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調停 - Wikipedia

調停ちょうてい(ちょうてい)は、紛争ふんそう当事とうじしゃ双方そうほうあいだ第三者だいさんしゃ介入かいにゅうして紛争ふんそう解決かいけつはかること。おも法令ほうれいによって制度せいどされているものをす。

調停ちょうていしつ神戸こうべ地裁ちさい柏原かしわばら支部しぶ

世界せかい調停ちょうてい

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各国かっこく国内こくないほうにおける調停ちょうてい

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世界せかいにおいては従前じゅうぜん調停ちょうてい低調ていちょうであったものの、2020ねんごろには世界せかいてき関心かんしんたかまっている。世界せかいてきには、民間みんかん調停ちょうてい機関きかん発達はったつしたのち司法しほう機関きかんにおいて調停ちょうてい制度せいど整備せいびされるというのが多数たすう発達はったつ順序じゅんじょである[1]

世界せかい言語げんごで「調停ちょうてい」に相当そうとうするかたりおおく、日本にっぽんでは概念的がいねんてきには「あっせん」や「仲裁ちゅうさい」をてたほう適切てきせつなものもあるため注意ちゅうい必要ひつようである[2]

  • 英語えいご “mediation”、conciliation”、“arbitration”、“settlement”
  • ドイツ “Mediation”、“Vermittlung”、Schlichtung”、”Beilegung”
  • フランス語ふらんすご “mediation”、“conciliation”、“arbitrage”、“entremise”

近年きんねんは、米国べいこくなどにおいて自主じしゅ交渉こうしょう援助えんじょがた調停ちょうてい日本にっぽんではミディエーションとばれる)というあらたな調停ちょうていながれがてきている。伝統でんとうてき調停ちょうていが、調停ちょうてい委員いいんなどの調停ちょうていしゃ当事とうじしゃ双方そうほうのいいぶんきつつ法的ほうてき基準きじゅんもとづいて解決かいけつ合意ごうい成立せいりつ目指めざすのにたいし、ミディエーションは、第三者だいさんしゃ(ミディエーター)が当事とうじしゃあいだ自主じしゅてきはないを援助えんじょし、対話たいわ促進そくしんすることにより、解決かいけつけた合意ごうい成立せいりつ目指めざす。紛争ふんそう実情じつじょうほう規範きはんてはめた場合ばあい結果けっかことなる合意ごうい成立せいりつすることもありるが、私的してき自治じち原則げんそく妥当だとうする範囲はんいない有効ゆうこうせいみとめられるとほぐされる。

国際こくさいほうにおける調停ちょうてい

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国際こくさい公法こうほう

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国際こくさい紛争ふんそう平和へいわてき解決かいけつ手続てつづきひとつ。

国際こくさい私法しほう

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国際こくさい紛争ふんそう解決かいけつさいしては準拠じゅんきょほう決定けっていけられないところ、調停ちょうてい手続てつづきであれば準拠じゅんきょほうえた利害りがい調整ちょうせい可能かのうであるてん利点りてん指摘してきされている[3]

日本にっぽんにおける調停ちょうてい

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日本にっぽんにおいて、徳川とくがわ時代ときよにおける内済ないさい、それをもとにした明治めいじ初期しょきすすむかいなどに起源きげんることができるが[4]調停ちょうてい法制ほうせい嚆矢こうしとなったのは、1922ねん借地しゃくち借家しゃくや調停ちょうていほうであったといわれる[5]。これは、1921ねんきゅう借地しゃくちほうきゅう借家しゃくやほう制定せいていされたさい借地しゃくち借家しゃくや関係かんけいかんする紛争ふんそう裁判さいばんがい解決かいけつするための制度せいど必要ひつようであるとの意見いけんされ、発議はつぎされたものである。その理由りゆうは、借地しゃくちほう借家しゃくやほう借主かりぬしあたえた強力きょうりょく法律ほうりつじょう権利けんり法廷ほうていまれれば貸主かしぬしがわとの社会しゃかいてき対立たいりつふかめることが予想よそうされ、また、道徳どうとく調和ちょうわ重視じゅうしするとされていた日本人にっぽんじん旧来きゅうらいほう意識いしきとの齟齬そごきたすことが憂慮ゆうりょされたことにある。当時とうじ日本にっぽん社会しゃかいあたえる影響えいきょう最小さいしょうするためには、紛争ふんそうたん権利けんり関係かんけい契約けいやく関係かんけいとしてのくちから解決かいけつするのではなく、人間にんげん同士どうしつながりや感情かんじょうをも考慮こうりょした紛争ふんそう解決かいけつ可能かのう制度せいど必要ひつようとされたのである。このように、日本にっぽん調停ちょうてい制度せいどは、実体じったいほうじょう権利けんり関係かんけい制度せいどされるのにわせ、社会しゃかい政策せいさくてき観点かんてんから整備せいびされてきたといえる[6]

