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駐退機 - Wikipedia

ちゅう退すさ(ちゅうたいき)は、大砲たいほう発射はっしゃしたさいしょうじる反動はんどうrecoil)を砲身ほうしんのみをあとさせることによって軽減けいげんするための装置そうちである。通常つうじょうした砲身ほうしんもと位置いちもどふく一体化いったいかしてちゅう退すさふくとしてもちいられる。

概要がいよう

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大砲たいほう発射はっしゃしたさいには、砲弾ほうだん発射はっしゃという「作用さよう」にたいしての砲身ほうしん後退こうたいという「反作用はんさよう」がしょうじる。反作用はんさようささえねばならないがわにとっては、反作用はんさようちから短時間たんじかんにすべてつたえられればそれは激烈げきれつかんじられるが、ちゅう退すさ利用りようして反作用はんさようつたわる時間じかんながばせればささえることが容易よういになる。火砲かほう発射はっしゃプラットフォームとして多様たよう移動いどうたいせられることがおおく、また照準しょうじゅんなどは本質ほんしつてき衝撃しょうげきよわいので、発射はっしゃ衝撃しょうげきればそういった周辺しゅうへん機械きかい装置そうちるいへの悪影響あくえいきょう緩和かんわされる。ほうふくめた支持しじ基盤きばん軽量けいりょう期待きたいできる。

もうひとつ重要じゅうようなのは、発射はっしゃさい大砲たいほう後退こうたいすることによって、再度さいど照準しょうじゅん調整ちょうせい大砲たいほう後退こうたいする場所ばしょ確保かくほといった問題もんだいしょうじる。ちゅう退すさ利用りようすれば砲身ほうしんのみが後退こうたいし、またもともどるので、照準しょうじゅん調整ちょうせいのやりなおしは不要ふようとなる。また大砲たいほう設置せっちさいに、後退こうたいする場合ばあい考慮こうりょする必要ひつようくなる。

 
M1897 75mm野砲やほう: 砲身ほうしんささえるちゅう退すさ前部ぜんぶ確認かくにんできる

ちゅう退すさ発明はつめいされる以前いぜん大砲たいほうは、発射はっしゃするたびほうふくめてほう全体ぜんたい反動はんどうおおきく後退こうたいしてしまうため、そのたびもと位置いちもどして再度さいど照準しょうじゅんわせてから射撃しゃげきおこな必要ひつようがあった。結果けっかとして、射撃しゃげき精度せいどひくく、射撃しゃげき速度そくどおそかった。また帆船はんせん時代じだいでの艦載かんさいほうでは、発砲はっぽうするたびせま船内せんないほう後退こうたいするのをロープでつなめてはいたが依然いぜんとして危険きけんであった。要塞ようさいなどに設置せっちされるとく大型おおがたほうにおいては、くだざかになったレールのぜんはし最低さいてい位置いち)にほうえて発砲はっぽうし、ほうがレールじょう後退こうたいする(=斜面しゃめんのぼる)こと反動はんどう吸収きゅうしゅうさせ、かつ後退こうたいわったほう自然しぜんもと位置いちもどるように設計せっけいした場合ばあいもあった。

この対策たいさくとして1840年代ねんだいあたりからばねしき装置そうちもちいて、砲身ほうしんのみをある程度ていど距離きょり後退こうたいさせながら反動はんどうさえるちゅう退すさ開発かいはつされるようになった。なかでも1897ねんにフランスが制式せいしき採用さいようしたM1897 75mm野砲やほう世界せかいはじめてえき気圧きあつしきちゅう退すさふく搭載とうさいし、現代げんだい火砲かほうではこれがもっと一般いっぱんてき形式けいしきである。この結果けっか大砲たいほう射撃しゃげき速度そくど劇的げきてき上昇じょうしょうし、速射そくしゃほうばれる火砲かほう登場とうじょうすることになる。

構造こうぞう

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現在げんざい主流しゅりゅうえき気圧きあつしき構造こうぞうおもべる。

ちゅう退すさ

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砲身ほうしんゆらばれるレールに設置せっちされており、砲身ほうしんゆらちゅう退すさふくかいしてつながっている。発砲はっぽう砲身ほうしんけた反動はんどうはロッドをかいしてピストンをうごかす。ピストンにされた作動さどうはシリンダーにけられたあなばれるほそあなつうじてのみ排出はいしゅつされるため、その流動りゅうどう抵抗ていこうによって砲身ほうしん後退こうたいはゆっくりしたものとなる。

