴァンゲリオンMark.06・第だい13号機ごうきほか

プロフィール

各かく作品さくひん共通きょうつう

エヴァンゲリオンのパイロットの一人ひとり。その正体しょうたいは作中さくちゅうに登場とうじょうする生命せいめい体たい「使徒しと」の一人ひとりであり、『新しん世紀せいきエヴァンゲリオン』においては第だい17使徒しと「タブリス」（TABRIS）、『ヱヴァンゲリヲン新しん劇場げきじょう版ばん』においては第だい1の使徒しとおよび第だい13の使徒しとである。

• 生年月日せいねんがっぴ：2000年ねん9月がつ13日にち（15歳さい / セカンドインパクトの発生はっせいと同日どうじつ）
• 身長しんちょう : 162cm
• 体重たいじゅう：47kg
• 性別せいべつ：男性だんせい
• 血液けつえき型がた：不明ふめい
• 所属しょぞく：NERV、ゼーレ

『新しん世紀せいきエヴァンゲリオン』

エヴァンゲリオンのパイロットの1人ひとり。アスカの代かわりのフィフスチルドレンとして人類じんるい補完ほかん委員いいん会かい（≒ゼーレ）により直接ちょくせつNERVに送おくり込こまれた少年しょうねん。アッシュグレイの髪かみと赤あかい瞳ひとみ、極端きょくたんに白しろい肌はだを持もつ美少年びしょうねんで、過去かこの経歴けいれきは生年月日せいねんがっぴを除のぞき綾あや波はレイと同おなじく全すべて抹消まっしょう済ずみである。プラグスーツの色いろはダークブルー。漫画まんがの登場とうじょう人物じんぶつ紹介しょうかいの欄らんや公式こうしきのファンブックなどにも”謎なぞの美少年びしょうねん”や”シンジに似にた首くびの長ながさ、アスカに似にた口元くちもと、綾あや波はに似にた色素しきその薄うすさ”、”小顔こがお”と明記めいきされている。その上うえ、ト書とがきでは”ぞっとするような美貌びぼうの持もち主ぬし”とまでいわれている公式こうしき美形びけいである。綾あや波はよりも色いろが白しろいという設定せっていもある。

傷心しょうしんの碇いかりシンジにベートーヴェンの交響こうきょう曲きょく第だい9番ばんの鼻歌はなうたを歌うたいながら近ちかづき魅了みりょうする。正体しょうたいは使徒しとであり、弐に拾ひろえ四よん話わと劇場げきじょう版ばんのみと登場とうじょう自体じたいは少すくないものの、シンジに大おおきな影響えいきょうを与あたえた人物じんぶつの一人ひとりである。作中さくちゅう世界せかいの核心かくしんを知しる数少かずすくない存在そんざいでもあり、彼かれの謎なぞめいた言葉ことばの数々かずかずは、その後ごの展開てんかいを示唆しさするものが多おおい。

性格せいかく

常つねに微笑ほほえみを浮うかべ、柔和にゅうわな印象いんしょうを与あたえる一方いっぽうで、年齢ねんれいを感かんじさせない超然ちょうぜんとした性質せいしつも持もち合あわせている。社交しゃこう性せいに富とみながらも話はなす言葉ことばは難解なんかいなものも多おおく、並なみの理解りかい力りょくでは思考しこうを読よみ解とくことは難むずかしい。人類じんるいに対たいして人ひとならざる者しゃとしての達観たっかんした態度たいどや憂うれいを含ふくんだ眼差まなざしを向むけることもあり、シンジに対たいしてはその繊細せんさいさに惹ひかれ、特別とくべつに好意こういを寄よせ、「君きみに会あうために生うまれてきたのかもしれない」とまで述のべている。

歌うた（音楽おんがく）に対たいして特別とくべつな思おもいがあるらしく、「リリンの生うみ出だした文化ぶんかの極きわみ」と表現ひょうげんしている。「生なまと死しは等価とうか値ち」であり「自みずからの死しこそが唯一ゆいいつの絶対ぜったい的てき自由じゆう」など、独自どくじの死生しせい観かんを持もち、自殺じさつ願望がんぼうも抱かかえていた様子ようす。ゲーム『新しん世紀せいきエヴァンゲリオン2』では、自身じしんの正体しょうたいや存在そんざい意義いぎについて苦悩くのうする様ようも描えがかれている。

