スポーツ・ユーティリティ・ビークル

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
トヨタ・RAV4

スポーツ・ユーティリティ・ビークル英語えいご: Sport utility vehicle, SUV)とは、自動車じどうしゃ形態けいたいひとつ。日本語にほんごでは「スポーツよう多目的たもくてきしゃ」とやくされる。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

SUVには様々さまざま種類しゅるい出自しゅつじ存在そんざいするため明確めいかく定義ていぎ存在そんざいせず、メディア、辞書じしょ、ジャーナリストのあいだでも意見いけんかれている。近年きんねんはあまりに多様たよう進行しんこうしているため、「カテゴライズをかく消費しょうひしゃゆだねたものがSUVだ」という意見いけんまである[1]

現在げんざい一般いっぱんてきにSUVとばれるものは

  1. ピックアップトラック荷台にだいに「シェル」とばれる居住きょじゅうしつ空間くうかんつくり、ステーションワゴンのような形状けいじょうにしたもの。米国べいこく発祥はっしょう
  2. 地上ちじょうだかたかくしたりラダーフレーム構造こうぞう採用さいようしたりするなど、本格ほんかくオフロード(あく走行そうこうけに設計せっけいされたよんりん駆動くどうくるま →「クロスカントリーしゃ」(クロカン)。おも軍用ぐんよう車両しゃりょう発祥はっしょう中心ちゅうしんとして各国かっこく進化しんかなかには3BOXスタイルのセダンかたもある。
  3. クロスオーバーSUV」(CUV)と定義ていぎされるものには以下いかの2つがある。
    1. モノコック構造こうぞうで1.と2.のようなSUVふう外観がいかんくるま
    2. SUVけい乗用車じょうようしゃ(セダンハッチバックステーションワゴンなど)に1.や2.のようなアイコンとなる装備そうび(たとえばアンダーガードや塗装とそう樹脂じゅしのクラッディングパネル、カンガルーバー、ハイリフトサスペンションやだいみちタイヤ、背面はいめんタイヤなど)を追加ついかするなどしてイメージチェンジをはかったくるま

おおきくけて4つが存在そんざいしている。これらは出自しゅつじこそことなるが、いずれも「ぜんこうたかボンネットかた自動車じどうしゃ」という形状けいじょう共通きょうつうしてっているため、そうしたものの総称そうしょうが「SUV」であるとひろとらえるのが無難ぶなんである。

ただし上記じょうき分類ぶんるいについては消費しょうひしゃ需要じゅよう変化へんか操縦そうじゅう安定あんていせい向上こうじょうNVH低減ていげん軽量けいりょうといった技術ぎじゅつてき変遷へんせんから「ラダーフレーム」や「ピックアップベース」といった分類ぶんるいにこだわることがむずかしくなっており、

  1. キャラクターとしては1または2に分類ぶんるいされるが、「ラダーフレームいち体型たいけいモノコック」という構造こうぞうのため3にも分類ぶんるいされうる(れい:3代目だいめ以降いこう三菱みつびし・パジェロや3代目だいめスズキ・エスクード
  2. 本来ほんらい1または2だったものが、モデルチェンジで完全かんぜんなモノコックとなり、純然じゅんぜんな3となる(れい:2代目だいめランドローバー・ディフェンダーや4代目だいめスズキ・エスクード)

といった位置いち車種しゃしゅ存在そんざいする。

くるまかくによってもちいさいじゅんに「ミニSUV(サブコンパクトSUV)」「コンパクトSUV」「ミッドサイズSUV」「フルサイズSUV」「エクステンド・レングスSUV(北米ほくべいのみ)」にけられるが、これらにも明確めいかく定義ていぎ存在そんざいしない。たとえば日本人にっぽんじん感覚かんかくではホンダ・ヴェゼルはコンパクトSUV、三菱みつびし・アウトランダーはミッドサイズSUVだが、欧米おうべい感覚かんかくではヴェゼルはミニSUV、アウトランダーはコンパクトSUVに分類ぶんるいされる。

アメリカの場合ばあい[編集へんしゅう]

フォード・モデルT デポハック
ウィリス・ジープMC

「SUV」という名称めいしょう最初さいしょ一般人いっぱんじんあいだ定着ていちゃくしたのは1980年代ねんだいのアメリカの、ジープ・XJチェロキーだいヒット以降いこうであるが、具体ぐたいてき起源きげんについては諸説しょせつあり、明確めいかくにはかっていない。

