(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ポルトガル語 - Wikipedia コンテンツにスキップ

ポルトガル

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ポルトガル
Português
発音はつおん IPA: [puɾtuˈgeʃ]/[poɾtuˈge(j)s]
はなされるくに ポルトガル#話者わしゃ分布ぶんぷ参照さんしょう
話者わしゃすう やく2おく5000まんにん
言語げんご系統けいとう
表記ひょうき体系たいけい ラテン文字もじ
公的こうてき地位ちい
公用こうよう 話者わしゃ分布ぶんぷ参照さんしょう
統制とうせい機関きかん 国際こくさいポルトガル研究所けんきゅうじょ英語えいごばんポルトガルばん
言語げんごコード
ISO 639-1 pt
ISO 639-2 por
ISO 639-3 por
テンプレートを表示ひょうじ

ポルトガル(ポルトガルご、português [puɾtuˈgeʃ]/[poɾtuˈge(j)s], língua portuguesa)は、おもポルトガルおよブラジルとそのの9のくに地域ちいき公用こうようとして使つかわれている言語げんごである。ぞくラテン語らてんごから発展はってんして形成けいせいされたロマンスの1つで、スペインなどとともインド・ヨーロッパ語族ごぞくイタリックぞくする。

スペイン作家さっかセルバンテスはポルトガルを「甘美かんび言語げんご」とひょうし、ブラジル詩人しじんオラーヴォ・ビラックは「ラティウム最後さいごの、粗野そやうつくしいはな」とひょうしている。

ポルトガルは、だい航海こうかい時代じだいポルトガル海上かいじょう帝国ていこく成長せいちょうとともにアジア・アフリカ地域ちいきひろまった。日本にっぽんでは最初さいしょ伝播でんぱしたヨーロッパの言語げんごであり、ふるくからの外来がいらいとして定着ていちゃくしているいくつかの単語たんごは、ポルトガル由来ゆらいである。代表だいひょうてきれいとして「パン」があり、戦国せんごく時代じだいキリスト教きりすときょうともつたわった。漢字かんじ表記ひょうきでは葡萄ぶどうきばかばうららであり、省略形しょうりゃくけい葡語およがま

話者わしゃ分布ぶんぷ[編集へんしゅう]

ポルトガル分布ぶんぷ
ポルトガルはなされる地域ちいき
くにまたは地域ちいき 母語ぼご話者わしゃ
話者わしゃ 人口じんこう
(2005ねん)
アフリカしゅう
アンゴラの旗アンゴラ[ひょう1 1][ひょう1 2] 60% やく80% 11,190,786
カーボベルデの旗カーボベルデ[ひょう1 3] 4% 72% 418,224
ギニアビサウの旗ギニアビサウ[ひょう1 4][ひょう1 5] 不明ふめい 14% 1,416,027
モザンビークの旗モザンビーク[ひょう1 1] 9% 40% 19,406,703
サントメ・プリンシペの旗サントメ・プリンシペ[ひょう1 4][ひょう1 3] 50% 95% 187,410
赤道ギニアの旗赤道せきどうギニア[ひょう1 4][ひょう1 3] 50% 95% 523,040
ナミビアの旗ナミビア[ひょう1 4][ひょう1 6] 20% 20% 2,030,692
南アフリカ共和国の旗みなみアフリカ共和きょうわこく[ひょう1 6] 2% 2% 44,344,136
アジアしゅう
日本の旗日本にっぽん[ひょう1 7] 0 0.21% 127,214,499
東ティモールの旗ひがしティモール[ひょう1 4] 不明ふめい 15% 1,040,880
中華人民共和国の旗中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくマカオの旗マカオふくむ) 2% 3% 1,395,380,000
ダマン・ディーウ, インドの旗インド[ひょう1 4] 10% 10% 不明ふめい
ゴア, インド 3-5% 5% 不明ふめい
ヨーロッパしゅう
ポルトガルの旗ポルトガル 100% 100% 10,566,212
ルクセンブルクの旗ルクセンブルク[ひょう1 6] 14% 14% 468,571
アンドラの旗アンドラ[ひょう1 7] 4-13% 4-13% 70,549
フランスの旗フランス[ひょう1 7] 2% 2% 60,656,178
スイスの旗スイス[ひょう1 7] 2% 2% 7,489,370
アメリカしゅう
ブラジルの旗ブラジル 98-99% 100% 194,000,000
パラグアイの旗パラグアイ[ひょう1 7] 7% 7% 6,347,884
バミューダ諸島の旗バミューダ[ひょう1 7] 4% 4% 65,365
ベネズエラの旗ベネズエラ[ひょう1 7] 1-2% 1-2% 25,375,281
カナダの旗カナダ[ひょう1 7] 1-2% 1-2% 32,805,041
オランダ領アンティルの旗オランダりょうアンティル[ひょう1 7] 1% 1% 219,958
アメリカ合衆国の旗アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく[ひょう1 7] 0.5-0.7% 0.5-0.7% 295,900,500
  1. ^ a b 公式こうしき統計とうけい、モザンビーク - 1997ねん; アンゴラ - 1983ねん
  2. ^ ポルトガルけいピジン言語げんご簡易かんいポルトガル共通きょうつうとして部族ぶぞくとのやりりに使つかわれている。アンゴラじんの30%はポルトガルのみをするモノリンガルである。国民こくみんもポルトガルだい言語げんごとする。
  3. ^ a b c ポルトガルけいクレオール言語げんご話者わしゃすう
  4. ^ a b c d e f 政府せいふ、カトリック教会きょうかいによる予測よそく
  5. ^ ポルトガルけいクレオール言語げんご話者わしゃだい部分ぶぶん
  6. ^ a b c 公的こうてきなポルトガル教育きょういく
  7. ^ a b c d e f g h i j 移民いみん人数にんずうから