真相しんそう

正体しょうたいは第だい17使徒しとタブリスとされるが、その魂たましいは第だい1使徒しとアダム本人ほんにんのものであり、アダムの復活ふっかつを目指めざすアダム計画けいかくの一環いっかんとして、ゼーレによりサルベージされたアダムの魂たましいに人ひと型がたの男性だんせいの肉体にくたいが与あたえられ、それが渚なぎさカヲルとなる。その肉体にくたいはセカンドインパクトの際さいにアダムにダイブされた人ひとの遺伝いでん情報じょうほうを基もとに、アダムにより生うみ出だされた肉体にくたいだと考かんがえられる。

自身じしんは攻撃こうげき能力のうりょくを持もたないが、極きわめて強力きょうりょくなA.T.フィールドを展開てんかいし、空中くうちゅうを自在じざいに浮遊ふゆうできる。アダムの魂たましいを持もつがゆえ、魂たましいさえ無なければアダムベースのEVAならば自在じざいに操あやつり、同化どうかすることができる。劇場げきじょう版ばんでゼーレが投入とうにゅうした量産りょうさん機きに使用しようされたダミープラグは、この渚なぎさカヲルのパーソナルを用もちいたものである。

ゲーム「新しん世紀せいきエヴァンゲリオン2」によれば、アダムやリリスはサードインパクトを起おこし補完ほかん計画けいかくを発動はつどうする際さい、魂たましいの道標どうひょう（ナビゲーター）としての役割やくわりもあると示唆しさされ、ゲンドウにとってリリスの魂たましいを持もつ綾あや波はレイがそうであるように、ゼーレにとってはアダムの魂たましいを持もつ渚なぎさカヲルこそが、切きり札ふだとなりえる存在そんざいだった模様もよう。アダム・タブリス・渚なぎさカヲルなどという名称めいしょうは、どれも人間にんげんが勝手かってにそう呼よんでいるだけであり、僕ぼくは僕ぼくだとモノローグで語かたっている。アダムの時ときの記憶きおくは一部いちぶ欠落けつらくしている。

ゲンドウの裏切うらぎりを感知かんちしたゼーレにより、彼かれらの願ねがいを託たくされる形かたちで送おくり込こまれ、EVA弐に号機ごうきを遠隔えんかく操作そうさしてターミナルドグマへ侵入しんにゅうし、アダムとの接触せっしょくを試こころみるも、それがリリスであると看破かんぱすると、何なにかを悟さとったかのように接触せっしょくを中止ちゅうしし、自みずから望のぞんでEVA初号しょごう機きによって握にぎ殺ころされる。脚本きゃくほんや作中さくちゅうのゼーレの台詞せりふから、ゼーレは実際じっさいはカヲルによるサードインパクトは望のぞんではおらず、端はしから殺ころされることを望のぞんでいたとわかる台詞せりふが存在そんざいする。しかし、カヲルがリリスを前まえにどこまで悟さとったのかは定さだかではない。

アダム系けいの使徒しとには情報じょうほうの受うけ継つぎや共有きょうゆうがあり、かつ使徒しとは自身じしんにない知恵ちえの実みを持もつ人類じんるいに興味きょうみがあったとされ、カヲルはこの連つらなりの到達とうたつ者しゃとしての存在そんざい意義いぎもあったとされる。人ひと以上いじょうに人ひとの言葉ことばを完璧かんぺきに使つかいこなし、人ひとの姿すがたなのは人ひとという種たねの理解りかいを望のぞんだからではないかともされ、実際じっさいに人ひとに理解りかいを示しめし、自みずからの死しにより未来みらいを人ひと（シンジ）に譲ゆずった。

