サン＝テティエンヌ造兵ぞうへい廠しょう

サン＝テティエンヌ造兵ぞうへい廠しょうを描えがいた絵え

サン＝テティエンヌ造兵ぞうへい廠しょう (サン＝テティエンヌぞうへいしょう, フランス語ふらんすご: Manufacture d'armes de Saint-Étienne, 略称りゃくしょう MAS) は、フランス中ちゅう南部なんぶロワール県けんのサン＝テティエンヌに存在そんざいした工廠こうしょう/造兵ぞうへい廠しょう（軍需ぐんじゅ品ひん・兵器へいき工場こうじょう）である。1760年代ねんだいに設立せつりつされ、以来いらい200年ねん以上いじょうに渡わたりフランス軍ぐん用ようの銃器じゅうきの開発かいはつおよび製造せいぞうを担になっていた事ことで知しられている。

歴史れきし

サン＝テティエンヌは中世ちゅうせい時代じだいから狩猟しゅりょう用ようや戦闘せんとう用ようのナイフや剣けんなどの生産せいさんで有名ゆうめいであり、1665年ねんにフランス王室おうしつ直属ちょくぞくの武器ぶき備蓄びちく庫こが開設かいせつされる際さいにはサン＝テティエンヌで武器ぶきの生産せいさんが行おこなわれた。

1764年ねん、ルイ15世せいの時代じだいに国営こくえいシャルルヴィル造兵ぞうへい廠しょう長官ちょうかんの命令めいれいでサン＝テティエンヌ造兵ぞうへい廠しょう (フランス語ふらんすご: Manufacture d'armes de Saint-Étienneが設立せつりつされた。1789年ねんのフランス革命かくめいが始はじまる頃ころには年間ねんかん12,000丁ちょうの銃器じゅうきを生産せいさんしており、革命かくめいが始はじまると非ひキリスト教化きょうか運動うんどうの影響えいきょうを受うけ、キリスト教きりすときょうの聖人せいじんステファノに由来ゆらいするサン＝テティエンヌの町まちの名なは、Armeville（アルムヴィル, 武器ぶきの街まち）と呼よばれるようになり、工廠こうしょうでは革命かくめい軍ぐん向むけの武器ぶきを生産せいさんした。

フランス第だい一いち帝政ていせい時代じだいになると、大陸たいりく軍ぐんに充分じゅうぶんな火器かきを供給きょうきゅうするため、サン＝テティエンヌ造兵ぞうへい廠しょうの生産せいさん量りょうは増加ぞうかし、7月がつ王政おうせいの時代じだい、1838年ねんにサン＝テティエンヌ造兵ぞうへい廠しょうのオーナーが工場こうじょうを政府せいふに売却ばいきゃくした頃ころには、年間ねんかんの銃器じゅうき生産せいさん数すうは最大さいだい30,000丁ちょう程度ていどにまで増加ぞうかしていた。

フランス第だい二に帝政ていせいの時代じだいには更さらなる武器ぶきの生産せいさん能力のうりょくが求もとめられるようになり、1862年ねんから1870年ねんにかけて新しん工場こうじょうおよび付随ふずい施設しせつが建設けんせつされ、新型しんがたの蒸気じょうき機関きかんを動力どうりょくとする工作こうさく機械きかいが導入どうにゅうされた。これによりサン＝テティエンヌ造兵ぞうへい廠しょうの銃器じゅうき生産せいさん能力のうりょくは年間ねんかん20万まん丁ちょうにまで向上こうじょうし、1866年ねんからはフランス軍ぐん向むけのシャスポー銃じゅうの生産せいさんが始はじまり、1874年ねんからは改良かいりょうされたグラース銃じゅうの生産せいさんが行おこなわれた。

