Standard Triangulated Language

STLは三さん次元じげん形状けいじょうを表現ひょうげんするデータを保存ほぞんするファイルフォーマットのひとつである。名称めいしょうの由来ゆらいは光ひかり造形ぞうけい法ほうを意味いみする光ひかり造形ぞうけい法ほう(英えい: Stereolithography)である。Standard Triangulated Language や Standard Tessellation Language の略称りゃくしょうとされることもある。

STL

拡張子かくちょうし	.stl
MIMEタイプ	model/stl
開発かいはつ者しゃ	スリーディー・システムズ
種別しゅべつ	３次元じげんデータムファイル交換こうかん

米国べいこくのスリーディー・システムズによって開発かいはつされた三さん次元じげんCADきゃどソフト用ようのファイルフォーマットとして作つくられた。3次元じげん形状けいじょうを扱あつかう多おおくのソフトにサポートされており、特とくにラピッドプロトタイピングシステムのファイルフォーマットとしても利用りようされている。

特徴とくちょう

三さん次元じげん形状けいじょうを構成こうせいする小ちいさな三角形さんかっけい要素ようその集合しゅうごうを記述きじゅつする。元来がんらいは三角形さんかっけいのみで他たの多角たかく形がたや曲線きょくせんを一切いっさい扱あつかわないのが特徴とくちょう。色いろやトポロジーデータ（形状けいじょう同士どうしのつながり）なども含ふくまれない。データ構造こうぞうが簡単かんたんであることからラピッドプロトタイピングの分野ぶんやでは標準ひょうじゅんフォーマットとなっており、各種かくしゅラピッドプロトタイピングシステムで使用しよう可能かのう。

三角形さんかっけい要素ようそは三みっつの頂点ちょうてんの座標ざひょうと法線ほうせんベクトルにより定義ていぎされる三角形さんかっけいポリゴンであり、ファセット(facet)と呼よばれる。

三角さんかく要素ようそ以外いがいの点てんや線せんといった要素ようそ、色いろ、面めん間あいだの連続れんぞく性せい、その他たの特性とくせいの定義ていぎについては、標準ひょうじゅん的てきにはできないが、拡張かくちょうされたものも存在そんざいする。一部いちぶのソフトウェアにおいては、バイナリSTLにおいてファセット番号ばんごうを定義ていぎする2バイト分ぶんを転用てんようすることで、色いろの指定していを行おこなっている場合ばあいがある。

データ形式けいしき

プレーンテキストで記述きじゅつされたASCII STL形式けいしきと、バイナリSTL形式けいしきがある。どちらのファイル形式けいしきでも、三角形さんかっけいの法線ほうせんベクトル（長ながさ１の単位たんいベクトル）と、面めんの表裏ひょうりを示しめすために右手みぎて系けいに従したがって並ならんだ三角形さんかっけいの座標ざひょうデータを三角形さんかっけいの数かずだけ含ふくむ。このような冗長じょうちょう性せいのため、面めんの表裏ひょうりは法線ほうせんベクトルと各かく点てん座標ざひょうの記述きじゅつ順序じゅんじょ（右手みぎて系けい）のどちらでも判別はんべつできる。

ASCII形式けいしき

ASCII形式けいしきは人間にんげんが見みた時ときの可読かどく性せいが高たかいが、バイナリ形式けいしきと比較ひかくしてファイルサイズが大おおきくなり、さらにファイル読よみ書かき時じの処理しょりに時間じかんがかかる。

書式しょしきは非常ひじょうに単純たんじゅんである。

すべての行くだりは以下いかの形式けいしきを満みたす。:

 キーワード 　[半角はんかく1文字もじスペース]  データ

最初さいしょの行くだりは以下いかの文ぶんで始はじまる。:

 solid name

nameはオプションだが、省はぶいた場合ばあいにも必かならず半角はんかくスペースが必要ひつようである。 このあとに三角形さんかっけいデータが続つづく。:

 facet normal ni nj nk
   outer loop
     vertex v1x v1y v1z
     vertex v2x v2y v2z
     vertex v3x v3y v3z
   endloop
 endfacet

