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ハウサ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハウサ
Harshen,هَوُسَ
はなされるくに ナイジェリアの旗 ナイジェリア
ニジェールの旗 ニジェール
ベナンの旗 ベナン
ブルキナファソの旗 ブルキナファソ
カメルーンの旗 カメルーン
ガーナの旗 ガーナ
スーダンの旗 スーダン
トーゴの旗 トーゴ
地域ちいき 西にしアフリカ
話者わしゃすう 2400まんにんだいいち言語げんご
1500まんにんだい言語げんご
言語げんご系統けいとう
アフロ・アジア語族ごぞく
  • チャド
    • 西にしチャド諸語しょご
      • 西にしチャド諸語しょごA
        • 西にしチャド諸語しょごA.1
          • ハウサ
表記ひょうき体系たいけい ラテン文字もじアラビア文字もじ
公的こうてき地位ちい
公用こうよう ナイジェリア北部ほくぶしょしゅう
言語げんごコード
ISO 639-1 ha
ISO 639-2 hau
ISO 639-3 hau
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ハウサ(ハウサご)は、ハウサじん言語げんごおもナイジェリア北部ほくぶからニジェール南部なんぶにかけてもちいられる。さらにナイジェリア各地かくち周辺しゅうへん諸国しょこく共通きょうつうとして2,000まんにん以上いじょう話者わしゃかかえる。アフロ・アジア語族ごぞくチャド諸語しょごぞくする。

音韻おんいん

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子音しいん

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くちびる 歯茎はぐき 後部こうぶ歯茎はぐき そりした かた口蓋こうがい 軟口蓋なんこうがい 声門せいもん
えんくちびる
はな m n
破裂はれつ/やぶ にゅうやぶ ɓ ɗ
ゆうごえ b d (d)ʒ ɟ ɡ ɡʷ
無声むせい t c k ʔ
放出ほうしゅつ (t) (tʃʼ) kʷʼ
摩擦まさつ ゆうごえ z
無声むせい ɸ s ʃ h
接近せっきん l j w
ふるえ r
はじき ɽ

/c ɟ cʼ k ɡ kʼ kʷ ɡʷ kʷʼ/の9つの子音しいん/a/長短ちょうたんわない)のまえにのみあらわれる(れい/cʼaːɽa/くさ), /kʼaːɽaː/やす)、/kʷʼaːɽaː/シアーバターノキ))。ぜんした母音ぼいんまえにはかた口蓋こうがいおん唇音しんおんした軟口蓋なんこうがいおんのみがあらわれる(れい/ciːʃiː/嫉妬しっと)、/kʷiːɓiː/からだ側面そくめん))えんくちびる母音ぼいんまえには唇音しんおんした軟口蓋なんこうがいおんのみがあらわれる(れい/kʷoːɽaː/白癬はくせん)) [1][2]

母音ぼいん

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Schuh & Yalwa (1999:91)によるハウサ母音ぼいんひょうたん母音ぼいん/i, u, a/ひょうよりもはるかにひろおとはばがある。
ぜんした ちゅうした こうした
せま i iː u uː
中央ちゅうおう e eː o oː
ひろ a aː
じゅう /ai, au, iu, ui/

たん母音ぼいん/i, u/ちょう母音ぼいんくらべるとちゅうした英語えいごばんになり、[ɨ ~ ʉ]中和ちゅうわされることもある。[3]

たん母音ぼいん/e, o//a/によって中和ちゅうわされる。[4]

たん母音ぼいん/a/ちょう母音ぼいん/aː/ちかいことも、シュワー/ə/ちかいことも、そのあいだ[ɐ ~ ɜ]程度ていどのこともある。[4]

声調せいちょう

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ハウサ声調せいちょう言語げんごであり、 いつつの母音ぼいん a, e, i, o, u それぞれに低位ていいトーン、高位こういトーン、下降かこう曲線きょくせんトーンがある。

トーンをあらわすためにアクセント記号きごう使つかわれている。

これらの声調せいちょう相対そうたいてきなものであり、全体ぜんたいてきには声調せいちょう変化へんかともな徐々じょじょ全体ぜんたいてきおとだかひくくなっていくダウンドリフトられる。ただし疑問ぎもんぶん場合ばあい疑問ぎもんもちいない諾否だくひ疑問ぎもんぶんでは文末ぶんまつ高位こういトーンあるいは下降かこうトーンのみ一時いちじてきにイントネーションをげてから急激きゅうげきげる。また疑問ぎもん疑問ぎもんぶんでは全体ぜんたいてきたかめのおとだかたもたれ、文末ぶんまつのみおとだかがる[5]

