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イグナーツ・フリードマン

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イグナーツ・フリードマン
基本きほん情報じょうほう
生誕せいたん (1882-02-13) 1882ねん2がつ13にち
出身しゅっしん ポーランドの旗 ポーランドポドグジェ
死没しぼつ (1948-01-26) 1948ねん1がつ26にち(65さいぼつ
学歴がくれき クラクフ大学だいがく
ジャンル クラシック音楽おんがく
職業しょくぎょう ピアニスト
担当たんとう楽器がっき ピアノ
音楽おんがく音声おんせい外部がいぶリンク
フリードマンの演奏えんそう/作品さくひん試聴しちょう
Overture to Tannhäuser, S. 442 - ワーグナータンホイザー序曲じょきょくリストによるピアノ編曲へんきょくばんピアノ・ロール再生さいせい録音ろくおん
Waltzes, Op. 64: No. 1 in D-Flat Major "Minute Waltz". Molto vivace - ショパン子犬こいぬのワルツ
Polonaise No. 6 in A-Flat Major, Op. 53 "Heroic" - ショパン『英雄えいゆうポロネーズ
3 Pieces, Op. 33 : 3. Tabatière À Musique - フリードマン『オルゴール』、スティーヴン・ハフによる演奏えんそう
 以上いじょう4けんはThe Orchard Enterprises提供ていきょうのYouTubeアートトラック
Friedman: Piano Music - フリードマンのピアノ作品さくひんしゅう(プレイリスト)、ミヒャエル・シェーファー(Michael Schäfer)による演奏えんそう
 NAXOS of America提供ていきょうのYouTubeアートトラック

イグナーツ・フリードマンポーランド: Ignaz Friedman, 1882ねん2がつ13にち1948ねん1がつ26にち)はポーランド出身しゅっしんユダヤけいピアニスト作曲さっきょくハロルド・ショーンバーグのような音楽おんがく評論ひょうろんや、セルゲイ・ラフマニノフらのピアニスト仲間なかまから、レオポルド・ゴドフスキーモーリッツ・ローゼンタールヨーゼフ・ホフマンジョセフ・レヴィーンらとならぶ、当時とうじ至高しこうヴィルトゥオーゾとして一様いちようたか評価ひょうかされていた。については、ポーランドのイグナツィ(Ignacy)や英語えいごのイグナス(Ignace)をもちいる場合ばあいがある。なお本名ほんみょうは、ザロモン(またはゾロモン)・イザーク・フロイトマン(Solomon (Salomon) Isaac Freudman(n), イディッシュでシュロイメ・イツホク・フレイドマンשְׁלֹמֹה יִצְחָק פֿרײדמאַן )であった。

略歴りゃくれき[編集へんしゅう]

ポドグジェ(Podgórze)において音楽家おんがくか家庭かていまれる。クラクフでフローラ・グジヴィンスカ(Flora Grzywinska)にピアノ師事しじし、少年しょうねん時代じだい神童しんどうとしてみとめられる。フーゴー・リーマン有名ゆうめいなピアノ教師きょうしテオドール・レシェティツキー師事しじしたのちフェルッチョ・ブゾーニマスタークラス研鑽けんさんんだ。レシェティツキーの助手じょしゅつとめている。クラクフ大学だいがく哲学てつがくおさめ、教育きょういく仕上しあげに作曲さっきょく音楽おんがくがくまなんだ[1]1904ねんに(3つのピアノ協奏曲きょうそうきょく演奏えんそうして)ウィーンにデビューし、世界せかいてき活動かつどうはいる。ある集計しゅうけいによるとフリードマンは合計ごうけい2800かい以上いじょう演奏えんそうかいおこなっており[2]、ヴァイオリニストのブロニスワフ・フーベルマンとたびたびひらいた二重奏にじゅうそう演奏えんそうかいもそのなかふくまれる[3]

だい2世界せかい大戦たいせん勃発ぼっぱつしたとき、フリードマンはヨーロッパ滞在たいざいしていたが、どうにか脱出だっしゅつすると、1940ねんオーストラリア演奏えんそう旅行りょこうおこなった。そのもヨーロッパにはもどらずに、シドニー定住ていじゅうして歿年ぼつねんまでオーストラリアにとどまった。1943ねんに、左手ひだりて神経しんけいえんのために演奏えんそう活動かつどうから引退いんたい余儀よぎなくされた。1948ねんの「オーストラリアの」に他界たかいしている。

演奏えんそう様式ようしき[編集へんしゅう]