劇場げきじょう版ばんでは、リリスとして巨大きょだい化かしたレイからカヲルの姿すがたが現あらわれる場面ばめんが存在そんざいするが、胎児たいじ状じょうのアダムをリリスが取とり込こんだ影響えいきょうだとされる。人類じんるいの補完ほかんが行おこなわれる最中さいちゅう、レイとともにシンジと対話たいわを行おこない、道みちを示しめしつつシンジを見送みおくる。綾あや波はレイに対たいしては、互たがいに同おなじ存在そんざいであることを一目いちもくで見抜みぬき、「君きみは僕ぼくと同おなじだね」と繋つながりを示唆しさしている。

庵あん野のらによれば「不完全ふかんぜんな自分じぶん（シンジ）と完璧かんぺきな自分じぶん（カヲル）という2人ふたりのキャラクターを出だす」というアイデアの下した、「完璧かんぺきなもう一人ひとりの碇いかりシンジ」として設定せっていされている。

キャラクター造型ぞうけい

モデルは庵あん野の秀明ひであきの友人ゆうじんであるアニメ監督かんとくの幾いく原はら邦彦くにひこ（ただし外見がいけん上じょうなのか性格せいかく上じょうのモデルなのかは不明ふめい）。身体しんたいは人間にんげんの男性だんせいである。キャラクターデザインの貞さだ本義ほんぎ行ぎょうはシンジを意識いしきしながらより耽美たんび的てきにデザインしたと語かたっており、最後さいごの使徒しとという設定せっていのもと、使徒しとと接触せっしょくした全すべての人間にんげんの特徴とくちょうを入いれるのがコンセプトだという。たとえば首くびの細ほそさはシンジ、赤あかい眼めはレイ、口くちの不敵ふてきな感かんじはアスカが元もとになっている。

「渚なぎさカヲル」のネーミングは脚本きゃくほんを務つとめた薩川さつかわ昭夫あきおによる。由来ゆらいは、映画えいが監督かんとくの大島おおしま渚なぎさからで、「渚なぎさ」は綾あや波はレイの「波なみ」と対たいになっている。または姓せいは偏へんと旁つくりを分わけると「シ者ししゃ」、すなわち使者ししゃ（→使徒しと）であり死者ししゃ、名前なまえは「オワリ」を五十音ごじゅうおん順じゅんで1字じ後ごにずらしたものから「カヲル」、姓せいと合あわせると「シ者ししゃオワリ」→「渚なぎさカヲル」となる言葉ことば遊あそび。つまりは「最後さいごの使徒しと」であり「最後さいごのシ者ししゃ」であるとの隠喩いんゆである。これは弐に拾ひろえ四よん話わのタイトルにも掛かかっている。

インタビューにて、”庵あん野の 「最後さいごの使徒しとは人ひとと同おなじ形がたで少年しょうねんにしようと思おもってたんで」 ー「でも渚なぎさカヲルって名前なまえだって、女おんなの子こでもいいわけじゃないですか」 庵あん野の「でもあれは少年しょうねんですよ。女性じょせいって感覚かんかくがまるでないですもんね。シンジともうひとりのシンジですから。理想りそうのシンジが現あらわれるんで、女性じょせいではダメです」” というやりとりがあり、身体しんたいが女性じょせいではなく、男性だんせいであることにはこだわりがあるとのこと。

貞さだ本ほん自身じしんは「子供こどもっぽいキャラクター」としてデザインした経緯けいいがあったため（漫画まんが版ばんの項こうで後述こうじゅつ）、石田いしだ彰あきらのキャスティングが好評こうひょうを博はくしたことを認みとめながらも「もっとかわいい声こえをイメージしていた」とイメージの相違そういに言及げんきゅうしていた。だが2008年ねんには「結果けっか的てきには、石田いしださんの声こえにもってかれるというか、そのアンバランスさがカヲルの魅力みりょくになった」と語かたった。

