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コノシメトンボ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
コノシメトンボ
成熟雄
成熟せいじゅくしたゆう顔面がんめんまであかくなる。
成熟雌
成熟せいじゅくしためす
保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 節足動物せっそくどうぶつもん Arthropoda
つな : 昆虫こんちゅうつな Insecta
: トンボ Odonata
: トンボ Libellulidae
: アカネ Sympetrinae
ぞく : アカネぞく Sympetrum
たね : オオアカネ Sympetrum baccha (Selys, 1884)
亜種あしゅ : コノシメトンボ
S. b. matutinum
学名がくめい
Sympetrum baccha matutinum
(Ris, 1911)
和名わみょう
コノシメトンボ
飛翔ひしょうの40ばい高速度こうそくど撮影さつえい

コノシメトンボしょう熨斗目のしめ蜻蛉とんぼ学名がくめい Sympetrum baccha matutinum )は トンボアカネぞくのトンボの一種いっしゅ和名わみょうは「小型こがたノシメトンボ」のである。日本にっぽん全国ぜんこく分布ぶんぷする。国外こくがいでは中国ちゅうごく南部なんぶから台湾たいわんにかけて、原名げんめい亜種あしゅオオアカネ(だいあか蜻、学名がくめいSympetrum baccha baccha (Selys, 1884))が分布ぶんぷする。

形態けいたい

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成虫せいちゅうは、体長たいちょう36-48mm、はらちょう23-31mm、後翅こうしちょう29-35mm、翅の先端せんたんにある黒褐色こっかっしょく斑紋はんもん目立めだつ、ややおおきめのあかとんぼ和名わみょうのとおりノシメトンボるが、体格たいかくほんしゅのほうがひとまわ小型こがたで、腹部ふくぶはややふとめである。

ゆうじょう付属ふぞく先端せんたん若干じゃっかんじょうかえり、めす腹部ふくぶだい8せつにある産卵さんらんべんはやや突出とっしゅつする。めす顔面がんめんがく上部じょうぶまゆはん(ビハン)をゆうする。ゆうにはふつうこのまゆはんはないが、うすくあらわれることもある。熨斗のし模様もようばれる腹部ふくぶくろまだらノシメトンボくらべるとごくわずかしかない。

幼虫ようちゅう典型てんけいてきあかとんぼかたのヤゴで、体長たいちょうは18-22mm程度ていどタイリクアカネ酷似こくじしている。腹部ふくぶだい8せつがわとげながさはだい9せつ末端まったんまでとどかない。

生態せいたい

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成虫せいちゅうは7がつ上旬じょうじゅんごろから羽化うかはじまり、おそいところでは12月上旬じょうじゅんごろまでられる。平地ひらちからてい山地さんちにかけての開放かいほうてきいけぬま水田すいでんなどでられることがおおいが、ときには学校がっこうプールや2,000mをたかやまにもあらわれ、生息せいそくいきひろい。

未熟みじゅくなうちは雌雄しゆうともからだしょく褐色かっしょくをしており、翅の先端せんたん褐色かっしょくまだらうすい。成熟せいじゅくすると、ゆうナツアカネ同様どうよう全身ぜんしん赤化せっかするが、めす背面はいめん橙色だいだいいろくなる程度ていどである。寒冷かんれいにおいて同属どうぞくしゅによく出現しゅつげんするめす顕著けんちょ赤化せっかがたは、ほんしゅにはみられない。

羽化うか羽化うか水域すいいきはなれて、丘陵きゅうりょうちゅうてい山地さんち樹林じゅりんのややたかこずえ静止せいしし、からだ成熟せいじゅくするまでそこで摂食せっしょく活動かつどうおこなう。 成熟せいじゅく平地ひらちまでよく移動いどう分散ぶんさんし、ほんしゅばかりでれを形成けいせいすることはすくなく、ほんたね単独たんどくか、たねれにほんたね少数しょうすうじって観察かんさつされることがおおい。あかとんぼ仲間なかまくらべ、成熟せいじゅくした個体こたいでは地面じめん丸太まるたなどのたいらなめんにへばりくようにまる習性しゅうせいつよい。

成熟せいじゅくしたゆう水域すいいきちかくに縄張なわばりをつようになる。ほんしゅゆう侵入しんにゅうたいして一旦いったんつよ縄張なわば占有せんゆう行動こうどうしめすものの、明確めいかく縄張なわばりの範囲はんいたず、長時間ちょうじかんにわたって一定いってい範囲はんい固執こしつすることはすくない。

そら産卵さんらんおこなノシメトンボとはことなり、ほんしゅ打水うちみず産卵さんらんまたはどろ産卵さんらんおこなう。とくほんしゅ植生しょくせいすくないあかるくけたひろ水面すいめんこの傾向けいこうがある。このため屋外おくがいプール都市とし公園こうえんのコンクリートりのいけなど、人工じんこうてきとめ水域すいいきつかるヤゴはほんしゅタイリクアカネであることがおおい。

