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TRIZ - Wikipedia

TRIZ(トゥリーズ、トリーズ[1]発明はつめいてき問題もんだい解決かいけつ理論りろんえい:Theory of Inventive Problem Solving[2])は、ソビエト連邦れんぽうはつ問題もんだい解決かいけつ理論りろん全体ぜんたい最適さいてき理論りろん・システム思考しこう・クリエイティブシンキングである。ロシアTeoriya Resheniya Izobretatelskikh Zadatch (Теория решения изобретательских задач)頭字かしらじである。英語えいごでは Theory of solving inventive problems または Theory of inventive problems solvingぶ。 おなじく問題もんだい解決かいけつ理論りろん全体ぜんたい最適さいてき理論りろん・システム思考しこうである 制約せいやく条件じょうけん理論りろんTOCと併用へいようするのがい。

概要がいよう

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TRIZ発明はつめいてき問題もんだい解決かいけつ理論りろん研究けんきゅうは、クラシカル TRIZ 時代じだいとコンテンポラリー TRIZ の時代じだいけられる。

  • クラシカル TRIZ: 1946 ねんにロシアじんの G.アルトシューラが研究けんきゅうはじめ、そのだい一線いっせん退しりぞく 1985 ねんまで。
  • コンテンポラリー TRIZ: クラシカル TRIZ 以降いこう現在げんざいいたるまで。

1990 年代ねんだい初頭しょとうからの研究けんきゅうは、アメリカを中心ちゅうしんとした西側にしがわ諸国しょこくうつる。TOPE(Tech Optimizer, げんGoldfire Innovator)やIWB(Innovation Workbench)などのパソコンようソフトウェア開発かいはつされ、便利べんりになった。それまでは 思考しこう手順てじゅんARIZ に沿って、莫大ばくだい知識ちしきデータベースしるされたしょう冊子さっし参照さんしょうしつつ問題もんだい解決かいけつんでいた。アルトシュラーによる特許とっきょ分析ぶんせきやく 40 まんけんであるが、アメリカでは 200 まんけん特許とっきょ分析ぶんせきおこない、TRIZ を進化しんか発展はってんさせた。

現在げんざいのTRIZは、理論りろん発明はつめい原理げんり研究けんきゅうふかめるだけではなく、マネジメント創造そうぞうせい開発かいはつなどの能力のうりょく開発かいはつ分野ぶんやIT 分野ぶんや社会しゃかい分野ぶんやへの拡大かくだい研究けんきゅうひろがっている。独創どくそうせい流暢りゅうちょうさ、柔軟じゅうなんせいが、このTRIZの特徴とくちょうである。TRIZの目的もくてきは、しん惰性だせい克服こくふくし、幅広はばひろいアイデアをすことである。矛盾むじゅんマトリックスとばれるものを使つかうこともある[3]

誤解ごかいされた TRIZ

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1997 ねん TRIZ は日本にっぽんで「ちょう発明はつめいじゅつ」として紹介しょうかいされた。日経にっけい BP しゃ発行はっこうちょう発明はつめいじゅつ TRIZ シリーズ 1~4」にちょう発明はつめいじゅつ明記めいきされている。ちょう発明はつめいじゅつという意味いみ早合点はやがてんし、TRIZ を使つかえばだれでも自動的じどうてき発明はつめいができるようになるとおもいこんだ会社かいしゃが TRIZ にびついたが、おおくの企業きぎょうおもうような成果せいかせなかったことで、結果けっかとして TRIZ は使つかえないという誤解ごかいんだいちめんがある。すくなくとも自社じしゃ製品せいひんおよび業界ぎょうかい知識ちしき保有ほゆうしていない企業きぎょうが、TRIZ を使つかったところで画期的かっきてき問題もんだい解決かいけつさくなどることはない。このことを学校がっこう法人ほうじん産業さんぎょう能率のうりつ大学だいがく以下いかのように指摘してきしている[4]

日本にっぽんにおける TRIZ の歴史れきしが「ちょう発明はつめいじゅつ」として紹介しょうかいされるところからはじまったため、日本にっぽん人々ひとびとにTRIZの本質ほんしつえにくくなってしまったかんがあります。わたしたちはややもすれば「魔法まほうつえ」や「うらな商売しょうばい道具どうぐ」にちかいものに受取うけとられがちなTRIZを、むずかしい問題もんだいんでかんがえるひとにとってくことのできない“たりまえ思考しこう支援しえんツール”として位置いちづけなおしたいとかんがえています。」