『ヱヴァンゲリヲン新しん劇場げきじょう版ばん』

『序ついで』の段階だんかいから、庵あん野の秀明ひであきにより新しん劇場げきじょう版ばんの設定せっていやカヲルの役割やくわりなどについてのレクチャーをキャスト陣じんで唯一ゆいいつ受うけていたという石田いしだ彰あきらは、『Q』収録しゅうろく後ごのインタビューでカヲルについて「前まえのサイクルとは違ちがう筈はずなのに、何なん度どやってもやはり同おなじ轍わだちを踏ふんでしまう。それでも線路せんろのポイントを違ちがうところに切きり替かえてみたい。大おおきなものの流ながれに対たいして、なんとかあがいてみたいという想おもいがあって、生いき残のこるべきシンジの身代みがわりになっていくんでしょうね」と語かたっている。

1作さく目め『:序ついで』

短時間たんじかんながら、最終さいしゅう場面ばめんにおいて月面げつめん（静しずかの海うみ）にある複数ふくすうの棺かんのうちの1つから裸身らしんで目覚めざめる。宙ちゅうに浮うかぶモノリスの立体りったい映像えいぞう（旧作きゅうさくにおけるキール・ローレンツ）と会話かいわすることから、ゼーレとは旧作きゅうさくと同おなじくつながっていることが窺うかがえる。だが、この時点じてんで面識めんしきの無なかったシンジの名なを既すでに知しっており、「また3番目ばんめとはね。変かわらないな君きみは」と呟つぶやくなど、彼かれに興味きょうみを抱だいている様子ようすを窺うかがわせる。

2作さく目め『:破やぶ』

3シーン合あわせて1分ふん程度ていどの登場とうじょうであるものの、事態じたいが動うごこうとする局面きょくめんにおいてその姿すがたを見みせる。

月面げつめんでは建造けんぞう中ちゅうのエヴァンゲリオンMark.06の指先ゆびさきに上半身じょうはんしん裸はだかで座すわっており、その姿すがたを目撃もくげきしたゲンドウと冬ふゆ月がつへ振ふり返かえって「はじめまして、お父とうさん」と呟つぶやく。終盤しゅうばんではMark.06に乗のってNERV本部ほんぶ上空じょうくうへ現あらわれ、初号しょごう機きへカシウスの槍やりを投擲とうてきしてサードインパクトを阻止そしすると共ともに「今度こんどこそ君きみだけは幸しあわせにしてみせるよ」とシンジへの決意けついを呟つぶやく。

3作さく目め『:Q』

初号しょごう機きの覚醒かくせい（ニア・サードインパクト）から14年ねん後ご、EVA第だい13号機ごうきのパイロットとしてNERVに所属しょぞくしている。容姿ようしはシンジやアスカ、マリと同様どうよう、14年ねん前まえのまま（生うまれつきか『エヴァの呪縛じゅばく』によるものかは不明ふめい）となっている。14年ねんの時ときを経へて友人ゆうじんも知人ちじんもいなくなり、反はんネルフ組織そしき「ヴィレ」のメンバーからも冷つめたくあしらわれ孤独こどくになってしまったシンジに「僕ぼくは君きみに会あうために生うまれてきたんだね」といった言葉ことばをかけたり、ピアノの連弾れんだんをしたりすることで仲なかを深ふかめていく。

14年ねんの間あいだに何なにがあったか知しりたいというシンジに対たいし、世界せかいの惨状さんじょうを見みせて真相しんそうを語かたる。シンジはレイを救すくおうとした自身じしんの行動こうどうが世界せかいを荒廃こうはいさせた「サードインパクト」に繋つながったという現実げんじつ、そして何なによりレイを救すくえていなかったことに絶望ぜつぼうし、心しんを閉とざしてしまう。第だい13号機ごうきの完成かんせい後ごもシンジはエヴァに乗のることを拒こばむが、彼かれの首くびに付ついていたDSSチョーカーを外はずして自みずからの首くびに付つけ、『ロンギヌスの槍やり』と『カシウスの槍やり』、そして第だい13号機ごうきがあれば世界せかいを修復しゅうふくできると告つげ、「2人ふたりでリリンの希望きぼうとなろう」と励はげます。

