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カイホスルー・シャプルジ・ソラブジ

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カイホスルー・シャプルジ・ソラブジ
Kaikhosru Shapurji Sorabji
1917ねんのソラブジ
基本きほん情報じょうほう
生誕せいたん (1892-08-14) 1892ねん8がつ14にち
イングランドの旗 イングランドエセックスしゅうチンフォード英語えいごばんげんだいロンドン
死没しぼつ (1988-10-15) 1988ねん10月15にち(96さいぼつ
ジャンル 近代きんだい音楽おんがく
職業しょくぎょう 作曲さっきょくピアニスト評論ひょうろん
ゴドフスキーメトネルシマノフスキディーリアス

カイホスルー・シャプルジ・ソラブジ(Kaikhosru Shapurji Sorabji, 1892ねん8がつ14にち - 1988ねん10月15にち)は、イギリス作曲さっきょくピアニスト評論ひょうろん

略歴りゃくれき作風さくふう

1892ねん8がつ14にちエセックスしゅうチンフォード英語えいごばんげんグレーター・ロンドン)にまれる。インドけいパールシーちちと、イングランドじんははまれる(ながらくスペインイタリアシチリア)のエスニシティをもつとされていたが、Sean Vaughn Owenの研究けんきゅうでそれが間違まちがいであることが判明はんめいした[1])。まれたときにはレオン・ダドリー・ソラブジLeon Dudley Sorabji)と名付なづけられたが、のちにパールシーであることを明示めいじするために改名かいめいしている。

独学どくがく作曲さっきょくピアノまなんだソラブジは、ブゾーニ才能さいのう見出みいだされて演奏えんそう活動かつどう開始かいしする(ピアノソナタだい1ばんおよびだい2ばんはブゾーニに献呈けんていされている)。そのゴドフスキーメトネルシマノフスキディーリアスといった後期こうきロマンおと世界せかい濃縮のうしゅくした作風さくふう耽溺たんできしていった。また、友人ゆうじんピーター・ウォーロック協力きょうりょくにより音楽おんがく批評ひひょうとしても活動かつどうした。

1930年代ねんだいに、自作じさく適切てきせつ演奏えんそうされていないことから、他者たしゃによる自作じさく公開こうかい演奏えんそう出版しゅっぱん許可きょかしなくなった。この前代未聞ぜんだいみもん出来事できごとを、ソラブジの特殊とくしゅせい喧伝けんでんするために演奏えんそうを「禁止きんし」したと流布るふされていたが、これは事実じじつではなく、Marc-André Robergeの研究けんきゅうでは、もとめられても演奏えんそう許可きょかしなかっただけで禁止きんしはしていないという[2]以降いこう作品さくひん規模きぼ巨大きょだいし、もっと有名ゆうめいな「オプス・クラビチェンバリスティクム」(1930ねん以降いこうは4、5あいだかかる作品さくひんめずらしくない。もっと長大ちょうだいな「交響こうきょう変奏曲へんそうきょく(ピアノリダクションばん)」(KSS-59, 1935ねん - 1937ねん)は演奏えんそう時間じかんが9間近まぢかくにおよぶ。こうした演奏えんそう時間じかん長大ちょうだいさがかれ世界せかいらしめることとなった。作品さくひんマイヤベーアワーグナーブルックナーマーラーブライアンメシアンケージフェルドマンシュトックハウゼンなどととも列挙れっきょされることがおおい。

ソラブジがもっと威力いりょく発揮はっきする形式けいしきパッサカリアで、すうひゃくかい反復はんぷくにもえられる変奏へんそう技法ぎほうきものである。ピアニストの技術ぎじゅつ限界げんかいいど態度たいどによって有名ゆうめいだが、ソラブジ本人ほんにん音量おんりょうまかせた豪快ごうかい演奏えんそうのぞんではいなかったようである。ソラブジが自作じさく演奏えんそう最初さいしょ許可きょかしたピアニストはエゴン・ペトリだが、かれがソラブジ演奏えんそう積極せっきょくてきかかわることはなかった。グンナー・ヨハンセンすうかいにわたって熱狂ねっきょうてきなソラブジ信者しんじゃから「オプス・クラビチェンバリスティクム」の演奏えんそうわれたものの、「自身じしん演奏えんそう技術ぎじゅついたらないため、丁重ていちょうに」もうことわったとつたえられる[3]

オプス・クラビチェンバリスティクム」の演奏えんそう困難こんなんさと、ジェフリー・ダグラス・マッジおよびジョン・オグドン録音ろくおん(CD)により、ソラブジのひろられるようになった。しかし、この作品さくひんぜん作品さくひんちゅうでいえばだい1終着しゅうちゃくてんぞくする作品さくひんであり、だん奏者そうしゃへの工夫くふうらされていて比較的ひかくてきやすく、カルトしょくはそれほどたかくない。ソラブジの個性こせいつよ発揮はっきされるのは、「超絶ちょうぜつ技巧ぎこうひゃくばん練習れんしゅうきょく」(1940ねん - 1944ねん)、「『いかりの』によるセクエンツァ・シクリカ」(1948ねん - 1949ねん)をげた、だい2該当がいとうする1940年代ねんだい作品さくひんはいってからである。このころから主題しゅだいべつだんあてて、反復はんぷく周期しゅうきかんがえられないほどながさをようすることが恒例こうれいする。鍵盤けんばん密着みっちゃくさせることでまれる「擬似ぎじトーン・クラスター効果こうかも、このころから顕著けんちょられる。