この文章ぶんしょうにあるとおり、TRIZ は思考しこう支援しえんツールである。まさしく理解りかいするためには、アルトシュラーの基本きほん論文ろんぶん[4]参考さんこうにされたい。

TRIZ に関連かんれんするソフトウェアには 「IWB(Innovation Workbench)」 と 「Goldfire(GFIN, きゅうTOPE)」[5]などがあり、前者ぜんしゃはコンテンポラリーTRIZの代表だいひょうれいであるIdeation-TRIZ(I-TRIZ)を開発かいはつした専門せんもんたち実践じっせんてき思考しこうプロセスと知識ちしきベースとノウハウを提供ていきょうするものであり、後者こうしゃ問題もんだい分析ぶんせきとともにTRIZにかんする知識ちしきデータベース検索けんさくする検索けんさくエンジンとして活用かつようされる。その、TRIZの代表だいひょうてき発想はっそう手法しゅほうである「発明はつめい原理げんり」と「システム進化しんかパターン」をWebアプリケーションとして使つかえる「IDEA-TRIZ Toolbox」という支援しえんソフトウェアがリリースされている。[6]

40の発明はつめい原理げんり

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40の発明はつめい原理げんりについての解説かいせつ
  1. Segmentation (けよ)
  2. Taking out (はなせ)
  3. Local quality (一部いちぶえよ)
  4. Asymmetry (バランスをくずさせよ)
  5. Merging (2つをあわせよ)
  6. Universality (ほかにも使つかえるようにせよ)
  7. "Nested Doll" (内部ないぶませよ)
  8. Anti-Weight (バランスをつくせ)
  9. Preliminary Anti-Action (反動はんどうさきにつけよ)
  10. Preliminary Action (予測よそく仕掛しかけておけ)
  11. Beforehand Cushioning (重要じゅうようなところに保護ほごほどこせ)
  12. Equipotentiality (おなたかさを利用りようせよ)
  13. 'The Other Way Round' (ぎゃくにせよ)
  14. Spheroidality – Curvature (回転かいてんうごきをつくせ)
  15. Dynamics (環境かんきょうわせてえられるようにせよ)
  16. Partial or Excessive Actions (おおざっぱに解決かいけつせよ、一部いちぶだけ解決かいけつせよ)
  17. Another Dimension (活用かつようしている方向ほうこう垂直すいちょく方向ほうこう利用りようせよ)
  18. Mechanical vibration (振動しんどうくわえよ)
  19. Periodic Action (かえしをれよ)
  20. Continuity of Useful Action (よい状況じょうきょうつづけさせよ)
  21. Skipping (短時間たんじかんえよ)
  22. "Blessing in Disguise" or "Turn Lemons into Lemonade" (よくない状況じょうきょうからなにかを利用りようせよ)
  23. Feedback (状況じょうきょうくちらしめよ)
  24. 'Intermediary' (せっするところにつよいものを使つかえ)
  25. Self-service (みずかおこなうように仕向しむけよ)
  26. Copying (おなじものをつくれ)
  27. Cheap Short-Living Objects (すぐダメになるものを大量たいりょう使つかえ)
  28. Mechanics Substitution (さわらずにうごかせ)
  29. Pneumatics and Hydraulics (みず空気くうきあつ利用りようせよ)
  30. Flexible Shells and Thin Films (のぞかたちにできるつよおおいを使つかえ)
  31. Porous Materials (いつく素材そざいくわえよ)
  32. Color Changes (いろえよ)
  33. Homogeneity (しつわせよ)
  34. Discarding and Recovering (なくさせるか、たものをもどさせよ)
  35. Parameter Changes (温度おんど柔軟じゅうなんせいえよ)
  36. Phase Transitions (固体こたい気体きたい液体えきたいえよ)
  37. Thermal Expansion (ねつふくらませよ)
  38. Strong Oxidants (「そこをたしているもの」のずっといものを使つかえ)
  39. Inert Atmosphere (反応はんのうきにくいものでそこをたせ)
  40. Composite Structures (わせたものを使つかえ)

