イエローカード (予防よぼう接種せっしゅ)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
大韓民国だいかんみんこく保健ほけん福祉ふくし発行はっこうのイエローカード

イエローカードえい: International Certificate of Vaccination or Prophylaxis(略称りゃくしょう:ICVP、通称つうしょう:Yellow Card または Yellow Booklet[1]ふつ: Certificat international de vaccination ou de prophylaxie(略称りゃくしょう:CIVP、通称つうしょう:carte jaune[2] または carnet jaune[3])は、予防よぼう接種せっしゅ国際こくさい証明しょうめいしょである。国際こくさい保健ほけん規則きそく英語えいごばんもとづき発行はっこうされるもので、特定とくていくにでは入国にゅうこく検疫けんえき一環いっかん提示ていじ要求ようきゅうされる。1980ねん以降いこうねつのみが対象たいしょうであったが、2021ねん7がつから暫定ざんていてき新型しんがたコロナウイルス感染かんせんしょう(COVID-19)対象たいしょうくわえられた(日本にっぽん状況じょうきょうについては#日本にっぽん参照さんしょう)。以前いぜんコレラ天然痘てんねんとうについても対象たいしょうとなっていた。またくにによってはその疾患しっかんたいする予防よぼう接種せっしゅ証明しょうめいねた冊子さっし発行はっこうしている場合ばあいもある。

根拠こんきょ[編集へんしゅう]

国際こくさい保健ほけん規則きそくだい31じょうだい1こうにおいて、原則げんそくてき予防よぼう接種せっしゅ入国にゅうこく条件じょうけんとして要求ようきゅうすべきでないとしており、その例外れいがいなか附録ふろくだい6とだい7にのっとってすべての旅行りょこうしゃたいして要求ようきゅうする場合ばあいみとめられている。まただい36じょうだい2こうでは、附録ふろくだい6とだい7に準拠じゅんきょして交付こうふされた証明しょうめいしょ(イエローカード)を旅行りょこうしゃは、そこに記載きさいされた疾病しっぺい流行りゅうこう地域ちいきから場合ばあいでもその疾病しっぺい理由りゆう入国にゅうこく拒否きょひされてはならないとしている。

対象たいしょう疾病しっぺい[編集へんしゅう]

対象たいしょう疾病しっぺい運用うんよう基準きじゅんについてはどう規則きそく附録ふろくだい7に規定きていされているほか[4]世界せかい保健ほけん機関きかん(WHO)の勧告かんこくもとづく場合ばあいにはその疾病しっぺいもこれに準拠じゅんきょした運用うんよう可能かのうであり(規則きそくだい36じょうだい1こうおよ附録ふろくだい6だい1こう)、2021ねん7がつ2にち暫定ざんていてき勧告かんこくによりCOVID-19も対象たいしょうくわえられた[1]。かつてはコレラ、天然痘てんねんとうねつの3つが対象たいしょうであったが、1980ねん以降いこうねつのみとなっていた。

ねつ[編集へんしゅう]

WHOがねつ伝染でんせんリスクが存在そんざいするとさだめた地域ちいき通過つうかする旅行りょこうしゃは、入国にゅうこく条件じょうけんとして予防よぼう接種せっしゅ要求ようきゅうされることがある。また国内こくないねつ媒介ばいかいしゃ存在そんざいするくには、WHOがねつ伝染でんせんリスクが存在そんざいするとさだめた地域ちいきから到着とうちゃくし、有効ゆうこうなイエローカードを提示ていじできない旅行りょこうしゃを、潜伏期せんぷくきあいだである6日間にちかんまたはイエローカードが発効はっこうするまでのいずれかみじか期間きかん隔離かくり検疫けんえきすることができる。

証明しょうめいしょ接種せっしゅ10日とおかから接種せっしゅしゃ生涯しょうがいにわたって有効ゆうこうである。従来じゅうらい有効ゆうこう期間きかんが10年間ねんかんとされ以降いこうさい接種せっしゅ必要ひつようであったが、2016ねん7がつ11にち以降いこう証明しょうめいしょ記載きさいによらず生涯しょうがい有効ゆうこうとなった。なお使用しようするワクチンはWHOによって承認しょうにんされているものでなければならない。