1886年ねんからはシャテルロー造兵ぞうへい廠しょうでルベルM1886小銃しょうじゅうの生産せいさんが始はじまり、サン＝テティエンヌ造兵ぞうへい廠しょうもルベル小銃しょうじゅうの生産せいさんを行おこなった。1894年ねんにはサン＝テティエンヌ造兵ぞうへい廠しょうは軍事ぐんじ省しょうの管轄かんかつする施設しせつという位置付いちづけになった。

1930年代ねんだい後期こうきにはルベル小銃しょうじゅうやベルティエ小銃しょうじゅうの後継こうけいとして、サン＝テティエンヌ造兵ぞうへい廠しょうが開発かいはつに携たずさわったMAS 36小銃しょうじゅうの生産せいさんが始はじまった。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん終結しゅうけつ後ごの1949年ねんにはMAS 49半はん自動じどう小銃しょうじゅうの量産りょうさんが開始かいしされた。これは、サン＝テティエンヌ造兵ぞうへい廠しょうが第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん以前いぜんからMAS-40、MAS-44として開発かいはつ・研究けんきゅうを進すすめてきた国産こくさん自動じどう小銃しょうじゅうの一ひとつの完成かんせい形がたとしてフランス陸軍りくぐんに採用さいようされた。

1960年代ねんだいに入はいるとサン＝テティエンヌ造兵ぞうへい廠しょうは新型しんがた自動じどう小銃しょうじゅう（アサルトライフル）の開発かいはつを始はじめ、1977年ねんにブルパップ式しきアサルトライフルのFA-MASがフランス陸軍りくぐんに採用さいようされた。FA-MASは小しょう改良かいりょうを受うけながら2010年代ねんだいに至いたるまで現役げんえきで運用うんようされている。

サン＝テティエンヌ造兵ぞうへい廠しょうの規模きぼは徐々じょじょに縮小しゅくしょうされ、1989年ねんには国営こくえい防衛ぼうえい企業きぎょうGIATインダストリーズ の傘下さんかとなり、2001年ねんにサン＝テティエンヌ造兵ぞうへい廠しょうの工場こうじょうは稼動かどうを停止ていしした。工場こうじょうの跡地あとちは、南側みなみがわは住宅じゅうたく地ちとなり、中央ちゅうおう部ぶは工業こうぎょうデザインの研究けんきゅうや教育きょういくを目的もくてきとしたシテ・デュ・デザイン (デザインの街まち)と呼よばれる施設しせつとして再さい整備せいびされ、北側きたがわはGIAT/ネクスターグループとも関連かんれんする視覚しかく光学こうがく機器ききの研究けんきゅう開発かいはつ施設しせつとなっている。

また、1860年代ねんだいに建設けんせつされた工場こうじょうや付随ふずい施設しせつの一部いちぶは、2006年ねんに歴史れきし的てき建造けんぞう物ぶつとして保護ほごされる指定していを受うけた。

