初夜しょや権けん

初夜しょや権けん（しょやけん）とは、領主りょうしゅ・聖職せいしょく者しゃ等とうが結婚けっこん初夜しょやに花嫁はなよめと床ゆかを共ともにする権利けんりのことである。

結婚けっこん儀式ぎしきをとりおこなった後のち、権力けんりょく者もの（領主りょうしゅや僧侶そうりょなど）が、夫おっとよりも先立さきだって処女しょじょの花嫁はなよめと寝ねてセックスを行おこなうことが中世ちゅうせいヨーロッパでは認みとめられていたなどと言いわれている。 そして、この権利けんりは新郎しんろうが金銭きんせんと引ひき換かえに権力けんりょく者しゃから取とり戻もどすことが可能かのうであったとされる。

処女しょじょと性行為せいこういをすることは災難さいなんを招まねく云々しかじかの迷信めいしんが信しんじられている場合ばあい、特別とくべつの権威けんいを有ゆうする領主りょうしゅや聖職せいしょく者しゃにそれを取とり除のぞく機能きのうが期待きたいされていたとも言いわれる。もちろん領主りょうしゅや聖職せいしょく者しゃの性的せいてきな欲求よっきゅうとの合致がっちもまた理由りゆうの1つであろう。女性じょせいに対たいし婚姻こんいん以前いぜんの不貞ふていの有無うむを問とう事ことを難むずかしくする機能きのうも果はたした。

また、法ほうとなっていないまでも世界せかい各地かくちにこれと類似るいじした風習ふうしゅうがあったという。近代きんだい以前いぜんの社会しゃかいでは、花婿はなむこは花嫁はなよめの処女しょじょを頂いただく権利けんりさえ、支配しはい階かい級きゅうによって奪うばわれていたのである。

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しかし、セックスするまでの権利けんりがあったことを示しめす確固かっこたる証拠しょうこはまったく無なく、むしろ、「初夜しょや権けん」の制度せいどが廃すたれ始はじめた時代じだいに形成けいせいされた不確ふたしかな伝承でんしょうであると言いう説せつもある。領主りょうしゅの権利けんりとして、新婦しんぷは領主りょうしゅの所有しょゆう物ぶつであり（と言いっても結婚けっこん初夜しょやの初はつ交まで奪うばう権利けんりがあると言いう訳わけではなく）、新郎しんろうが新婦しんぷを領主りょうしゅから買かう、という「結婚けっこん税ぜい」制度せいどが曲解きょっかいされたのが真相しんそうに近ちかいと言いう説せつもある。いかに腐敗ふはいしていたとしてもカトリックの聖職せいしょく者しゃが世俗せぞくの女性じょせいと性的せいてき関係かんけいを結むすぶことが公認こうにんされていたとは考かんがえ難がたい。

清朝せいちょう時代じだいの蒙こうむ古ふる

かつて、清朝せいちょう時代じだいの蒙こうむ古ふる地方ちほうではラマ教らまきょうの僧そうに初夜しょや権けんがあった。これをあえて清朝せいちょうは黙認もくにんしていた。結果けっかとして梅毒ばいどくなどの性病せいびょうが拡散かくさんすることとなった。あえて黙認もくにんすることにより民族みんぞくを弱体じゃくたい化かする効果こうかを期待きたいしていたと考かんがえられる。

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