COVID-19[編集へんしゅう]

WHOは2021ねん2がつ5にち暫定ざんていポジションペーパーで、海外かいがい旅行りょこうしゃのCOVID-19の予防よぼう接種せっしゅ記録きろくとしてイエローカードを使用しようすべきとの見解けんかいしめしていたが[5]前述ぜんじゅつのとおり2021ねん7がつ2にち暫定ざんていてき勧告かんこくされ、各国かっこく権限けんげん当局とうきょくはCOVID-19の予防よぼう接種せっしゅ記録きろくとしてイエローカードを使用しようすることができることとなった。ただし、いかなる接種せっしゅ証明しょうめいしょ出入国しゅつにゅうこく要件ようけんとして使用しようすべきでなく、検査けんさ検疫けんえき免除めんじょもちいられるべきものと勧告かんこくしている[1]

コレラ[編集へんしゅう]

コレラは1973ねん規則きそく改定かいていによって対象たいしょうからはずれている。

天然痘てんねんとう[編集へんしゅう]

天然痘てんねんとうは1980ねん5がつ8にち根絶こんぜつ宣言せんげんさいに、予防よぼう接種せっしゅ原則げんそく廃止はいし証明しょうめいしょ運用うんよう中止ちゅうしすることとされた[6]。1981ねん規則きそく改定かいていによって規則きそく文面ぶんめんからもはずれている。

書式しょしき[編集へんしゅう]

証明しょうめいしょ書式しょしき国際こくさい保健ほけん規則きそく附録ふろくだい6に規定きていされている。記載きさい事項じこうは、対象たいしょうしゃ氏名しめい生年月日せいねんがっぴ性別せいべつ国籍こくせき署名しょめいと、対象たいしょうとなる疾病しっぺい、そして予防よぼう接種せっしゅ日付ひづけ監督かんとく署名しょめい地位ちい、ワクチンの製造せいぞうしゃ製造せいぞう番号ばんごう証明しょうめいしょ有効ゆうこう期間きかんなどである。これらは英語えいごまたはフランス語ふらんすご記入きにゅうしなければならないが、さらにその言語げんごでも記入きにゅうすることはゆるされている。子供こどもたいしても個別こべつ証明しょうめいしょ必要ひつようであり、署名しょめいできない場合ばあいには保護ほごしゃ代理だいり署名しょめいする。予防よぼう接種せっしゅ実施じっし監督かんとくする医師いし公式こうしきに授権された医療いりょう従事じゅうじしゃ保健ほけん職員しょくいん場合ばあいもある)が自署じしょしなければ無効むこうであり、また実施じっし機関きかん公印こういんされていなければ無効むこうである。いろかんする規定きていはないので発行はっこう機関きかんしだいで白色はくしょくのイエローカードも存在そんざいしうる[7]

日本にっぽん[編集へんしゅう]

日本にっぽん発行はっこうされるイエローカードは、検疫けんえきほう施行しこう規則きそく[8]様式ようしきだい6の1に規定きていされている。おおきさはおおよそA6で、表面ひょうめん記載きさい事項じこう記入きにゅうらん裏面りめん国際こくさい保健ほけん規則きそく規定きていされた注意ちゅういきがあり、すべてについて日本語にほんご英語えいごなみしるされている。

なお、COVID-19にかんしては、イエローカードでなくかく市町村しちょうそんが「新型しんがたコロナウイルス感染かんせんしょう 予防よぼう接種せっしゅ証明しょうめいしょ」(Vaccination Certificate of COVID-19)を発行はっこうしている[9]。その様式ようしき記載きさい事項じこうは、上記じょうきイエローカードの書式しょしきとはことなるものとなっている。

