アビメレク

アビメレク（ヘブライ語ご:אבימלך）は、ゲラル地方ちほうのペリシテ人じんの王おうである。『旧約きゅうやく聖書せいしょ』「創世そうせい記き」に登場とうじょうする。名前なまえは「我わが父ちちは王おうである」という意味いみである。

アビメレクは聖書せいしょ中ちゅうに（ギデオンの子こを除のぞいて）2人ふたり登場とうじょうする。伝統でんとう的てきに両者りょうしゃは親子おやこであると解釈かいしゃくされる。ただし、2人ふたりの間あいだには共通きょうつう点てんも多おおく見みられるので、単独たんどくの人物じんぶつだったという説せつもある。本ほん項こうでは便宜上べんぎじょう、2人ふたりに分わけて解説かいせつする。

20章しょうに登場とうじょうするアビメレク

このアビメレクは伝統でんとう的てきに親おやの方ほうのアビメレクと解釈かいしゃくされている。ゲラル地方ちほうの王おうであった。アブラハムがそこに滞在たいざいしている間あいだ、妻つまであるサラを取とられないように妹いもうとと偽いつわったことがある。アビメレクは夢ゆめで事実じじつを知しり、姦淫かんいんの罪つみを犯おかさずに済すんだので、最終さいしゅう的てきにはアブラハム達たちを優遇ゆうぐうした。

26章しょうに登場とうじょうするアビメレク

このアビメレクは子この方ほうのアビメレクであったと理解りかいされている。父ちちと同おなじく、ペリシテ人じんの王おうであった。アブラハムの息子むすこイサクは飢饉ききんがあった頃ころ、ゲラル地方ちほうに滞在たいざいしていた。そこの地元じもとの住民じゅうみん達たちに妻つまであるリベカのことについて尋たずねられ、殺ころされることを免まぬかれるために、妹いもうとと偽いつわった。アビメレクはその後ご、イサクとリベカの親したしい仲なかを目撃もくげきし、悲劇ひげきは未然みぜんに終おわったのである。