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シトクロムcオキシダーゼ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
シトクロムcオキシダーゼ
リン脂質ししつ重層じゅうそうないにあるウシのシトクロムcオキシダーゼの構造こうぞうまくあいだスペースは画像がぞう上方かみがたPDB: 1OCC​より。
蛋白質たんぱくしつ構造こうぞうデータバンク 今月こんげつ分子ぶんし005:シトクロムc酸化さんか酵素こうそ(Cytochrome c Oxidase)
識別子しきべつし
EC番号ばんごう 1.9.3.1
CAS登録とうろく番号ばんごう 9001-16-5
データベース
IntEnz IntEnz view
BRENDA BRENDA entry
ExPASy NiceZyme view
KEGG KEGG entry
MetaCyc metabolic pathway
PRIAM profile
PDB構造こうぞう RCSB PDB PDBj PDBe PDBsum
遺伝子いでんしオントロジー AmiGO / QuickGO
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シトクロムcオキシダーゼ (cytochrome c oxidase, COX) またはふく合体がったいIV(Complex IV)またはcytochrome a3 は、バクテリアおよびミトコンドリアられるまく貫通かんつうタンパク質たんぱくしつふく合体がったいひとつである。

ミトコンドリアまく(またはバクテリアまく)における電子でんし伝達でんたつけい最後さいご酵素こうそであり、4分子ぶんしシトクロムcからそれぞれ電子でんしり、酸素さんそ1分子ぶんし転移てんいさせ2分子ぶんしみず変換へんかんする機能きのうつ。この過程かていでは、マトリックス由来ゆらいの4のプロトンからみず生成せいせいされるのと同時どうじに4のプロトンがマトリックスからまくあいだスペース透過とうかする。これにより発生はっせいしたまくあいだ電気でんき化学かがくポテンシャルATP合成ごうせい酵素こうそによるATP合成ごうせいもちいられる。

構造こうぞう

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ふく合体がったいIVは、哺乳類ほにゅうるいでは、いくつかの金属きんぞく補欠ほけつ分子ぶんしぞく部位ぶいと13のタンパク質たんぱくしつサブユニットから構成こうせいされる巨大きょだい内在ないざいせいまくタンパク質たんぱくしつである。哺乳類ほにゅうるいでは、10のサブユニットはかく由来ゆらいで、のこりの3はミトコンドリアで合成ごうせいされる。ふく合体がったいIVには2しゅヘム(ヘムa 、ヘムa 3)、2しゅどう中心ちゅうしん(CuAとCuB)がふくまれている[1]。2種類しゅるいのヘム(ヘムa、ヘムa 3)とCuBはサブユニットIに位置いちし、2のCuAはサブユニットIIにはいしている。サブユニットIのヘムa 3とCuBはそれぞれでかく中心ちゅうしん形成けいせいし、酸素さんそ還元かんげん部位ぶいとなっている。

シトクロムc は、ふく合体がったいIIIのシトクロムc 1によって還元かんげんされたのちふく合体がったいIVのCuAかく中心ちゅうしん結合けつごうし、シトクロムcてつ中心ちゅうしんはFe2+からFe3+酸化さんかされる。還元かんげんされたCuAかく中心ちゅうしんはその電子でんしをヘムaおくり、さらにそこからヘムa 3-CuBかく中心ちゅうしんおくられる。このかく中心ちゅうしんの2金属きんぞくイオンは4.5 Åはなれており、十分じゅうぶん酸化さんか状態じょうたい水酸化物すいさんかぶつイオンにはいしている。