ふく

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ふくがわのシリンダーはつつじょう圧力あつりょくタンクであり、ちゅう退すさとは作動さどうりゅうかいしてつながっている。ふくのシリンダーないには活性かっせいガスが充填じゅうてんされており、砲身ほうしんのちともなって作動さどう流入りゅうにゅうすればガスが空気くうきばねとしてはたらくことになる。砲身ほうしん停止ていししたあと、それまで圧縮あっしゅくされていたガスは作動さどうちゅう退すさのシリンダーへともどし、作動さどう抵抗ていこうによって砲身ほうしんがゆっくりとふくする。

発射はっしゃ砲身ほうしんけた後方こうほうへの衝撃しょうげきてきちからが、時間じかんばしたかたちでゆっくり地面じめんつたえられるとともに、作動さどうあなとおるときの摩擦まさつねつ圧縮あっしゅくガスの発熱はつねつなどに変換へんかんされて減衰げんすいすることになる。

ちゅう退すさよう緩和かんわ材料ざいりょうに、上述じょうじゅつとお初期しょきにはばねをもちいたがM1897 75mm野砲やほうにおいて液体えきたいもちいられた。液体えきたいにはグリセリンオレオナフタ[よう説明せつめい]などがもちいられる。

こう座長ざちょう

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砲身ほうしんちゅう退すさともなってゆらじょうされることをこうび、されるながさがこう座長ざちょうである。一般いっぱんこう座長ざちょうければながいほど、単位たんい時間じかんたりののち抗力こうりょくちいさくなり衝撃しょうげき緩和かんわされる。反面はんめんのち座長ざちょうながいと、だいかくでの射撃しゃげきほう地面じめん接触せっしょくしてしまうため、地面じめん開削かいさくするか、だいかくのち座長ざちょう制限せいげんするための変換へんかん装置そうちもうける必要ひつようがある。れいとしてはさんはちしき野砲やほうのち座長ざちょうは1.2mであった。

ちゅう退すさ能力のうりょくがるとのち座長ざちょう通常つうじょうよりもびるようになり、これが限度げんどえるとほう破損はそんさせるなどの事故じこにつながる。そのためかねじゃくやスイッチなどをもちいて、こう座長ざちょう正常せいじょうかどうかを適宜てきぎ測定そくていする必要ひつようがある。

上記じょうき大砲たいほうまれるものほどおおがかりな装置そうちではなくちゅう退すさぶこともしないが、あしなどのマウント部分ぶぶんやストック後部こうぶにばねを仕込しこひとし反動はんどう影響えいきょうおさえる目的もくてき仕組しくみが一部いちぶのライフルや機関きかんじゅう採用さいようされている。また、自動じどう火器かきでは射撃しゃげきのつど、実包じっぽう発生はっせいするエネルギーをもとにゆうそこなどの部品ぶひんうごくことになるがこのさい自動じどうしきでない火器かきくらべて射手しゃしゅ固定こていあしへの反動はんどう伝達でんたつ遅延ちえんされる。副次的ふくじてき効果こうかではあるが、射撃しゃげき結果けっか影響えいきょうあたえることもある。

具体ぐたいれい

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  • 自衛隊じえいたい主力しゅりょく戦車せんしゃ主砲しゅほうちゅう退すさふく装置そうち構成こうせいれいしるす。61しき戦車せんしゃ砲身ほうしん左右さゆうに1ほんずつのちゅう退すさふく装置そうち油圧ゆあつバネしき)をふくとう方式ほうしき74しき戦車せんしゃ砲身ほうしんまわりがちゅう退すさふく装置そうち油圧ゆあつバネしき)となっているどうしん方式ほうしき90しき戦車せんしゃおよび10しき戦車せんしゃ砲身ほうしんまわりに2ほんちゅう退すさ装置そうち(油圧ゆあつしき)と1ほんふく装置そうち油気あぶらけあつバネしき)をふくとう方式ほうしき、となっている。

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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大砲たいほう装甲そうこう研究けんきゅう」 - ちゅう退すさふく - ウェイバックマシン(2012ねん5がつ10日とおかアーカイブぶん