1910年代ねんだいから1930年代ねんだいフォード・モデルTに『デポハック』とばれる、たかステーションワゴンのような形状けいじょうの、鉄道てつどうえきから目的もくてきまできゃく荷物にもつ輸送ゆそうする目的もくてき自動車じどうしゃ存在そんざいした[2]。これは現代げんだいのSUVにきわめてちかシルエットをしており、これをSUVの原型げんけいだと主張しゅちょうするせつもある。

1940年代ねんだいだい世界せかい大戦たいせんではジープダッジ WC戦場せんじょうようよんりん駆動くどうしゃとして[注釈ちゅうしゃく 1]戦後せんご民生みんせいようとしても販売はんばいされるようになると、とくにジープは、積載せきさいせい走破そうはせいたかさから業務ぎょうむよう・オフロード走行そうこう野外やがい探検たんけん・レジャーようなどとして一部いちぶから人気にんきあつめるようになった。

1960年代ねんだいピックアップトラック荷台にだいシェルばれるFRPせいハードトップせてステーションワゴンのようなスタイルにしたものがかくメーカーから登場とうじょうした。このシェルは登場とうじょうしたころ着脱ちゃくだつ可能かのうなものがおおかったが、需要じゅようたかさによる生産せいさん台数だいすう増加ぞうかから、のちにシェルと車体しゃたい一体化いったいかしたものがおお開発かいはつされるようになり、これが今日きょうのSUVのスタイルとなった。アメリカのある辞書じしょでは、SUVは「ライトトラック(ピックアップトラック)のシャシーをベースにつくられたステーションワゴンのようなくるま」、つまりこのタイプのものがSUVとして定義ていぎされている[3]

初代しょだいブロンコの「Sport Utility」

しかし「SUV」という単語たんご正確せいかく起源きげんについてはなぞおおい。1966ねん発売はつばい初代しょだいフォード・ブロンコでは「Sport Utility」というグレードが設定せっていされていたが、これは2人ふたりりのピックアップトラックがたであった。シェルきで今日きょうSUVとぶような形状けいじょうは「Wagon」と名付なづけられていた[4]。1974ねんには「Wagon」がたジープ・チェロキーが、最初さいしょに「SUV」という呼称こしょうをカタログでもちいたとされている[5]が、なぜそのような変化へんかきたのかという経緯けいいについては不明ふめいである。

また語源ごげんという観点かんてんからは、SUVのSの「スポーツ(en:Sport)」とは、当時とうじ北米ほくべい人気にんきはじめていたオフロード走行そうこうすというせつと、おなじく当時とうじ流行りゅうこうしていたアウトドアスポーツ(のために積載せきさい空間くうかんもうけたくるま)という意味いみがあるとするせつ両方りょうほうがある[6]。そしてUVの「ユーティリティ・ビークル(en:Utility_vehicle)」とは、乗用車じょうようしゃたいして商用しょうよう軍用ぐんようなど、なんらかの目的もくてき沿って設計せっけいされた自動車じどうしゃのことである。つまり「多目的たもくてき」は原義げんぎにはく、本来ほんらい誤訳ごやくだが、ほん記事きじちゅうべてきたように、そのなんらかの目的もくてき」がすところの曖昧あいまいさゆえにまれた和訳わやくであるという見方みかたもできる[注釈ちゅうしゃく 2][注釈ちゅうしゃく 3]

モノコック構造こうぞうもちいた初代しょだいジープ・XJチェロキーは、SUVというカテゴリを一般いっぱん大衆たいしゅうにとって身近みぢかなものにした

1970年代ねんだいオイル・ショック排出はいしゅつガス規制きせいとともにCAFE(Corporate Average Fuel Economy=企業きぎょう平均へいきん燃費ねんぴ)が導入どうにゅうされたのち、アメリカ政府せいふよんりん駆動くどうのクロスカントリーしゃもピックアップトラックベースのステーションワゴンもおなじラダーフレーム構造こうぞうということで、ピックアップトラックとおなじく税法ぜいほうじょう有利ゆうりライトトラック分類ぶんるいしていた。1980年代ねんだいにトラックではなく乗用車じょうようしゃベースの、モノコック構造こうぞうのクロスカントリーカーであるAMC・イーグルジープ・XJチェロキー登場とうじょうしヒットをばしたが、これらもメーカーのロビー活動かつどうによってライトトラック分類ぶんるいされ、このときはじめてSUVの呼称こしょう自動車じどうしゃ区分くぶんひとつとして公式こうしきみとめられた[7]。これら3種類しゅるい元々もともと出自しゅつじ性能せいのうこそちがえど、おおくはおな用途ようと購入こうにゅうされていたうえ公的こうてきにもおな分類ぶんるいにされたことで、消費しょうひしゃにもおなじ「SUV」として認識にんしきされていった。

