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z/VM - Wikipedia

z/VM(ゼットブイエム)は、IBM開発かいはつ販売はんばいしている、メインフレームようオペレーティングシステム (OS) の1つ。商用しょうようでは世界せかいはつ仮想かそうOS(ハイパーバイザ)であるCP-67やVM/370からつづく、VMファミリーの最新さいしんOSでもある。

z/VM
開発元かいはつもと IBM
最新さいしんばん
V7.3 / 2022ねん9がつ発表はっぴょう[1]
プラットフォーム z/ArchitectureSystem zひとし
種別しゅべつ オペレーティングシステム
ライセンス プロプライエタリ (IPLA)
公式こうしきサイト z/VM
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名称めいしょう

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現在げんざい製品せいひんめいは「z/VM」で、「z」はz/Architecture、「VM」は仮想かそう機械きかい(Virtual Machine)をあらわす。歴代れきだいのVMファミリーをとおしてたんに「VM」と表記ひょうきする場合ばあいおおく、一般いっぱん用語ようごのVM(仮想かそう機械きかい)と混同こんどう注意ちゅうい必要ひつようである。

概要がいよう

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最新さいしんのz/VMをふくめたVMファミリーは、仮想かそう機械きかい実現じつげんするハイパーバイザかた仮想かそうもちいOSであり、対話たいわがた専用せんようのゲストOSが付属ふぞくする。

おも以下いかの2機能きのうから構成こうせいされる。わせて「CP/CMS」や「VM/CMS」とばれることおおい。

CP (Control Program)
ソフトウェアにより実現じつげんされたハイパーバイザであり、タイムシェアリングにより複数ふくすう仮想かそう機械きかい実現じつげんし、それぞれの仮想かそう機械きかいでゲストOS(z/OSz/VSELinux on System z (z/Linux)、CMSなど)を同時どうじうごかすことができる。
CMS (Conversational Monitor System)
専用せんようのゲストOSであり、軽量けいりょう対話たいわがたのOSである。強力きょうりょくなエディタであるXEDITや、スクリプト言語げんごREXXつ。CPの管理かんりほかミニコンピュータUNIX普及ふきゅうするまでは、研究所けんきゅうじょ学校がっこうなどでも使用しようされた。

1967ねん System/360モデル40ようCP-40とCMS(当時とうじはCambridge Monitor System)が研究けんきゅうよう開発かいはつされた (CP-40/CMS)。さらSystem/360モデル67ようCP-67開発かいはつされ発売はつばいされた (CP-67/CMS)。

1972ねん 仮想かそう記憶きおくをサポートしたSystem/370シリーズようにCP-370が開発かいはつされ (CP-370/CMS)、さらVM/370改称かいしょうされ発売はつばいされた。このさいにCMSはConversational Monitor Systemと改称かいしょうされた。

その、31ビットアドレッシングのSystem/370-XAアーキテクチャに対応たいおうしたVM/XAさらVM/ESA発売はつばいされた。それぞれゲストOSに、MVS/XAやMVS/ESAなどが使用しよう可能かのうになった。ただしCMS自体じたいは24ビットアドレッシングのままである。平行へいこうしてTCP/IPなどオープン標準ひょうじゅん段階だんかいてきにサポートされた。

2001ねん 64ビットアドレッシングのz/Architecture対応たいおうしたz/VM発表はっぴょうされ、ゲストOSにz/OSz/VSEなどが使用しよう可能かのうになった。

2009ねん10月 z/VM V6.1 発表はっぴょう[2]。2011ねん10がつ z/VM V6.2発表はっぴょう[3]。2013ねん7がつ z/VM V6.3発表はっぴょうじつメモリ 1TBサポート、OpenStack採用さいようなど[4]

2013ねん7がつ z/VM v6.3 発表はっぴょうじつメモリー 1TBのサポート、OpenStack強化きょうかなど。[4]

2016ねん10がつ z/VM V6.4 発表はっぴょうじつメモリー 2TBのサポートなど。[5]

2020ねん4がつ z/VM V7.2 発表はっぴょう[6]

2022ねん9がつ z/VM V7.3 発表はっぴょう[1]

