出典 しゅってん : フリー百科 ひゃっか 事典 じてん 『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジオ (Geo )は、かつてGM がアメリカ とカナダで展開 てんかい していた自動車 じどうしゃ 販売 はんばい チャネル である。ブランドキャッチコピーは「Get To Know 」。当時 とうじ 輸入 ゆにゅう 車 しゃ が勢力 せいりょく を拡大 かくだい していた小型車 こがたしゃ 市場 いちば において競争 きょうそう 力 りょく を高 たか めるために企画 きかく されたチャネルであった。1989年 ねん から1997年 ねん までシボレー の代理 だいり 店 てん を通 とお して販売 はんばい されていた。
ジオはGMの数 かず ある販売 はんばい チャネルの中 なか でも、シボレーの下位 かい に設定 せってい された最 さい 廉価 れんか のチャネルであった。設定 せってい された車種 しゃしゅ は、いずれも当時 とうじ 日本 にっぽん メーカーで生産 せいさん されていたモデルがベースとなっているか、または共同 きょうどう 開発 かいはつ されたものであり、いわゆるバッジエンジニアリング にあたるものが殆 ほとん どであった。各車 かくしゃ はGMがトヨタ自動車 とよたじどうしゃ と設立 せつりつ した合弁 ごうべん 会社 かいしゃ である「NUMMI 」(ヌーミ)、業務 ぎょうむ 提携 ていけい 関係 かんけい にあったスズキ 、スズキとGMカナダの合弁 ごうべん 会社 かいしゃ の「CAMI 」(カミ)、かつてのグループ企業 きぎょう であったいすゞ によって生産 せいさん されていた。
販売 はんばい ラインナップは小型 こがた のSUV 、セダン 、クーペ 、ハッチバック 等 ひとし であり、日本 にっぽん 車 しゃ と同等 どうとう の品質 ひんしつ でありながら北米 ほくべい 産 さん 自動車 じどうしゃ として販売 はんばい されていた為 ため に、車体 しゃたい 価格 かかく は輸入 ゆにゅう 時 じ に課税 かぜい された日本 にっぽん 車 しゃ に比 くら べても安価 あんか に抑 おさ えられていた。これは完全 かんぜん に小型車 こがたしゃ 市場 いちば の競争 きょうそう 力 りょく に注力 ちゅうりょく したもので、またこれらの安価 あんか な小型車 こがたしゃ はセクレタリーカーと呼 よ ばれ、購買 こうばい 層 そう は主 おも に若年 じゃくねん 層 そう をメインターゲットとしていた。
ジオはシボレー代理 だいり 店内 てんない で販売 はんばい されていたが、シボレーとは別 べつ チャネルとして展開 てんかい していたいわば姉妹 しまい ブランドともいえる扱 あつか いであった。安価 あんか なシボレー車 しゃ のラインナップの中 なか でも、購買 こうばい 層 そう を絞 しぼ った別枠 べつわく の車種 しゃしゅ 群 ぐん として設定 せってい された。そのためジオのエンブレムはその語源 ごげん である「地球 ちきゅう 」のシンボルの中心 ちゅうしん にシボレーのボウタイをあしらったものとなっている。この戦略 せんりゃく 構想 こうそう は後 のち にトヨタが展開 てんかい することになる「サイオン 」に通 つう じる部分 ぶぶん もあるが、結果 けっか としてこの棲 す み分 わ けは成功 せいこう したとはいえず、ジオはシボレーと同一 どういつ 視 し されることが多 おお かった。
販売 はんばい 戦略 せんりゃく 自体 じたい はブランド立 だ ち上 あ げ初期 しょき のコンパクトカーブームもあり当初 とうしょ は成功 せいこう を収 おさ めた。しかしラインナップ車種 しゃしゅ でモデル更新 こうしん が行 おこな われたモデルが少 すく なかった、また別 べつ チャネルによる同 どう 一 いち クラスでのモデル競合 きょうごう の発生 はっせい 等 とう による販売 はんばい 戦略 せんりゃく の迷走 めいそう 、そして1990年代 ねんだい 後半 こうはん からのSUVブームに販売 はんばい が押 お された等 ひとし の理由 りゆう により徐々 じょじょ に衰退 すいたい を見 み せてゆき、GMの経営 けいえい 方針 ほうしん の転換 てんかん による販売 はんばい チャネルの統合 とうごう ・整理 せいり の折 おり もあり、1997年 ねん にはブランドとしてのジオはシボレーに吸収 きゅうしゅう され、販売 はんばい チャネルは店頭 てんとう から消 き えた。
その後 ご いくつかのモデルはシボレー名義 めいぎ で販売 はんばい が継続 けいぞく されたが、2004年 ねん の「トラッカー(日本 にっぽん 名 めい :エスクード)」の販売 はんばい 終了 しゅうりょう とともにジオの系譜 けいふ は完全 かんぜん に消滅 しょうめつ した。
車種 しゃしゅ
初 はつ 登場 とうじょう 年 ねん
販売 はんばい 終了 しゅうりょう 年 ねん
世代 せだい 数 すう
備考 びこう
Storm
ストーム
1990年 ねん
1993年 ねん
