(Translated by https://www.hiragana.jp/)
カテナン - Wikipedia コンテンツにスキップ

カテナン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

カテナン (えい: catenane) は、複数ふくすうたまきくさりのように、共有きょうゆう結合けつごうかいせずにつながった分子ぶんし集合しゅうごうたいのこと。語源ごげんラテン語らてんごで「くさり」を意味いみする "catena"。2つのがつながったカテナンは [2]カテナン、3つであれば [3]カテナンとばれる。現在げんざいまでに、[7]カテナンまでが合成ごうせいされている。

概要がいよう

[編集へんしゅう]

最初さいしょのカテナンは1960ねんベル研究所けんきゅうじょの E・ワッサーマンによって米国べいこく学会がっかい報告ほうこくされた[1]かれは、重水素じゅうすいそでラベルした34いんたまきシクロアルカン(シクロテトラトリアコンタン、C34H63D5)の存在そんざいちょうくさりのジエステル (H3CCH2OC(=O)−(CH2)32−C(=O)OCH2CH3) をアシロインちぢみあいし、その生成せいせいぶつなかにシクロアルカン C34H63D5 以外いがいあたらしい重水素じゅうすいそ化物ばけもの微量びりょう生成せいせいしていることを IR確認かくにんした。その重水素じゅうすいそ化物ばけものはアシロインを分解ぶんかいする条件じょうけんにおくともとの C34H63D5ジカルボンさん (HOC(=O)−(CH2)32−C(=O)OH) をあたえ、すなわち、それはジエステルからできる環状かんじょうアシロインがシクロアルカンとつくったカテナンであったことがかった。なお、反応はんのうたっては、おさむりつ非常ひじょうひくいために浴槽よくそう原料げんりょうれて反応はんのうおこなったという。

アシロイン縮合によるカテナンの合成

ワッサーマンによるはつ報告ほうこく以降いこうも、カテナンは合成ごうせい困難こんなんでありあまり研究けんきゅうすすまなかった。しかしジャン=ピエール・ソヴァージュによってフェナントロリン金属きんぞく錯体さくたいをテンプレートとしてもちいるこう効率こうりつカテナン合成ごうせいほう開発かいはつされ、この報告ほうこくがカテナンの研究けんきゅうおおきくすすめる結果けっかとなった。今日きょうでは、この金属きんぞくテンプレートをもちいるちょう分子ぶんし合成ごうせいほうはカテナンのみならず、ロタキサンやボロメアン・リング、ノットなど種々しゅじゅちょう分子ぶんし化合かごうぶつ合成ごうせいするためにもちいられている。

フレイザー・ストッダートは、分子ぶんしあいだπぱい-πぱい相互そうご作用さようもちいることによって効率こうりつよくカテナンを合成ごうせいすることに成功せいこうしている。かれ合成ごうせいしたカテナンのなかでは、5つのたまき五輪ごりんはたのようにつながったオリンピアダン有名ゆうめいかれ2016ねんノーベル化学かがくしょう受賞じゅしょうした。

藤田ふじたまこと窒素ちっそふくんだ様々さまざま分子ぶんし金属きんぞく結合けつごうさせて錯体さくたいつく研究けんきゅう最中さいちゅう偶然ぐうぜんカテナンを合成ごうせいした。この方法ほうほうでのおさむりつは90%と非常ひじょうたかい。

また、メタセシス反応はんのうからカテナンを合成ごうせいする方法ほうほうでのおさむりつは95%にもなる。メタセシスの実用じつようてき触媒しょくばい開発かいはつしたロバート・グラブス2005ねんにノーベル化学かがくしょう受賞じゅしょうした。

カテナンに構造こうぞうちょう分子ぶんしとしてロタキサンげられる。いずれも分子ぶんしシャトル分子ぶんしモーターなどの「ナノマシン」の素材そざいとして現在げんざいさかんに研究けんきゅうすすめられている。

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  1. ^ Wasserman, E. "The Preparation of Interlocking Rings: A Catenane". J. Am. Chem. Soc. 1960, 82, 4433-4. DOI: 10.1021/ja01501a082

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]