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シーマン反応はんのう

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シーマン反応はんのう(—はんのう、Schiemann reaction)は、芳香ほうこうぞくジアゾニウムテトラフルオロホウさんしお (ArN2+ BF4-) をねつ分解ぶんかいにより芳香ほうこうぞくフッ化物ばけもの (ArF) へと変換へんかんする、有機ゆうき化学かがくにおける化学かがく反応はんのうのひとつである。バルツ・シーマン反応はんのう (Balz-Schiemann reaction) ともばれる。この反応はんのう形式けいしき芳香ほうこうぞくもとめかく置換ちかん反応はんのう分類ぶんるいされる。

シーマン反応
シーマン反応はんのう

シーマン反応はんのう[1]もとづく芳香ほうこうぞくフッ化物ばけもの合成ごうせいほうについて、一連いちれん反応はんのうしきうえしめす。

まず、アニリン誘導体ゆうどうたい 1硝酸しょうさんテトラフルオロホウさん(あるいはそのしお)とを順番じゅんばん作用さようさせてジアゾニウムテトラフルオロホウさんしお 2沈殿ちんでんとする。これをけ、さらに加熱かねつすると、窒素ちっそ (N2) とさんフッホウ素ほうそ (BF3) を放出ほうしゅつしながら生成せいせいぶつ 4わる。このうち後半こうはんの、ジアゾニウムしお 2 からフッ化物ばけもの 4 までの部分ぶぶんがシーマン反応はんのうであり、1927ねんにバルツとシーマンにより発見はっけんされたねつ分解ぶんかい反応はんのうである[2]

アニリン誘導体ゆうどうたい 1ジアゾする条件じょうけんは、硝酸しょうさんナトリウム塩酸えんさんわせが伝統でんとうてきであるが、硝酸しょうさんエステルなどをもちいて有機ゆうき溶媒ようばいちゅうおこなうこともある。けいちゅう発生はっせいするジアゾニウムイオンを、テトラフルオロホウさん、あるいはそのナトリウムしお、あるいはさんフッホウ素ほうそなどで捕捉ほそくすると、ジアゾニウムテトラフルオロホウさんしお 2おおくの場合ばあい沈殿ちんでんとしてあらわれるので、これをけてもちいる。ねつ分解ぶんかい(シーマン反応はんのう)の段階だんかいおさむりつ置換ちかんもと種類しゅるいによりさまざまで、置換ちかん、あるいは電子でんし供与きょうよもと基質きしつではたかおさむりつでフッ化物ばけものられる場合ばあいおおいが、一方いっぽうニトロもとなどの電子でんしもとめ引基おさむりつをかなり低下ていかさせてしまう。


シーマン反応はんのうは、アリールカチオン 3中間ちゅうかんからだとする SN1 かた機構きこうすすむものとされている。2ねつ分解ぶんかいすると 3しょうじることは、捕捉ほそく実験じっけんにより間接かんせつてき確認かくにんされている。電子でんしもとめ引基によるおさむりつ低下ていかは、3不安定ふあんてい由来ゆらいする。


ねつ分解ぶんかい代替だいたいほうとして、どう触媒しょくばいによる活性かっせい[3]ひかり分解ぶんかい[4]による手法しゅほう報告ほうこくされている。また、ジョージ・オラーらは、30% ピリジン-70% フッ水素すいそ混合こんごう溶媒ようばいちゅうで、アニリン誘導体ゆうどうたい硝酸しょうさん処理しょりして加熱かねつすると、ワンポットでフッ化物ばけものられることを報告ほうこくした[5]。この方法ほうほうではテトラフルオロホウさんしおたんはなれする必要ひつようはないのだが、電子でんしもとめ引基を基質きしつではアリールカチオンからプロトンがだつはなしてベンザインとなり、意図いとしない部位ぶいフッ素ふっそ導入どうにゅうされた生成せいせいぶつがあらわれる[6]


フッ素ふっそ原子げんし芳香ほうこうたまきうえ位置いち選択せんたくてき導入どうにゅうする手法しゅほうは、のハロゲンの場合ばあいくら選択肢せんたくしかぎられている。シーマン反応はんのう欠点けってんおおいが、条件じょうけん検討けんとうされながら現在げんざいもなおもちいられるフッ素ふっそほうである。


関連かんれん項目こうもく

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参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ 総説そうせつ:Roe, A. Org. React. 1949, 5, 193.
  2. ^ Balz, G.; Schiemann, G. Ber. Dtsch. Chem. Ges. 1927, 60, 1186.
  3. ^ Bergmann, E. D.; Berkovic, S.; Ikan, R. J. Am. Chem. Soc., 1956, 78, 6037.
  4. ^ Petterson, R. C.; DeMaggio, A.; Herbert, A. L.; Haley, T. J.; Mykytka, J. P.; Sarkar, I. M. J. Org. Chem. 1971, 36, 631.
  5. ^ Olah, G. A.; Welch, J. T.; Vankar, Y. D.; Nojima, M.; Kerekes, I.; Olah, J. A. J. Org. Chem. 1979, 44, 3872.
  6. ^ Olah, G. A.; Welch, J. J. Am. Chem. Soc. 1975, 97, 208.