FFのコンパクト2ドアクーペ、及 およ び3ドアハッチバック。日本 にっぽん 名 めい 「いすゞ・PAネロ 」。クーペモデルは手 て ごろな価格 かかく で手 て に入 はい るスペシャリティカーであり、日本 にっぽん とは異 こと なり、月販 げっぱん 1万 まん 台 だい を超 こ えることもあるなど、なかなかの販売 はんばい 台数 だいすう であった。エンジンは1.6リッターSOHCと1.6リッターDOHCのラインナップであり、日本 にっぽん にあったターボモデルは展開 てんかい されていない。後 のち にマイナーチェンジで1.8リッターDOHCが追加 ついか されている。1993年 ねん に生産 せいさん 元 もと であるいすゞ自動車 ずじどうしゃ の乗用車 じょうようしゃ 生産 せいさん からの撤退 てったい により販売 はんばい 終了 しゅうりょう 。
Spectrum
スペクトラム
1989年 ねん
FFのコンパクト4ドアセダン、及 およ び3ドアハッチバック。日本 にっぽん 名 めい 「いすゞ・ジェミニ 」。1年 ねん で販売 はんばい を終了 しゅうりょう した短命 たんめい なモデルである。スペクトラムはもともとシボレー名義 めいぎ で販売 はんばい されていたもので、この頃 ころ にはすでにモデル末期 まっき であったが、ジオ立 だ ち上 あ げ時 じ にブランドに組 く み入 い れられた。いわば新 しん 車種 しゃしゅ 導入 どうにゅう までのつなぎの役割 やくわり であった。なお、販売 はんばい 当時 とうじ の名称 めいしょう はブランド黎明 れいめい 期 き であったことから「シボレー・ジオ・スペクトラム」となっており、フロントグリルのエンブレムはボウタイ、リアにジオのロゴが表記 ひょうき されていた。またシボレー・スペクトラムとはフェイス回 まわ りが若干 じゃっかん 異 こと なっている。
Tracker
トラッカー
1989年 ねん
2004年 ねん
4WDの「コンパクトSUV」。2ドアコンバーチブル、2ドア及 およ び4ドアメタルトップ。ミニマムクロスカントリーカーとして、様々 さまざま な意味 いみ で話題 わだい となった「スズキ・サムライ」(ジムニー の北米 ほくべい 販売 はんばい 名 めい )とは異 こと なり、スタイリングと乗 の り味 あじ を乗用車 じょうようしゃ テイストとし、ユーザー層 そう を広 ひろ げることに成功 せいこう した。日本 にっぽん 名 めい 「スズキ・エスクード 」。街 まち 乗 の りからオフロードまでこなせる万能 ばんのう モデルとして、ジオとしては最 もっと も販売 はんばい に力 ちから を注 そそ いでいた。ジオの中 なか では最 もっと も息 いき の長 なが かったモデルであり、ジオ消滅 しょうめつ 後 ご にはシボレーに組 く み入 い れられることとなる。その際 さい にモデルチェンジし(エスクードの2代目 だいめ に相当 そうとう )「シボレー・トラッカー」として販売 はんばい が継続 けいぞく された。
Prizm
プリズム
1990年 ねん
2002年 ねん
FFのコンパクト4ドアセダン。唯一 ゆいいつ のジオオリジナルモデルであり、スペクトラムの後継 こうけい 車種 しゃしゅ として発売 はつばい 。入門 にゅうもん 用 よう セダンとしての位置付 いちづ けで販売 はんばい された。プリズムはトヨタ・スプリンター がベースとなっている。初代 しょだい モデルには4A-GE エンジンの設定 せってい もあり、ややスペシャリティー色 しょく の強 つよ いモデルである。生産 せいさん はGMとトヨタの合弁 ごうべん 会社 かいしゃ であるNUMMIで行 おこな われた。しかし、GMはこのクラスにシボレーブランドで「キャバリエ 」を持 も っており、社内 しゃない で同 どう 一 いち コンセプトで価格 かかく 帯 たい も近 ちか い2つのモデルが競合 きょうごう する事態 じたい となっていた。そのためシボレー販売 はんばい 店 てん では、しばしばプリズムの扱 あつか いに苦慮 くりょ することとなる。これはジオのブランド戦略 せんりゃく としての混迷 こんめい 振 ぶ りを端的 たんてき にあらわしていた。ジオ消滅 しょうめつ 後 ご にはシボレーブランドに統合 とうごう され、USカローラ110系 けい 前期 ぜんき ベースの「シボレー・プリズム」としてモデルチェンジし、1.8リッター1ZZ-FEエンジン(VVT-i)を搭載 とうさい して2002年 ねん まで販売 はんばい が継続 けいぞく された。このような経緯 けいい であったが、さすがにベースの素性 すじょう が良 よ かったのか全 ぜん 代 だい 通 とお して計 けい 99万 まん 8千 せん 台 だい の販売 はんばい 台数 だいすう を記録 きろく している。モデルチェンジ時 じ にはキャバリエと車種 しゃしゅ 統合 とうごう され「シボレー・コバルト 」となった。
Metro
メトロ
1989年 ねん
2001年 ねん
FFのコンパクト2ドアコンバーチブル、3,5ドアハッチバック、及 およ びカナダ専売 せんばい の4ドアセダン。日本 にっぽん 名 めい 「スズキ・カルタス 」。北米 ほくべい において販売 はんばい されていた「シボレー・スプリント」を、ジオ立 だ ち上 あ げ時 じ にブランドに組 く み入 い れた。パワーは少 すく なかったが、その燃費 ねんぴ と使 つか い勝手 がって のよさ、そして競合 きょうごう 車種 しゃしゅ が少 すく なかったため、サブコンパクトとしては異例 いれい のヒットとなった。