ヒマワリ

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ヒマワリ
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ Angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい Eudicots
階級かいきゅうなし : キクるい Asterids
: キク Asterales
: キク Asteraceae
: キク Asteroideae
ぞく : ヒマワリぞく Helianthus
たね : ヒマワリ H. annuus
学名がくめい
Helianthus annuus L. (1753)[1]
和名わみょう
ヒマワリ
英名えいめい
Sunflower

ヒマワリ向日葵ひまわり学名がくめい: Helianthus annuus)は、キクいちねんくさ植物しょくぶつである。はな黄色きいろで、たね食用しょくようとなる。にちまわにちまわ表記ひょうきされることもあり、また、コウジツキ向日葵ひまわり)、ニチリンソウ日輪にちりんそう)、ヒグルマにちしゃ)、ヒグルマソウにちしゃくさ)、ヒマワリソウにちまわそう)、サンフラワーえい: Sunflower)、ソレイユふつ: Soleil太陽たいよう)ともばれる[2][3]

種実たねざね食用しょくようあぶらかてとするため[4]、あるいははな花卉かきかきとして観賞かんしょうするためにひろ栽培さいばいされる。また、ヒマワリはなつ季語きごでもある。ロシアウクライナペルー国花こっかになっている。

リンネの『植物しょくぶつたね』(1753ねん) で記載きさいされた植物しょくぶつしゅひとつである[5]

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

原産地げんさんちは、きたアメリカたかさ3mくらいまで成長せいちょうし、なつからあきにかなりおおきな黄色おうしょくはなかせる。また、ヒマワリのはないろ部分ぶぶんはややあかみがかった黄色おうしょく(黄金おうごんっぽい黄色おうしょく)をしている。

花弁はなびらおおきな1つのはなのようにえるが、実際じっさい頭状花とうじょうかじょばれ、多数たすうはなあつまって1つのはなかたち形成けいせいしている。これは、キク植物しょくぶつられる特徴とくちょうである。外輪がいりん黄色きいろはなびらをつけたはなしたじょうはな内側うちがわはなびらがないはなつつじょうはな区別くべつして場合ばあいがある。

和名わみょう向日葵ひまわり」の由来ゆらいは、太陽たいよううごきにつれてその方向ほうこううようにはなまわるといわれたことから。ただしこのうごきは生長せいちょうともなうものであるため、実際じっさい太陽たいようってうごくのは生長せいちょうさかんなわか時期じきだけである。わかいヒマワリのくき上部じょうぶ太陽たいようせいたいになるようにうごき、あさにはひがしいていたのが夕方ゆうがたには西にしく。日没にちぼつはまもなくきあがり、夜明よあまえにはふたたびひがしく。この運動うんどうはつぼみをけるころまでつづくが、つぼみがおおきくなりはなひらころには生長せいちょうまるためうごかなくなる。その過程かていにちちゅう西にしへのうごきがだんだんちいさくなるにもかかわらず夜間やかんひがしもどうごきはわらないため、完全かんぜんひらいたはな基本きほんてきひがしいたままほとんどうごかない。なお、これはくきいただきひとつだけはなをつける品種ひんしゅさえぎるもののない日光にっこうけた場合ばあいのことであり、多数たすうはなをつけるものや日光にっこうさえぎるものがある場所ばしょではかならずしもこうはならない。

ヒマワリのたね螺旋らせんじょうならんでおり、螺旋らせんかずかぞえていくとフィボナッチすうあらわれる[注釈ちゅうしゃく 1]

たねちょうたまごがたでややひらたい。種皮しゅひしょくあぶらりょう用品ようひんしゅ黒色こくしょくであり、食用しょくよう観賞かんしょうよう品種ひんしゅにはちょうじく方向ほうこうくろしろしま模様もようがある。

歴史れきし[編集へんしゅう]

しょうヒマワリ

ヒマワリの原産地げんさんちきたアメリカ大陸あめりかたいりく西部せいぶであるとかんがえられている。すで紀元前きげんぜんからアメリカ先住民せんじゅうみん食用しょくよう作物さくもつとして重要じゅうよう位置いちめていた。1510ねんスペインひとがヒマワリのたねかえり、マドリード植物しょくぶつえん栽培さいばい開始かいしした。マドリード植物しょくぶつえんダリアコスモス最初さいしょ栽培さいばいされたことでも有名ゆうめいである。

ヒマワリがスペイン国外こくがいされるまで100ねんちかくをようし、ようやく17世紀せいきいたフランスつぎロシアつたわった。ロシアに到達とうたつしてはじめて、その種子しゅしおおきな価値かちみとめられた。