ポルトガル母語ぼごとする人口じんこうは、やく2おく5000まんにんである。ポルトガル人口じんこうは1000まんにん程度ていどだが、やく2おくにん人口じんこうかかえるブラジル公用こうようになっているため、話者わしゃ人口じんこうおおい。81%(やく2おくにん)がブラジル国内こくないで、のこりの5,000まんにんは、ポルトガルおよびそのきゅう植民しょくみん分布ぶんぷし、世界せかいで7番目ばんめまたは8番目ばんめおお話者わしゃ人口じんこうゆうする。複数ふくすう大陸たいりくにまたがってはなされる数少かずすくない言語げんごの1つでもある。現在げんざいポルトガル公用こうようとしているのは、以下いか諸国しょこく地域ちいきである。

この6かこくは、ポルトガル公用こうようアフリカ諸国しょこくPaíses Africanos de Língua Oficial Portuguesa、PALOP)と総称そうしょうされる。ただし赤道せきどうギニアについては主要しゅよう公用こうようはスペインだが、ポルトガルりょうであった歴史れきしもあること赤道せきどうギニアにぞくするアンノボンとうがかつてポルトガルの植民しょくみんであったこと島民とうみんがポルトガルはなことなどから2007ねんにポルトガル公用こうよう追加ついかされた。

上記じょうきのポルトガル公用こうようとするくにおよびポルトガル話者わしゃ非常ひじょうおお地域ちいきわせてルゾフォニア(ポルトガルの古称こしょうであるルシタニアからとられた言葉ことばで、「ルシタニア(ポルトガル)の世界せかい」をす)とばれ、1990年代ねんだい以降いこうポルトガル主導しゅどうのもとで連携れんけいつよめている。ポルトガル公用こうようとする国家こっかのうち、マカオと赤道せきどうギニアをのぞく8カ国かこく1996ねんポルトガル諸国しょこく共同きょうどうたい結成けっせいし、政治せいじ経済けいざい文化ぶんか各面かくめんでの協力きょうりょくおよびポルトガル普及ふきゅうにおいて協力きょうりょく体制たいせい構築こうちくしている。2006ねんだい1かい大会たいかいがマカオで開催かいさいされ、以降いこう4ねんに1開催かいさいされているポルトガルけん競技きょうぎ大会たいかいなどの交流こうりゅうさかんにおこなわれている。ポルトガルによる文学ぶんがくさかんであり、おおくの文学ぶんがく作品さくひん輩出はいしゅつされている。ポルトガルかれた作品さくひん対象たいしょうにポルトガルとブラジルが共同きょうどう選出せんしゅつするカモンイスしょうは、ポルトガル世界せかいにおいてもっと権威けんいのある文学ぶんがくしょうであるとされる。

ほかにカリブ海かりぶかい諸島しょとうやポルトガル公用こうようアフリカ諸国しょこくなどにおいては、ポルトガル現地げんちしょ言語げんご接触せっしょく形成けいせいされたクレオール言語げんごcrioulos)が、ポルトガルならんではなされる地域ちいきもある。こうしたポルトガルをベースとしたクレオール言語げんごとしては、オランダりょう西にしインド諸島しょとうアルバとうボネールとう、そしてキュラソーとうABC諸島しょとう)ではなされるパピアメントや、カーボベルデのカーボベルデ・クレオール、ギニアビサウのギニアビサウ・クレオール、サントメ・プリンシペのフォロアンゴラプリンシペ・クレオール赤道せきどうギニアのアノボネセ、マカオのマカオなどがある。このほか、欧州おうしゅう連合れんごう公用こうようとしてもあつかわれている。

ポルトガルもっとちか主要しゅよう言語げんご隣国りんごくのスペインである。ポルトガルは1129ねんレオン王国おうこくから独立どくりつした国家こっかであり、現在げんざいのポルトガル祖先そせんは、ドウロがわ以北いほくのポルトガル北部ほくぶと、隣接りんせつするスペイン北西ほくせいガリシア地方ちほうにあたる古代こだいローマのぞくしゅうガラエキアはなされていたぞくラテン語らてんごである。したがってガリシアしゅうはなされているガリシアとはきわめてちか関係かんけいにある。現在げんざい、ガリシアはガリシアしゅう公用こうようとなっており、ポルトガルとの、とく北部ほくぶポルトガルではなされているポルトガルとの差異さいちいさい。ただし、16世紀せいき以降いこうポルトガルの中心ちゅうしん地域ちいきはポルトガル北部ほくぶから首都しゅとリスボン中心ちゅうしんとするポルトガルちゅう南部なんぶへとうつり、この過程かてい現在げんざいのポルトガルがた成立せいりつした。現在げんざい、イベリアポルトガル標準ひょうじゅんはポルトガルちゅう南部なんぶ方言ほうげんもとづいている[1]

方言ほうげん[編集へんしゅう]

  • イベリアポルトガル - ポルトガルではなされるポルトガルす。「ポルトガルポルトガル」ともいう[2]
  • アフリカポルトガル英語えいごばん - 1970年代ねんだいまでポルトガル植民しょくみんだったこともあり、ブラジルポルトガルよりもイベリアポルトガルのほうにちかいが、独自どくじ単語たんごもある。
  • ブラジルポルトガル - ブラジルのポルトガルでは、イベリアポルトガルことなる発音はつおん単語たんご用法ようほうおおい。ただ、ポルトガルよりもブラジルとのつながりのほうが圧倒的あっとうてきつよ日本にっぽんでは、こちらがおしえられていることがおお[よう出典しゅってん]。「ブラポル」とりゃくされることもある[3]

音韻おんいん表記ひょうき[編集へんしゅう]

ポルトガルけん最多さいた人口じんこうようするブラジルとそれ以外いがいでは、文法ぶんぽう語法ごほうなどに若干じゃっかんちがいがしょうじている。そのちがいに配慮はいりょしつつ、以下いかポルトガル特徴とくちょうしるす。

