都市 とし 権 けん または都市 とし 特権 とっけん (英語 えいご :City rights またはTown privileges )は、中世 ちゅうせい のヨーロッパで領主 りょうしゅ が領地 りょうち 内 ない の町 まち に与 あた えた交易 こうえき 権 けん やギルド 結成 けっせい 権 けん などの諸 しょ 権利 けんり (または法 ほう )のこと。これらの権利 けんり を得 え た町 まち は周辺 しゅうへん の町 まち より力 ちから を持 も ち「都市 とし (City )」とよばれた。また、自治 じち 権 けん や課税 かぜい 権 けん も与 あた えられることが多 おお かった。都市 とし 法 ほう と翻訳 ほんやく されている場合 ばあい もある。
ユトレヒトの都市 とし 権 けん の文書 ぶんしょ
オランダ圏 けん における都市 とし 権 けん (オランダ語 ご :Stadsrechten 、英語 えいご :City rights in the Low Countries )とは、10世紀 せいき から19世紀 せいき のオランダ圏 けん (現在 げんざい のオランダおよび、ベルギーおよびルクセンブルクの一部 いちぶ のネーデルランド と呼 よ ばれる地域 ちいき )において、領主 りょうしゅ が特定 とくてい の町 まち に与 あた えた権利 けんり のこと。中世 ちゅうせい において、この権利 けんり を得 え た町 まち のみが「市 し 」を標榜 ひょうぼう できた。この権利 けんり が得 え られるかどうかは、住民 じゅうみん の数 かず によっては左右 さゆう されなかった。例 たと えば、都市 とし 権 けん を得 え た最小 さいしょう の市 し はスタフェルデンで、人口 じんこう 40人 にん ほどである。
都市 とし 権 けん 効力 こうりょく の全盛 ぜんせい 時代 じだい (13~14世紀 せいき )
都市 とし 権 けん が与 あた えられた都市 とし は商人 しょうにん が移 うつ り住 す むのに魅力 みりょく 的 てき な街 まち となり、その結果 けっか 都市 とし の経済 けいざい が栄 さか えることとなった。(都市 とし 権 けん を与 あた えた)領主 りょうしゅ は都市 とし からの税収 ぜいしゅう が増 ふ えることにより、結果 けっか として経済 けいざい 的 てき 利益 りえき を享受 きょうじゅ できた。中世 ちゅうせい において増大 ぞうだい していた戦費 せんぴ を捻出 ねんしゅつ するため、都市 とし 権 けん と引 ひ き換 か えに得 え られる税収 ぜいしゅう は領主 りょうしゅ にとって重要 じゅうよう になっていった。本来 ほんらい 、領主 りょうしゅ は都市 とし に対 たい して一定 いってい の権力 けんりょく を保有 ほゆう しているのだが、都市 とし が発展 はってん しその権力 けんりょく を集中 しゅうちゅう させ一段 いちだん と独立 どくりつ 性 せい を高 たか めていく中 なか で、いつの間 ま にか領主 りょうしゅ から独立 どくりつ した都市 とし 国家 こっか のようになるものも出 で てきた。このような都市 とし は力 ちから を持 も った市民 しみん や商人 しょうにん が統治 とうち し、経済 けいざい 力 りょく と軍事 ぐんじ 力 りょく を益々 ますます 増大 ぞうだい させていくこととなった。
最初 さいしょ に都市 とし 権 けん が与 あた えられた町 まち はデーフェンター で、956年 ねん のことである。これは98年 ねん にロ ろ ーマ帝国 まていこく から都市 とし 権 けん を得 え たナイメーヘン の方 ほう が遥 はる かに昔 むかし では無 な いかという議論 ぎろん があるところだが、ここではこれらの都市 とし が現在 げんざい の都市 とし に継続 けいぞく していないと言 い う点 てん で、最 もっと も古 ふる い都市 とし をデーフェンター としている。
中世 ちゅうせい 後期 こうき には多 おお くの町 まち に都市 とし 権 けん が与 あた えられ、商人 しょうにん や貿易 ぼうえき 商 しょう の強力 きょうりょく な働 はたら きにより、オランダは16世紀 せいき に世界 せかい 初 はつ の近代 きんだい 的 てき な共和 きょうわ 国 こく になることとなった。
