グアナバラ湾わん

グアナバラ湾わんの衛星えいせい写真しゃしん

グアナバラ湾わん（葡: Baía de Guanabara）は、大西おおにし洋ひろしに面めんした湾わん。ブラジルの南東なんとう部ぶ、リオデジャネイロ州しゅうに位置いちし、南北なんぼく方向ほうこうに31km、東西とうざい方向ほうこうでは最もっとも広ひろい場所ばしょで28kmある。湾わんの西岸せいがんにはリオデジャネイロ、北岸ほくがんにマジェー、東岸とうがんにはニテロイなどの都市としが位置いちする。湾内わんないには130以上いじょうの島々しまじまがある多おお島とう海うみである。湾わんの中央ちゅうおう部ぶにリオ・ニテロイ橋きょうが掛かけられており、車くるまで横断おうだんできる。湾わんの面積めんせきはブラジル国内こくないではバイーア州しゅうにあるトードス・オス・サントス湾わんに次ついで二に番目ばんめに広ひろい。

湾わんの入いり口くちは西側にしがわをポン・ヂ・アスーカル、東側ひがしがわをPico do Papagaioの二ふたつの岩山いわやまに挟はさまれており、幅はばが約やく1,5kmしかなく、そのためポルトガル人じんに発見はっけんされた当初とうしょは大おおきな川かわの河口かこうと誤認ごにんされた。「グアナバラ」の名称めいしょうはトゥピ・グアラニー語族ごぞくで「海うみが奥おくまった所ところ」を意味いみする（goanã-pará）に由来ゆらいする。

湾わんの北東ほくとう部ぶ、マジェーからグアピミリン、サンゴンサロの北部ほくぶにかけてはマングローブが広ひろがるなど比較的ひかくてき豊ゆたかな自然しぜんが残のこされているものの、それ以外いがいの場所ばしょでは湾わん沿ぞいに都市とし域いきが広ひろがっている。また、ドゥケ・デ・カシアスには石油せきゆ化学かがく工場こうじょうがあるほか、同市どうしには2012年ねんに閉鎖へいさされるまでラテンアメリカ最大さいだい規模きぼのゴミ最終さいしゅう処分しょぶん場じょうといわれるジャルディングラマッチョがあるなど、環境かんきょうへの悪影響あくえいきょうも問題もんだい視しされている。このほか、湾わんの周辺しゅうへんの自治体じちたい（市し）における下水げすいの処理しょり率りつの低ひくさが大おおきな問題もんだいとなっており、2012年ねんにおいては処理しょり率りつ100％のニテロイを除のぞき、リオデジャネイロ（49％）、サンゴンサロ（9.8％）、ドゥケ・デ・カシアス（10.5％）、ノヴァ・イグアス（0.4％）、マジェー(0％)というように、極きわめて深刻しんこくな状況じょうきょうにあることがうかがえる。1990年代ねんだいには米州べいしゅう開発かいはつ銀行ぎんこう、日本にっぽん政府せいふ（JICA)の協力きょうりょくにより湾内わんないの水質すいしつ改善かいぜん事業じぎょうが始はじまったものの、未いまだ完全かんぜんな浄化じょうかには至いたっておらず、人ひとにより捨すてられたゴミが大量たいりょうに放置ほうちされており、犬いぬや猫ねこの死骸しがいやテレビ、ソファ、靴くつなどがあふれていて、地元じもと生物せいぶつ学者がくしゃから「巨大きょだいなトイレ」と呼よばれるありさまとなっている。

参考さんこう文献ぶんけん

池永いけなが啓介けいすけ・宇根うね道子みちこ「グアナバラ湾わん」『世界せかい地名ちめい大だい事典じてん―中南なかみなみアメリカ』山田やまだ睦男むつお、中川なかがわ文雄ふみお、松本まつもと栄次えいじ編へん、朝倉書店あさくらしょてん、2014年ねん12月