クライン (自転車 ブランド)
クライン(Klein Bicycle Corporation )は、
沿革 [編集 ]
- 1973
年 -当時 マサチュ ーセッツ工科大学 の学生 だったゲイリー・クライン(Gary Klein )が自転車 のアルミニウムフレームに興味 を持 つようになったことから始 まった。 - 1975
年 -国際 自転車 ショーにTIG溶接 で組 まれ、熱処理 されたアルミ合金 製 プロトタイプフレームを展示 、翌年 から販売 を開始 した。当時 はロードレーサーが主力 だった。 - 1983
年 - マウンテンバイクの製造 を開始 した。 - 1989
年 - それまでのオーバーサイズチュービングにベアリング圧入 のヘッドセットによるアルミリジットフォークを搭載 したアティチュード(Attitude )を発表 。以降 、現在 に至 るまでモデル名 が継続 する同社 のスタンダードMTBとなる。 - 1990
年 - アティチュードをさらに軽量 化 するためさらに肉薄 の大 口径 パイプを使用 し、要所 をボロン・カーボンで補強 したadroit(アドロイト/アドロワ等 和名 は諸説 あり)を発表 、当時 の軽量 コンポーネントで9kg台 のマウンテンバイクは例 を見 ないものであった。 - 1995
年 - アメリカ最大 の自転車 メーカートレック・バイシクルに買収 されゲイリーは開発 の一部 のみを担当 する。 - 2002
年 - クラインのシェヘイリス工場 は閉鎖 されトレックのウォータールー工場 内 に生産 の拠点 が移 され、クラインの技術 者 ・職人 のほとんどは解雇 され、設備 は競売 に掛 けられた。 - ウォータールー
工場 に生産 拠点 を移 してからは明 らかに製造 工程 の簡易 化 が図 られており、さらにクラインの独自 性 を失 うこととなった。 - 2006
年 5月 - クラインの会社 としての登記 は無効 になっている。 現在 では創始 者 であるゲイリー・クラインは完全 に開発 から手 を引 いており、ブランドの所有 者 であるトレックがマーケティング目的 で彼 の名 をパンフレットに使用 しているだけの関係 になっている。
概要 [編集 ]
- アルミのファットチューブ(
大 口径 チューブ、オーバーザイスチュービングとも呼 ぶ)によるマウンテンバイクの先駆 者 。6000番台 のアルミを自社 で冷 間 加工 した上 で溶接 と熱処理 を行 い、残留 応力 を徹底的 に除去 するとともに正確 なアライメントのバイクを製造 する技術 によって初期 の礎 を築 いた。 - アルミの
特性 を見抜 いて製造 されたバイクには様々 な工夫 があった。長所 として軽量 であるのはもちろんのこと、大 口径 チューブによる泥 ハケ性 の低下 を嫌 い角 断面 に成形 されたパイプをBB集合 部 に用 いたり、アルミ面 の保護 としてチェーンデバイスをフレーム直 付 するなど、新 素材 を新 しいバイクの素材 に定着 させようとする意志 は細部 のデザインにも通 底 していた。1993年 以降 のラインでは独自 の内蔵 ワイヤの出入 り口 の形状 を見直 し、ヘッド周 りの金属 疲労 を低減 させる工夫 もされていた。 - ファットチューブのバイクの
老舗 らしく、フレーム全体 をキャンバスのように見立 てた美 しい塗装 が有名 であった。 - 1980
年代 から1990年代 初頭 までは小規模 ながら独自 の技術 を持 つ特殊 なメーカーであったが、トレックに買収 されてからは徐々 に独自 色 を失 い、現在 ではクラインの名 を残 すのみと言 っても良 い。 現在 のラインナップはクラインとしては初 のカーボンフレームのロードバイクのQ-エリート、カーボンバックのロードバイクアウラ、マウンテンバイクのアティチュード、クロスバイクのカルマが残 るのみである。- トレックに
買収 される以前 の製品 はオールドクラインと呼 ばれており、程度 の良 いフレームは高値 で取引 されている。 - 2002
