(Translated by https://www.hiragana.jp/)
航続距離 - Wikipedia

航続こうぞく距離きょり(こうぞくきょり)とは、航空機こうくうき船舶せんぱく電気でんき自動車じどうしゃなどが燃料ねんりょう最大さいだい積載せきさいりょうまでんで飛行ひこうできる、または航行こうこう運転うんてんできる最大さいだい距離きょりのことである。もとは船舶せんぱく航空こうくう分野ぶんやもちいられていたが、電気でんき自動車じどうしゃ開発かいはつすすむにつれて1990年代ねんだい後半こうはんから自動車じどうしゃ関係かんけいでもこの用語ようご使つかわれはじめ、2010ねんごろには電気でんき自動車じどうしゃが1かい充電じゅうでんはしれる距離きょりあらわすにはかせない用語ようごとなった。また、自動車じどうしゃなどにかぎらず、電動でんどうスクーター電動でんどうキックボードなどの燃料ねんりょう電力でんりょくはしもの使つかわれることがある[1]

航空機こうくうき

編集へんしゅう

航続こうぞく距離きょり対地たいち速度そくど最大さいだい飛行ひこう時間じかん tmaxじょうじたものである。 以下いかに、プロペラジェット機じぇっときについて航続こうぞく距離きょりもとめる計算けいさんしきしめす。

導出どうしゅつ

編集へんしゅう

単位たんい時間じかんに、どれだけの燃料ねんりょう消費しょうひするか(燃料ねんりょう消費しょうひりつ)は、まず、したしきもとめられる :

 

燃料ねんりょうやしたぶん (dWf) 航空機こうくうき重量じゅうりょうかるくなる (-dW) ので、dWf = -dW. よって

 

単位たんい距離きょりあたりの燃料ねんりょう搭載とうさいりょう変化へんかりょうは、つぎしきもとめる。ただしV速度そくどである:

 

それから、航続こうぞく距離きょりつぎてい積分せきぶんもとめられる:

 

ここで V/F は航続こうぞくりつばれ、単位たんい燃料ねんりょう重量じゅうりょうあたりの飛行ひこう距離きょりあらわす。 ここでは航続こうぞくりつ航空機こうくうきがほぼ安定あんていした飛行ひこうをしているものという前提ぜんていもとめている。 つぎふしでは、ジェット機じぇっときとプロペラ推進すいしんちがいについてべる。

プロペラ

編集へんしゅう

プロペラでは、平衡へいこう条件じょうけん Pa = Pr から、ある航空機こうくうき重量じゅうりょうのときの水平すいへい飛行ひこうはやさをもとめなければならない。 推進すいしん効率こうりつ ηいーたj燃料ねんりょう消費しょうひりつ cp は、それぞれが飛行ひこう速度そくど関数かんすうになっている。 エンジン出力しゅつりょくしたしきもとめる:

 

つぎに、対応たいおうする燃料ねんりょう重量じゅうりょう流量りゅうりょうもとめる :

 

推進すいしんようする出力しゅつりょく仕事率しごとりつ)は抗力こうりょくかける速度そくどであり、抗力こうりょくあげこうから計算けいさんする。水平すいへい飛行ひこうなので揚力ようりょく L = 重量じゅうりょう W であることに注意ちゅういすると、

 

あげこう一定いってい仮定かていすると、積算せきさん航続こうぞく距離きょりつぎしきとなる:

 

航続こうぞく距離きょり解析かいせきてき表現ひょうげんもとめるには、航続こうぞくりつ燃料ねんりょう重量じゅうりょう流量りゅうりょうが、航空機こうくうき推進すいしんシステムに依存いぞんしていることに注意ちゅういしなければならないが、もしそれらが一定いっていだと仮定かていすると:

 

ジェット機じぇっとき

編集へんしゅう

同様どうように、ジェット機じぇっとき計算けいさんは、つぎ方式ほうしきでおこなわれる。 ここでは、ほぼ安定あんてい水平すいへい飛行ひこう仮定かていする。 つぎしき関係かんけい利用りようする。

 

推力すいりょくは、以下いかのようにける:

 

ジェットエンジンは燃料ねんりょう消費しょうひりょうたいする推力すいりょく特徴付とくちょうづけられる。 つまり、燃料ねんりょう消費しょうひりょうはエンジン出力しゅつりょくにではなく抗力こうりょく比例ひれいしている。

