(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ECVT - Wikipedia

ECVT

電子でんし制御せいぎょ電磁でんじクラッチしきだん変速へんそく

ECVT(イーシーブイティー、Electro Continuously Variable Transmissionの略称りゃくしょう)は、富士重工業ふじじゅうこうぎょうげんSUBARU)とオランダVDT(Van Doorne's Transmissie BV; げんBosch Transmission Technology)との共同きょうどう開発かいはつによって世界せかいはじめて実用じつようされた金属きんぞくプッシュベルトしきだん変速へんそく(CVT)である。ECVTは、電磁でんじクラッチ英語えいごばんぜん後進こうしんせつかわ機構きこう、ベルト・プーリー機構きこうどう装置そうち(デフ)をふく減速げんそく装置そうち油圧ゆあつ制御せいぎょ装置そうちから構成こうせいされている[1]富士重工業ふじじゅうこうぎょうはこれを「電子でんし制御せいぎょ電磁でんじクラッチしきだん変速へんそく」としょうした[2]当初とうしょ変速へんそく制御せいぎょ油圧ゆあつ機械きかい制御せいぎょであり[1]、フル電子でんし制御せいぎょされたのは1997ねんヴィヴィオ採用さいようされたスポーツシフトECVTからである[2]

ECVTの後継こうけいであるi-CVTについてもほんこう記述きじゅつする。

概要がいよう

編集へんしゅう

通常つうじょうのオートマチックトランスミッション(AT)は摩擦まさつクラッチわりに流体りゅうたい継手つぎて一種いっしゅであるトルクコンバータ使つかっているが、富士重工業ふじじゅうこうぎょうはECVTにおいて「電子でんし制御せいぎょ電磁でんじパウダークラッチ」を使つかった。これはレックス(1980ねん)・サンバー(1982ねん)に採用さいようされていたクラッチペダルしの「オートクラッチ」システムの技術ぎじゅつであり、「クリープ現象げんしょう安全あんぜんである」と富士重工業ふじじゅうこうぎょうかんがえていた[3]だん変速へんそくスチールベルトしきCVT採用さいようした。

しょう排気はいきりょうくるまにとっては変速へんそくショックのない理想りそうのATとして、富士重工業ふじじゅうこうぎょうはECVTをジャスティ(1987ねん)を皮切かわきりにレックス(1987ねん)、サンバー(1990ねん)、ヴィヴィオ(1992ねん)、ドミンゴ(1994ねん)と拡大かくだい採用さいようしていった。

しかしだん変速へんそくのATということで、通常つうじょうのATとちが特性とくせいにドライバーは戸惑とまどった。[よう出典しゅってん]ECVTしゃスロットルには、電子でんしスイッチがいくつかけられており、アクセルペダルりょうスロットルひらき)ととも速度そくど検知けんちして、電磁でんじクラッチの制御せいぎょおこなっていた。電磁でんじクラッチとプーリーの油圧ゆあつ電子でんし制御せいぎょであるが、変速へんそく機械きかい制御せいぎょのままで、少々しょうしょうへきがあった。たとえば、完全かんぜん停止ていししないと変速へんそく低速ていそくりにならず、停止ていし寸前すんぜんからのさい加速かそくなどのとき、エンジンの出力しゅつりょく増加ぞうかするもののプーリーちいさいままで、ドライバーの操作そうさたいし、おもったような加速かそくりょくられない弱点じゃくてんがある。これは、変速へんそく電子でんし制御せいぎょとなったスポーツシフトで改善かいぜんされた。

このCVTが開発かいはつされた経緯けいいは、クリープ現象げんしょうともなわない種類しゅるいのクラッチ[ちゅう 1]つCVTしゃは、ことに発進はっしん繊細せんさいなアクセル操作そうさおこなわなければぎくしゃくして円滑えんかつさにける車両しゃりょう挙動きょどうしめしたため、よりなめらかな動作どうさもとめてのことであった。しかし、それでもこの問題もんだい解決かいけつにはいたらなかったうえに、最大さいだいりである電磁でんじクラッチがぎゃく最大さいだい弱点じゃくてんとなった。低速ていそく走行そうこうのぎくしゃくかんきらってのぼざかブレーキ使つかわずにアクセルペダル操作そうさだけで停止ていししたり、(サンバーにおいては)積載せきさい走行そうこうするような使用しよう方法ほうほうつづけていると、電磁でんじクラッチに負担ふたんがかかって故障こしょう頻発ひんぱつし、ECVTのイメージ悪化あっか一因いちいんとなった。