その紛争ふんそう実情じつじょうそくした公正こうせい適正てきせい解決かいけつ可能かのう制度せいど目指めざし、昭和しょうわ49ねん民事みんじ調停ちょうていほう改正かいせい昭和しょうわ49ねんの「民事みんじ調停ちょうてい委員いいんおよ家事かじ調停ちょうてい委員いいん規則きそく」の制定せいていによる調停ちょうてい委員いいん資質ししつ向上こうじょうなどの見直みなおしがはかられてきたが、「マアマア調停ちょうてい」(争点そうてん整理せいり事実じじつ認定にんていをあまりせず、調停ちょうてい委員いいん当事とうじしゃ適当てきとういをつけさせる調停ちょうてい[7])「折半せっぱん調停ちょうてい」などがおこなわれ封建ほうけんてき民主みんしゅてきであるとの批判ひはん[7]ぬぐうことができず、こうした特徴とくちょう調停ちょうてい制度せいど病理びょうり現象げんしょうとまでわれる状況じょうきょうであった[8]

そこで、2001ねん司法しほう制度せいど改革かいかく審議しんぎかい意見いけんしょにおいては、「法的ほうてき観点かんてん指摘してきによる紛争ふんそう解決かいけつ」の視点してん大幅おおはばれる方向ほうこうかじられた。これはすなわち、人情にんじょう道徳どうとく重視じゅうしした従来じゅうらい調停ちょうてい制度せいどからの重大じゅうだい方針ほうしん転換てんかん意味いみする。背景はいけいとしては、社会しゃかい複雑ふくざつ当事とうじしゃ法的ほうてき権利けんり意識いしきたかまりなどにより、対立たいりつてん調整ちょうせいはかさいに、人情にんじょうではなく合理ごうりてき説明せつめいもとめられるようになり、合理ごうりせい担保たんぽとして法的ほうてき観点かんてん指摘してき必要ひつようとなったことが指摘してきされている[9]

民事みんじほう

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一部いちぶ規定きていでは、調停ちょうていのちでなければ訴訟そしょう提起ていきすることができないむね調停ちょうていまえおけ主義しゅぎ)のさだめがある。

労働ろうどうほう

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集団しゅうだんてき労働ろうどう紛争ふんそうについては労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほう一般いっぱんてき規定きていがある。どうほうさだめるみっつある労働ろうどう争議そうぎ調整ちょうせい手段しゅだんあっせん調停ちょうてい仲裁ちゅうさい)のひとつである。

労働ろうどう争議そうぎ調停ちょうてい対象たいしょう

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労働ろうどう委員いいんかいは、つぎ各号かくごうのいずれかに該当がいとうする場合ばあいに、調停ちょうていおこなう(労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほうだい18じょう)。

労働ろうどう委員いいんかいは、関係かんけい当事とうじしゃ一方いっぽうから、2.~5.によって調停ちょうてい申請しんせい決議けつぎ請求せいきゅうがなされたときは関係かんけい当事とうじしゃ双方そうほうに、遅滞ちたいなくそのむね通知つうちしなければならない(労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほう施行しこうれいだい7じょう1こう)。この場合ばあいにおいて、事件じけん公益こうえき事業じぎょうかんするものであるときは、労働ろうどう委員いいんかいはそのむね公表こうひょう[注釈ちゅうしゃく 1]しなければならない(労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほう施行しこうれいだい7じょう2こう)。

