クレティアン＝ギヨーム・ド・ラモワニョン・ド・マルゼルブ

クレティアン＝ギヨーム・ド・ラモワニョン・ド・マルゼルブ(Guillaume-Chrétien de Lamoignon de Malesherbes、1721年ねん12月6日にち - 1794年ねん4月がつ22日にち）は18世紀せいきフランスの政治せいじ家か。租税そぜい法ほう院長いんちょう、出版しゅっぱん統制とうせい局長きょくちょう、国務大臣こくむだいじんを歴任れきにん。フランス革命かくめい中なかにルイ16世せいの弁護人べんごにんを引ひき受うけ、ルイ16世せいの処刑しょけい後ごに刑死けいし。出版しゅっぱん統制とうせい局長きょくちょう時代じだいに『百科全書ひゃっかぜんしょ』やルソーの著作ちょさくが次々つぎつぎと発表はっぴょうされたが、キリスト教きょう勢力せいりょくの反対はんたいのなかで、それらを擁護ようごした。

生涯しょうがい

1721年ねん、法服ほうふく貴族きぞく名門めいもんラモワニョン家かに生うまれる。父ちちはギヨーム・ド・ラモワニョン・ド・ブランメニル(1683年ねん-1772年ねん)。

1741年代ねんだい訴官長ちょう代理だいりに任にんじられる。1744年ねんパリ高等法院こうとうほういんの評定ひょうじょう官かんとなる。1750年ねん、尚書しょうしょ局長きょくちょうに就任しゅうにんした父ちちの跡あとを継ついで租税そぜい法ほう院長いんちょうに就任しゅうにん。またほぼ同時どうじに尚書しょうしょ局長きょくちょうに属ぞくする出版しゅっぱん統制とうせい局長きょくちょうを兼任けんにん。マルゼルブの出版しゅっぱん統制とうせい局長きょくちょう時代じだいには、ディドロ、ダランベールが編集へんしゅうした『百科全書ひゃっかぜんしょ』の刊行かんこう開始かいし(1751年ねん)、またコンディヤック『感覚かんかく論ろん』(1754年ねん)、ルソー『人間にんげん不平等ふびょうどう起源きげん論ろん』(1755年ねん)『新しんエロイーズ』(1761年ねん)『エミール』(1762年ねん) 、エルヴェシウス『精神せいしん論ろん』(1758年ねん)、ヴォルテール『カンディード』(1759年ねん)と、フランス18世紀せいき思想しそうを代表だいひょうする書籍しょせきが次々つぎつぎに出版しゅっぱんされたが、キリスト教きょう勢力せいりょくを抑おさえながら、それらがスムーズに刊行かんこうされるよう配慮はいりょした。しかし、マルゼルブの配慮はいりょにもかかわらず、1758年ねん『精神せいしん論ろん』の出版しゅっぱん許可きょかが取とり消けされ、1759年ねん『百科全書ひゃっかぜんしょ』が刊行かんこう停止ていしに追おい込こまれた。

1763年ねん、父ちちギヨーム・ド・ラモワニョン・ド・ブランメニルがルイ15世せいの不興ふきょうをかって追放ついほうされたため、出版しゅっぱん統制とうせい局長きょくちょうを退任たいにん。1771年ねん、租税そぜい法ほう院いん廃止はいしにともない同どう法ほう院長いんちょうを退任たいにん。

1775年ねん1月がつ、アカデミー・フランセーズに入会にゅうかい。同年どうねん7月がつ、ルイ16世せいの宮内くない大臣だいじんに就任しゅうにん、翌年よくねん財務ざいむ総監そうかんテュルゴーとともに大臣だいじんを辞職じしょく。1787年ねん、国務大臣こくむだいじんに再任さいにん、翌年よくねん辞職じしょく。この二に度どの大臣だいじん在職ざいしょく期間きかん中ちゅう、マルゼルブの意見いけんはほとんど顧かえりみられることがなかった。 二に度目どめの大臣だいじんを辞職じしょくする頃ころ『出版しゅっぱん自由じゆう論ろん』を執筆しっぴつ。その主旨しゅしは、「真理しんりの発見はっけんのためには国民こくみんの自由じゆうな討論とうろんが不可欠ふかけつであり、その自由じゆうな討論とうろんのためには出版しゅっぱんの自由じゆうが不可欠ふかけつである」というものであった。

しかし1789年ねんにフランス革命かくめいがはじまると、1792年ねん、誰だれも引ひき受うけ手しゅのなかったルイ16世せいの弁護人べんごにんを引ひき受うけた。ルイ16世せいは「わたしがもしまだ玉座ぎょくざを占しめているなら、それを貴殿きでんとわかち、わたしに残のこされている半分はんぶんの玉座ぎょくざとふさわしくなるでありましょうに」とマルゼルブに感謝かんしゃした。しかし1793年ねん1月がつルイ16世せいは処刑しょけいされ、その処刑しょけい後ごマルゼルブは田舎いなかに引ひきこもっていたが、12月に逮捕たいほ、翌よく1794年ねん4月がつ22日にちに処刑しょけいされた。

現代げんだいへの反響はんきょう

パリのマルゼルブ大通おおどおりおよび地下鉄ちかてつのマルゼルブ駅えきの名称めいしょうは、彼かれにちなむ。

リュック・ランメステルによる架空かくうの回想かいそう録ろく『私わたしはどれほどあなたの言いうことをきかなかったか! (Que ne vous-ai je écouté !)』が出版しゅっぱんされている。(Luc Rentmeesters, Paris, Editions Persée)

トケイソウ科かのマレシェルビア属ぞく（旧きゅうマレシェルビア科か）は彼かれにちなむ。

参考さんこう文献ぶんけん

• 「マルゼルブ租税そぜい院いん長官ちょうかんへの四よん通つうの手紙てがみ - 私わたしの性格せいかくのほんとうの姿すがたと私わたしのあらゆる行動こうどうのほんとうの動機どうきがわかる」『ルソー全集ぜんしゅう』第だい二に巻かん所収しょしゅう、佐々木ささき康之やすゆき訳やく、白水しろみず社しゃ、1981年ねん
• 『Correspondance générale d'Helvétius』第だい2巻かん、University of Toronto Press、1984年ねん
• 『マルゼルブ　フランス一いち八はち世紀せいきの一いち貴族きぞくの肖像しょうぞう』木崎きざき喜代治きよじ著ちょ、岩波書店いわなみしょてん、1986年ねん
• 『チュルゴーの失脚しっきゃく　1776年ねん5月がつ12日にちのドラマ』上じょう・下した、フォール著しる、渡辺わたなべ恭彦やすひこ訳やく、法政大学ほうせいだいがく出版しゅっぱん局きょく、2007年ねん
• 『Les Remontrances de Malesherbes (1771-1775)』Elisabeth Badinter編へん、Tallandier、2008年ねん　<マルゼルブの建白けんぱく書しょ集しゅう>