(Translated by https://www.hiragana.jp/)
からかさ小僧 - Wikipedia コンテンツにスキップ

からかさ小僧こぞう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
映画えいが妖怪ようかいひゃく物語ものがたり』のからかさ小僧こぞう人形にんぎょう
歌川うたがわかおるいんひゃくしゅ怪談かいだん妖物双六すごろく』にえがかれているかさ妖怪ようかい一本いっぽんあし

からかさ小僧こぞう(からかさこぞう、からかさ小僧こぞう)は日本にっぽん妖怪ようかい一種いっしゅで、かさ(からかさ)の妖怪ようかいからかさおばけ[1][2]かさおばけ[2][3]かさ(かさばけ)[4]一本いっぽんあし(いっぽんあし)[5]からかさ一本いっぽんあし(からかさいっぽんあし)[6][7]おばけかさ[8] などともばれる。

江戸えど時代じだい以後いごつくられた草双紙くさぞうしおもちゃかるた(『けかるた』など)歌舞伎かぶき姿すがたられるほか、明治めいじ大正たいしょう時代じだい以後いご玩具おもちゃ子供こどもけの妖怪ようかい関連かんれん書籍しょせき屋敷やしき演出えんしゅつ映画えいがなどにられる。

概要がいよう[編集へんしゅう]

狩野かのえんしんじ百鬼夜行ひゃっきやこうまき』より、2ほんあしかさ妖怪ようかい[9]
尾上おがみ菊五郎きくごろう (5代目だいめ)による「かさ一本いっぽんあし[10]

ひといたかさ一本いっぽんあしねる姿すがた一般いっぱんてき描写びょうしゃされる。かさから2ほんうでびていることや、が2つのこともあり[2][11]ながしたばしていることもある[3]。2ほんあしえがかれているれいもある(狩野かのえんしんじ百鬼夜行ひゃっきやこうまき[9] など)。

ふるいものは室町むろまち時代ときよ絵巻物えまきもの百鬼夜行ひゃっきやこう絵巻えまき』にもられるが、どう絵巻えまきでのかさ妖怪ようかいは、たたんだかさ頭部とうぶいただいたひとがた妖怪ようかいである[12]百鬼夜行ひゃっきやこう絵巻えまき項目こうもく画像がぞう参照さんしょう)。

ひと一本いっぽんあしという妖怪ようかい姿すがた江戸えど時代じだい以降いこう絵画かいがられ、江戸えど時代じだいから大正たいしょう時代じだいにかけてのけかるたさつにも、一本いっぽんあし姿すがたおおられる[12]歌舞伎かぶき舞踊ぶようでは一本いっぽんあし姿すがた役者やくしゃ扮装ふんそうしておどることがおこなわれ(かお普通ふつうかさなかからしている)、江戸えど時代じだい後期こうきには変化へんか舞踊ぶようまつちょうおうぎうつし』(1857ねん9がつ 中村なかむら)に一本いっぽんあし[5]明治めいじ時代じだいにも『やみうめひゃく物語ものがたり』(河竹かわたけ新七しんしち1900ねん)にかさ一本いっぽんあしという役名やくめい登場とうじょうしている[6]安政あんせい年間ねんかん出版しゅっぱんされた双六すごろくひゃくしゅ怪談かいだん妖物双六すごろく』(歌川うたがわかおるいん1858ねん)にも「さぎふち一本いっぽんあし」(さぎふちのいっぽんあし)のひと一本いっぽんあし姿すがたえがかれている[13]

明治めいじから昭和しょうわにかけては、印刷物いんさつぶつによって享受きょうじゅされたり、屋敷やしきものとして使つかわれたり[1][2]漫画まんがアニメ[3]妖怪ようかい題材だいざいとした映画えいがなどのキャラクターとしても多用たようされた[4]室町むろまち時代じだい以後いご、『百鬼夜行ひゃっきやこう絵巻えまき』にすうおおくの無生物むせいぶつ器物きぶつ妖怪ようかい登場とうじょうしているなか著名ちょめい妖怪ようかいとしてつたえられているのはかさ妖怪ようかいのみとられており[14]器物きぶつ妖怪ようかいなかもっとられたものであるともいえる[12]

口頭こうとう伝承でんしょう[編集へんしゅう]

境港さかいみなと水木みずきしげるロード設置せっちされた「かさけ」のブロンズぞう

大変たいへん有名ゆうめい妖怪ようかいである反面はんめん地域ちいきなどにそくした具体ぐたいてき伝承でんしょうはほとんどのこされていないともわれており、妖怪ようかい関連かんれん書籍しょせきによっては「絵画かいがじょうでのみ存在そんざいする妖怪ようかい」として分類ぶんるいされたり[12]伝承でんしょうともなわない創作そうさくばなしのみに登場とうじょうする妖怪ようかいとするせつもある[15]。また、この妖怪ようかい書籍しょせきによってはづけ喪神そうしん(つくもがみ、歳月さいげつ器物きぶつけた妖怪ようかい)であり、そのいちれいとしているものもあるが[3][16]、それを証明しょうめいする古典こてんなどの文献ぶんけん確認かくにんされていない[2]