シンジと共ともに搭乗とうじょうした第だい13号機ごうきでセントラルドグマに降下こうかし、アスカとマリの妨害ぼうがいをかいくぐりながらリリスとMark.06に刺ささっていた槍やりを手てに取とろうとする。しかしそこにあるはずの槍やりがカシウスとロンギヌスではなく、2本ほんともロンギヌスであることに気付きづき動揺どうようする。シンジを制止せいしするが、彼かれは強引ごういんに槍やりを手てに取とってしまう。その結果けっか、槍やりが抜ぬかれたMark.06の中なかから現あらわれた第だい12の使徒しとの侵食しんしょくを受うけ、カヲル曰いわく「リリンの王おう」であるゲンドウの狙ねらいにより第だい1の使徒しとから第だい13の使徒しとへと堕おとされてしまう。そして第だい13号機ごうきは覚醒かくせいし、新あらたな惨劇さんげき「フォースインパクト」のトリガーとなってしまう。

世界せかいの修復しゅうふくどころか新あらたな破壊はかいを誘発ゆうはつしたこと、さらにエヴァの覚醒かくせいに伴ともなうDSSチョーカーの作動さどうによってカヲルが死しんでしまうということに愕然がくぜんとして涙なみだするシンジを慰なぐさめ、第だい13号機ごうきのコアに2本ほんの槍やりを突つき刺さした。「そんな顔かおをしないで。また会あえるよ、シンジ君くん」という最期さいごの言葉ことばを遺のこし、その直後ちょくご、チョーカーの爆発ばくはつにより首くびを吹ふき飛とばされて死亡しぼうする。カヲルの死しにより、第だい13号機ごうきの覚醒かくせいは収おさまるもののフォースインパクトの進行しんこうは止とまらず、ゼーレの保険ほけんとされていたシンジの乗のるエントリープラグをマリが第だい13号機ごうきから強制きょうせい射出しゃしゅつさせたことでガフの扉とびらが閉とじ、ようやく収束しゅうそくした。

4作さく目め『シン・エヴァンゲリオン劇場げきじょう版ばん𝄇』

前作ぜんさくで死しんだため初期しょきのシーンには登場とうじょうしないものの、カヲルの死しにショックを受うけていたシンジが回想かいそうの中なかのカヲルの言葉ことばに対たいして初はじめて前向まえむきに応おうじるというシーンが存在そんざいする。またその後ごマイナス宇宙うちゅうのシーンに登場とうじょうし、シンジと対話たいわを行おこなう。その中なかで、シンジに「君きみとは何なん回かいもここで会あってる」と言いわれ、自分じぶんとシンジが生命せいめいの書しょに名なを連つらねていること、自分じぶんは永遠えいえんに演えんじることを続つづけていなければならない、ループするエヴァンゲリオンの作品さくひん世界せかいで、シンジを幸しあわせにするために何なん度ども手助てだすけして来きたということをシンジに伝つたえ、その光景こうけいが映うつし出だされる。そんな時とき、幼おさないシンジが友達ともだちになろう、と全裸ぜんらのカヲルに手てを差さし伸のべたのを受うけて、カヲルは涙なみだを流ながした。シンジを幸しあわせにすることは本当ほんとうは自分じぶん自身じしんの幸しあわせに繋つながっていたのだと気付きづいたカヲルは、加持かじと話はなしながらシンジのもとを去さっていく。そして、ラストシーンでは駅えきのホームでレイと並ならぶ姿すがたが描えがかれた。

漫画まんが版ばん

使徒しとアラエル戦せんの前まえから登場とうじょうし、当初とうしょからゼーレが用意よういした最後さいごの使徒しと・タブリスであることが示しめされている。超然ちょうぜんとしつつも社交しゃこう性せいに長たけた存在そんざいであったアニメ版ばんとは大おおきく異ことなり、登場とうじょう当初とうしょは親おやとはぐれた野良猫のらねこの子こを「このまま生いかしておいても苦くるしんで死しぬだけ」との歪いがんだ善意ぜんいから絞しめ殺ころし、他者たしゃのために激昂げっこうするシンジを奇妙きみょうと評ひょうするなど、ヒトの心しんを理解りかいできない存在そんざいとして描えがかれている。シンジとの交流こうりゅうはアニメより多おおかったものの、互たがいの性格せいかくがともにアニメとは異ことなることから上手うまくいくことはなく、シンジには拒こばまれ続つづけていく。

