出典 しゅってん : フリー百科 ひゃっか 事典 じてん 『ウィキペディア(Wikipedia)』
ゴミグモ属 ぞく Cyclosa は、コガネグモ科 か に属 ぞく するクモ の分類 ぶんるい 群 ぐん の一 ひと つ。ゴミ を網 あみ につけてカモフラージュする種 たね が含 ふく むことによる名 な だが、つけないものも多 おお い。種類 しゅるい は多 おお く、区別 くべつ は難 むずか しいものも多 おお い。
コガネグモ科 か の中 なか ではあまり大 おお きくならないクモの群 ぐん 。地味 じみ な、やや縦長 たてなが の体格 たいかく のクモであるが、外部 がいぶ 形態 けいたい はかなり多様 たよう である。
共通 きょうつう の特徴 とくちょう としては、次 つぎ の点 てん が上 あ げられる。
頭部 とうぶ と胸部 きょうぶ がU字 じ 型 がた の頚 けい 溝 みぞ によって区別 くべつ される。
コガネグモ科 か では中 ちゅう 眼 め は頭部 とうぶ の中央 ちゅうおう に寄 よ るのが普通 ふつう であるが、この属 ぞく では特 とく に後 ご 中 ちゅう 眼 め が互 たが いに接近 せっきん する。
腹部 ふくぶ はやや縦長 たてなが で、後方 こうほう 背面 はいめん が糸 いと 疣 いぼ より長 なが く突 つ き出 で る。
ただし腹部 ふくぶ の形態 けいたい については様々 さまざま で、マルゴミグモなどは楕円 だえん 形 がた の腹部 ふくぶ を持 も ち、後方 こうほう への突出 とっしゅつ もない。しかし多 おお くのものでは全体 ぜんたい に縦長 たてなが で、シマゴミグモやヤマトゴミグモでは腹部 ふくぶ 後 ご 端 はし が真後 まうし ろから斜 なな め上 じょう に突 つ き出 で る。ゴミグモ やヨツデゴミグモでは後方 こうほう の突出 とっしゅつ は大 おお きくないが、そこに円錐 えんすい 形 がた の突起 とっき を複数 ふくすう つけ、ゴミグモではさらに前方 ぜんぽう 背面 はいめん に肩 かた 状 じょう 突起 とっき を持 も つ。
これらは褐色 かっしょく 系 けい の地味 じみ な色合 いろあ いで、細 こま かな模様 もよう があるが、地味 じみ で目立 めだ たない配色 はいしょく である。そんな中 なか に銀色 ぎんいろ の鱗状 りんじょう の部分 ぶぶん を持 も ち、銀色 ぎんいろ の金属 きんぞく 光沢 こうたく を持 も つものもある。ギンメッキゴミグモなどでは背面 はいめん の広 ひろ い範囲 はんい が銀色 ぎんいろ に光 ひか る。オーストラリアの C. trilobata は背面 はいめん に赤 あか 、オレンジ、銀色 ぎんいろ などの縦縞 たてじま を持 も ち、複数 ふくすう が密集 みっしゅう して網 あみ を張 は っている様子 ようす は宝石 ほうせき のようだとのこと[1] 。
性的 せいてき 二形 ふたなり ははっきりしており、雄 ゆう は雌 めす より遙 はる かに華奢 きゃしゃ で小 ちい さく、雌 めす の姿 すがた をそのまま小 ちい さく痩 や せさせたような姿 すがた である。
ほとんどは垂直 すいちょく 円 えん 網 もう を張 は り、常 つね に網 もう の中心 ちゅうしん にクモが陣取 じんど っている。網 もう は比較的 ひかくてき 目 め の細 こま かいものである。しかし、たとえばマルゴミグモは水平 すいへい 円 えん 網 もう を張 は り、しかもその網 あみ の上 うえ に乗 の る形 かたち で定位 ていい する。これは円 えん 網 もう を張 は るクモ全体 ぜんたい でも珍 めずら しい形 かたち である。
一部 いちぶ の種 たね は網 あみ に食 た べ残 のこ しの餌 えさ などのゴミをつける。ゴミは網 あみ の中央 ちゅうおう を含 ふく んで縦 たて に細長 ほそなが い形 かたち にしており、クモが網 あみ の中心 ちゅうしん に下向 したむ きに静止 せいし すると、ゴミに紛 まぎ れて姿 すがた がわかりにくくなる。これはカモフラージュ の効果 こうか があると考 かんが えられる。ゴミグモの名 な はこれに由来 ゆらい し、英名 えいめい ではこのタイプのものをgarbageline spider というようである[2] 。この種 たね では腹部 ふくぶ の前 まえ に一 いち 対 つい 、後端 こうたん に複数 ふくすう の突起 とっき を持 も つのも、ゴミに紛 まぎ れる上 うえ で効果 こうか を上 あ げているように見 み える。歩 ふ 脚 あし もあまり伸 の ばさないで頭 あたま 胸部 きょうぶ に引 ひ き寄 よ せてあり、これも外見 がいけん をごちゃごちゃにさせるように見 み える。日本 にっぽん 産 さん の種 たね ではこの他 ほか にヨツデゴミグモなどもゴミをつける習性 しゅうせい がある。