  1. 関係かんけい当事とうじしゃ双方そうほうから、労働ろうどう委員いいんかいたいして、調停ちょうてい申請しんせいがなされたとき。
  2. 関係かんけい当事とうじしゃ双方そうほうまたは一方いっぽうから、労働ろうどう協約きょうやくさだめにもとづいて、労働ろうどう委員いいんかいたいして調停ちょうてい申請しんせいがなされたとき。
  3. 公益こうえき事業じぎょうかんする事件じけんにつき、関係かんけい当事とうじしゃ一方いっぽうから、労働ろうどう委員いいんかいたいして、調停ちょうてい申請しんせいがなされたとき。
  4. 公益こうえき事業じぎょうかんする事件じけんにつき、労働ろうどう委員いいんかい職権しょっけんもとづいて、調停ちょうていおこな必要ひつようがあると決議けつぎしたとき。
  5. 公益こうえき事業じぎょうかんする事件じけんまたはその事件じけん規模きぼおおきいためしくは特別とくべつ性質せいしつ事業じぎょうかんするものであるために公益こうえきいちじるしい障害しょうがいおよぼす事件じけんにつき、厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんまたは都道府県とどうふけん知事ちじから、労働ろうどう委員いいんかいたいして、調停ちょうてい請求せいきゅうがなされたとき。
    5.の調停ちょうてい請求せいきゅうは、その事件じけんいち都道府県とどうふけん区域くいきないのみにかかるものであるときは当該とうがい都道府県とどうふけん知事ちじがなし、その事件じけん以上いじょう都道府県とどうふけんにわたるものであるとき、または中央ちゅうおう労働ろうどう委員いいんかい全国ぜんこくてき重要じゅうよう問題もんだいにかかるとみとめたものであるときは厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんがなす。厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじん必要ひつようみとめるときは、この規定きていによる都道府県とどうふけん知事ちじまた厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじん職権しょっけんは、この規定きていにかかわらず、厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんまたは厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじん指定していする都道府県とどうふけん知事ちじが、これをおこなうものとすることができる(労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほう施行しこうれいだい8じょう)。なお、5.の事務じむについて、船員せんいんかんしては国土こくど交通こうつう大臣だいじん地方ちほう運輸うんゆきょくちょう)がおこなうこととされていたが、平成へいせい20ねん改正かいせいほう施行しこうにより船員せんいん労働ろうどう委員いいんかい廃止はいしされたことにともない、厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんまた都道府県とどうふけん知事ちじおこなうこととなった(平成へいせい20ねん9がつ12にちせいはつだい0912001ごう)。

労働ろうどう争議そうぎ調停ちょうてい組織そしき

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労働ろうどう委員いいんかいによる労働ろうどう争議そうぎ調停ちょうていは、使用しようしゃ代表だいひょうする調停ちょうてい委員いいん労働ろうどうしゃ代表だいひょうする調停ちょうてい委員いいんおよび公益こうえき代表だいひょうする調停ちょうてい委員いいんからなる調停ちょうてい委員いいんかいもうけ、これによっておこなう(さんしゃ構成こうせい原則げんそく労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほうだい19じょう[注釈ちゅうしゃく 2]調停ちょうてい委員いいんかいの、使用しようしゃ代表だいひょうする調停ちょうてい委員いいん労働ろうどうしゃ代表だいひょうする調停ちょうてい委員いいんとは、同数どうすうでなければならない(労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほうだい20じょう)。調停ちょうてい委員いいんかい委員いいんちょうは、調停ちょうてい委員いいんかいで、公益こうえき代表だいひょうする調停ちょうてい委員いいんなかから、これを選挙せんきょする(労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほうだい20じょう)。調停ちょうてい委員いいんかいは、使用しようしゃ代表だいひょうする調停ちょうてい委員いいんおよ労働ろうどうしゃ代表だいひょうする調停ちょうてい委員いいん出席しゅっせきしなければ、会議かいぎひらくことはできない(労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほうだい23じょう2こう)。

