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語形変化 - Wikipedia

語形ごけい変化へんか(ごけいへんか)または屈折くっせつ(くっせつ、えい: inflection)とは、ひとつのかたり文法ぶんぽうてき意味いみ機能きのうおうじてことなる複数ふくすうかたちつことである。名詞めいしとそれにじゅんじる品詞ひんし語形ごけい変化へんかきょくよう動詞どうしとそれにじゅんじる品詞ひんし語形ごけい変化へんか活用かつようという。ただし、語形ごけい変化へんか総称そうしょうとして広義こうぎ活用かつようかたりもちいる場合ばあいもある[1][2]語形ごけいがえへん[3]とも。

あるかたりべつかたり文法ぶんぽう範疇はんちゅうおうじて屈折くっせつすることを一致いっちという[4]

語形ごけい変化へんかとは、ひとつの語彙ごいもと屈折くっせつ素性すじょうちがいにおうじてことなる語形ごけいつことである。

形態けいたいろんでは、実際じっさい発音はつおんできる具体ぐたいてきかたりのことを語形ごけいという。また、語形ごけいとしてはちがうがおな概念がいねんあらわひとつのかたりであるとかんがえられる複数ふくすう語形ごけいは、おな語彙ごいもとである、という。たとえば「べる、べた、べよう、べろ」などは、それぞれことなる語形ごけいであるが、すべておな種類しゅるい行為こういあらわすので、ひとつの語彙ごいである。

ひとつの語彙ごいもとぞくするそれぞれの語形ごけい固有こゆう意味いみ機能きのう(あたい、value)という。たとえば英語えいごのeat「べる」は「現在げんざい」を、ate「べた」は「過去かこ」をとしてっている。これらの相互そうご排他はいたてきで、おな意味いみ機能きのうゆうするとき、それらはひとつの屈折くっせつ素性すじょう(くっせつそせい、inflectional feature)のことなるである、という。たとえば英語えいごの「現在げんざい」と「過去かこ」はおな屈折くっせつ素性すじょう時制じせい」のふたつのであり、英語えいご動詞どうし時制じせいおうじて語形ごけい変化へんかする、といえる。

語形ごけい変化へんかする語彙ごいもと複数ふくすう語形ごけいのことを屈折くっせつがた(くっせつけい、inflectional form)という。たとえば「べる、べた、べよう、べろ」などは語彙ごいもとタベルの屈折くっせつがたである。ある語彙ごいもとすべての屈折くっせつがたをまとめたもののことをその語彙ごいもとパラダイム (paradigm) といい、おもて形式けいしきあらわされる。

屈折くっせつ素性すじょう

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きょくよう名詞めいし語形ごけい変化へんか)に反映はんえいするおも屈折くっせつ素性すじょうは、かずかくせい人称にんしょうなどであり、活用かつよう動詞どうし語形ごけい変化へんか)にられるものは、かず人称にんしょう時制じせいそうほうなどである。

屈折くっせつるい

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おな品詞ひんしぞくするふたつの語彙ごいもとの、おな文法ぶんぽう機能きのう屈折くっせつ接辞せつじ形態けいたいたがいに音韻おんいんてきていない(=補充ほじゅうてきな)、それらの語彙ごいもと別々べつべつ屈折くっせつるい (inflection class) にぞくする、という。

たとえば日本語にほんご動詞どうしむ (nom-u)」と「べる (tabe-ru)」の命令めいれいがたはそれぞれ「め (nom-e)」、「べろ (tabe-ro)」で、命令めいれいがたつく屈折くっせつ接辞せつじ -e と -ro は補充ほじゅうてきであるから、「む」と「べる」は別々べつべつ屈折くっせつるいぞくする(だん活用かつよう一段いちだん活用かつよう)。

「〜きょくよう」は名詞めいしとそれにじゅんずる品詞ひんし屈折くっせつるいを、「〜活用かつよう」は動詞どうしとそれにじゅんずる品詞ひんし屈折くっせつるいあらわす。

おな屈折くっせつるいふくまれる語彙ごいもとは、おなじように語形ごけい変化へんかし、おなじようなパラダイムをつ。

日本語にほんごの「かる (wakaru)」と「ける (wakeru)」のパラダイム(一部いちぶ
かる(だん活用かつよう ける(一段いちだん活用かつよう
終止しゅうしがた wakar-u wake-ru
連用形れんようけい wakar-i wake
命令めいれいがた wakar-e wake-ro

関連かんれん項目こうもく

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  • 派生はせい - もとかたりもとづいてべつかたりつくられること。語形ごけい変化へんかともな場合ばあいおおく、なかにはかけじょう語形ごけい変化へんかちかいものもある(たとえば、おおきい(形容詞けいようし)>おおきな(連体詞れんたいし) など)。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 広辞苑こうじえんだいはん)』、岩波書店いわなみしょてん、1998ねん
  2. ^ 活用かつよう』 - コトバンク収録しゅうろくデジタル大辞泉だいじせん百科ひゃっか事典じてんマイペディアひとしの「活用かつよう」の解説かいせつ参照さんしょう
  3. ^ 語形ごけいがえへん』 - コトバンク
  4. ^ 斎藤さいとう田口たぐち西村にしむらへん)2015、p.10

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 斎藤さいとう純男すみお田口たぐち善久よしひさ西村にしむら義樹よしき へん一致いっち」『明解めいかい言語げんごがく辞典じてん三省堂さんせいどう、2015ねんISBN 4385135789