主おもな開発かいはつ・生産せいさん製品せいひん

• 1864年ねん：タバティエール銃じゅうの生産せいさん。
• 1866年ねん：シャスポー銃じゅうの生産せいさん。
• 1873年ねん：MAS M1873リボルバーの生産せいさん。
• 1874年ねん：グラース銃じゅうの生産せいさん。
• 1886年ねん：ルベルM1886小銃しょうじゅうの生産せいさん。
• 1890年ねん：ベルティエ小銃しょうじゅうの生産せいさん。
• 1892年ねん：MAS M1892リボルバーの開発かいはつおよび生産せいさん。
• 1917年ねん：サン＝テティエンヌ Mle1907機関きかん銃じゅう。ピュトー工廠こうしょうで開発かいはつされたピュトー APX M1905機関きかん銃じゅうを改良かいりょうし、量産りょうさんした。
• 1936年ねん：MAS 36小銃しょうじゅう。開発かいはつおよび生産せいさん。
• 1938年ねん：MAS-38短たん機関きかん銃じゅう。開発かいはつおよび生産せいさん。
• 1949年ねん：MAS 49半はん自動じどう小銃しょうじゅう。開発かいはつおよび生産せいさん。
• 1949年ねん：MAT 49短たん機関きかん銃じゅう。チュール造兵ぞうへい廠しょうで開発かいはつされたMAT 49短たん機関きかん銃じゅうの生産せいさん。
• 1950年ねん：MAS 50自動じどう拳銃けんじゅう。シャテルロー造兵ぞうへい廠しょうで開発かいはつされたMAC 50のサン＝テティエンヌ造兵ぞうへい廠しょうでの生産せいさんモデル。
• 1952年ねん：AA-52汎用はんよう機関きかん銃じゅう。
• 1958年ねん：MAC-58重じゅう機関きかん銃じゅう。口径こうけい12.7mm、試作しさくのみ。
• 1966年ねん：FR F1狙撃そげき銃じゅう。開発かいはつおよび生産せいさん。
• 1975年ねん：FA-MASアサルトライフル。開発かいはつおよび生産せいさん。
• 1986年ねん：FR F2狙撃そげき銃じゅう。開発かいはつおよび生産せいさん。
• 1989年ねん：PA-MAS G1自動じどう拳銃けんじゅう。ベレッタ 92のライセンス生産せいさん。

画像がぞう

• 
  MAS M1873リボルバー
• 
  MAS M1892リボルバー
• 
  MAS-36小銃しょうじゅう
• 
  MAS-38短たん機関きかん銃じゅう
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  MAS-49半はん自動じどう小銃しょうじゅう
• 
  FA-MAS F1およびG2
• 
  FR F2狙撃そげき銃じゅう

参考さんこう文献ぶんけん

• Le Revolver réglementaire Chamelot-Delvigne Modèle 1873, par Bastié et Casanova, Éditions H&L, 2001
• Connaissance du revolver français Modèle 1873, par Gérard Henrotin, Éditions H&L, 2011.
• L'armateur préféré de Beaumarchais Jean Peltier Dudoyer, de Nantes à l'Isle de France, par Tugdual de Langlais, Éd. Coiffard, 2015, 340 p. (ISBN 9782919339280).
• Historique de la Manufacture d'Armes de Guerre de Saint-Etienne, par le Capitaine Raymond Dubessy, 1900
• Danel, Raymond and Cuny, Jean. L'aviation française de bombardement et de renseignement (1918/1940), Docavia n°12, Editions Larivière.
• De Vries, G. and Martens, B.J. The MKb 42, MP43, MP44 and the Sturmgewehr 44, Propaganda Photo Series, Volume IV, Special Interest Publicaties BV, Arnhem, The Netherlands, First Edition, 2001.
• Ezell, Edward Clinton. Small Arms of the World, Arms & Armour Press, London, 1977, Eleventh edition.
• Ferrard, Stéphane. France 1940 l'armement terrestre, ETAI, 1998. ISBN 2-7268-8380-X
• Gotz, Hans Dieter. German Military Rifles and Machine Pistols, 1871-1945, Schiffer Publishing, West Chester, Pennsylvania, 1990. OCLC 24416255
• Huon, Jean. Les fusils d'assaut français, Editions Barnett, 1998. ISBN 2-9508308-6-2.
• Pelletier, Alain. French Fighters of World War II, Squadron/Signal Publications, Inc., Carrollton, Texas, 2002. ISBN 0-89747-440-6
• Smith, W.H.B. Small Arms of the World : The Basic Manual of Military Small Arms, Stackpole Books, Harrisburg, Pa., 1955. OCLC 3773343
• Wollert, Günter; Lidschun, Reiner; Kopenhagen, Wilfried. Illustrierte Enzyklopädie der Schützenwaffen aus aller Welt: Schützenwaffen heute (1945–1985), Militärverlag der Deutschen Demokratischen Republik, Berlin, 1988. OCLC 19630248

関連かんれん項目こうもく

• シャテルロー造兵ぞうへい廠しょう
• ピュトー工廠こうしょう