イン・ザ・マネー(英:In the money)とは、オプション取引において、オプションの本源的価値(オプション契約の対象商品の市場価格と行使価格との差額)がゼロより大きく、オプションの買い手に利益が発生する状態を指す[1][2]。英語表記がIn The Moneyであるため、ITMとも表記される。ここで通貨オプショントレードを例にとると、コール・オプションとプット・オプションでイン・ザ・マネーの指す状態が異なり、バニラ・オプションのドル・コール・オプションの場合、満期日の直物為替レート(スポットレート)が行使価格よりも高い状態をイン・ザ・マネーと言う。バニラ・オプションのドル・プット・オプションの場合、満期日の直物為替レートが行使価格よりも低い状態をイン・ザ・マネーと言う。通常、イン・ザ・マネーの状況では、買い手はオプションの権利行使をすると得をするので、オプションの権利を行使する。
アウト・オブ・ザ・マネー(英:Out of the money)とは、オプション取引において、オプションの本源的価値(オプション契約の対象商品の市場価格と行使価格との差額)がゼロより小さく、オプションの買い手に損失が発生する状態を指す。英語表記がOut of The Moneyであるため、OTMとも表記される。アメリカドル/日本円の通貨オプショントレードを例にとると、(イン・ザ・マネーと同様に)コール・オプションとプット・オプションでアウト・オブ・ザ・マネーの指す状態が異なり、バニラ・オプションのドル・コール・オプションの場合、満期日の直物為替レートが行使価格よりも低い状態をアウト・オブ・ザ・マネーと言う[6]。バニラ・オプションのドル・プット・オプションの場合、満期日の直物為替レートが行使価格よりも高い状態をアウト・オブ・ザ・マネーと言う[6]。なぜなら、ドル・コール・オプションの場合、満期日の直物為替レート(スポットレート)が行使価格よりも低い状態が、買い手に損失が発生する状況であり、ドル・プット・オプションの場合、満期日の直物為替レートが行使価格よりも高い状態が、買い手に損失が発生する状況だからである。通常、アウト・オブ・ザ・マネーの状況では、買い手はオプションの権利を行使しても損をするだけなので、権利行使はしない。
アット・ザ・マネー(英:At the money)とは、オプション取引において、オプションの本源的価値(オプション契約の対象商品の市場価格と行使価格との差額)がゼロであり、買い手が損も得もしない状態を指す。英語表記がAt The Moneyであるため、ATMとも表記される。アメリカドル/日本円の通貨オプショントレードを例にとると、バニラ・オプションのドル・コール・オプション、あるいはドル・プット・オプションでも同様の場合、満期日の直物為替レート(スポットレート)が行使価格と等しい状態をアット・ザ・マネーと言う[7][8]。なぜなら、ドル・コール・オプション、あるいはドル・プット・オプションの場合、満期日の直物為替レート(スポットレート)が行使価格と全く同じであれば、権利を行使して行使価格でドルを(円で)売り買いしようが、直物為替レートでドルを(円で)売り買いしようが、全く変わらないからである(しかし、厳密に言えば、買い手にはオプションプレミアムの分だけ損失が発生する)。通常、アット・ザ・マネーの状況では、買い手はオプションの権利を行使しても意味がないので、権利行使はしない。
満期日よりも前に現状の直物為替レートが行使価格から大きく離れた状態を、イン・ザ・マネーであればディープ・イン・ザ・マネー(英 Deep in the money)、アウト・オブ・ザ・マネーであれば、ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー(英 Deep out of the money)という[9]。一般的に、ディープ・イン・ザ・マネーのときは、満期日に直物レートがイン・ザ・マネーの状態である可能性が非常に高い。また、一般的に、ディープ・アウト・オブ・ザ・マネーのときは満期日に直物レートがアウト・オブ・ザ・マネーの状態である可能性が非常に高い。