表記ひょうき

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ラテン文字もじけい

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現代げんだいのハウサにはボーコー (boko) とばれる表記ひょうきほうがあり、これが公式こうしき正書法せいしょほうとされている。 イギリス植民しょくみん統治とうちにより1930年代ねんだい導入どうにゅうされ、ラテン文字もじもとにしている。

A a B b Ɓ ɓ C c D d Ɗ ɗ E e F f G g H h I i J j K k Ƙ ƙ L l
/a/ /b/ /ɓ/ /tʃ/ /d/ /ɗ/ /e/ /ɸ/ /ɡ/ /h/ /i/ /(d)ʒ/ /k/ /kʼ/ /l/
M m N n O o R r S s Sh sh T t Ts ts U u W w Y y (Ƴ ƴ) Z z ʼ
/m/ /n/ /o/ /r/, /ɽ/ /s/ /ʃ/ /t/ /(t)sʼ/ /u/ /w/ /j/ /ʔʲ/ /z/ /ʔ/

これらの文字もじのうち ƴニジェールでしか使つかわない(ナイジェリアでは ʼyく)。

声調せいちょう母音ぼいん長短ちょうたん、および /r//ɽ/区別くべつぜん話者わしゃ区別くべつするわけではない)は、表記ひょうきにはあらわれない。そのため、たとえば /daɡa/ (…から)と /daːɡaː/たたかい)はどちらも daga とつづる。

アラビア文字もじけい

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ハウサアジャミ (ajami) とばれるアラビア文字もじけい表記ひょうきほうもある。17世紀せいき初頭しょとうより使つかわれてきたが、標準ひょうじゅんさだまっておらず、おと文字もじとの対応たいおうひとによりれがある。

下表かひょうでは、母音ぼいんはアラビア文字もじの t とのわせで例示れいじしている。

ボーコー
(Latin)
音韻おんいん
(IPA)
アジャミ
(Arabic)
備考びこう
a /a/ تَ
/aː/ تَا
b /b/ ب
ɓ /ɓ/ ب = b
ٻ アラビアでは使つかわない
c /tʃ/ ث
d /d/ د
ɗ /ɗ/ د = d
ط = ts
e /e/ تٜ アラビアでは使つかわない
/eː/ تٰٜ アラビアでは使つかわない
f /ɸ/ ف
g /ɡ/ غ
h /h/ ه
i /i/ تِ
/iː/ تِى
j /(d)ʒ/ ج
k /k/ ك
ƙ /kʼ/ ك = k
ق
l /l/ ل
m /m/ م
n /n/ ن
o /o/ تُ = u
/oː/ تُو
r /r, ɽ/ ر
s /s/ س
sh /ʃ/ ش
t /t/ ت
ts /(t)sʼ/ ط = ɗ
ڟ アラビアでは使つかわない
u /u/ تُ = o
/uː/ تُو
w /w/ و
y /j/ ي
z /z/ ز
ذ
ʼ /ʔ/ ع

その

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ハウサ表記ひょうきほうにはこれまでに提唱ていしょうされたもの、あるいは「発見はっけん」されたとしょうするものなどが上記じょうき以外いがいすくなくともさんとおりあるが、いずれもひろ普及ふきゅうするにはいたっていない模様もようである。

  • 古代こだい文字もじ由来ゆらいすると推定すいていされ、ニジェール北部ほくぶマラディしゅう使つかわれているというハウサアルファベット[6]。これらの主張しゅちょうには重大じゅうだいうたがいがけられている。
  • 著述ちょじゅつ出版しゅっぱんぎょうグループ Raina Kama が 1980年代ねんだいはじめたとされる書法しょほう[7]
  • 1970年代ねんだい (?) に提唱ていしょうされた "Tafi" とばれる書法しょほう[8]

典拠てんきょ脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Newman, Paul (1996). “Hausa Phonology”. In Kaye, Alan S.. Phonologies of Asia and Africa. Eisenbrauns. pp. 537–552. hdl:2022/21454. https://hdl.handle.net/2022/21454 
  2. ^ Schuh & Yalwa (1999), p. 91.
  3. ^ Schuh & Yalwa (1999), p. 90.
  4. ^ a b Schuh & Yalwa (1999), p. 90.
  5. ^ 塩田えんでん 2010, pp. 11–13.
  6. ^ http://www.bisharat.net/Demos/Hausa_alphabet.htm
  7. ^ http://www.bisharat.net/Demos/Hausa_alpha_2.htm
  8. ^ http://www.bisharat.net/Demos/Hausa_alpha_3.htm

参考さんこう文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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