母音ぼいん[編集へんしゅう]

ポルトガル母音ぼいん
ぜんした ちゅうした こうした
せま i ɨ u
はんせま e ɐ o
はんひろ ɛ ɔ
ひろ a

記号きごうが2つならんでいるものは、みぎえんくちびるひだりえんくちびる

  • ブラジルではイのおとになりがちな語末ごまつの e がポルトガルではえんくちびるちゅうしたせま母音ぼいんになる。
    • れい: tarde - /ˈtaɾdɨ/(Pt), /ˈtaɾdʒi/(Br)
  • おおくの母音ぼいんつよいきおいせま母音ぼいんになる。以下いかきょうぜい発音はつおん
    • a: /ɐ/
    • e: 語頭ごとう /i/, 位置いち/ɨ/
    • i: すべての位置いち /i/
    • o: 語頭ごとうの o, ho- /ɔ/, 位置いち・"honesto" とその派生はせい /u/
    • u: すべての位置いち /u/
      pronúncia /pɾuˈnũsiɐ/, elemento /ilɨˈmẽtu/
    • ポルトガルでは語末ごまつの e, o が発音はつおんされないことがある。
  • つよぜいのある /ɐ/ は、a または â でかれ、おお鼻音びおんまえあらわれる。

重母音じゅうぼいん:

  • ai: /aj/
  • ei: /ɐj/
  • êi: /ej/
  • éi: /ɛj/
  • oi: /oj/
  • ói: /ɔj/
  • ui: /uj/
  • au: /aw/
  • eu: /ew/
  • éu: /ɛw/
  • iu: /iw/
  • ポルトガルでは ei は「アイ」のように発音はつおんされる。
    • れい:não sei /nɐ̃w̃ sɐj/
  • ou は重母音じゅうぼいんだったが、いま普通ふつうたん母音ぼいん /o/ で発音はつおんされる。(ブラジルではかならずしもこのかぎりではなく、たとえば動詞どうしsoubesseを/su'bεいぷしろんssi/のように発音はつおんをするひともいればすべての単語たんごでそのままouと発音はつおんするひともいる。)

はな母音ぼいん[編集へんしゅう]

  • /ĩ/
  • /ẽ/: en
  • /ũ/: un
  • /ɐ̃/: an
  • /õ/: on
  • ã の発音はつおんは、ブラジルではこうしたのア(くらいア)のはな母音ぼいんなのにたいし、ポルトガルではぜんしたのア(あかるいア)のはな母音ぼいんであるが、りょう者共ものども/ɐ̃/あらわされる。
  • ão, 語末ごまつ-am /ɐ̃w̃/
  • ãe, ãi /ɐ̃j̃/
  • ãe /ẽj̃/
  • õe /õj̃/
  • ui /ũj̃/
  • フランス語ふらんすご同様どうようはな母音ぼいんゆうするが、二重鼻にじゅうばな母音ぼいんはポルトガル独自どくじである。
    • bom dia /bõ di.ɐ/(Pt), /bõ dʒi.a/(Br)
    • muitas estações /mũj̃tɐz iʃtɐsõj̃ʃ/(Pt), /mũj̃tas estasõj̃s/(Br)

子音しいん[編集へんしゅう]

ポルトガル子音しいんIPAひょう[4][5][6]
唇音しんおん 歯音しおん/
歯茎はぐきおん
したおん 後部こうぶ歯茎はぐきおん
唇音しんおん 唇音しんおん
鼻音びおん m n ɲ
破裂はれつおん 無声音むせいおん p t k ()
有声音ゆうせいおん b d ɡ ɡʷ ()
摩擦音まさつおん 無声音むせいおん f s ʃ
有声音ゆうせいおん v z ʒ
接近せっきんおん 半母音はんぼいん j w
側面そくめんおん l ʎ
Rおと ふるえおん/摩擦音まさつおん ʁ
はじきおん ɾ

記号きごうが2つならんでいるものは、みぎ有声音ゆうせいおんひだり無声音むせいおんあみけは調音ちょうおん不可能ふかのうかんがえられる部分ぶぶん

  • ti や di, あるいは語末ごまつの te や de はブラジルではチやヂという発音はつおんになるが、ポルトガルではティやディ(あるいはトゥやドゥ)のままである。
  • 音節おんせつまつの s や z は、リオやポルトガルではシュの発音はつおんになる。
  • R はスペインとほぼおなじ。すなわち、語頭ごとうの r と 位置いちでの rr は /r/ で、語頭ごとう以外いがいの r は /ɾ/発音はつおんされる。ただし、ブラジルでは /r/[x, h]発音はつおんする(もとはゆうごえ口蓋垂こうがいすい摩擦音まさつおんやそれが無声むせいした[χかい]でも発音はつおんした)ので、とくにブラジルおん表記ひょうきには /x/もちいる。なお、近年きんねんポルトガルでもブラジルしき発音はつおんする傾向けいこうがある。
  • ポルトガルつづり(きゅう正書法せいしょほうのみ)における音節おんせつまつの c, p は、ブラジルつづりでは脱落だつらくする。これらのおおくはポルトガル、ブラジルともにまない。また、しん正書法せいしょほう場合ばあい、ポルトガルでもこれら子音しいんしるさない。ブラジルつづりで脱落だつらくしないものはつね発音はつおんするが、ポルトガルでは一定いっていしない。またこの子音しいんまえ母音ぼいんは、ポルトガルではきょうぜいでもかならず a /a/, e /ɛ/, o /ɔ/む。
    • れい:acção(ポルトガル)、ação(ブラジル)/aˈsɐ̃w̃/
  • 語頭ごとう無声むせい子音しいんまえの ex- は、ポルトガルでは "ech" または "eich" のようにむ。
    • expôr /ɨʃˈpoɾ/ または /ɐjʃˈpoɾ/
  • かた口蓋こうがいおん ch /ʃ/, j /ʒ/, lh /ʎ/, nh /ɲ/まえつよぜいのある e は、ポルトガルでは /ɐ/む。
  • qu はポルトガルではぜん母音ぼいん(e, i)のまえで /k/ とも // ともむが、ブラジルでは // は qü とく。/ɡʷ/同様どうよう[よう出典しゅってん]
  • 音節おんせつまつのLは、いわゆるdark LくらいL)で発音はつおんするが、ブラジルではウと発音はつおんすることがある。
    • Pt: Portugal /puɾtuˈɣaɫ/
    • Br: Brasil /bɾaˈziɫ/, /bɾaˈziw/
  • ポルトガルではスペイン同様どうように /b/, /d/, /g/ がこう母音ぼいんあいだ摩擦音まさつおん [βべーた], [ð], [ɣ] になる。前後ぜんごはな母音ぼいんがある場合ばあい摩擦音まさつおんにならない。
  • e, i のまえで c は /s/, g は /ʒ/発音はつおんする。
    • engenheiro /ẽʒɨˈɲɐjɾu/