フリードマンの冷静れいせい沈着ちんちゃくよどみない演奏えんそう様式ようしきは、リズム音色ねいろ感覚かんかくあふれており、圧倒的あっとうてき技巧ぎこうもとづいている。フリードマンの解釈かいしゃくは、卓越たくえつした権威けんいによってもみとめられ、とくショパン作品さくひんもうぶんない解釈かいしゃくについてはおおくのことがろんじられてきた。演奏えんそう技巧ぎこう力量りきりょうは、モーリッツ・ローゼンタールレオポルド・ゴドフスキーヨーゼフ・レヴィーン同様どうよう印象深いんしょうぶかいものだった。デュナーミクアゴーギク多様たようさにさえめぐまれており、そのために音楽おんがくてき均衡きんこうそこなうことがなかった。バスの重奏じゅうそうのようなテクスチュア処理しょりは、しばしば時代じだいがかっている。まされたリズム感覚かんかくやしなやかな構成こうせいりょくによって、たとえばメンデルスゾーンの《無言むごん》やショパンの《マズルカ》のような小曲しょうきょくでさえ、本当ほんとう偉大いだいなものにしている[4]。とりわけショパンのマズルカの解釈かいしゃくは、どう時代じだい同胞どうほうローゼンタールの場合ばあいおなじく、おおくの人々ひとびとから比類ひるいないとみとめられた。

後年こうねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおいて、デュナーミクアゴーギクのロマンティックな解釈かいしゃくのぞいたモダンな解釈かいしゃくしたしんでいる若手わかて評論ひょうろんによって、生温なまぬる評価ひょうかけることもあった。(セルゲイ・ラフマニノフはフリードマンの演奏えんそう称賛しょうさんしたが、「あまりにもギャラリーにかってきすぎる」とかんがえていたらしい[5]。)

どう時代じだいおおくの偉大いだいなピアニストとおなじく放送ほうそう番組ばんぐみ出演しゅつえんしたが、オーストラリアやニュージーランド数時間すうじかんのラジオ番組ばんぐみ収録しゅうろくふくめて、音源おんげん大半たいはん散逸さんいつしている。それでも20世紀せいき偉大いだい巨匠きょしょうピアニストという立場たちば不動ふどうである。

ピアノにかうフリードマン

遺産いさん[編集へんしゅう]

「コンポーザーピアニスト」の伝統でんとう沿って90きょく以上いじょう発表はっぴょうしたが[3]ピアノのための小品しょうひんおもである。フリードマンの作品さくひんは、当時とうじほかのヴィルトゥオーゾ・ピアニストの作品さくひんくらべてすぐれているが、レパートリーとしてとく定着ていちゃくしてはいない。たとえば《オルゴール(フランス語ふらんすご: Tabatière à musique)》作品さくひん33-3のようなピアノのための優美ゆうび小品しょうひんは、最上さいじょう意味いみサロン音楽おんがく典型てんけいである。さらに、《パッサカリア作品さくひん44や練習れんしゅうきょく、ピアノ協奏曲きょうそうきょくくわえて、チェロのための作品さくひんピアノ重奏じゅうそうきょくのような室内楽しつないがくきょく手懸てがけた[6]。またフリードマンは、ヨハン・ゼバスティアン・バッハドメニコ・スカルラッティ作品さくひんトランスクリプションのこしている。ブライトコプフ・ウント・ヘルテルしゃの『ショパン・ピアノきょく全集ぜんしゅう』のほとんどを校訂こうていし、ロベルト・シューマンフランツ・リスト作品さくひん出版しゅっぱんした。重要じゅうようなピアニストをすうにん輩出はいしゅつしており、そのなかにイグナツ・ティーゲルマンやブルース・ハンガーフォードがいる。

註釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ Die Musik in Geschichte und Gegenwart. 2. Ausgabe (Personenteil).
  2. ^ http://www.arbiterrecords.com/musicresourcecenter/friedman.html. 24. Dezember 2006.
  3. ^ a b The New Grove Dictionary of Music and Musicians. London 1980.
  4. ^ Harold C. Schonberg: Die großen Pianisten. Bern/München/Wien 1965.
  5. ^ David Dubal, 「ホロヴィッツごしたゆうべ。ホロヴィッツはフリードマンを尊敬そんけいしていたけれども、嫉妬しっとからこんな発言はつげんをしたかもしれない。」
  6. ^ Die Musik in Geschichte und Gegenwart. 1. Ausgabe (Supplement).

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • Allan Evans. Ignaz Friedman: Romantic Master Pianist. Bloomington, Indiana University Press, 2009.

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

音源おんげん[編集へんしゅう]