労働ろうどう争議そうぎ調停ちょうてい手続てつづき

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調停ちょうてい委員いいんかいは、期日きじつさだめて、関係かんけい当事とうじしゃ出頭しゅっとうもとめ、その意見いけんしるさなければならない(労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほうだい24じょう)。調停ちょうていをなす場合ばあいには、調停ちょうてい委員いいんかいは、関係かんけい当事とうじしゃおよ参考さんこうじん以外いがいもの出席しゅっせき禁止きんしすることができる(労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほうだい25じょう)。

調停ちょうてい委員いいんかいは、申請しんせい決議けつぎ請求せいきゅうから15にち以内いない調停ちょうていあん作成さくせいし、10日とおか以内いない期限きげんして、これを関係かんけい当事とうじしゃしめし、その受諾じゅだく勧告かんこくするとともに、その調停ちょうていあん理由りゆうしてこれを公表こうひょうすることができる。調停ちょうていあん関係かんけい当事とうじしゃ双方そうほうにより受諾じゅだくされたのち、その調停ちょうていあん解釈かいしゃくまたは履行りこうについて意見いけん不一致ふいっちしょうじたときは、関係かんけい当事とうじしゃは、その調停ちょうていあん提示ていじした調停ちょうてい委員いいんかいにその解釈かいしゃくまたは履行りこうかんする見解けんかいあきらかにすることを申請しんせいしなければならない。調停ちょうてい委員いいんかいは、この申請しんせいのあったから15にち以内いないに、関係かんけい当事とうじしゃたいして、申請しんせいのあった事項じこうについて解釈かいしゃくまたは履行りこうかんする見解けんかいしめさなければならない。この解釈かいしゃくまたは履行りこうかんする見解けんかいしめされるまでは、関係かんけい当事とうじしゃは、当該とうがい調停ちょうていあん解釈かいしゃくまたは履行りこうかんして争議そうぎ行為こういをなすことができない(労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほうだい26じょう施行しこうれいだい10じょう)。

公益こうえき事業じぎょうかんする事件じけん調停ちょうていについては、とく迅速じんそく処理しょりするために、必要ひつよう優先ゆうせんてき取扱とりあつかいがなされなければならない(労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほうだい27じょう)。

労働ろうどう争議そうぎ調停ちょうていかんするその事項じこう

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労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほうだい3しょう調停ちょうてい)の規定きていは、労働ろうどう争議そうぎ当事とうじしゃが、双方そうほう合意ごういまたは労働ろうどう協約きょうやくさだめにより、べつ調停ちょうてい方法ほうほうによって事件じけん解決かいけつはかることをさまたげるものではない(労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほうだい28じょう)。

個別こべつ労働ろうどう紛争ふんそうについては、雇用こよう分野ぶんやにおける男女だんじょ均等きんとう機会きかいおよ待遇たいぐう確保かくほとうかんする法律ほうりつ男女だんじょ雇用こよう機会きかい均等きんとうほう)、短時間たんじかん労働ろうどうしゃ雇用こよう管理かんり改善かいぜんとうかんする法律ほうりつ(パートタイム労働ろうどうほう)、育児いくじ休業きゅうぎょう介護かいご休業きゅうぎょうとう育児いくじまた家族かぞく介護かいごおこな労働ろうどうしゃ福祉ふくしかんする法律ほうりつ育児いくじ介護かいご休業きゅうぎょうほうとう法令ほうれいに、都道府県とどうふけん労働ろうどうきょくちょう当該とうがい紛争ふんそう当事とうじしゃ双方そうほうまたは一方いっぽうから調停ちょうてい申請しんせいがあった場合ばあいにおいて当該とうがい紛争ふんそう解決かいけつのために必要ひつようがあるとみとめるときは、紛争ふんそう調停ちょうてい委員いいんかい調停ちょうていおこなわせるものとすること、事業じぎょうぬし調停ちょうてい申請しんせいしたことを理由りゆうとして、当該とうがい労働ろうどうしゃたいして解雇かいこその不利益ふりえき取扱とりあつかいをしてはならない、とするむね規定きていがある。