都市 とし 権 けん の時代 じだい の終焉 しゅうえん (16世紀 せいき 後半 こうはん )
都市 とし 権 けん は、国 くに が開発 かいはつ され中央 ちゅうおう 集権 しゅうけん 化 か を進 すす めると共 とも に、その役割 やくわり を終 お えることとなった。オランダでは(一般 いっぱん 的 てき な)都市 とし 権 けん を獲得 かくとく した最後 さいご の都市 とし はウイレムスタットで、1586年 ねん のことであった。オランダ共和 きょうわ 国 こく 時代 じだい (1581年 ねん から1795年 ねん )に入 はい ってから都市 とし 権 けん を獲得 かくとく したのはブロクザイルで、1672年 ねん のことである。18世紀 せいき 末 まつ のバタヴィア革命 かくめい 後 こう は、フランス方式 ほうしき を取 と り入 い れた地方 ちほう 自治 じち 制度 せいど が確立 かくりつ され、都市 とし 権 けん は一旦 いったん 無効 むこう 化 か された。1813年 ねん にナポレオン 帝国 ていこく が崩壊 ほうかい した後 のち 、オランダ王国 おうこく 下 か で都市 とし 権 けん が一部 いちぶ 復活 ふっかつ したが、立法 りっぽう と司法 しほう は国家 こっか に属 ぞく するとされた。1848年 ねん のオランダ憲法 けんぽう 制定 せいてい により、1851年 ねん からは従来 じゅうらい の市 し ・町 まち ・村 むら という区分 くぶん は完全 かんぜん に撤廃 てっぱい され、都市 とし 権 けん も完全 かんぜん に否定 ひてい され現在 げんざい に至 いた っている。
19世紀 せいき 初頭 しょとう に都市 とし 権 けん を得 え た町 まち に与 あた えられたものは、(都市 とし 権 けん 全盛期 ぜんせいき の)中世 ちゅうせい において与 あた えられていたものと全 まった く違 ちが い、単 たん に象徴 しょうちょう 的 てき なものだけだった。(この象徴 しょうちょう 的 てき な意味 いみ の都市 とし 権 けん を最後 さいご に獲得 かくとく したのは、デルフスハフェン で1825年 ねん のことである)
特権 とっけん
市 し 壁 かべ 築造 ちくぞう 権 けん :居住 きょじゅう 区域 くいき (市街 しがい )の周囲 しゅうい に防護 ぼうご 壁 かべ を設 もう ける権利 けんり
市場 いちば 開設 かいせつ 権 けん :市 し を開催 かいさい する権利 けんり 。また、その市 し から徴税 ちょうぜい する権利 けんり
独占 どくせん 交易 こうえき 権 けん :特定 とくてい 商品 しょうひん を独占 どくせん 的 てき に交易 こうえき する権利 けんり がいくつかの都市 とし に与 あた えられた
通行 つうこう 税 ぜい 課税 かぜい 権 けん
貨幣 かへい 鋳造 ちゅうぞう 権 けん :都市 とし の貨幣 かへい を持 も つ権利 けんり
自由 じゆう
個人 こじん の自由 じゆう :都市 とし 以外 いがい の住民 じゅうみん と比 くら べて(相対 そうたい 的 てき に)、主君 しゅくん から干渉 かんしょう されず、移動 いどう の自由 じゆう が保証 ほしょう される
自治 じち
自治 じち 権 けん :一部 いちぶ の善良 ぜんりょう な市民 しみん は、都市 とし の官僚 かんりょう として取 と り立 た てられた
司法 しほう 及 およ び立法 りっぽう 権 けん :市域 しいき 内 ない において広範 こうはん な自主 じしゅ 立法 りっぽう 及 およ び司法 しほう 権 けん の行使 こうし が認 みと められた
課税 かぜい 権 けん
主要 しゅよう 都市 とし に都市 とし 権 けん が与 あた えられた年 とし
編集 へんしゅう
現在 げんざい のオランダの自治体 じちたい 組織 そしき には「市 し 」という区分 くぶん は存在 そんざい しない。大 だい 都会 とかい も田舎 いなか も、同 おな じ基礎 きそ 自治体 じちたい の単位 たんい であるヘメーンテ (オランダ) が最小 さいしょう の自治 じち 単位 たんい である。