つよいきおい[編集へんしゅう]

つよぜい位置いちは、かなら語末ごまつから1~3番目ばんめ音節おんせつにある。アクセント符号ふごうなどがないときは、2番目ばんめにある。語末ごまつ子音しいん l, r, z や、 i, u のくち母音ぼいんまたははな母音ぼいん、ã またはティルのいた重母音じゅうぼいんがある場合ばあいは、語末ごまつつよぜいがおかれる。音節おんせつつよぜい場合ばあいは、アクセント符号ふごうく。語末ごまつの s の有無うむつよいきおい位置いち変化へんか影響えいきょうしない。

  • スペイン語学ごがくで a, e, o をつよ母音ぼいん、i, u をじゃく母音ぼいんというが、ポルトガル語学ごがくでは「すべきょう母音ぼいん」である。すなわち「―がく」を意味いみする接尾せつびは -logia だが、つよぜいは -gi- にある。

れい1「技術ぎじゅつ

  • ポ tecnologia 「テクヌルア(テクノロア)」・・・アクセントの位置いち太字ふとじ記載きさい以下いか同様どうよう
  • ス tecnología 「テクノロア」。かりにアクセント記号きごうがなければ、「テクノヒア」。

れい2「歴史れきし物語ものがたり

  • ポ história 「イスリア」。かりにアクセント記号きごうがなければ、「イストア」。
  • ス historia 「イスリア」

れい3「警察けいさつ

  • ポ polícia 「プシア」。かりにアクセント記号きごうがなければ、「プリア」。
  • ス policía 「ポリア」。かりにアクセント記号きごうがなければ、「ポシア」。

れい4「民主みんしゅ主義しゅぎ

  • ポ democracia 「デムクラア」。
  • ス democracia 「デモクシア」。上記じょうき3れいちがい、スペルはまったおなじ。


  • 標準ひょうじゅんてきではないが、(たとえばサンパウロ方言ほうげんいて)アクセントのある音節おんせつが s あるいは z でわるかたりはブラジルではイがいた発音はつおんになることがある。
    • れい:vocês /voˈsejs/ rapaz /xaˈpajs/ português /portug'ejs/ inglês /ingl'ejs/

音韻おんいん対応たいおう[編集へんしゅう]

p, b ののちの l のおおくは r へと変化へんかした。

  • れい(スペインとの比較ひかく
    • blanco(西にし)- branco(ポ)「しろ
    • playa(西にし)- praia(ポ)「浜辺はまべ

アルファベット[編集へんしゅう]

ポルトガルしん正書法せいしょほう[編集へんしゅう]

子音しいんのところでも記述きじゅつしたとおり、ポルトガルとブラジルではちがつづりでかれる単語たんごすくなくないが、2008ねん5月ポルトガル議会ぎかい今後こんご6ねんかけてつづりを現在げんざいのものからブラジルふうのものに変更へんこうする法案ほうあん可決かけつした[7][8]きゅう植民しょくみんでの表記ひょうきほうきゅう宗主そうしゅこくしたがうというめずらしい事態じたいになっているが、これはポルトガルけんにおけるブラジルの圧倒的あっとうてき人口じんこうから経済けいざいてき文化ぶんかてき学術がくじゅつてき影響えいきょうりょく反映はんえいしたものである。ブラジルでも2008ねん9がつ大統領だいとうりょうれいとして公布こうふされ、2012ねんまつまでの移行いこう期間きかんうえで2013ねん以降いこうはこのしん正書法せいしょほう採用さいようされる。この正書法せいしょほうにより、今後こんご一部いちぶ単語たんごのぞいて以下いかのようなつづりとなる。

  • 従来じゅうらいôoとつづっていた単語たんごが、たんにooとなる(れい:vôo(フライト)>voo)
  • 重母音じゅうぼいんeiあるいはoiにつよぜい場合ばあい従来じゅうらいつけていたアクセント記号きごう不要ふようとなる(れい: Coréia(韓国かんこく)>Coreia、apóio(支援しえん)>apoio)
  • ポルトガルしきでは発音はつおんされないにもかかわらずに表記ひょうきされていた子音しいん表記ひょうきされなくなる(れい: acção (行動こうどう) > ação)
  • ブラジルしきでは従来じゅうらい使用しようされていたトレマが廃止はいしされ、qüi, qüe, güi, güeがqui, que, gui, gueという表記ひょうきわる。

ただ、しん正書法せいしょほう施行しこうも、ポルトガルしきとブラジルしきつづりのあいだでは相違そういのこる。mおよびnのまえのoおよびeにつよぜい場合ばあい両国りょうこくにおける発音はつおん反映はんえいして、ポルトガルではóおよびéが、ブラジルではôおよびêが使用しようされる。れい: アントニオ(人名じんめい): António(ポルトガル)、Antônio(ブラジル)