日本にっぽんTRIZ協会きょうかい

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TRIZおよびそれに関連かんれんした技術ぎじゅつ技法ぎほう研究けんきゅう活用かつよう普及ふきゅうとう目指めざしょ活動かつどうおこなうために、NPO法人ほうじん日本にっぽんTRIZ協会きょうかい設立せつりつされた(下記かき外部がいぶリンク」のこう参照さんしょう)。毎年まいとし9がつはじごろどう協会きょうかいのシンポジウムが開催かいさいされている。

TRIZと手法しゅほうとの連携れんけいによる開発かいはつ事例じれい

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TRIZを実際じっさい製品せいひん開発かいはつ適用てきようするじょうでは、TRIZとのほか手法しゅほうとの連携れんけい効果こうかてきであることが報告ほうこくされている。 [7] [8] [9] [10] [11] [12] 自動車じどうしゃ部品ぶひん精密せいみつ機器きき化学かがくメーカなどから、TRIZとQFD(品質ひんしつ機能きのう展開てんかい)やタグチメソッド手法しゅほう連携れんけいした開発かいはつ事例じれい紹介しょうかいされている。

出典しゅってん

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  1. ^ 高木たかぎ芳徳よしのり『トリーズ(TRIZ)の発明はつめい原理げんり40 あらゆる問題もんだい解決かいけつ使つかえる[科学かがくてき]思考しこう支援しえんツール』pp.2-3
  2. ^ Short Cut to Experience - TRIZ - the Theory of Inventive Problem Solving”. Coursera. 2023ねん4がつ1にち閲覧えつらん
  3. ^ Creative Thinking: Techniques and Tools for Success”. Coursera. 2023ねん4がつ1にち閲覧えつらん
  4. ^ a b アルトシュラー『発明はつめいてき創造そうぞう心理しんりがくについて』(邦訳ほうやく
  5. ^ TRIZ支援しえんソフトウェアGoldfire Innovator
  6. ^ IDEA-TRIZ Toolbox | すべての開発かいはつしゃ技術ぎじゅつしゃのデスクトップにTRIZの発想はっそう支援しえんツールをとどける”. 株式会社かぶしきがいしゃアイデア. 2021ねん4がつ26にち閲覧えつらん
  7. ^ れる商品しょうひんづくりを目指めざして開発かいはつ革新かくしん~コガネイの挑戦ちょうせん. 日経にっけいものづくりTech-On!. (2010ねん11月22にち). https://xtech.nikkei.com/dm/article/FEATURE/20101122/187536/ 
  8. ^ 無謀むぼうおもっていた装置そうち設置せっち面積めんせき1/2を実現じつげん---中堅ちゅうけん企業きぎょうしん製品せいひん開発かいはつにTRIZ活用かつよう. 日経にっけいものづくりTech-On!. (2012ねん10がつ23にち). https://xtech.nikkei.com/dm/article/NEWS/20121023/247145/ 
  9. ^ TRIZをふくむオリンパスりゅう科学かがくてきアプローチの推進すいしん全社ぜんしゃてき開発かいはつりょく向上こうじょう事業じぎょう貢献こうけん目指めざしたみ~”. 2021ねん4がつ26にち閲覧えつらん
  10. ^ かぎられた経営けいえい資源しげんなかからヒット製品せいひんす(QFD-TRIZを活用かつようした革新かくしんてき製品せいひん開発かいはつへの挑戦ちょうせん軌跡きせき”. 2021ねん4がつ26にち閲覧えつらん
  11. ^ 自動車じどうしゃ部品ぶひんメーカの【がた製品せいひん開発かいはつから提案ていあんがた製品せいひん開発かいはつ】への転換てんかんみ(QFD-TRIZの活用かつよう”. 2021ねん4がつ26にち閲覧えつらん
  12. ^ 精密せいみつ鍛造たんぞうきんがたのトップクラスメーカによる、自社じしゃ技術ぎじゅつ起点きてんとするしん商品しょうひん開発かいはつみ(シーズドリブンQD~TRIZ~タグチメソッドの連携れんけい活用かつよう”. 2021ねん4がつ26にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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