確認かくにんされている伝承でんしょうには、以下いかのものなどがある。

新潟にいがたけん笹神ささかみむらげん阿賀あが野市のいち)の伝承でんしょうでは、さんじゅうかりという場所ばしょカラカサバケモンからかさもの)という妖怪ようかいたとつたわっている[17]

1762ねんたかられき12ねん)の浮世草子うきよぞうし奇談きだんしゅう『咡千さと新語しんご(ささやきせんりしんご)』収録しゅうろくの「三之さんのまき だいいち 茶碗ちゃわん(ちゃわんちご)の化物ばけもの」に、奈良ならけん興福寺こうふくじ伝承でんしょうとされる7種類しゅるい妖怪ようかいひとつとして「南部なんぶ興福寺こうふくじにいろいろの化物ばけものあり 東花とうかぼう(とうかぼう)のからかさ」と記述きじゅつがあることで[18][19]興福寺こうふくじにからかさ小僧こぞう伝承でんしょう存在そんざいしていた可能かのうせい示唆しさされているが、その詳細しょうさい不明ふめいである[20]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b はつ 2009, p. 73
  2. ^ a b c d e みやつこ 2007, p. 76-77
  3. ^ a b c d 一柳いちりゅう 2008, p. 77
  4. ^ a b 水木みずき 1994, p. 144
  5. ^ a b ぞく歌舞伎かぶき年代ねんだい広谷ひろたに国書刊行会こくしょかんこうかい 1925ねん 716ぺーじ
  6. ^ a b 渥美あつみ清太郎せいたろう へん日本にっぽん戯曲ぎきょく全集ぜんしゅう 歌舞伎かぶきへん 河竹かわたけ新七しんしち竹柴たけしば其水きすいしゅう春陽しゅんようどう 1929ねん 323ぺーじやみうめひゃく物語ものがたり
  7. ^ 南條なんじょうたけし妖怪ようかいミステリー』有紀ゆうき書房しょぼう、1974ねん、122ぺーじ 
  8. ^ 湯本ゆもとつよしいち今昔こんじゃく妖怪ようかい大鑑たいかん』パイインターナショナル、2013ねん、166ぺーじISBN 978-4-7562-4337-9 
  9. ^ a b 湯元ゆもと 2005, p. 88
  10. ^ 時事新報じじしんぽうしゃ尾上おがみ菊五郎きくごろう自伝じでん』1903ねん 185ぺーじ(『やみうめひゃく物語ものがたり』の扮装ふんそうか)
  11. ^ 村上むらかみ健司けんじ編著へんちょ妖怪ようかい事典じてん毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ、2000ねん、119ぺーじISBN 978-4-620-31428-0 
  12. ^ a b c d 村上むらかみ 2000, p. 54
  13. ^ 人文じんぶんしゃ研究けんきゅう へん江戸えど諸国しょこくひゃく物語ものがたり 諸国しょこく怪談かいだん奇談きだん集成しゅうせい西日本にしにほんへん人文じんぶんしゃ〈ものしりシリーズ〉、2005ねん、2ぺーじISBN 978-4-7959-1956-3 
  14. ^ 阿部あべ主計かずえ妖怪ようかいがく入門にゅうもん雄山閣ゆうざんかく、1968ねん原著げんちょ1968ねん)、128-129ぺーじNCID BN02798932 
  15. ^ 『アニメばん ゲゲゲの鬼太郎おにたろう 完全かんぜん読本とくほん田神たがみ健一けんいち奥津おくつ圭介けいすけ中村なかむらすなへん講談社こうだんしゃISBN 978-4-06-213742-3
  16. ^ 多田ただ克己かつみ幻想げんそう世界せかい住人じゅうにんたち』 IV、しん紀元きげんしゃTruth In Fantasy〉、1990ねん、303ぺーじISBN 978-4-915146-44-2 
  17. ^ 笹神ささかみむら笹神ささかみむら 資料しりょうへん4 民俗みんぞく』2002ねん 464ぺーじ
  18. ^ 咡千さと新語しんご”. 東京大学とうきょうだいがく学術がくじゅつ資産しさんとうアーカイブズポータル. 東京大学とうきょうだいがく. p. 35. 2020ねん11月4にち閲覧えつらん
  19. ^ 吉田よしだ幸一こういち倉島くらしま須美子すみこ へん伊達だてかみにんおとこ づけ、咡千さと新語しんご古典こてん文庫ぶんこ、2002ねん2がつ20日はつか、259ぺーじNCID BA58999201 
  20. ^ かい』 vol.0040、KADOKAWA〈カドカワムック〉、2013ねん11月30にち、196-197ぺーじISBN 978-4-04-130054-1 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]