文法ぶんぽう[編集へんしゅう]

  • 名詞めいし形容詞けいようしせいすう一致いっちする。複数ふくすうがた西にしロマンス同様どうよう語末ごまつに -s または -es をつける。ただし -al, el など l でわるものは -l を -is にえ、 -ais, -eis などにするが、-il はその語末ごまつ音節おんせつつよぜいがあれば -is, なければ -eis となる。また -ão は基本きほんてきに -ões になるが、-ães または -ãos になるものもある。女性じょせいがたはスペイン同様どうよう男性だんせいがたが -o にわるものは -a にえ、子音しいんわるものは -o をつける。-ão の女性じょせいがたは -ã か -ona となる。-es や -a などを付加ふかした結果けっか音節おんせつえた場合ばあい単数たんすうがたにあったアクセント記号きごうはなくなることがある。綴字ていじ m によるはな母音ぼいんわるかたりは、-ns になる。
  • ポルトガルでは2人称にんしょう代名詞だいめいしとしてのおやしょう tu(単数たんすう)と vos(複数ふくすう)がのこっているが、ブラジルでは3人称にんしょう活用かつようになる você(s) のみにほぼ代替だいたいされている。そのため、ブラジルしき勉強べんきょうする場合ばあい動詞どうし活用かつようかく時制じせいごとに6つではなく4つおぼえればよい。ただし、2人ふたりしょう目的もくてきかくの te はもちいるなど、おな相手あいてたいして(文法ぶんぽうじょうの)2人称にんしょうと3人称にんしょう混同こんどう使用しようられる。また、ブラジル南部なんぶ移民いみんアルゼンチンなまりのためしばしば2人称にんしょう単数たんすう代名詞だいめいしとして vos をもちいる。
  • 英語えいごでは be + 現在げんざい分詞ぶんし表現ひょうげんする現在進行形げんざいしんこうけいを、ブラジルでは estar + 現在げんざい分詞ぶんしあらわす。一方いっぽう、ポルトガルでは estar a + 不定ふていう。
    • れい:Sandra está cantando.(ブラジル)、Sandra está a cantar.(ポルトガル)。意味いみはどちらも「サンドラはうたっている」
  • ラテン語らてんごになかった接続せつぞくほう未来みらい存在そんざいする(この時制じせい中世ちゅうせいガリシア中世ちゅうせいスペインでは使用しようされたが、現在げんざいでは一部いちぶ格言かくげんなどにのこっているだけで、日常にちじょう生活せいかつでは使つかわない)。
    • れい:Liguem-me quando vocês chegarem à França.(きみたちがフランスにいたら電話でんわをしてくれ)
  • 不定ふてい人称にんしょう語尾ごびいた「人称にんしょう不定ふてい」がある。規則きそく動詞どうしでは接続せつぞくほう未来みらい同形どうけいである。
    • れい:É natural ficarmos tristes após a morte do nosso melhor amigo.(われわれの最良さいりょう友人ゆうじんをわれわれがかなしむのは当然とうぜんです)

語彙ごい[編集へんしゅう]

参考さんこうとして、ものあらわすポルトガルラテン語らてんご、そして英語えいご単語たんごしめす。じゅんにポルトガルラテン語らてんご英語えいご日本語にほんごである。

ポルトガルスペイン同様どうようアラビアからの借用しゃくようはあるが、スペインくらべてすくない。レコンキスタ早期そうき完了かんりょうしたポルトガルではイスラム教徒きょうと強制きょうせい改宗かいしゅう追放ついほうなどもスペインよりはやおこなわれ、それにともないアラビアけい借用しゃくよう追放ついほうされていった。現在げんざいでもポルトガルじんがスペインじんして「あいつとうスペインじんモーロじんとの混血こんけつだ」と優越ゆうえつかんひたことがあるという(同様どうよう感情かんじょうは、アンダルシア、ムルシアじんたいするスペインのほか地域ちいき住民じゅうみん反応はんのうにもられる)。

挨拶あいさつ[編集へんしゅう]

  • Bom dia. - おはようございます
  • Boa tarde. - こんにちは
  • Boa noite. - こんばんは、おやすみなさい(両方りょうほう意味いみもちいる)
  • Durma bem. - おやすみなさい
  • Tchau. / Adeus. - さようなら[ちゅう 1]
  • Passe bem. / Fique bem. - お元気げんき[ちゅう 1]
  • Até amanhã. - また明日あした[ちゅう 1]
  • Obrigado. (男性だんせいがた) / Obrigada. (女性じょせいがた) - ありがとう
  • Tudo bem? - お元気げんきですか?(「調子ちょうしはどう?」といった(英語えいごにおけるHow are you?のような)挨拶あいさつにももちいる)
  • Tudo bem. / Bem. / Mais ou menos. / Mal. / Tudo mal. - 元気げんきです / 良好りょうこうです / まあまあです / わるいです / 最悪さいあくです
  • (Há) Quanto tempo! - おひさしぶりです(Quanto tempo não o vejo!のりゃく
  • Quem está a falar? (葡) / Quem está falando? (はく) - どちらさまですか?(電話でんわけたときひとし直訳ちょくやくすると「だれはなしていますか?」)
  • Quem é você? - どちらさまですか?(見知みしらぬひと遭遇そうぐうしたとき)
  • Socorro! - たすけて!
  • Pare com isso! - とどめろ!
  • Vem cá! - こっちにい!

