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まれびと

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

まれびとマレビトまれじん客人きゃくじん)は、ときさだめて他界たかいから来訪らいほうするれいてきもしくはかみ本質ほんしつてき存在そんざい定義ていぎする[1]折口おりぐちまなぶ用語ようご折口おりぐち信夫しのぶ思想しそう体系たいけいかんがえるうえでもっとも重要じゅうようかぎ概念がいねんひとつであり、日本人にっぽんじん信仰しんこう他界たかい観念かんねんさぐるためのがかりとして民俗みんぞくがくうえ重視じゅうしされる。まろうどとも[2][3]

概要がいよう

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外部がいぶからの来訪らいほうしゃ異人いじん、まれびと)に宿舎しゅくしゃ食事しょくじ提供ていきょうして歓待かんたいする風習ふうしゅうは、各地かくち普遍ふへんてきにみられる。その理由りゆう経済けいざいてきなものがふくまれるが、この風習ふうしゅう根底こんてい異人いじんことかいからのかみとする「まれびと信仰しんこう」が存在そんざいするといわれる。

「まれびと」のしょう1929ねん昭和しょうわ4ねん)、民俗みんぞく学者がくしゃ折口おりぐち信夫しのぶによって提示ていじされた。かれは「客人きゃくじん」を「まれびと」とくんじて、それが本来ほんらいかみ同義語どうぎごであり、そのかみ常世とこよくにから来訪らいほうすることなどを現存げんそんする民間みんかん伝承でんしょう記紀きき記述きじゅつから推定すいていした。折口おりぐちのまれびとろんは「国文学こくぶんがく発生はっせいだいさん稿こう〉」(『古代こだい研究けんきゅう所収しょしゅう)によってそのかたちをととのえる。みぎ論文ろんぶんによれば、沖縄おきなわにおけるフィールド・ワークが、まれびと概念がいねん発想はっそう契機けいきとなったらしい。

常世とこよとは死霊しりょうたまくにであり、そこには人々ひとびと悪霊あくりょうからまもってくれる祖先そせんむとかんがえられていたので、農村のうそん住民じゅうみんたちは、毎年まいとし定期ていきてき常世とこよかられいがやってきて、人々ひとびと祝福しゅくふくしてくれるという信仰しんこうつにいたった。その来臨らいりんまれであったので「まれびと」とばれるようになったという。現在げんざいでは仏教ぶっきょう行事ぎょうじとされているぼん行事ぎょうじも、このまれびと信仰しんこうとのふか関係かんけい推定すいていされるという。

まれびとしん祭場さいじょう歓待かんたいけたが、やがて外部がいぶから来訪らいほうする旅人たびびとたちも「まれびと」としてあつかわれることになった。『万葉集まんようしゅう東歌あずまうたや『常陸ひたちこく風土記ふどき』にはまつりよる外部がいぶからやってくるかみふんするのは、仮面かめんをつけたむら若者わかもの旅人たびびとであったことがしるされている。さらに時代じだいると「ほかいびと(乞食こじき)」やながしの芸能げいのうしゃまでが「まれびと」としてあつかわれるようになり、それにたいして神様かみさまなみ歓待かんたいがなされたことから、遊行ゆぎょうしゃ存在そんざい可能かのうにし、貴種きしゅ流離譚りゅうりたんみこととうと血筋ちすじひと漂泊ひょうはくたびて、辛苦しんく試練しれんつという説話せつわ類型るいけい)を信仰しんこう母胎ぼたいとなった。

来訪らいほうしんのまれびとはしんむかえるまつりなどのさいに、てられた柱状ちゅうじょう物体ぶったいひげかご山車だしなど)のだい降臨こうりんするとされた。そのたるところうみ彼方かなた沖縄おきなわニライカナイたる)、のち山岳さんがく信仰しんこう影響えいきょうやまうえてんからる(天孫てんそん降臨こうりん)ものとうつわったという。

オーストリアの民族みんぞく学者がくしゃであるアレクサンダー・スラヴィクは、友人ゆうじんおか正雄まさおにより日本にっぽんにおける「まれびと信仰しんこう」の実態じったいり、ゲルマン民族みんぞくケルト民族けるとみんぞくにおける「神聖しんせいなる来訪らいほうしゃ」の伝説でんせつ風習ふうしゅう比較ひかく研究けんきゅうした[4]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 福田ふくだアジオ日本にっぽん民俗みんぞくがく開拓かいたくしゃたち」(山川やまかわ出版しゅっぱんしゃ 2009ねん ISBN 978-4-634-54706-3) 71ページ
  2. ^ 新村しんむらいずるへん広辞苑こうじえん』(だいはん岩波書店いわなみしょてん、1998ねん
  3. ^ 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)『まろうど』 - コトバンク
  4. ^ A・スラヴィク『日本にっぽん文化ぶんか古層こそう未来社みらいしゃ、1984ねん、84-86pぺーじ 

文献ぶんけん情報じょうほう

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  • 敷田しきだ麻実あさみよそもの地域ちいきづくりにおけるその役割やくわりにかんする研究けんきゅう」『国際こくさい広報こうほうメディア・観光かんこうがくジャーナル』だい9ごう北海道大学ほっかいどうだいがく大学院だいがくいん国際こくさい広報こうほうメディア・観光かんこう学院がくいん、2009ねん、79-100ぺーじNAID 120001600884 
  • 桜井さくらい徳太郎とくたろうへん民間みんかん信仰しんこう辞典じてん東京とうきょうどう出版しゅっぱん、1980ねんISBN 978-4490101379

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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