開発かいはつ経緯けいい

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ハイパーバイザは、メインフレームでまず最初さいしょ実装じっそうされた。最初さいしょ完全かんぜん仮想かそう機能きのう提供ていきょうしたのはIBMのCP-40で、これは1967ねん1がつから製造せいぞう開始かいしされたワンオフの研究けんきゅうシステムである。これがIBMのCP/CMSのOSの最初さいしょのバージョンになる。CP-40は、仮想かそう機能きのうをサポートするようにカスタマイズされたそれ専用せんようSystem/360モデル40のうえ動作どうさしていた。このときよりまえに、コンピュータハードウェアは複数ふくすうのユーザアプリケーションを実行じっこうができるのには十分じゅうぶん仮想かそうがなされている(CTSSおよびIBM_M44参照さんしょう)。CP-40を使つかって、ハードウェアの特権とっけん状態じょうたいはうまく仮想かそうされていたので、複数ふくすうのオペレーティングシステムが同時どうじ実行じっこうできた。

CP-40はSystem/360モデル67ようにすぐにCP-67としてさい実装じっそうされた。最初さいしょ製造せいぞうされたコンピュータシステムは完全かんぜん仮想かそう機能きのうっていた。このマシンは1966ねん最初さいしょ輸出ゆしゅつされた。仮想かそうメモリようにページ変換へんかんテーブルハードウェアをっていたり、I/Oみハンドラふくんだすべてのカーネル処理しょり完全かんぜん仮想かそうするための技術ぎじゅつまれていた。(公式こうしきオペレーティングシステムでのはなし注意ちゅうい。なおTSS/360完全かんぜん仮想かそう技術ぎじゅつんでおらず、のタイムシェアリングオプション (TSO) となった)。CP-40とCP-67は1967ねんから使つかわれはじめた。CP/CMSは、1968ねんから1972ねんにかけて、IBMの顧客こきゃくたいして提供ていきょうされたサポートなしのソースコードなかはいっていた。

CP/CMSはIBMのメインフレームよう頑健がんけんタイムシェアリングシステムつくげるためのIBMのこころみのひとつであった。複数ふくすうのオペレーティングシステムを同時どうじはしらせることによって、ハイパーバイザはシステムの頑強がんきょうさと安定あんていせいすことができる。たとえ、ひとつのオペレーティングシステムがクラッシュしたとしても、のOSがまれることなく動作どうさつづけるだろう。この機能きのう使つかえばβべーたばんないしは実験じっけんばんのOS、さらにはあたらしいハードウェアでさえも開発かいはつしたりデバッグしたりすることが可能かのうになる。安定あんていしているメインの製品せいひんシステムを危険きけんにさらしたり、コストをやす追加ついか開発かいはつシステムを必要ひつようとすることもない。

IBMのSystem/370シリーズは1970ねん仮想かそう機能きのう仮想かそう記憶きおく)なしに発表はっぴょうされた。しかし、これらの機能きのうは1972ねんには追加ついかされ、その後継こうけいのシステムすべてにおいてこの機能きのうられる。(zSeriesのようなすべての現代げんだいてきなIBMのメインフレームは1960年代ねんだいのIBM System/360シリーズと後方こうほう互換ごかんせいっている)。1972ねん発表はっぴょうには、System/370ようCP/CMSさい実装じっそうであるVM/370もまたふくんでいた。CP/CMSとはちがって、(まだいくつかのリリースにわたってソースコードのかたち配布はいふはしているけれども)、IBMはこのバージョンからサポートをおこなうようになった。VMはたん仮想かそう機械きかいというだけにまらず、ハードウェアインタフェースを仮想かそうしたものという側面そくめん強調きょうちょうされるようになった。IBMない同様どうよう大学だいがく企業きぎょうユーザ、タイムシェアリングシステムの開発かいはつベンダーによって、VMとCP/CMSはともはやくかられられ開発かいはつ期間きかん短縮たんしゅく貢献こうけんしてきた。ユーザは開発かいはつすすめるうえでアクティブな役割やくわりえんじていて、現在げんざいオープンソースプロジェクトにられるトレンドを予見よけんさせるものだった。しかし、IBM社内しゃないではバッチ処理しょりシステムをベースとしたMVSけい主流しゅりゅうとなったため、VM/CMSは補助ほじょてきなOSとされる時代じだいつづいた。

