エポチロン

エポチロン（epothilone）は、ミクソバクテリア族ぞくの細菌さいきんから発見はっけんされたマクロライド化合かごう物ぶつ。1996年ねんにエポチロンAの相対そうたい構造こうぞうが決定けっていされた^[1]。腫瘍しゅよう細胞さいぼうに対たいする細胞さいぼう毒性どくせいから抗こうがん剤ざいとして注目ちゅうもくされ、各かく方面ほうめんで研究けんきゅうが行おこなわれている。

16員いん環たまきマクロライド構造こうぞうをとり、側がわ鎖くさりにチアゾール環たまきを持もつ。現在げんざいまでにA～Fまでの誘導体ゆうどうたいが構造こうぞう決定けっていされている。

作用さよう機き序じょ

その作用さよう機き序じょはパクリタキセルなどと同おなじく、微小びしょう管かんに結合けつごうして安定あんてい化かさせ、脱だつ重合じゅうごうを阻害そがいすることで細胞さいぼうの分裂ぶんれつを阻害そがいするものである^[2]。ただし分子ぶんし構造こうぞう的てきにはパクリタキセルの多た環たまき縮ちぢみ合ごう系けいと大おおきく異ことなっており、遥はるかに単純たんじゅんである。

全ぜん合成ごうせい研究けんきゅう

エポチロンはその生理せいり活性かっせいが注目ちゅうもくを集あつめ、多おおくの全ぜん合成ごうせい研究けんきゅうが行おこなわれている。中なかでもK. C. ニコラウらは精力せいりょく的てきな研究けんきゅうを行おこない、固かた相上あいあげでのエポチロンAの全ぜん合成ごうせい、液えき相しょう中ちゅうでのエポチロンBの全ぜん合成ごうせいを達成たっせいしている^[3]。また各種かくしゅ誘導体ゆうどうたいが人工じんこう合成ごうせいされ、安定あんてい性せいの改善かいぜんなどが行おこなわれた。

臨床りんしょう応用おうよう

エポチロンは抗こうがん剤ざいとして大おおきな実績じっせきのあるパクリタキセルと同おなじ作用さよう機き序じょであるため、臨床りんしょう応用おうようにも注目ちゅうもくが集あつまった。エポチロン自身じしんはやや体内たいないで不安定ふあんていであったため、生体せいたい内ないでの作用さようは弱よわいものであったが、いくつかの誘導体ゆうどうたいでは安定あんてい化かに成功せいこう、成果せいかを挙あげている。中なかでもエポチロンBの環たまき内ない酸素さんそ原子げんしをNHに置おき換かえた形かたちのイクサベピロン（英語えいご版ばん）（Ixabepilone、商品しょうひん名めいイグゼンプラ）は2007年ねんにアメリカ食品しょくひん医薬品いやくひん局きょくの認可にんかを受うけ、乳癌にゅうがん治療ちりょう薬やくとして用もちいられている^[4]。

出典しゅってん

^ Victory, S. F.; Vander V., David G.; Jalluri, R. K.; Grunewald, G. L.; Georg, G. I. "Relative stereochemistry and solution conformation of the novel paclitaxel-like antimitotic agent epothilone A." Bioorg. Med. Chem. Lett. 1996, 6, 893-898. doi:10.1016/0960-894X(96)00139-4
^ Bollag, D.M.,"Epothilones, a new class of microtubule-stabilizing agents with a taxol-like mechanism of action.",Cancer Res.,1995,55,(11),p2325-33.2009年ねん3月がつ10日とおか閲覧えつらん
^ Nicolaou, K. C.; Winssinger, N.; Pastor, J.; Ninkovic, S.; Sarabia, F.; He, Y.; Vourloumis, D.; Yang, Z.; Li, T.; Giannakakou, P.; Hamel, E. "Synthesis of epothilones A and B in solid and solution phase." Nature (London) 1997, 387, 268-272. doi:10.1038/387268a0
^ "FDA Approves IXEMPRA(TM) (ixabepilone), A Semi-Synthetic Analog Of Epothilone B, For The Treatment Of Advanced Breast Cancer",Medical News Today,17 Oct 2007,2009年ねん3月がつ9日にち閲覧えつらん

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[1] Victory, S. F.; Vander V., David G.; Jalluri, R. K.; Grunewald, G. L.; Georg, G. I. "Relative stereochemistry and solution conformation of the novel paclitaxel-like antimitotic agent epothilone A." Bioorg. Med. Chem. Lett. 1996, 6, 893-898. doi:10.1016/0960-894X(96)00139-4

[2] Bollag, D.M.,"Epothilones, a new class of microtubule-stabilizing agents with a taxol-like mechanism of action.",Cancer Res.,1995,55,(11),p2325-33.2009年ねん3月がつ10日とおか閲覧えつらん

[3] Nicolaou, K. C.; Winssinger, N.; Pastor, J.; Ninkovic, S.; Sarabia, F.; He, Y.; Vourloumis, D.; Yang, Z.; Li, T.; Giannakakou, P.; Hamel, E. "Synthesis of epothilones A and B in solid and solution phase." Nature (London) 1997, 387, 268-272. doi:10.1038/387268a0

[4] "FDA Approves IXEMPRA(TM) (ixabepilone), A Semi-Synthetic Analog Of Epothilone B, For The Treatment Of Advanced Breast Cancer",Medical News Today,17 Oct 2007,2009年ねん3月がつ9日にち閲覧えつらん

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