産卵さんらん雌雄しゆう連結れんけつしたままおこなうことがおおいが、途中とちゅう連結れんけついてめす単独たんどく産卵さんらん移行いこうすることもある。この場合ばあいゆう上空じょうくうでホバリングをしながら、または付近ふきん静止せいししてめす産卵さんらん警護けいごをすることもあるが、長時間ちょうじかん持続じぞくしない。

あきとされたたまごはそのまま越冬えっとうし、よくはる孵化ふか幼虫ようちゅうとなる。

類似るいじしゅ

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胸部きょうぶ比較ひかく 左上ひだりうえ)ノシメトンボ右上みぎうえ)コノシメトンボ ・左下ひだりした)リスアカネみぎ)マユタテアカネ

翅の先端せんたん褐色かっしょくになるよく種類しゅるいノシメトンボリスアカネがある。成虫せいちゅう一般いっぱんてきおおきさはこの三種さんしゅなかではノシメトンボがもっとおおきく、いでコノシメトンボ、リスアカネのじゅんとなる。

ほんしゅゆう成熟せいじゅくすると顔面がんめん胸部きょうぶ腹部ふくぶまで赤色あかいろになるが、リスアカネ腹部ふくぶのみが橙色だいだいいろびた赤色あかいろ変化へんかし、ノシメトンボ腹部ふくぶくら赤色あかいろがさす程度ていどにしか赤化せっかしないため、容易ようい見分みわけることができる。

雌雄しゆうとも翅の先端せんたん褐色かっしょくまだら一般いっぱんてきにはほんしゅもっとく、黒色こくしょくちかいろをしている。しかしこの部分ぶぶん未熟みじゅくにはうすく、ぎゃく老熟ろうじゅくすすんでも次第しだい褪色たいしょくすること、個体こたいによる差異さいなどもあり、決定的けっていてき識別しきべつてんとはならない。

また、これら三種さんしゅ胸部きょうぶ側面そくめん斑紋はんもん形状けいじょうがそれぞれことなることで見分みわけることができる。ほんしゅ特徴とくちょうは、胸部きょうぶ側面そくめんの3ほんくろじょうのうち、まえから2ほん途中とちゅう後方こうほうがったのち3ほん合流ごうりゅうし、まるでひらがなの「つ」のかたむけたようにえることである。翅の先端せんたん褐色かっしょくまだらのあるあかとんぼ仲間なかまでこのような胸部きょうぶ斑紋はんもんたねはコノシメトンボだけであり、胸部きょうぶるのがもっと確実かくじつ見分みわかたである。

きんえんしゅ

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体格たいかくからだしょく行動こうどう特性とくせいおおきくことなるが、国内こくないにおけるほんしゅきんえんしゅとしては、ヒメアカネマユタテアカネマイコアカネがあり、幼虫ようちゅう形態けいたいもよくている。とくにマユタテアカネとのあいだでは、異種いしゅあいだ連結れんけつ異種いしゅあいだ交尾こうび産卵さんらん観察かんさつされることがあり、まれたねあいだ雑種ざっしゅしょうじる。

ぎゃくノシメトンボリスアカネほんたね成虫せいちゅう姿すがたがたがよくてはいるが、ほんしゅとは産卵さんらん行動こうどうことなっており(そら産卵さんらん)、幼虫ようちゅうがわとげ形状けいじょうなどにあきらかなちがいがある。それゆえに、上記じょうきさんしゅくらべると、系統的けいとうてきにはほんしゅとはややはなれた種類しゅるいであるといえる。

なお中国ちゅうごく南部なんぶから台湾たいわんにかけて分布ぶんぷする原名げんめい亜種あしゅオオアカネばれ、ほん亜種あしゅより大型おおがたであるだけでなく、翅端の黒褐色こっかっしょくまだら退化たいか傾向けいこうにあり、やや淡色たんしょく面積めんせきせまいなど形態けいたいてき差異さいもいくつかみとめられる。

脚注きゃくちゅう

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • えんあかつき川島かわしま逸郎いつお二橋ふたはし あきら日本にっぽんのトンボ』ぶんいち総合そうごう出版しゅっぱん〈ネイチャーガイド〉、2013ねん3がつ1にちISBN 978-4-8299-0119-9 
  • 石田いしだ昇三しょうぞう石田いしだ勝義まさよし小島こじま圭三けいぞう杉村すぎむら光俊みつとし、『日本にっぽんさんトンボ幼虫ようちゅう成虫せいちゅう検索けんさく図説ずせつ』 東海大学とうかいだいがく出版しゅっぱんかい、1988ねん6がつ10日とおかISBN 4-486-01012-4

関連かんれん項目こうもく

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