知的ちてき財産ざいさんほう

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ざい調停ちょうてい手続てつづき

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2019ねん10がつ1にち東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょおよび大阪おおさか地方裁判所ちほうさいばんしょ知的ちてき財産ざいさんにおいて、知的ちてき財産ざいさんけんかんする調停ちょうてい手続てつづきざい調停ちょうてい手続てつづき)の運用うんよう開始かいしされた[10]

大阪おおさか地裁ちさいにおいて1999ねんから実務じつむじょうおこなわれてきた手続てつづきを、東京とうきょう地裁ちさい共通きょうつう指針ししんのっと制度せいどしたものであり[11]紛争ふんそうできるかぎ円満えんまんに、または相手方あいてがたとの関係かんけい維持いじしつつ、かつ秘密ひみつたもちながら解決かいけつしたいというざいビジネス当事とうじしゃ要望ようぼうからまれた制度せいどである[12]

手続てつづきてきには民事みんじ調停ちょうていほうもとづく民事みんじ調停ちょうてい一種いっしゅである[13]

ざい調停ちょうてい手続てつづき特徴とくちょうおおむ以下いかのとおりである[10]

柔軟じゅうなんせい
  • 争点そうてん課題かだい設定せってい自由じゆうにでき、当事とうじしゃあいだ自主じしゅ交渉こうしょうもどることや裁判さいばん手続てつづきへの移行いこう自由じゆうである(自由じゆう[14])。
迅速じんそくせい
  • ざい事件じけんでは当事とうじしゃあいだ事前じぜん交渉こうしょうおこなわれ、ある程度ていど争点そうてん特定とくていされ、資料しりょうとうもある程度ていどそろっていることがおおいため、だい1かい調停ちょうてい期日きじつまでに主張しゅちょう証拠しょうこ提出ていしゅつませることで、原則げんそく3かい程度ていど期日きじつでの解決かいけつ志向しこうされている。
  • もうてには東京とうきょう地裁ちさいまたは大阪おおさか地裁ちさい対象たいしょうとする当事とうじしゃあいだ管轄かんかつ合意ごうい必要ひつようとされており、このてんでも当事とうじしゃあいだ事前じぜん交渉こうしょう前提ぜんていとされている。
  • 実際じっさいには3というのは一般いっぱん民事みんじ調停ちょうてい事件じけん平均へいきん係属けいぞく期間きかん大差たいさはないものの、ざい事件じけん専門せんもんせいたかさ・複雑ふくざつさを考慮こうりょすれば、3という目安めやす明言めいげんされたことは、裁判所さいばんしょ迅速じんそく解決かいけつへの姿勢しせい反映はんえいしているものとることができる[15]
専門せんもんせい
  • 調停ちょうてい委員いいんかい財部たからべ裁判官さいばんかんおよびざい事件じけんについての経験けいけん豊富ほうふ弁護士べんごし弁理べんりなどから構成こうせいされるため、担当たんとうしゃ専門せんもんせいについては裁判さいばん手続てつづき遜色そんしょくがない。裁判所さいばんしょ調査官ちょうさかん関与かんよすることも可能かのうである。
非公開ひこうかい
  • 非公開ひこうかいせい一般いっぱん民事みんじ調停ちょうてい同様どうようであるが、ざい事件じけんでは紛争ふんそうしている事実じじつ自体じたい秘匿ひとくするニーズがあり、利用りよう促進そくしんつながるとかんがえられている[16]
経済けいざいせい
  • 一般いっぱん民事みんじ調停ちょうてい申立もうしたてにようする手数料てすうりょうとう必要ひつようとなる以外いがいは、調停ちょうてい委員いいんかい意見いけんいたり裁判所さいばんしょ調査官ちょうさかん関与かんよもとめたりしても特別とくべつ費用ひよう発生はっせいしないため、専門せんもんてき知見ちけんすくない負担ふたんることができ、費用ひようたい効果こうかすぐれている[17]
実効じっこうせい
  • 調停ちょうてい成立せいりつすれば任意にんい履行りこう期待きたいしやすいというのは民事みんじ調停ちょうてい一般いっぱんてき特徴とくちょうがあるところ、ざい事件じけん当事とうじしゃ早期そうき解決かいけつ関係かんけいせい維持いじ希望きぼうゆうしていることがおおいため、より一層いっそう実効じっこうせい期待きたいできる[17]
ざい調停ちょうてい対象たいしょう事件じけん
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基本きほんてきには知的ちてき財産ざいさんけんかんする訴訟そしょう同様どうようで、以下いか権利けんりとうかんする紛争ふんそう対象たいしょうである[10]