また、2021ねん9がつ27にち現在げんざい日本にっぽん政府せいふ所定しょていくに地域ちいき政府せいふとう公的こうてき機関きかん発行はっこうされた、日本語にほんごまたは英語えいご記載きさいされた接種せっしゅ証明しょうめいしょのみ検疫けんえきにおけるまち期間きかん短縮たんしゅく有効ゆうこうとしており、これに該当がいとうしないイエローカードによるまち期間きかん短縮たんしゅくみとめていない[10]

COVID-19 ワクチンパスポート[編集へんしゅう]

COVID-19のワクチン接種せっしゅをした旅行りょこうしゃたいして、イエローカードと同様どうよう接種せっしゅ記録きろくのリアルタイム閲覧えつらんシステムが開発かいはつされつつある。

国際こくさい規格きかく団体だんたいEcmaインターナショナル営利えいり組織そしき 世界せかい経済けいざいフォーラムIBM国際こくさい航空こうくう運送うんそう協会きょうかいなどがプライバシー保護ほご偽造ぎぞう防止ぼうし規格きかくもうとしていた。2021ねん3がつ12にちに、Ecmaインターナショナルが、正式せいしきにCall for Participation on Vaccine Passports International Standardizationの発表はっぴょう国際こくさい規格きかく募集ぼしゅうしたところ、日本にっぽん会社かいしゃ提案ていあんおこない、現在げんざい内部ないぶ検討けんとうちゅうである[11]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c Technical considerations for implementing a risk-based approach to international travel in the context of COVID-19: Interim guidance, 2 July 2021”. World Health Organization. p. 9 (2021ねん7がつ2にち). 2021ねん8がつ10日とおか閲覧えつらん
  2. ^ Poliomyélite”. フランスヨーロッパ・外務省がいむしょう. 2021ねん8がつ14にち閲覧えつらん
  3. ^ Simon Petite (2021ねん3がつ13にち). “Le passeport vaccinal existe depuis des lustres”. Le Temp. https://www.letemps.ch/monde/passeport-vaccinal-existe-lustres 2021ねん8がつ15にち閲覧えつらん 
  4. ^ “ANNEX7 REQUIREMENTS CONCERNING VACCINATION OR PROPHYLAXIS FOR SPECIFIC DISEASES” (PDF). International Health Regulations (2005) (3rd ed.). World Health Organization. (2016). pp. 54-55. ISBN 978 92 4 158049 6. http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/246107/1/9789241580496-eng.pdf 
  5. ^ Interim position paper: considerations regarding proof of COVID-19 vaccination for international travellers”. World Health Organization (2021ねん2がつ5にち). 2021ねん9がつ7にち閲覧えつらん
  6. ^ International Health Regulation (1969) (3rd ed.). World Health Organization. https://books.google.com/books?id=58RcDwAAQBAJ 
  7. ^ “ANNEX6 VACCINATION, PROPHYLAXIS AND RELATED CERTIFICATES” (PDF). International Health Regulations (2005) (3rd ed.). World Health Organization. (2016). pp. 52-53. ISBN 978 92 4 158049 6. http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/246107/1/9789241580496-eng.pdf 
  8. ^ 検疫けんえきほう施行しこう規則きそく”. e-Gov. 総務そうむしょう行政ぎょうせい管理かんりきょく. 2019ねん6がつ6にち閲覧えつらん
  9. ^ 海外かいがい渡航とこうよう新型しんがたコロナワクチン接種せっしゅ証明しょうめいしょについて”. 厚生こうせい労働省ろうどうしょう (2021ねん8がつ5にち). 2021ねん8がつ10日とおか閲覧えつらん
  10. ^ ワクチン接種せっしゅ証明しょうめいしょの「うつし」の提出ていしゅつについて”. 厚生こうせい労働省ろうどうしょう検疫けんえきしょ (2021ねん9がつ27にち). 2021ねん9がつ27にち閲覧えつらん
  11. ^ https://www.ecma-international.org/news/ecma-tc51-committee-is-calling-for-participation-and-for-feedback-from-interested-stakeholders-on-the-development-of-a-vaccine-passport-international-standardization/

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]