法線ほうせんベクトルは英語えいごでnormal vectorと表記ひょうきされる。ここではfacet normalで三角形さんかっけいの法線ほうせんベクトルを意味いみする。法線ほうせんベクトルは大おおきさ１の単位たんいベクトルである。三角形さんかっけいの座標ざひょう(vertex)は反はん時計とけい回まわりに回まわる順番じゅんばんとなる。数学すうがく上じょうは三角形さんかっけいの座標ざひょうから法線ほうせんベクトルは決定けっていされるのだが(逆ぎゃくに法線ほうせんベクトルからは座標ざひょうはわからない。後述こうじゅつするように法線ほうせんベクトルデータが直接ちょくせつ扱あつかわれることは少すくない)、三角形さんかっけいの法線ほうせんベクトルも同時どうじに表示ひょうじする規格きかくとなっている。 n_i - n_k とv1_x - v3_z は、e表記ひょうき法ほう(例れい：1.000000e+01 ）で表記ひょうきされる。 facet normal と outer loop の間あいだのスペースは必要ひつようである。法線ほうせんベクトルの成分せいぶんはマイナスを取とりえるが、座標ざひょうの成分せいぶんはゼロか正せい値ねのみである。

ファイルの最後さいごは以下いかの文ぶんで終了しゅうりょうする:

 endsolid name

バイナリ形式けいしき

STLにはバイナリー形式けいしきも用意よういされており、ASCIIにくらべファイルサイズが小ちいさく済すみ、読よみ書かきの際さいのエンコード/デコードがないぶん高速こうそくとなる。ファイルサイズの点てんでは、ASCII表示ひょうじしたときに浮動ふどう小数点しょうすうてんの桁けたが多おおいときほど、ASCII形式けいしきとの差さが開ひらき有利ゆうりとなる。ファイル読よみ書かき処理しょりの点てんでは、SSDのような高速こうそくストレージの転送てんそう速度そくどを生いかすためにはバイナリである必要ひつようが生しょうじうる。

バイナリーSTLファイルは80バイトの任意にんいの文字もじ列れつで開始かいしされる（通常つうじょう内容ないようは無視むしされる。ただし、solid から記載きさいを始はじめた場合ばあいにASCII形式けいしきであると誤あやま認識にんしきするソフトウェアが存在そんざいし、注意ちゅういを要ようする）。次つぎに4バイトの整数せいすうでファイルに含ふくまれる三角形さんかっけいの枚数まいすうが示しめされる。そのあとに、それぞれの三角形さんかっけいのデータが枚まい数すう分ふん続つづくという構造こうぞうになっている。終了しゅうりょうコードはない。最後さいごの三角形さんかっけいのデータがファイルの後端こうたんとなる。

それぞれの三角形さんかっけいは12個この32ビット浮動ふどう小数点しょうすうてんで示しめされる。ASCII形式けいしきのSTLファイルと同様どうように、最初さいしょに三角形さんかっけいの法線ほうせんベクトル(3個こ)、次つぎに三角形さんかっけいの各かく座標ざひょう(3x3=9個こ)が X/Y/Zの順番じゅんばんで示しめされる。その後ご2バイトの未み使用しようデータが続つづく。ほとんどのソフトはこの部分ぶぶんを無視むしするので値ねはそれぞれゼロである。

浮動ふどう小数点しょうすうてんの表記ひょうき方法ほうほうはIEEE方式ほうしき(IEEE 754)である。エンディアンは、仕様しよう文書ぶんしょに明示めいじされていないがリトルエンディアンである。

UINT8[80]         -   ヘッダー（任意にんいの文字もじ列れつ）
UINT32            -   ファイルに含ふくまれる三角形さんかっけいの数かず


foreach triangle
  REAL32[3]       -    法線ほうせんベクトル
  REAL32[3]       -    座標ざひょう 1
  REAL32[3]       -    座標ざひょう 2
  REAL32[3]       -    座標ざひょう 3
  UINT16          -    未み使用しようデータ
end

法線ほうせんベクトルの取とり扱あつかい

STLフォーマットの規格きかくでは、ASCII形式けいしきにおいてもバイナリ形式けいしきにおいても法線ほうせんベクトルは物体ぶったいの外側そとがわを示しめす単位たんいベクトルでなくてはならない。特とくにRPシステムでは法線ほうせんベクトルは内外ないがいを表示ひょうじする情報じょうほうとして扱あつかわれることがあるため、重要じゅうような情報じょうほうとなる。変換へんかんミスで逆ぎゃくになった場合ばあいは反転はんてん三角さんかくとしてRP作成さくせい時じのエラーの原因げんいんとなる。Magicsなどの各種かくしゅSTL編集へんしゅうソフトでそのような間違まちがいを修正しゅうせいすることができる。 一部いちぶのソフト(例れい:SolidWorks)ではシェーディング効果こうかに法線ほうせんベクトルを利用りようする。そのためこのようなソフトでは三角形さんかっけいの面めんに対たいする真しんの法線ほうせんベクトルとはならない。

外部がいぶリンク

• STLファイルフォーマット(個人こじんによる日本語にほんごメモ) [1]
• The STL Format - Standard Data Format for Fabbers: The STL Format
• Free STL Viewer for Google Chrome