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アナテマ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

アナテマ(ανάθεμα, anathema)は、「せいぜっ」「奉納ほうのう」「ほろぼす」「ささげる」「ころす」「のろわれる」「のろわれたものとなる」などとやくされるギリシア言葉ことば聖書せいしょで、ヘブライヘーレム herem」のわけとしてななじゅうにんやく聖書せいしょから使つかわれた。アナフェマとも。

レオン・デュフールへん聖書せいしょ思想しそう事典じてん』によれば、元来がんらいは、「かみへの奉納ほうのうぶつとしての『民族みんぞく殲滅せんめつ』」も意味いみしていたこのかたりが、最早もはや聖戦せいせん時代じだいではなくなった紀元きげん前後ぜんこうイスラエルにおいてはその意味いみ内容ないよういちじるしく変化へんかさせ、「つよのろ」を意味いみするかたりとしてもちいられるようになった[1]。また、マックス・ウェーバーは、この語義ごぎ変化へんかバビロニアしゅうのちすでにあったとし、ユダヤきょうペルシアによって平和へいわにされた宗派しゅうはてき教団きょうだんへと変質へんしつさせえられた時代じだいには、ヘーレムは不心得ふこころえしゃなどにたいする共同きょうどうたいからの破門はもん意味いみする言葉ことばとして存続そんぞくしたとしている[2]。たとえばエズラ10:8においては、ヘーレムの対象たいしょう該当がいとうしゃ財産ざいさんだけで、当人とうにん共同きょうどうたいから追放ついほうされることがめいじられている。

一方いっぽう泉田いずみだあきらへんしん聖書せいしょ辞典じてん』の「せいぜっ」のこうにおいては、さるいのち(7:1-6)においてイスラエルをしき異教いきょう風習ふうしゅうからまもるためにかみによってカナンななつのみんせいぜっめいじられているとしながらも、そのせいぜっによって具体ぐたいてきなにおこなわれたかはかれておらず、また、語義ごぎ変化へんかしたともいていない。ただ、「新約しんやく聖書せいしょにおいて、つよいのろいの表現ひょうげん共同きょうどうたいからの除名じょめい意味いみする用語ようごとしてもちいられている」とべており、根拠こんきょせいだいいちコリント16:22、ガラテヤ1:8-9をあげている[3]

パウロ書簡しょかんのなかにも「わたしたちがつたえたのとことなる福音ふくいんつたえるものはのろわれよ(=アナテマたるべし)」(ガラテア1:8)などとする用法ようほうがある。こうした異質いしつなものへの「のろい」のけて、カトリック教会きょうかいふく古代こだい教会きょうかいでは、アナテマは共同きょうどうたいからの除名じょめい、すなわち「破門はもん」を意味いみするかたりとしてもちいられるようになった。その証拠しょうこに、ニカイア信条しんじょうなどキリスト教きりすときょう信仰しんこう箇条かじょうには、異端いたんせつ信奉しんぽうするものたいするアナテマが付加ふかされるものがられる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ X・レオン・デュフールへん聖書せいしょ思想しそう事典じてん旧版きゅうばん)』三省堂さんせいどう1973ねん、p.25-26、およ訳注やくちゅう
  2. ^ マックス・ウェーバー『古代こだいユダヤきょう』(うえ)、内田うちだ芳明よしあきやく岩波いわなみ文庫ぶんこ、1996ねん、p.238〜240。ただし、ウェーバーのこの部分ぶぶん記述きじゅつには若干じゃっかん矛盾むじゅんするかのような箇所かしょみとめられる。
  3. ^ 泉田いずみだあきらへんしん聖書せいしょ辞典じてんいのちのことばしゃ1985ねん、p.736-737

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]