日本語にほんごとの関係かんけい[編集へんしゅう]

在日ざいにちブラジルじんけに日本語にほんごとポルトガル併記へいきされている群馬ぐんまけん大泉おおいずみまち標識ひょうしき

16世紀せいき中頃なかごろにポルトガルじん種子島たねがしま漂着ひょうちゃくした(鉄砲てっぽう伝来でんらい)。それ以来いらいイエズスかいによるキリシタン布教ふきょうマラッカマカオ相手あいてとする南蛮なんばん貿易ぼうえきおも近畿きんきから九州きゅうしゅう地方ちほう)において、ポルトガルじん主要しゅよう役割やくわりたした。ポルトガル日本にっぽんもっとはや伝来でんらいしたヨーロッパの言語げんごひとつであり、この時代じだいはいった文物ぶんぶつとともに、名詞めいしなどが日本語にほんご定着ていちゃくした(「オランダ」や「イギリス」といった日本語にほんご固有こゆう外国がいこくめい慣用かんようも、おおくがポルトガル由来ゆらいする)。英語えいごフランス語ふらんすごなど、おもに19世紀せいき以降いこう流入りゅうにゅうした外来がいらいはもっぱら片仮名かたかな表記ひょうきされるのにたいし、ポルトガル由来ゆらい借用しゃくよう漢字かんじ平仮名ひらがな表記ひょうきする名詞めいしおおく、ふか浸透しんとううかがえる。アゴスティニョ(小西こにし行長ゆきなが)、内藤ないとう如安じょあん細川ほそかわガラシャなど、当時とうじのキリシタンの洗礼せんれいめいもポルトガル由来ゆらいする。

1603ねんから1604ねんにかけて長崎ながさきでイエズスかいによって出版しゅっぱんされた『にち葡辞しょ』は、出版しゅっぱんされたものとしては最古さいこ辞典じてんであり、当時とうじ日本語にほんご語彙ごい発音はつおんじょう貴重きちょう資料しりょうとなっている。

16世紀せいきまつから、マニラ貿易ぼうえきおよびフランシスコかいドミニコかいなどの布教ふきょう活動かつどうつうじてスペインじんとの接触せっしょくみつになった。そのため、ポルトガルスペインにはどうみなもと同形どうけい単語たんごおおいのでいずれが起源きげん判別はんべつしがたく、両者りょうしゃから同時どうじひろまった可能かのうせいたかいものもある。

ポルトガルから日本語にほんごへの借用しゃくようれい[編集へんしゅう]

日本語にほんご 漢字かんじによる ポルトガル 備考びこう
アルヘイトウ 有平糖あるへいとう alféloa アルフェニン(alfenim)」に由来ゆらいするというせつもある。
イギリス えい吉利よしとし inglês
イルマン とめまんにゅうまんゆかり婁漫 irmão じょ修士しゅうしひら修道しゅうどう。バテレンのした
オラショ oratio
オランダ かずらん Holanda
オルガン órgão
カッパ 合羽かっぱ capa
カボチャ 南瓜かぼちゃ abóbora 「ぼうぶら」「ボーボラ」などの地方ちほうめいも、ポルトガルでカボチャやウリるい意味いみする「abóbora」に由来ゆらいするとされる。
カステラ Castela カスティーリャ王国おうこくのこと。パン・デ・ローを「ボロ・デ・カステラ(Bolo de Castella、カスティーリャ王国おうこく菓子かし)」と説明せつめいしたものが菓子かしとしてひろまったとされている。
カピタン かぶと capitão
カルタ 歌留多がるた cartas
カルメラキャラメル caramelo
ギヤマン diamante もと原義げんぎおなじくダイヤモンド意味いみし、切子きりこ細工ざいくにそれをもちいたことに由来ゆらいする。
キリシタン 切支丹きりしたん cristão
ギリシャ Grécia
キリスト Cristo
クルス 久留くる cruz
コレジオ colégio
コロッケ croquete オランダ由来ゆらいするというせつもある。
コンペイトー 金平糖こんぺいとう confeito
サラサ 更紗さらさ saraça
ザボン 朱欒ざぼんしゃぶん zamboa
シャボン sabão
ジバン 襦袢じばん gibão
ジョウロ 如雨露じょうろ jarro 異説いせつあり。
セミナリヨ seminário
タバコ 煙草たばこ tabaco
チャルメラ charamela
チョッキ jaque 英語えいごの「jacket」に由来ゆらいするというせつもある。
デウス deus
テンプラ 天麩羅てんぷらてん tempero 当時とうじのイエズスかい宣教師せんきょうしたちおこなっていたにく断食だんじきする儀式ぎしき、またその時期じきべていた精進しょうじん料理りょうりもの「Têmporas」に由来ゆらいするというせつもある。
トタン tutanaga
トルコ みみいにしえ turco
ノビシャド noviciado
バテレン 伴天連ばてれんやぶてんれん padre
バッテラ bateira
パン めん pão
バンコ banco 縁台えんだい腰掛こしかけを九州きゅうしゅう地方ちほう方言ほうげん
ビードロ vidro だまどう語源ごげん
ビスケット biscoito
ビルマ Birma オランダ由来ゆらいするというせつもある。
ビロード veludo
ピン pinta さいいちかず」「最上さいじょうとうのもの」を意味いみするほうピン芸人げいにんはこれに由来ゆらい
フラスコ frasco
ブランコ balanço 擬態語ぎたいごの「ぶらり」や「ぶらん」に由来ゆらいするというせつもある。
ベランダ varanda
ボーロ bolo
ボタン ぼたん botão
先斗ぽんとまち ponto さきみさきのようにとがった地形ちけい)」を意味いみする「ponta」に由来ゆらいするともわれる。
マルメロ marmelo
マント manto オランダの「mantel」がさき由来ゆらいしたというせつもある。
ミイラ 木乃伊みいら mirra
メリヤス 莫大小めりやす meias
モール mogol
ラシャ 羅紗らしゃ raxa
ランビキ alambique
ロザリオ rosário

スペインとの比較ひかく[編集へんしゅう]

詳細しょうさい: en:Differences_between_Spanish_and_Portuguese

ポルトガルおなイベロ・ロマンススペイン非常ひじょうている言語げんごである。発音はつおんつづりがていたり、単語たんご語彙ごい意味いみ共通きょうつうしているなどいたるところに類似るいじてんられる。