アラエル戦後せんごにアスカのリタイアにより弐に号機ごうきパイロットに正式せいしきに任命にんめいされ、使徒しとアルミサエル戦せんに出撃しゅつげきする。その際さいにアルミサエルの侵食しんしょくを受うけ、レイのシンジを想おもう気持きもちがカヲルに流ながれ込こんだことで、涙なみだを流ながし、ヒトがヒトを想おもう心しんに触ふれ、以降いこうは好すきという感情かんじょうにこだわりそれを露あらわにするようになる。貞さだ本ほんによれば、異性いせいとしてシンジを想おもうレイの気持きもちを感受かんじゅしてしまったことで、シンジへの好意こういに興味きょうみを持もちつつも、自分じぶんの体からだは男おとことして生うまれてしまったがゆえに、この気持きもちはどうなるんだろう、という自分じぶんなりの『せつない構造こうぞう』をつくってみたつもりだと述のべている。

最後さいごはゼーレの望のぞみを受うけ、ターミナルドグマへ侵入しんにゅうしアダム（リリス）の元もとへたどり着つくが、それがリリスであることを悟さとると、シンジに自分じぶんの運命うんめいとサードインパクトについて語かたった後のち、初号しょごう機きの掌てのひらで扼殺やくさつされる。その際さいに「僕ぼくを少すこしでも好すきなら殺ころして欲ほしい」と伝つたえ、そうすることでシンジの記憶きおくに残のこることを望のぞむ。漫画まんが版ばんのゼーレはアニメ版ばんとは違ちがい、実際じっさいにカヲルによるサードインパクトからの補完ほかんを望のぞみ送おくり出だしている。後のちに補完ほかんを拒否きょひする際さい、シンジがカヲル（他人たにん）のことを傷きずつけたと思おもい返かえす描写びょうしゃがある。

アニメ版ばんでは「完璧かんぺきなもう一人ひとりの碇いかりシンジ」としてのプロットだったのに対たいし、貞さだ本ほんは「当初とうしょの構想こうそうから子供こどもっぽいキャラクターとしてデザインし、無邪気むじゃきなカヲルのイメージがずっと自分じぶんの中なかに強つよく残のこっていた」とし、漫画まんが版ばんにおける人物じんぶつ像ぞうはこうしたイメージが反映はんえいされたものになっている。また、「現実げんじつ的てきにシンジが“人ひとを好すきになる”ことと向むき合あうエピソードで、カヲルを存在そんざいさせた」とも語かたっている。

ゲーム版ばん

『新しん世紀せいきエヴァンゲリオン2』では、説得せっとくに成功せいこうすると人類じんるいとの共存きょうぞんを望のぞみ、パイロットとして参入さんにゅうする。その際さい、消失しょうしつしたはずのEVA4号機ごうきをどこからともなく呼よび出だし、自みずからの乗じょう機きとしてNERV本部ほんぶにもたらす。