 

揚力ようりょくしき使つかうと、

 

ここでρろー空気くうき密度みつど、Sはつばさ面積めんせき

航続こうぞくりつつぎしきひとしい:

 

最後さいご航続こうぞく距離きょりもとめられる :

 

一定いってい高度こうど一定いっていむかかく一定いってい燃料ねんりょう消費しょうひりつ巡航じゅんこうしているときは、航続こうぞく距離きょりつぎのようになる:  

ただし、航空機こうくうき航空こうくう力学りきがくてき特性とくせいによる圧縮あっしゅくりつ無視むしする。

マッハすうによる算出さんしゅつ

編集へんしゅう

成層圏せいそうけんでの長距離ちょうきょりジェット飛行ひこうでは音速おんそく一定いっていであり、そのため一定いっていのマッハすう飛行ひこうするとその航空機こうくうき局地きょくちてき音速おんそくえることなく上昇じょうしょうする。 この場合ばあい 

ただし、Mが巡航じゅんこうマッハすうで、aが音速おんそく意味いみする。 航続こうぞく距離きょりしきつぎのように変形へんけいできる:

 

または、

 

船舶せんぱく

編集へんしゅう

ふね交通こうつう機関きかんくらべて比較的ひかくてき船体せんたい余裕よゆうがあるため、おおきなタンクに大量たいりょう燃料ねんりょう搭載とうさいすることが出来できる。また、低速ていそく航行こうこうすれば燃費ねんぴくなるので航続こうぞく距離きょり長大ちょうだいであり、タンカーなどは2ヶ月かげつあいだ地球ちきゅう半周はんしゅうする距離きょり補給ほきゅう航海こうかいできる[2]近年きんねんではタンカーの大型おおがたすすみ、航続こうぞく距離きょりが40,000 km(地球ちきゅう1しゅう相当そうとう)をえるようなちょう大型おおがたタンカーも就役しゅうえきしている[3][4]

航続こうぞく距離きょり

編集へんしゅう

燃料ねんりょう給油きゅうゆのまま航海こうかいできるさい長距離ちょうきょりのことを「航続こうぞく距離きょり」とぶ。おおきな燃料ねんりょうタンクに燃料ねんりょう消費しょうひりついエンジンと効率こうりつ推進すいしんそなえ、船体せんたい抵抗ていこうちいさいふね低速ていそくはしればそれだけ航続こうぞく距離きょりびるが、航続こうぞく距離きょりもとめる場合ばあい常用じょうよう出力しゅつりょくでの距離きょりもちいる。 1にち・1まん馬力ばりきあたりの燃料ねんりょう消費しょうひりょうはディーゼル・エンジンで30すうトン、蒸気じょうきタービンで45トンほどである。燃料ねんりょう消費しょうひりょうおお軍艦ぐんかんのぞいて、おおきさのりに燃料ねんりょう消費しょうひりょうおおいのは高速こうそく航行こうこうするコンテナせんやフェリーである。

具体ぐたいてきには、

  • 20まん重量じゅうりょうトンきゅう石油せきゆ原油げんゆタンカー:やく150トンの消費しょうひで17,000 nm(うみさと
  • 6まん重量じゅうりょうトンの撒積せん(ばらづみせん):やく50トンの消費しょうひで15,000-25,000 nm
  • 2まん重量じゅうりょうトンきゅう貨物かもつせん:30すうトンの消費しょうひやく15,000 nm
  • 1,000トン程度ていど漁船ぎょせんで20,000 nm

といったところになる。

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ 小林こばやし はじめ (2021ねん8がつ30にち). “ニュースをしんよん熟語じゅくご辞典じてん だい24かい航続こうぞく距離きょり】こうぞくきょり”. 三省堂さんせいどう ことばのコラム. 三省堂さんせいどう. 2021ねん10がつ9にち閲覧えつらん
  2. ^ 池田いけだ良穂よしほ監修かんしゅう 『ふねのすべてがわかるほん』 ナツメしゃ 2009ねん2がつ9にち発行はっこう ISBN 9784816346408
  3. ^ 川崎重工業かわさきじゅうこうぎょうプレスリリース [リンク]
  4. ^ 出光いでみつタンカーによる自社じしゃ船舶せんぱく紹介しょうかい