しかし、VM/CMSはVM/XA、VM/ESAをz/VMとなり、いまでもすうじゅうねんわたってIBMのほかのメインフレームのOSのなかのこっている。現在げんざいはゲストOSとして、z/OSz/VSEなどのほかLinux多数たすう稼働かどうさせる用途ようと(サーバ統合とうごう)でも使つかわれている。

なお、うえべたように、VM制御せいぎょプログラムは、仮想かそう機械きかいないにDIAG(診断しんだん)命令めいれい横取よこどりするhypervisor callハンドラを内部ないぶふくんでいる。これにより、ファイルシステムへのアクセスなど仮想かそうされていない処理しょり実行じっこう高速こうそくする手段しゅだん提供ていきょうできる。(診断しんだん命令めいれい対象たいしょうモデルに依存いぞんした特権とっけん命令めいれいであり、通常つうじょうのプログラミングでは使つかわれないし、仮想かそうもされない。したがって、ホストOSにシグナルをおくるのに使つかうことができる)。CP/CMSリリース3.1で最初さいしょ実装じっそうされたとき、この診断しんだんコードを使つかうことでSystem/360のSVC (supervisor call) 命令めいれいたOSインタフェースを提供ていきょうしていたが、その方法ほうほうはSVCを使つかったシステムの仮想かそう機能きのうれたり拡張かくちょうする必要ひつようはなかった。

特徴とくちょう

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IBMのメインフレームである、System zとう稼働かどうする。x86でのVMware ESXに相当そうとうするとかんがえることができる。

IBMメインフレームの仮想かそうである、物理ぶつり分割ぶんかつ (PPAR)、論理ろんり分割ぶんかつ (LPAR) とわせることもできる。

z/VMは、PPARやLPARと比較ひかくして、より柔軟じゅうなん構成こうせい変更へんこうができるため、とく開発かいはつ環境かんきょうなどでひろ使用しようされている。ただし本番ほんばん環境かんきょうではz/VM自体じたい単一たんいつ障害しょうがいてんとなりうること注意ちゅういする必要ひつようがある。また現在げんざいは、サーバ統合とうごうとして、多数たすうLinuxを1~2だいのメインフレームに安定あんていして同時どうじ稼働かどうさせる用途ようとでも使つかわれている。

z/VMは、おなじIBMメインフレーム専用せんようOSでも、z/OSz/VSEとはまった別物べつものである。しかし、上述じょうじゅつのように、これらをゲストOSとして稼働かどうさせることができる。

z/OSz/VSEとの共通きょうつうてんには以下いかげられる。

  • z/Architecture稼働かどうする
  • ネイティブの文字もじコードはEBCDIC
  • SNAのサポート
  • S/390アセンブラー、COBOLCPL/I言語げんごサポート

z/OSやz/VSEとの相違そういてんには以下いかげられる。

  • 単体たんたいではなく、z/OSやz/VSEの仮想かそうOSとして使つかわれる場合ばあいおお
  • 単体たんたい(z/VMおよびCMS)でも使用しようできるが、オンライン対話たいわがた志向しこうつよく、トランザクション処理しょり・データベース・バッチなどにはかない
  • CMSからまれたIBMのスクリプト言語げんごであるREXXは、z/OS、OS/2PC DOSなどに移植いしょくされた。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b IBM z/VM 7.3 delivers robust virtual infrastructure for containerized and noncontainerized workloads
  2. ^ IBM z/VM V6.1の発表はっぴょう - IBM
  3. ^ IBM z/VM V6.2の発表はっぴょう - IBM
  4. ^ a b IBM z/VM V6.3 - 規模きぼによる効率こうりつ利用りようした仮想かそう
  5. ^ IBM z/VM V6.4 delivers industry-proven advanced virtualization capabilities to support the increasing demands of a hybrid cloud environment
  6. ^ プレビュー: IBM z/VM V7.2

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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