献上けんじょう図式ずしき（けんじょうずしき）とは、幕府ばくふなどに献上けんじょうされた詰将棋つめしょうぎの作品さくひん集しゅうのこと。図式ずしきとは詰将棋つめしょうぎの意味いみ。
献上けんじょう図式ずしきは、初代しょだい家元いえもと制せい名人めいじんの初代しょだい大橋おおはし宗そう桂かつらが将棋しょうぎ所しょに就任しゅうにんしたのに応おうじて後こう陽成ようぜい天皇てんのうに作品さくひん集しゅうを献上けんじょうした（『言げん経けい卿きょう記き』慶長けいちょう7年ねん12月3日にちの記述きじゅつ）のが最初さいしょとされる。2代だい名人めいじんの二に代だい大橋おおはし宗古そうこがこれを踏襲とうしゅうし幕府ばくふに作品さくひん集しゅうを献上けんじょうした。
この後のち代々だいだいの名人めいじん候補者こうほしゃが八はち段だん昇段しょうだんの際さいに100番ばんの詰将棋つめしょうぎを作つくって献上けんじょうするようになった。中なかでも三さん代だい宗むね看みの『将棋しょうぎ無双むそう』と伊藤いとう看み寿ことぶきの『将棋しょうぎ図ず巧たくみ』は、ともに江戸えど時代じだいを通つうじて最高さいこうの作品さくひん集しゅうであるが、八はち世せい名人めいじん九きゅう代だい大橋おおはし宗そう桂かつらの代だいで途切とぎれることとなった。献上けんじょうを廃止はいしした九きゅう世せい名人めいじん六ろく代だい大橋おおはし宗そう英すぐるは、「詰将棋つめしょうぎなら桑原くわばら君くん仲なかでもできる」と言いったとされ、これ以降いこう、詰将棋つめしょうぎそのものが衰退すいたいすることとなった。
表ひょう中ちゅう、伊藤いとう看み寿ことぶきと八はち代だい大橋おおはし宗そう桂かつらの2人ふたりは名人めいじんになっていない。他たに名人めいじん候補こうほであった三さん代だい大橋おおはし宗そう桂かつらが100番ばんの詰将棋つめしょうぎを作成さくせいしていたが、初代しょだい伊藤いとう宗はじめ看みが名人めいじんを襲かさね位いしたため献上けんじょうされていない[1]。
また、江戸えど幕府ばくふの崩壊ほうかい後ごであり献上けんじょうされたものではないが、2011年ねんには十じゅう七なな世せい名人めいじんの資格しかく者しゃ（当時とうじ）であった谷川たにがわ浩司こうじが『月下げっか推敲すいこう』として図式ずしき集しゅうを刊行かんこうした[5]。