自作じさく自演じえん大量たいりょう録音ろくおんのこした (cf.Sorabji — A Critical Celebration) に、1970年代ねんだいからは公開こうかい演奏えんそう解禁かいきんし、マイケル・ハーバーマンヨンティ・ソロモン自作じさく演奏えんそう許可きょかしている。この時期じき前衛ぜんえい停滞ていたいともにソラブジのさい評価ひょうか世界中せかいじゅうすすみ、ソロモンは1977ねんにピアノソナタだい3ばんと「コンチェルト・ペル・スオナーレ・メ・ソロ」の世界せかい初演しょえんおこなった。ハーバーマンはだい規模きぼ作品さくひん演奏えんそうこそなかったが、演奏えんそう可能かのう範囲はんいない小品しょうひんをレコーディングしてLP実現じつげんした。この時期じきはいってもソラブジの創作そうさく活動かつどう継続けいぞくしており、1940年代ねんだいほどの巨大きょだいさこそ後退こうたいしたが、「交響こうきょうてきノクターン」、ピアノ交響こうきょうきょくだい6ばんなどの2あいだちかくの規模きぼ作品さくひんかれている。

1980年代ねんだいにはソラブジもついにマッジとオグドンの熱意ねついれ、マッジは1982ねんユトレヒトで「オプス・クラビチェンバリスティクム」全曲ぜんきょく公開こうかい演奏えんそうおこなった。すで最初さいしょ公開こうかい演奏えんそうから50ねん以上いじょうっていた。「当時とうじソラブジは90さいちかかったが、しゃべりもおもいのほか早口はやくちで、いをかんじさせない」とマッジが回想かいそうしている。この公開こうかい演奏えんそうは4まいぐみLP実現じつげんしたものの、録音ろくおん状態じょうたい劣悪れつあく現時点げんじてんではCDはされていない(マッジの演奏えんそうでは、1983ねん4がつ24にちシカゴでの公開こうかい演奏えんそうがスウェーデンBISレーベルからCDされている)。オグドンはロンドン初演しょえん担当たんとうすることになったが、この初演しょえんのちにソラブジとオグドンは相次あいついでってしまった。

演奏えんそう

ソラブジ没後ぼつごアレクサンダー・エイバークロンビードンナ・アマートマルカンドレ・アムランジョナサン・パウエルライニエル・ヴァン・ホウトフレドリク・ウレーンテレフ・ジョンソンダーン・ファンデウァレほかのピアニストたちにより普及ふきゅうすすめられている。ソラブジのピアノ作品さくひんうんゆびほう矛盾むじゅんがないために、労力ろうりょくしまなければ演奏えんそう不可能ふかのうではないという見解けんかいつピアニストもえており、上述じょうじゅつたか技術ぎじゅつつピアニストたち演奏えんそうがこれを裏付うらづけている。とはいえ、ゆび関節かんせつ部分ぶぶんくろかぎす、2と5ゆびでのオクターブなどの、ソラブジ独特どくとくうんゆびほうおおくのピアニストをこまらせていることも事実じじつである。

自筆じひつのコピーを提供ていきょうしつづけたソラブジ・アーカイブは、近年きんねんはいって有志ゆうしによってノーテーションソフトを使つかった清書せいしょ作業さぎょうおこなっている。

作品さくひん

管弦楽かんげんがくきょく

  • 交響こうきょうきょくだい1ばんKSS-30
  • 交響こうきょうきょくだい2ばんKSS-51
  • 交響こうきょうきょくだい3ばんKSS-72 メルヴィン・ヴィカーズ献呈けんてい[4]
  • 交響こうきょう変奏曲へんそうきょくKSS-59
  • ふる交響こうきょうてきミサKSS-84

ピアノ協奏曲きょうそうきょくるい

  • ピアノ協奏曲きょうそうきょくだい4ばん
  • ピアノ協奏曲きょうそうきょくだい8ばん
  • ピアノと管弦楽かんげんがくのための交響こうきょう変奏曲へんそうきょく

ソロ・ピアノきょく

ソロ・オルガン交響曲こうきょうきょく

  • オルガン交響こうきょうきょくだい2ばん
  • オルガン交響こうきょうきょくだい3ばん

脚注きゃくちゅう

  1. ^ Kaikhosru Shapurji Sorabji: an Oral Biography”. The Sorabji Archive. 2021ねん4がつ23にち閲覧えつらん
  2. ^ Presentation of Opus sorabjianum: The Life and Works of Kaikhosru Shapurji Sorabji and Download Link (電子でんし書籍しょせき配布はいふ度々たびたび更新こうしんがなされている)”. Sorabji Resource Site. 2021ねん4がつ23にち閲覧えつらん
  3. ^ Legendary Artist”. www.mvdaily.com. 2022ねん11月29にち閲覧えつらん
  4. ^ KSS72 Symphony Jāmī”. 2019ねん11月24にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2019ねん11月24にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク