ウェリントン公爵こうしゃく騎馬きば像ぞう (グラスゴー)

コーンを頭あたまにのせたウェリントン公爵こうしゃくの像ぞう

初代しょだいウェリントン公爵こうしゃくアーサー・ウェルズリーの騎馬きば像ぞうは、スコットランドのグラスゴーにある現代げんだい美術館びじゅつかんの前まえに置おかれた彫刻ちょうこくで、グラスゴーを代表だいひょうする芸術げいじゅつ作品さくひんの１ひとつである。

この騎馬きば像ぞうはイタリアの彫刻ちょうこく家かカルロ・マロケッティにより製作せいさくされ、1844年ねんに設置せっちされた作品さくひんだが、現代げんだいでは毎日まいにちのように銅像どうぞうの頭あたまに三角さんかくコーンがのせられていることで有名ゆうめいである。この像ぞうにコーンをかぶせることはこの街まちのしきたりにさえなっていて、地元じもと住民じゅうみんのユーモアの表あらわれだとも言いわれている。

この騎馬きば像ぞうは2011年ねんにロンリープラネットのガイドブックから「世よにも奇妙きみょうな10のモニュメント」の１ひとつに数かぞえられている。

騎馬きば像ぞうの概要がいよう

コーンをかぶっていない状態じょうたい

グラスゴーのウェリントン公爵こうしゃく騎馬きば像ぞうは、イタリアの彫刻ちょうこく家かカルロ・マロケッティによって製作せいさくされ、1844年ねんに設置せっちされた。像ぞうになっている馬うまは、ウェリントンの愛馬あいばコペンハーゲンである。この像ぞうはスコットランドのA類るい指定してい建造けんぞう物ぶつとなっている。

三角さんかくコーンの伝統でんとう

多数たすうのコーンをかぶせられた騎馬きば像ぞう

この像ぞうの頭部とうぶに三角さんかくコーンをかぶせる行為こういは地元じもと住民じゅうみんのユーモアの現あらわれだとされ、グラスゴーの伝統でんとうともなっているが、その起源きげんは遡さかのぼれるとしても1980年代ねんだいの前半ぜんはんといわれている。何者なにものかが酔よって夜中よなかに騎馬きば像ぞうへコーンをかぶせたのが始はじまりだとされているが、犯人はんにんを含ふくめ詳くわしい経緯けいいは分わかっていない。

コーンをかぶせることはわずかでも像ぞうにダメージを与あたえ、将来しょうらい的てきな破損はそんにもつながるため、グラスゴー市議会しぎかいとストラスクライド警察けいさつは反対はんたいの立場たちばである。グラスゴー市議会しぎかいはコーンを撤去てっきょするためだけに高所こうしょ作業さぎょう車しゃを導入どうにゅうしたが、撤去てっきょしてもすぐに元通もとどおりにされてしまった。1980年代ねんだい後半こうはんには、コーンをかぶっていない状態じょうたいの方ほうが稀まれになっていた。次第しだいにコーンをかぶった騎馬きば像ぞうは街まちの名物めいぶつとなり、ポストカードやコーン型がたの帽子ぼうしなどの土産みやげが販売はんばいされ、騎馬きば像ぞう目当めあての旅行りょこう客きゃくもグラスゴーを訪おとずれるようになった。

年としに10,000ポンドといわれる騎馬きば像ぞうからコーンを撤去てっきょする費用ひようを削減さくげんするため、2013年ねんにグラスゴー市議会しぎかいは65,000ポンドをかけた彫刻ちょうこくの修復しゅうふくプロジェクトの一環いっかんとして、騎馬きば像ぞうの台座だいざの高たかさを2倍ばいにする案あんを打うち出だした。像ぞうに加くわえられてきたダメージは深刻しんこくなものとなっており、すでにサーベルの半分はんぶんと拍車はくしゃが折おれて失うしなわれていた。またコーンを載のせようとした者ものが転落てんらくして負傷ふしょうする恐おそれもあった。しかし、それに対たいしてスコットランド人じんのミュージシャンであるレイモンド・ハックランドとグラスゴーの写真しゃしん家かスティーヴン・アランが「キープ・ザ・コーン」（Keep The Cone）と呼よばれるFacebookでのキャンペーンを開始かいしし、24時じ間あいだで72,000以上いじょう「いいね！」が集あつまった。キープ・ザ・コーンは、コーンが騎馬きば像ぞうと共ともに街まちの財産ざいさんとなっているとし、またかさ上あげは税金ぜいきんの無駄むだにしかならないと主張しゅちょうした。市しへの陳情ちんじょうには、「台座だいざをかさ上あげした程度ていどで、酔よっぱらったグラスゴー人じんを止とめられると本気ほんきで思おもっているのでしょうか？」と書かかれていた。こうした市民しみんからの反対はんたいの声こえの高たかまりを受うけて、台座だいざの高たかさをあげる計画けいかくは1日にちで撤回てっかいされた。その夜よる、街まちでは計画けいかく阻止そしを祝いわって市民しみんが繰くり出だし、“We Came, We Saw, We Cone-quered.”（ユリウス・カエサルの言葉ことば「来きた、見みた、勝かった（I Conquered）」のもじり）などと書かかれた幟のぼりが掲かかげられた。騎馬きば像ぞうの頭あたまのコーンを守まもるためのオンライン署名しょめい活動かつどうも10,000以上いじょうの署名しょめいを集あつめた。それでも市議会しぎかいが依然いぜんとして騎馬きば像ぞうにコーンをかぶらせないための対策たいさくを検討けんとう中ちゅうであることが伝つたえられると、スコットランドのアーティストとクリエイターでつくられる政治せいじ団体だんたいナショナル・コレクティブがコーンを守まもるための抗議こうぎデモを行おこなった。

2015年ねん、グラスゴー市議会しぎかいは、120万まんポンドをかけた監視かんしカメラシステム用ようの先端せんたんソフトウェアの試験しけんのため、ソフトが騎馬きば像ぞうにコーンをかぶせようとしている人間にんげんを自動じどうで検知けんちできるかの調査ちょうさを行おこない、その試験しけんに成功せいこうしたとされている。

2020年ねん1月がつ31日にち、イギリスが欧州おうしゅう連合れんごう（EU）を離脱りだつした。あらかじめ定さだめられていたその時刻じこくの数時間すうじかん前まえから、グラスゴーでは親おやEU派はにより青地あおじに多数たすうの星ほしが描えがかれた、欧州おうしゅう旗はたを思おもわせるコーンが騎馬きば像ぞうに載のせられていた。離脱りだつの是非ぜひを問とう2016年ねんの国民こくみん投票とうひょうにおいて、グラスゴーでは66.6パーセントが残留ざんりゅう票ひょうを投とうじていた。

2022年ねん3月がつには、ロシアがウクライナに侵攻しんこうしているのをうけて、ウクライナ支援しえんとロシアへの抗議こうぎの意味いみを込こめたウクライナ国旗こっき柄えのコーンと、ウクライナでの平和へいわを象徴しょうちょうするヒマワリの花束はなたばがかぶせられた。

関連かんれん文献ぶんけん

• Ward-Jackson, Philip (December 1990), “Carlo Marochetti and the Glasgow Wellington Memorial”, The Burlington Magazine 132 (1053): 851–862, doi:10.2307/884512, JSTOR 884512, https://jstor.org/stable/884512 

関連かんれん項目こうもく

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