スペイン表現ひょうげんから引用いんよう

  • 「Buenos días」(ブエノス・ディアス)= おはようございます。(おひるはんべるまで)
  • 「Buenas tardes」(ブエナス・タルデス)= こんにちは(があるあいだ)。
  • 「Buenas noches」(ブエナス・ノーチェス)= おやすみなさい。
  • 「Hola」 (オラ)= こんにちは。

比較ひかくするとつづりにはかなりの類似るいじてんられる。ただし、スペイン挨拶あいさつでは上記じょうきのように複数ふくすうがたもちいられるのにたいし、ポルトガルでは単数たんすうがたもちいる。

スペインとポルトガル話者わしゃ双方そうほう言語げんご理解りかいでき、おおむ相互そうご意思いし疎通そつう可能かのうであることがおおい。ブラジルの放送ほうそうでは、スペイン諸国しょこく大統領だいとうりょう演説えんぜつなどは翻訳ほんやくなしでながされる。ウルグアイのリベラとブラジルのサンタナ・ド・リブラメントとの国境こっきょう周辺しゅうへんにて、ポルトガルとスペイン混合こんごう方言ほうげんフロンテイリソはなされている。

スペインとポルトガルちがいについて、以下いかおもてん列挙れっきょする。

発音はつおんちが[編集へんしゅう]

  • ポルトガルにはeやoに2とおりの発音はつおん(é/ê, ó/ô: ポルトガルではこれにあいまい母音ぼいんしたeがくわわる)があるが、スペインは1とおりの発音はつおん日本語にほんごのエやオとおな発音はつおん)しかない。
  • ポルトガルにははな母音ぼいんがあるが、スペインにはない。
  • ポルトガルではchはシャぎょう発音はつおんだが、スペインではチャぎょう発音はつおんである。
  • ポルトガルでは上記じょうきのchのほか語末ごまつ破裂はれつおんまえのsやxを/ʃ/発音はつおんし、ポルトガルではこのおと頻出ひんしゅつするが、スペイン音素おんそには存在そんざいしない。しかし、カスティーリャ地方ちほうでは/s/を発音はつおんするさいしたを凹状にするためやや[ʃ]にちかい。
  • ポルトガルではジャぎょう発音はつおんとなるge/gi/jは、スペインではハぎょうおとちかおと(日本語にほんごにはないおとで、日本語にほんごのハぎょう同音どうおんではない)である。
  • ポルトガルでは音節おんせつまつのlがウにちか発音はつおんになるが、スペインではそのような変化へんかきていない。
  • ポルトガルのlhはリャぎょう発音はつおんめているが、本来ほんらいはこれとおな発音はつおんだったスペインのllはほぼすべての方言ほうげんでジャぎょうあるいはヤぎょう(スペイン話者わしゃはこれらのおと区別くべつ困難こんなん。ブエノスアイレスではシャぎょう)に変化へんかしている。
  • ポルトガルではハぎょう発音はつおんされる語頭ごとうのrやrrは、スペインではじた発音はつおんされる。
  • スペインにはザぎょう発音はつおんがなくsとzはサぎょう発音はつおんとなる(Brasilを「ブラシル」、Venezuela を「ベネスエラ」と発音はつおん
  • スペインではvとbの発音はつおん区別くべつがなくつねにbの発音はつおんだがポルトガルではイタリアフランス語ふらんすご同様どうよう区別くべつされる。(Cabo Verdeはスペインだと"カーボベルデ"と表記ひょうきでき、ポルトガルだと"カーボヴェルデ"と表記ひょうき出来でき[ちゅう 2])
  • スペインではxはs(子音しいんぜんあるいは語頭ごとう)あるいはks(母音ぼいんまえ)と発音はつおんされるが、メキシコ関係かんけい地名ちめいではハぎょう発音はつおんされる(Méxicoメヒコ、Oaxacaオアハカなど)。
  • ポルトガル・スペインあいだどうみなもと同義どうぎ単語たんご子音しいん交替こうたいこることがある。
    • l と r :「しろ」はポルトガルで branco、スペインで blanco。「みなみ」はポルトガルで sul、スペインで sur。「サーベル」はポルトガルでsable、スペインでsabreである。
    • b と v :「ほん」はポルトガルで livro、スペインで libro。「バニラ」はポルトガルで baunilha、スペインで vainilla。
  • ポルトガル・スペインともにk, w は外来がいらいにしか使つかわれない。yはポルトガルでは外来がいらいにしか使つかわないが、スペインでは頻繁ひんぱん使つかわれる(ヤぎょうまたはジャぎょう発音はつおん)。

文法ぶんぽうちが[編集へんしゅう]