『名めい探偵たんていエヴァンゲリオン』ではEVA乙おつ型がた、『新しん世紀せいきエヴァンゲリオン バトルオーケストラ』ではEVA乙おつ号ごう機きに、パチンコ・パチスロでは『CR新しん世紀せいきエヴァンゲリオン 〜使徒しと、再ふたたび〜』以降いこうEVA四よん号機ごうきに搭乗とうじょうする。基本きほん的てきにパチンコ・パチスロではプレミアムキャラクターとしての扱あつかいであり、液晶えきしょう画面がめんに何なんらかの形かたちでカヲルもしくは四よん号機ごうきが登場とうじょうした時点じてんで、パチンコであれば出だし玉だまアリの確変かくへん大当おおあたり、パチスロであればボーナス確定かくていとなることが恒例こうれいとなっている（例外れいがいとしてチャンスボタン予告よこくの無言むごんは初代しょだいではガセ、セカンドインパクトではスーパーリーチ、奇跡きせきの価値かちは・使徒しと、再ふたたびでは高こう期待きたい度ど、最後さいごのシ者ししゃ以降いこうでは必かならず喋しゃべる。セカンドインパクトでのシンクロリーチでは暴走ぼうそうモードアリ。他たにはパチスロ『新しん世紀せいきエヴァンゲリオン 〜魂たましいの軌跡きせき〜』の「カヲル覚醒かくせいモード」があるが、これは次回じかいボーナスまで続つづくリプレイタイムなので、プレミアムであることは変かわらない）。ただし、パチンコ5作さく目めの『CR新しん世紀せいきエヴァンゲリオン 〜最後さいごのシ者ししゃ〜』にはカヲル登場とうじょう時じでもハズレの場合ばあいもある予告よこくが1つだけ存在そんざいする。それはチルドレンモード（時短じたん中ちゅう）、パソコン画面がめんに碇いかりシンジ、惣そう流りゅう・アスカ・ラングレー、ペンペンと共ともに登場とうじょうする予告よこくで30.7%の期待きたい度どである。

スーパーロボット大戦たいせんシリーズでは、ストーリーの真意しんいに絡からむことが多おおく、他た作品さくひんのキャラクターとも意味深いみしんな会話かいわすることがある。基本きほん的てきにスポット登場とうじょうで、プレイヤーキャラクターとして使つかえるケースは少すくない。かつては使用しようできたのは『第だい3次じスーパーロボット大戦たいせんαあるふぁ 終焉しゅうえんの銀河ぎんがへ』のみで、EVA零れい号機ごうき・改あらために乗のってのスポット参加さんかに限かぎられていたが、『第だい3次じスーパーロボット大戦たいせんZ 天てん獄ごく篇へん』において「新しん劇場げきじょう版ばん：Q」の設定せっていで初はじめて正式せいしきなプレイヤーキャラクター（第だい13号機ごうきサブパイロット）として使用しようできるようになっている。

その他た

• 栗山くりやま千明ちあきは「理想りそうの男性だんせい」として渚なぎさカヲルの名なを挙あげている。
• ファンブック『ALL ABOUT 渚なぎさカヲル A CHILD OF THE EVANGELION』が2008年ねんに発売はつばいされた。内容ないようは貞さだ本義ほんぎ行ぎょうへのロングインタビュー、漫画まんが版ばんのダイジェストなどである。
• 声こえを担当たんとうしている石田いしだ彰あきらは、パチンコやパチスロ、エヴァショップの店内てんないアナウンスなどで「カヲルがおよそ言いわないであろう台詞ぜりふを言いわなければならないのが難むずかしい」と語かたっている。
• 500 TYPE EVAの車内しゃない放送ほうそうにも起用きようされた。
• Netflix配信はいしん版ばんのカヲルのシンジに対たいする「好すきってことさ」というセリフの英語えいご字幕じまくがDVD・Blu-ray版ばんでは「It means I love you」（愛あいしてるってことさ）であったのに対たいして直訳ちょくやくの「It means I like you」に変更へんこうになったことで従来じゅうらいのファンから苦情くじょうがあった。

日本にっぽん国外こくがい版ばんでの声優せいゆう

• 英語えいご
  • カイル・スターディバント
  • アーロン・クローン（劇場げきじょう版ばん）
  • グレッグ・エアーズ（ビデオフォーマット版ばん）
  • ジェリー・ジュエル（新しん劇場げきじょう版ばん:序じょ、:破やぶ、:Q）
  • ダマン・ミルズ（Amazon Prime Video版ばん）
  • クリフォード・チェイピン（Netflix版ばん）

脚注きゃくちゅう

参考さんこう文献ぶんけん

• 『エヴァンゲリオン・クロニクル 新しん訂てい版ばん』11号ごう、デアゴスティーニ・ジャパン、5-8頁ぺーじ、ASIN B00478NWME。 
• 『エヴァンゲリオン・クロニクル 新しん訂てい版ばん』13号ごう、デアゴスティーニ・ジャパン、1-4頁ぺーじ、ASIN B00478NVZ2。