これを反省はんせいてんとして、サンバーおよびヴィヴィオのマイナーチェンジでは、一部いちぶグレードをのぞ通常つうじょうのトルクコンバーターきステップATに変更へんこうされた。

このほかフィアットへも供給きょうきゅうされ、パンダウーノ採用さいようされた。また、スズキ・カルタス(2代目だいめジャスティ欧州おうしゅう仕様しよう)にも搭載とうさいされた(SCVT搭載とうさいのカルタス・コンバーチブルをのぞく)。

公益社こうえきしゃだん法人ほうじん自動車じどうしゃ技術ぎじゅつかい委員いいんかいが「後世こうせいかたぐべき特徴とくちょう故実こじつ」として選定せんていした「日本にっぽん自動車じどうしゃ技術ぎじゅつ330せん」に、ECVTがえらばれた[4]

1998ねん平成へいせい10ねん)、富士重工業ふじじゅうこうぎょうあたらしくi-CVT(インテリジェントCVT)を登場とうじょうさせた。i-CVTでは、電磁でんじこなたいクラッチ廃止はいしされ、ロックアップ機構きこうづけトルクコンバーター採用さいようされた[3]。これによってクリープ現象げんしょう復活ふっかつし、負荷ふかによるクラッチトラブルも解消かいしょうされたため、市場いちば支持しじることに成功せいこうした[3]プレオ以降いこう軽自動車けいじどうしゃぜん車種しゃしゅにi-CVTが採用さいようされた。

プレオR2R1一部いちぶグレードに搭載とうさいされた7そくマニュアルモードきi-CVTは、スポーツシフトi-CVTSS i-CVT)とばれる[5][6][7]

2009ねん平成へいせい21ねん)、富士重工業ふじじゅうこうぎょう金属きんぞくチェーンしきリニアトロニックCVTを発表はっぴょうした。2011ねん平成へいせい23ねん)には富士重工業ふじじゅうこうぎょう軽自動車けいじどうしゃ自社じしゃ製造せいぞう終了しゅうりょうしたことで、富士重工業ふじじゅうこうぎょう金属きんぞくベルトしきCVTの歴史れきしまくろされた。

搭載とうさい車種しゃしゅ

編集へんしゅう

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう

注釈ちゅうしゃく

編集へんしゅう
  1. ^ 流体りゅうたいトルクコンバーターたない単純たんじゅん遠心えんしんクラッチや、それに吸気きゅうきかんあつ利用りようしたサーボクラッチを追加ついかした「サクソマット」など。

出典しゅってん

編集へんしゅう
  1. ^ a b 岡村おかむら みのる森本もりもと 嘉彦よしひこ自動じどうだん変速へんそく「ECVT」」『精密せいみつこう学会がっかいだい55かんだい5ごう、1989ねん、806-809ぺーじdoi:10.2493/jjspe.55.806 
  2. ^ a b SUBARUのクルマづくり 開発かいはつストーリー:リニアトロニックへん』(プレスリリース)SUBARUhttps://www.subaru.jp/brand/technology/story/lineartronic.html2022ねん6がつ13にち閲覧えつらん 
  3. ^ a b c 技術ぎじゅつ革新かくしん足跡あしあと】CVT――段階だんかい不要ふようろん(1987ねん”. Gazoo (2015ねん3がつ6にち). 2021ねん9がつ13にち閲覧えつらん
  4. ^ ECVT(スバルジャスティ搭載とうさい)”. 日本にっぽん自動車じどうしゃ技術ぎじゅつ330せん. 自動車じどうしゃ技術ぎじゅつかい. 2021ねん9がつ13にち閲覧えつらん
  5. ^ しん・コンパクトワゴン スバル「プレオ」をしん発売はつばい』(プレスリリース)富士重工業ふじじゅうこうぎょう、1998ねん10がつ9にちhttps://www.subaru.co.jp/news/archives/98_10_12/10_09_a.html2021ねん9がつ14にち閲覧えつらん 
  6. ^ スバルR2を発売はつばい』(プレスリリース)富士重工業ふじじゅうこうぎょう、2003ねん12月8にちhttps://www.subaru.co.jp/news/archives/03_10_12/03_12_08.htm2021ねん9がつ14にち閲覧えつらん 
  7. ^ スバル R1シリーズを一部いちぶ改良かいりょう あわせて、R1「S」を追加ついか設定せってい』(プレスリリース)富士重工業ふじじゅうこうぎょう、2005ねん11月24にちhttps://www.subaru.co.jp/news/archives/05_10_12/05_11_24_1.pdf2022ねん8がつ14にち閲覧えつらん 

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう

外部がいぶリンク

編集へんしゅう