  1. 特許とっきょけん
  2. 実用じつよう新案しんあんけん
  3. 意匠いしょうけん
  4. 商標しょうひょうけん
  5. 著作ちょさくけん
  6. 回路かいろ配置はいち利用りようけん
  7. 商法しょうほう12じょう会社かいしゃほう8じょうまたは21じょうもとづく請求せいきゅうけん
  8. 不正ふせい競争きょうそう防止ぼうしほうさだめる不正ふせい競争きょうそう
  9. 種苗しゅびょうほうによる育成いくせいしゃけん
  10. いわゆるパブリシティけん

相手方あいてがたとの関係かんけい維持いじはかりたい場合ばあい交渉こうしょう余地よちがある場合ばあいなどにいているとされるが、相手方あいてがたとの関係かんけい破綻はたんしていたり、迅速じんそく対応たいおうする必要ひつようがある場合ばあいなどは従来じゅうらい仮処分かりしょぶん訴訟そしょう手続てつづきほうてきしているされる[18]

そのざい関係かんけい調停ちょうてい

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民間みんかんにおいては、日本にっぽん知的ちてき財産ざいさん仲裁ちゅうさいセンター知的ちてき財産ざいさんめぐ紛争ふんそう(ドメイン紛争ふんそうふくむ。)について調停ちょうていおこなっている。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 府県ふけん公報こうほう公示こうじするとともに、新聞しんぶん・ラジオとうでも発表はっぴょうされる。この公表こうひょうには、調整ちょうせい申請しんせい請求せいきゅう受理じゅりまたは決議けつぎ年月日ねんがっぴと、労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほうだい37じょう期間きかん満了まんりょうにより争議そうぎ行為こうい発生はっせいすることあるべき明示めいじするとともに、事件じけん要点ようてんとく双方そうほう主張しゅちょう要点ようてん公正こうせい発表はっぴょうし、もって世論せろん喚起かんきするよう配慮はいりょしなければならない(昭和しょうわ21ねん10がつ14にち厚生省こうせいしょうはつろう44ごう)。
  2. ^ 調停ちょうてい委員いいんかいは、実情じつじょうおうじその機能きのう十分じゅうぶん発揮はっきするため、これをあらかじすうはん常設じょうせつくことも考慮こうりょすべきとされる(昭和しょうわ21ねん10がつ14にち厚生省こうせいしょうはつろう44ごう)。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 吉田よしだ元子もとこ 2020, p. 152
  2. ^ 吉田よしだ元子もとこ 2020, pp. 153–154
  3. ^ 平田ひらた勇人はやと 2011, p. 16.
  4. ^ 五十嵐いがらしきよし法学ほうがく入門にゅうもん』(だい4はん悠々ゆうゆうしゃ、2015ねん 
  5. ^ 片山かたやま 2017, p. 9.
  6. ^ 金原かなはら洋一よういち 2020, pp. 244–246
  7. ^ a b 平田ひらた勇人はやと 2011, p. 19.
  8. ^ 片山かたやま 2017, pp. 9–10.
  9. ^ 片山かたやま 2017, pp. 10–11.
  10. ^ a b c ざい調停ちょうてい手続てつづき運用うんようについて”. 裁判所さいばんしょウェブサイト. 2021ねん8がつ8にち閲覧えつらん
  11. ^ 吉田よしだ元子もとこ 2020, pp. 149–150
  12. ^ 吉田よしだ元子もとこ 2020, p. 161
  13. ^ 吉田よしだ元子もとこ 2020, p. 151
  14. ^ 吉田よしだ元子もとこ 2020, p. 169
  15. ^ 吉田よしだ元子もとこ 2020, pp. 170–171
  16. ^ 吉田よしだ元子もとこ 2020, p. 172
  17. ^ a b 吉田よしだ元子もとこ 2020, p. 173
  18. ^ 吉田よしだ元子もとこ 2020, p. 174

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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