正教会せいきょうかいせいえださいまえの6週間しゅうかんだいときとし[8]食物しょくもつ品目ひんもく制限せいげんによるとき(ものいみ)をおこなう。19世紀せいき初期しょきにはほとんどすべての油脂ゆし食品しょくひん禁止きんし食品しょくひんのリストにっていた。しかしヒマワリは教会きょうかい法学ほうがくしゃられていなかったのか、そのリストにはなかったのである。こうした事情じじょうから、せい教徒きょうとおおいロシアじんたちは教会きょうかいほう矛盾むじゅんなく食用しょくよう可能かのうなヒマワリ種子しゅしって常食じょうしょくとしたのであった[8] 。その19世紀せいきなかばには民衆みんしゅう普及ふきゅうし、ロシアが食用しょくようヒマワリ生産せいさん世界せかい先進せんしんこくとなったのであった。

日本にっぽんには17世紀せいき伝来でんらいした。

生産せいさん[編集へんしゅう]

たねができるころのヒマワリ

OIL WORLD統計とうけいによるとヒマワリの種子しゅし生産せいさんりょうは2006/07年産ねんさんあぶらりょうよう植物しょくぶつとして大豆だいず(234.98ひゃくまんトン)、ナタネ(47.26ひゃくまんトン)、綿めん(44.15ひゃくまんトン)にぐ、生産せいさんりょう(29.84ひゃくまんトン)をほこる。 また、2006ねん - 2007ねん植物しょくぶつ生産せいさんりょうパーム(37,985せんトン)、だい豆油(36,716せんトン)、ナタネ(18,425せんトン)、ヒマワリ(11,171せんトン)である。ヒマワリの生産せいさん地域ちいきはロシア周辺しゅうへんヨーロッパかたよっている。5わりきょうがヨーロッパしゅう集中しゅうちゅうしており、アジアしゅうみなみアメリカしゅうがそれぞれ2わりじゃく生産せいさんしている。

  1. ウクライナセイヨウカンボクスミミザクラとともに国花こっかとする) - 13630せんトン
  2. ロシア (カミツレとともに国花こっかとする)- 11010せんトン
  3. アルゼンチン - 3000せんトン
  4. 中国ちゅうごく - 2590せんトン
  5. ルーマニア - 2030せんトン

利用りよう[編集へんしゅう]

食用しょくよう[編集へんしゅう]

被子植物ひししょくぶつでは果実かじつなか種子しゅしがあり、日常にちじょうでは果実かじつのことを「」、種子しゅしのことを「たね」とぶものがおおいが、ヒマワリの場合ばあい慣用かんようてき果実かじつ全体ぜんたいを「たね」とんでいる。ヒマワリのたねやせはてで、たねからばれている部分ぶぶん果皮かひであるが、ほんこうでは便宜上べんぎじょうたね」「から」と記述きじゅつする。

たねしぼって搾油さくゆされヒマワリとして利用りようされる。ヒマワリには飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんおおふくまれる。1990年代ねんだいまでリノールさんが70 - 80%、オレインさんが10 - 20%のハイリノールタイプが主流しゅりゅうであった。ωおめが-6系列けいれつ脂肪酸しぼうさんであるリノールさんはつガンやこうあぶらしょう、アレルギーとうとの因果いんが関係かんけい報告ほうこくされるにいたり、リノールさんが15 - 20%、オレインさんが40 - 60%のなかオレインタイプのNuSun品種ひんしゅ伝統でんとうてき交配こうはい育種いくしゅほうにより育成いくせいされ、2000ねん以降いこう主流しゅりゅうとなっている。

って食用しょくようとすることができる。とく中国ちゅうごく米国べいこくではおやつとしてこのまれる[9]みタバコガム同様どうようにアメリカのだいリーガー試合しあいちゅうしょく嗜好しこうひんとしても普及ふきゅうしている[10]

乾燥かんそうした種子しゅしもちいる生薬きぐすりめいは「向日葵ひまわり」(こうじつきし、ひゅうがあおいし)で、出血しゅっけつせい下痢げりもちいられる[11]

ペットハムスター小鳥ことりなど)のえさ利用りようされる。

ディーゼルエンジンよう燃料ねんりょうバイオディーゼル)として利用りようする研究けんきゅうすすめられている。

観光かんこう[編集へんしゅう]

むらおこし・まちおこしや、災害さいがいからの復興ふっこう活動かつどうとして、全国ぜんこくにヒマワリはたけがあり、イベントも開催かいさいされている。

多数たすう

除染じょせん効果こうか[編集へんしゅう]

ヒマワリはカリウムなどととも性質せいしつ類似るいじするセシウム吸収きゅうしゅうする性質せいしつつことから、原発げんぱつ事故じこなどで放射能ほうしゃのう汚染おせんされた土地とちえたら除去じょきょできる(ファイトレメディエーション)というせつ流布るふしているが、そのような効果こうかみとめられていない[12]