シトクロムc結晶けっしょうがくてき研究けんきゅうでは、Tyr(244)のC6とHis(240)のεいぷしろん-Nが結合けつごうするという独特どくとく翻訳ほんやく修飾しゅうしょくられた(ウシのクロムcオキシダーゼでの酵素こうそナンバーリング)。これにより、ヘムa 3-CuBかく中心ちゅうしんが4電子でんしって酸素さんそ分子ぶんしみず還元かんげんするというきわめて重要じゅうよう役割やくわり可能かのうになっている。以前いぜんは、還元かんげん機構きこう酸化さんかぶつちゅうあいだたい関与かんよしているとかんがえられ、それがちょう酸化さんかぶつ生成せいせいつながっているとかんがえられていた。しかし、現代げんだいでは、4電子でんし還元かんげんによって酸素さんそ-酸素さんそ結合けつごうひらけきれする反応はんのう機構きこう支持しじされており、ちょう酸化さんかぶつ形成けいせいしそうななかあいだたいけられている[2]

生化学せいかがく

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反応はんのう概要がいよう

フェロシトクロムフェリシトクロム

ここで、

フェロシトクロム = シトクロム
フェリシトクロム = シトクロム

まず、2電子でんしがシトクロムcから、CuAかく中心ちゅうしんとヘムa通過つうかして、ヘムa 3-CuBかく中心ちゅうしんいたり、このFe3+はFe2+に、Cu2+はCu+還元かんげんされる。このときそれぞれの金属きんぞくイオンにはいしていたヒドロキシルはいはプロトンされてみずとしてうしなわれ、金属きんぞくあいだ酸素さんそ分子ぶんしはい空間くうかんつくられる。酸素さんそはFe2+-シトクロム c由来ゆらいの2電子でんしにより迅速じんそく還元かんげんされ、フェリオキソがた(Fe+4=O)に変換へんかんされる。CuBがわ酸素さんそ原子げんしはCu+からの1電子でんしと、Tyr(244)の由来ゆらいの1電子でんしと1プロトンをりヒドロキシはい変換へんかんされる。このときTyr(244)はチロシルラジカルとなる。べつのシトクロムc から発生はっせいする3番目ばんめ電子でんしはじめの2しゅ電子でんしキャリアーからヘムa 3-CuBいたり、この電子でんしと2プロトンによりチロシルラジカルがチロシンにもどり、そしてヒドロキシドはCuB2+結合けつごう水分すいぶんとなる。同様どうように4番目ばんめ電子でんしはじめの2しゅ電子でんしキャリアーからヘムa 3-CuBいたることによりFe+4=OがFe+3還元かんげんされ、同時どうじ酸素さんそ原子げんしがプロトンをり、ヘムa 3-CuBがこのサイクルのはじめの状態じょうたいもどる。まとめると、4分子ぶんし還元かんげんがたシトクロムc と4のプロトンがもちいられ酸素さんそ分子ぶんしを2分子ぶんしみず還元かんげんしていることになる。

抑制よくせい

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シアニドスルフィドアジドおよび一酸化いっさんか炭素たんそ[3]すべてがシトクロムcオキシダーゼに結合けつごうし、拮抗きっこうてき阻害そがいおよぼし細胞さいぼう化学かがくてき窒息ちっそく状態じょうたいにさせる。また、メタノール(メチルざい)はホルムアルデヒド変換へんかんされ、こちらもおなじようにけい阻害そがいする。

資料しりょう画像がぞう

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Tsukihara T., Aoyama H., Yamashita E., Tomizaki T., Yamaguchi H., Shinzawa-Itoh K., Nakashima R., Yaono R., Yoshikawa S. (1995) Structures of metal sites of oxidized bovine heart cytochrome c oxidase at 2.8 Å. Science 269, 1069-1074
  2. ^ Voet D., Voet JG (2004) Biochemistry, 3rd Edition. John Wiley & Sons, pps. 818-820
  3. ^ Alonso J, Cardellach F, López S, Casademont J, Miró O (2003). “Carbon monoxide specifically inhibits cytochrome c oxidase of human mitochondrial respiratory chain”. Pharmacol Toxicol 93 (3): 142–6. doi:10.1034/j.1600-0773.2003.930306.x. PMID 12969439. 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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