  • 現在げんざいブラジルでは使つかわれなくなったおやしょう二人称ににんしょう単数たんすうtuが、スペインけんでは幅広はばひろ使つかわれている(コロンビアやコスタリカなどをのぞく。またアルゼンチンやちゅうべいなどではtuのかわりにvosを使つか地域ちいきもある)が、おやしょう二人称ににんしょう複数ふくすうであるvosotros/-asは中南米ちゅうなんべいでは使つかわれず、もっぱらスペインでのみ使つかわれる。このためブラジル・ポルトガルでは活用かつようがた事実じじつじょう4つ(eu、ele/ela、nós、eles/elas)である。これにくわえ、ポルトガルのポルトガルでは二人称ににんしょう単数たんすうくわわり、二人称ににんしょう複数ふくすう事実じじつじょうほぼ使つかわれないため、動詞どうし活用かつようがたは5つである。中南米ちゅうなんべいのスペインけんでは活用かつようがたは5つ(yo、tú、él/ella/usted、nosotros/-as、ellos/-as)、スペインではこれにくわえてvosotros/-asに対応たいおうする動詞どうし活用かつようがある。つまり、みっつの人称にんしょう単数たんすう複数ふくすうけい6つの活用かつようがた存在そんざいする。また近年きんねん、ブラジル北部ほくぶ南部なんぶ、リオデジャネイロを中心ちゅうしんに、文法ぶんぽうじょうただしくないが tu をもちいながら活用かつようがた三人称さんにんしょうもちいるという現象げんしょうこっている。また、ポルトガルでは目上めうえひとたいして一般いっぱん名詞めいしてきなo senhor, a senhoraを二人称ににんしょうとしてもちいることがある。
  • 現在進行形げんざいしんこうけいあらわ動詞どうしまがげんほうは、ポルトガルのポルトガルではestar a+不定ふていれい: estou a cozinhar)であらわすが、スペインではブラジル・ポルトガル同様どうようestar+現在げんざい分詞ぶんしれい: estoy cocinando)のかたちあらわす。ただし、スペインでは現在げんざいがた現在げんざい進行しんこう意味いみあらわすことがおおく、英語えいごほど多用たようされない。
  • ポルトガルでは過去かこ完了かんりょう単純たんじゅんがたとなる活用かつよう(tivera, tivera, tivéramos, tiveram)は、スペインでは接続せつぞくほう過去かこの-raがたとなる。スペインではtuviera, tuvieras...とtuviese, tuvieses...(-seがた)の両方りょうほう使つかわれるが、とく中南米ちゅうなんべいでは-raがたしか使つかわれない。
  • ポルトガルでは接続せつぞくほう未来みらいれい: quando vier ao Japão(日本にっぽん場合ばあいには))が頻繁ひんぱん使つかわれるが、スペインでは接続せつぞくほう未来みらい古文こぶん調ちょうのいいまわしをのぞいて使つかわれない。

現在げんざいでは、ブラジルやポルトガルでは若年じゃくねんそうがスペイン勉強べんきょうし、またスペインけんでもとくパラグアイアルゼンチンウルグアイなどではポルトガル学習がくしゅうねつたかまっている。英語えいご習得しゅうとくするよりはるかにらく習得しゅうとくできるとわれている[よう出典しゅってん]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c ブラジルでは「さようなら」の挨拶あいさつとしては「Tchau.」をよくもちいる。「Adeus.」はポルトガルでの「さようなら」の挨拶あいさつで、ブラジルでは永遠えいえんわかれを意味いみするので使用しようひかえたほうがよい。「Passe bem.」、「Fique bem.」は「ごきげんよう」といった挨拶あいさつで、ややフォーマル。「Até amanhã.」は直訳ちょくやくすると「明日あしたまで」で、つぎうことがまっている場合ばあい。「また来週らいしゅう」なら「Até semana que vem.」(直訳ちょくやくすると「たるしゅうまで」)。
  2. ^ Cabo Verdeは本来ほんらいポルトガル (みどりみさき意味いみ)だが、スペインでもおなじCabo Verdeである。スペイン、ポルトガル両方りょうほうともCaboは"みさき"、Verdeは"緑色みどりいろの"という意味いみである。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 事典じてん世界せかいのことば141」p459 かじ茂樹しげき中島なかじま由美ゆみはやしとおるへん 大修館書店たいしゅうかんしょてん 2009ねん4がつ20日はつか初版しょはんだい1さつ
  2. ^ 東外ひがしそと大言たいげんモジュール|ポルトガル”. www.coelang.tufs.ac.jp. 2020ねん9がつ7にち閲覧えつらん
  3. ^ ブラジルではなされている「ブラポルまめ知識ちしき | 翻訳ほんやく会社かいしゃアークコミュニケーションズ”. www.arc-c.jp. 2020ねん9がつ7にち閲覧えつらん
  4. ^ Cruz-Ferreira (1995:91)
  5. ^ Sobre os Ditongos do Português Europeu. Carvalho, Joana. Faculdade de Letras da Universidade do Porto. ページ 20. 引用いんよう: A conclusão será que nos encontramos em presença de dois segmentos fonológicos /kʷ/ e /ɡʷ/, respetivamente, com uma articulação vocálica. Bisol (2005:122), tal como Freitas (1997), afirma que não estamos em presença de um ataque ramificado. Neste caso, a glide, juntamente com a vogal que a sucede, forma um ditongo no nível pós-lexical. Esta conclusão implica um aumento do número de segmentos no inventário segmental fonológico do português.
  6. ^ Bisol (2005:122). 引用いんよう: A proposta é que a sequencia consoante velar + glide posterior seja indicada no léxico como uma unidade monofonemática /kʷ/ e /ɡʷ/. O glide que, nete caso, situa-se no ataque não-ramificado, forma com a vogal seguinte um ditongo crescente em nível pós lexical. Ditongos crescentes somente se formam neste nível. Em resumo, a consoante velar e o glide posterior, quando seguidos de a/o, formam uma só unidade fonológica, ou seja, um segmento consonantal com articulação secundária vocálica, em outros termos, um segmento complexo.
  7. ^ http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7405985.stm
  8. ^ http://www.afpbb.com/articles/-/2704072 「ポルトガルけんで「ブラジルしき」に表記ひょうき統一とういつへ、国民こくみん混乱こんらん」 AFPBB 2010ねん03がつ02にち 2015ねん6がつ20日はつか閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 現代げんだい辞典じてんISBN 4095153512
  • Bisol, Leda (2005) (Portuguese), Introdução a estudos de fonologia do português brasileiro, Porto Alegre - Rio Grande do Sul: EDIPUCRS, ISBN 85-7430-529-4, https://books.google.co.jp/books?id=TFzWAq-S7I0C&printsec=frontcover&redir_esc=y&hl=ja 
  • Cruz-Ferreira, Madalena (1995), “European Portuguese”, Journal of the International Phonetic Association 25 (2): 90–94, doi:10.1017/S0025100300005223 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]