しかしゴミをつけない種 たね も多 おお く、日本 にっぽん ではギンメッキゴミグモやカラスゴミグモなどはゴミをつけることはほとんどない。そのような種 たね では隠 かく れ帯 たい をつける例 れい もある。また、ギンナガゴミグモは網 あみ の真 ま ん中 なか に上向 うわむ きに定位 ていい して、歩 ふ 脚 あし を伸 の ばし気味 ぎみ にするし、カラスゴミグモでは斜 なな めに静止 せいし することがよくある。
卵嚢 らんのう はゴミグモなどゴミをつける種 たね ではゴミに紛 まぎ れるように網 あみ の上 うえ に複数 ふくすう を並 なら べる。これに対 たい して、ヤマトゴミグモなどは網 あみ の近 ちか くの木 き の枝 えだ などの基盤 きばん 上 じょう に半球 はんきゅう 形 がた の卵嚢 らんのう を貼 は り付 つ ける。
この属 ぞく は、ムツボシオニグモ属 ぞく やカタハリオニグモ属 ぞく と姉妹 しまい 群 ぐん をなすと考 かんが えられている。
世界中 せかいじゅう に約 やく 120種 しゅ が知 し られ、日本 にっぽん からは22種 しゅ が記録 きろく されている。ただし、分類 ぶんるい は難 むずか しい。他 た の属 ぞく との区別 くべつ は比較的 ひかくてき 簡単 かんたん なのだが、属 ぞく 内 ない に非常 ひじょう によく似 に た種 たね が幾 いく つもあり、また個体 こたい 変異 へんい もあって判断 はんだん が難 むずか しい場合 ばあい もある。それらの中 なか には性器 せいき を確認 かくにん しなければ判別 はんべつ しないもの、雄 ゆう では生殖 せいしょく 器 き で判別 はんべつ できるが雌 めす ではそれが難 むずか しいものなどが含 ふく まれている。
以下 いか に日本 にっぽん 産 さん の種 たね を示 しめ す。それ以外 いがい のものについてはこの項 こう を参照 さんしょう されたい。
C. octotuberculata ゴミグモ :人家 じんか 周辺 しゅうへん の普通 ふつう 種 しゅ 。
C. laticauda キジロゴミグモ
C. monticola ヤマゴミグモ
C. angusta ヤセゴミグモ
C. ono オノゴミグモ
C. omonaga シマゴミグモ
C. confusa ミナミノシマゴミグモ
C. japonica ヤマトゴミグモ
C. norihisai オガサワラゴミグモ
C. atrata カラスゴミグモ
C. hamulata カギヅメカラスゴミグモ
C. maritima ハマゴミグモ
C. psylla ヒメマルゴミグモ
C. mulmeinensis トゲゴミグモ
C. vallata マルゴミグモ
C. sachikoae ミツカドゴミグモ
C. alba シロゴミグモ
C. algenteoalba ギンメッキゴミグモ
C. okumae オオクマギンメッキゴミグモ
C. ginnnaga ギンナガゴミグモ
C. kumadai クマダギンナガゴミグモ
C. sedeculata ヨツデゴミグモ
^ Main(1976),p.206
^ Astri & Leroy(2000),p.63
小野 おの 展 てん 嗣編著 ちょ 、『日本 にっぽん 産 さん クモ類 るい 』、(2009)、東海大学 とうかいだいがく 出版 しゅっぱん 会 かい
新海 しんかい 栄一 えいいち 、『日本 にっぽん のクモ』,(2006),文 ぶん 一 いち 総合 そうごう 出版 しゅっぱん
Barbara York Main:"Spiders The Australoan Naturalist Library", (1976), COLLINS ,Sidney
Astri & John Leroy,(2000),"SOIDERWATCH in Southern Africa",Struik Publishers