年 にはASTM(American Society of Testing and Materials )によって初 めて9000番台 の番号 が与 えられる可能 性 のあるアルミ素材 ZR9000を利用 した自転車 を発売 しトレックグループに一定 の貢献 はしているものの、既 にアルミ製 自転車 自体 が減 りつつあるため、今後 新 たにZR9000を使 ったフレームが誕生 することは少 ないと思 われる。 独立 した法人 としてのクラインが消滅 した2007年 以降 は主 に日本 市場 をターゲットにしたマーケティングに切 り替 えており、アメリカ本国 では一部 のディーラーが細々 と販売 するだけとなっている。- 2009
年 を最後 に日本 でも姿 を消 すことになっており、クラインは完全 消滅 することとなった。
製作 されたモデル[編集 ]
ロードバイク[編集 ]
- クァンタム(Quantum ) - クラインが
製作 するロードバイクのフラッグシップ。レース機材 としての性能 を追求 したモデル。派生 型 であるクァンタムプロ(Quantum Pro )では、独自 のヘッドセット、エアヘッドが導入 された。その他 、クァンタムレース(Quantum Race )やその前身 モデルのクァンタム2(Quantum 2 )、クァンタムエリート(Quantum Elite )などもある。なお後継 のQラインと違 い、全 てアルミ製 。 - キルスティン(Kirsten ) - トップチューブに
大 きなスローピングがつけられており、足 つきを配慮 されていた。サイズも47cmと50cmの二 つで、小柄 なライダーに的 を絞 ったモデルだった。 - パフォーマンス(Performance ) -
長距離 レースやツーリングを主 な用途 とするモデル。荷台 を取 り付 ける為 の台座 がフレームに用意 されていた。 - Q-プロ(Q-Pro ) - シートステーとフロントフォークにカーボンが
使用 された、クァンタムの後継 となるモデル。派生 モデルとしてスローピングしたトップチューブを持 つQ-カーボン(Q-carbon )があり、後 アウラ(Aura )となった - Q-エリート(Q-Elite ) - クライン
初 となるフルカーボンバイク。ただしOCLVカーボンではない。 - カルマ(Karma ) - シートステーとフロントフォークにカーボンを
用 い、フラットハンドルバーを取 り付 けたモデル。 - レーヴ(Rêve ) - カーボン
化 されたシートステーにエラストセルバンパーと呼 ばれる樹脂 製 のサスペンションが取 り付 けられ、後 輪 から伝 わる衝撃 を吸収 する機構 になっている。ジオメトリの工夫 により、ペダリングのエネルギーがサスペンションに吸収 されてしまうペダリングロスを極力 排 し、シッティングでは通常 のロードバイクと比 べても遜色 ない走行 が可能 。2007年 パリ~ルーベでは、トレックが自社 のロードバイクにこの技術 を投入 し、実戦 使用 した。
その他 [編集 ]
- オールドクラインと
呼 ばれる古 いモデルのボトムブラケットは圧入 されており、一般 の工具 で取 り外 すことはできない。これらを外 すには専用 工具 とテクニックが必要 であり、通常 はプロショップ(とりわけマウンテンバイクを取 り扱 う古参 のプロショップ)に依頼 する。また、ヘッドのサイズも現行 で一般 的 な「1 1/8」サイズではない。 - オールドクラインにアダプターを
使用 することでホローテックⅡのボトムブラケットやクランク、「1 1/8」サイズのフロントフォークを使用 できるようになる。これらのパーツの製造元 としてはドイツのRESET RACING社 (クライン公認 )や、国内 では東京 のAND Products社 が有名 である。 - ドイツの
高級 自転車 メーカ−であるストーク("Storck")の創設 者 マーカス・ストークは元々 はドイツでクライン製品 の輸入 販売 を行 っていた。 - ゲイリー・クラインは
自転車 業界 からは退 き、天体 望遠鏡 の研究 に取 り組 んでいる。
外部 リンク[編集 ]