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イヌイット

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
イヌイット
民族みんぞくイヌイット
はなされる地域ちいきアラスカ極北きょくほくカナダヌナビクヌナツィアブトグリーンランド
言語げんご系統けいとうエスキモー・アレウト語族ごぞく
  • エスキモー諸語しょご
    • イヌイット
下位かい言語げんご
イヌイット分布ぶんぷ方言ほうげん

イヌイットは、きたアメリカごく北部ほくぶグリーンランドカナダアラスカひとしエスキモーけい民族みんぞくイヌイット固有こゆう言語げんごである。

社会しゃかい言語げんごがくてき分類ぶんるいとして、カナダのイヌクティトゥットとグリーンランドのグリーンランド(カラーリット)にけられる。ただし、イヌイットない多様たようせいおおきいものの、国境こっきょう両側りょうがわとくおおきなちがいがあるわけではない。

名称めいしょうについて

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かつては他称たしょう蔑称べっしょう)の「エスキモー」が使つかわれたが、現在げんざいとくカナダのイヌイットはこのかたきらい、「イヌイット」というのが普通ふつうになっている。「イヌイット」はいち民族みんぞくであり、アラスカのユピックなど民族みんぞくは「イヌイット」と自称じしょうすることはけっしてない。アラスカでは、イヌイットも民族みんぞく従来じゅうらいどおり「エスキモー」と自称じしょうしている。

「イヌイット」はエスキモー・アレウト語族ごぞくぞくし、アラスカ西部せいぶチュコト半島はんとうユピックちか言語げんごである。

イヌイットエスキモー混用こんようされることもあるが、エスキモーというのはイヌイット、ユピックなど複数ふくすう言語げんご総称そうしょうであり、エスキモー諸語しょごともう。イヌイットもいくつかの方言ほうげんからなり、これらをべつ言語げんごとみなすこともでき、イヌイット諸語しょごともう。はなれた地方ちほうではたがいに理解りかいできないこともあるが、ちがいは連続れんぞくてき明確めいかく分類ぶんるいできるものではない。

現状げんじょう

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話者わしゃはグリーンランドで5まん2000にん、カナダで3まんにん、アラスカで3400にんロシアで450にん、ほかにデンマーク本国ほんごくなど、ぜん世界せかいで9まんにんほどと見積みつもられている。アラスカ・エスキモーでもイヌイットはなさなくなったひとおおく、ロシアではさらに減少げんしょうしつつあり消滅しょうめつ危惧きぐされる。上記じょうきのようにグリーンランドとカナダでは一部いちぶ方言ほうげん公用こうようとされ、部族ぶぞく単位たんい教育きょういくおこなわれている。

表記ひょうき

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一般いっぱんてきにはラテン文字もじ表記ひょうきされるが、カナダでは独自どくじカナダ先住民せんじゅうみん文字もじ使つかわれている。

系統けいとう

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イヌイットエスキモー・アレウト語族ごぞくぞくし、ユピックちかく、またアレウトともややとお関係かんけいにある。この語族ごぞくアメリカ・インディアン諸語しょごとはまったことなり、シベリア方面ほうめん言語げんご関係かんけいがあるとのせつもあるが証明しょうめいされたものではない。

歴史れきし

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エスキモーはリング海りんぐかいかい周辺しゅうへん(アラスカ西部せいぶ・チュコト半島はんとう)をはらじゅうとしてひがし移動いどうしたとかんがえられており、イヌイットはこの方面ほうめんはなされるユピックから分化ぶんかしたとのかんがえもある。グリーンランドではヴァイキング入植にゅうしょくした13世紀せいきにはすでにイヌイットはなされていた。

性質せいしつ

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母音ぼいん基本きほんてきには[a]、[i]、[u]の3つ(場合ばあいにより[e]、[o]の発音はつおんになることもある)で、長短ちょうたん区別くべつがある。音節おんせつはCVCがたで、ちょう母音ぼいんは2モーラとしてあつかわれる。

文法ぶんぽうてきには典型てんけいてきふく統合とうごう(いわゆる抱合ほうごう一種いっしゅ*)としてられる。これはひとつのぶん相当そうとうする意味いみ様々さまざま接辞せつじとして動詞どうしなかふくまれて表現ひょうげんされる性質せいしつである。またのう格言かくげんである。これらはエスキモー・アレウト語族ごぞく基本きほんてき性格せいかくかんがえられるが、アレウトではふく統合とうごうせいはかなり退化たいかしている。ふく統合とうごう広義こうぎ抱合ほうごうふくまれる。狭義きょうぎ抱合ほうごうは、多数たすう接辞せつじにより意味いみろんてき派生はせいおこな言語げんごをいうが、イヌイットはこれにはてはまらず、あくまでふく統合とうごうである。