そもそも、一般いっぱんてき植物しょくぶつにとって必須ひっす元素げんそであるカリウムの吸収きゅうしゅうが、放射ほうしゃせいセシウムの除染じょせんのために価値かちがあるほどおおきいのであれば、ヒマワリのえたのち土壌どじょう極端きょくたんひん栄養えいようしているはずである。また農林水産省のうりんすいさんしょうは「ヒマワリはセシウムの吸収きゅうしゅうりつひくく、除染じょせんきわめてなが時間じかんがかかるため実用じつようてきではない」としている[13]

日本にっぽんにおけるおも産地さんち[編集へんしゅう]

ヒマワリはたけ

これらの自治体じちたいではヒマワリによる地域ちいき特産とくさんはかり、あぶらとう食品しょくひん化粧けしょう品等ひんとうのヒマワリ関連かんれん製品せいひん販売はんばいしている。北海道ほっかいどう標準ひょうじゅん播種はしゅは5がつ上旬じょうじゅんであり、しも氷点下ひょうてんか気温きおんにもたいせいはある[14]

日本にっぽんにおける都道府県とどうふけん市区しく町村ちょうそんはな[編集へんしゅう]

廃止はいし市町村しちょうそん[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 螺旋らせんかずおお場合ばあい中心ちゅうしんからはなれると螺旋らせん隙間すきまにもたねができてしまうため、途中とちゅうから枝分えだわかれしてフィボナッチすうにならないこともある[6]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Helianthus annuus L. ヒマワリ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2023ねん3がつ29にち閲覧えつらん
  2. ^ 日向ひゅうがまもる”. 季語きご季題きだい辞典じてん. 日外にちがいアソシエーツweblio (2016ねん8がつ22にち). 2023ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  3. ^ "向日葵ひまわり". 大辞泉だいじせん. コトバンクより2023ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  4. ^ 小林こばやし義雄よしお しる相賀あいが徹夫てつお へん万有ばんゆう百科ひゃっかだい事典じてん 19 植物しょくぶつ』1972ねん 
  5. ^ Linnaeus, Carolus (1753) (ラテン語らてんご). Species Plantarum. Holmia[Stockholm]: Laurentius Salvius. p. 904. https://www.biodiversitylibrary.org/page/358925 
  6. ^ 近藤こんどうしげる. “すべての植物しょくぶつをフィボナッチののろいからすく”. 大阪大学おおさかだいがく大学院だいがくいん生命せいめい機能きのう研究けんきゅう パターン形成けいせい研究けんきゅうしつ. 2021ねん8がつ15にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2022ねん7がつ16にち閲覧えつらん[リンク]
  7. ^ サイエンスチャンネル『自然しぜんにひそむかずかたち (1)不思議ふしぎ数列すうれつ』(YouTube科学かがく技術ぎじゅつ振興しんこう機構きこう、2013ねん12月17にち該当がいとう時間じかん: 2m35shttps://www.youtube.com/watch?v=1BdfT_ix6NI2023ねん3がつ5にち閲覧えつらん 
  8. ^ a b 山北やまきたあつし現代げんだい知識ちしきチートマニュアル』(しん紀元きげんしゃ、2007ねんISBN 978-4775314951[ようページ番号ばんごう]
  9. ^ rong zhang (2016ねん8がつ3にち). “あらゆる「たね」をべてきた中国人ちゅうごくじんおしえる美食びしょく体験たいけん かわまであいせ!”. ウィズニュース. 朝日新聞社あさひしんぶんしゃ. 2022ねん2がつ2にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2023ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  10. ^ 岡田おかだ真理まり (2012ねん11月27にち). “ヒマワリのたね秘密ひみつ”. 現代げんだいビジネス. 週刊しゅうかん現代げんだい. 2022ねん7がつ16にち閲覧えつらん
  11. ^ なつ薬草やくそうくすり”. 日本にっぽん家庭かていやく協会きょうかい. 2022ねん1がつ18にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2023ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  12. ^ ヒマワリは除染じょせん効果こうかなし 農水省のうすいしょう実験じっけん結果けっか公表こうひょう”. 朝日新聞あさひしんぶん (2011ねん9がつ14にち). 2022ねん7がつ16にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2023ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  13. ^ ヒマワリに放射ほうしゃせいセシウムの吸収きゅうしゅう効果こうか期待きたいできず”. サイエンスポータル. 科学かがく技術ぎじゅつ振興しんこう機構きこう (2011ねん9がつ15にち). 2022ねん7がつ16にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2023ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  14. ^ ひまわりの標準ひょうじゅん栽培さいばいほう”. 北海道ほっかいどうりつ総合そうごう研究けんきゅう機構きこう. 2022ねん7がつ16にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2023ねん3がつ5にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]