ただし2010年代ねんだい以降いこうは、りん駆動くどう小型こがたクロスオーバーSUVだけは税法ぜいほう恩恵おんけいけられない乗用車じょうようしゃ分類ぶんるいされている。

その地域ちいき場合ばあい[編集へんしゅう]

ランドローバー・ディスカバリー
スバル・フォレスター

SUVという呼称こしょう存在そんざいしなかったヨーロッパオセアニア日本にっぽんなどの地域ちいきでは、オフロードよんりん駆動くどうくるまクロスカントリー(Cross Country、日本にっぽんではクロカンとも)、4WD4×4(Four by Four)などとんだ。またクロカンしゃメーカーの代名詞だいめいしであったジープランドローバーがそのままカテゴリめいとしてもちいられることもあった。そのため欧州おうしゅう日本にっぽん辞書じしょでは、「ワゴンボディのよんりん駆動くどうしゃ」をSUVの定義ていぎとしているものがおお傾向けいこうにある。

その北米ほくべいでSUVとばれている車両しゃりょうがクロスカントリーしゃちか用途ようと・ボディ形状けいじょうつことから、SUVという呼称こしょうもクロカンしゃ言葉ことばとしてひろまった。しかしどう時期じきにはオンロード性能せいのう重視じゅうしクロスオーバーSUVきゅう成長せいちょうして純粋じゅんすいなクロカンしゃ市場いちばうばっていったため、現在げんざいSUVというとクロスオーバーSUVを傾向けいこうつよい。従来じゅうらいのクロスカントリーしゃはSUVにカテゴライズされつつも、専門せんもんてきには以前いぜんどおり「クロスカントリー」「クロカン」「オフローダー」など区別くべつしてばれる。

日本にっぽんでは1980年代ねんだい以降いこう商業しょうぎょう統計とうけい都合つごうからステーションワゴンミニバンSUVをまとめて「RV」とぶことがある。日本にっぽん自動車じどうしゃ販売はんばい協会きょうかい連合れんごうかい統計とうけいじょう区分くぶんにおいてSUVは「ジープがたよんりん駆動くどうしゃワゴンバントラックふくむ(一部いちぶ2WDふくむ)」と定義ていぎされている[8]

よんりん駆動くどうはSUVの歴史れきし意義いぎかかわりがふかく、SUVのシンボルともかんがえられてきたため「よんりん駆動くどうずんばSUVにず」という意見いけん現在げんざいでもしばしられる。しかしSUVの乗用車じょうようしゃすすんだ現在げんざいではりん駆動くどうのみのグレード展開てんかいをする車種しゃしゅ多数たすう登場とうじょうしており、両者りょうしゃをラインナップする車種しゃしゅでもていちゅう価格かかくたいのボリュームゾーンでは、二輪にりん駆動くどう販売はんばい比率ひりつ圧倒的あっとうてき上回うわまわるケースがおお[9]。そのためじょう日本にっぽん自販連じはんれん定義ていぎとおり、おおやけにはよんりん駆動くどうのみをSUVとだんじる風潮ふうちょう減退げんたい傾向けいこうにある。

歴史れきし[編集へんしゅう]

オフローダーとピックアップトラックからの派生はせい[編集へんしゅう]

オープントップのジープ・CJ
シボレー・ブレイサー
キャデラック・エスカレード
SUTを自称じしょうするホンダ・リッジライン

クロカンしゃ(オフロードよんりん駆動くどうしゃ、オフローダー)タイプのSUVはだい世界せかい大戦たいせん発達はったつし、ジープダッジなどが名声めいせいた。戦後せんご軍事ぐんじようよんりん駆動くどうしゃ開発かいはつされ、民間みんかんにも販売はんばいされるようになり、レジャーしゃとして一部いちぶから人気にんきあつめた。最初さいしょのクロカンしゃオープンカータイプのものがおおかったが、のち現在げんざいのようなかたちへと変化へんかした[10]戦時せんじちゅうはオフローダーを手掛てがけていなかったメーカーもそうした車両しゃりょう開発かいはつするようになり、ランドローバー欧州おうしゅう独自どくじ地位ちいきずいた。日本にっぽんでは三菱みつびしがジープのノックダウン生産せいさん権利けんりたため、トヨタはランドクルーザー日産にっさんパトロール発売はつばいした。これらは日本にっぽんRV(レクリエーショナル・ビークル)などとばれるようになり、一部いちぶのアウトドアきに愛好あいこうされた。

1960年代ねんだい北米ほくべいでは、ピックアップトラックをベースにしたどう形状けいじょう車両しゃりょう登場とうじょうはじめた。1961ねんのインターナショナルハーベスター・スカウト (International Harvester Scout)や、1963ねんジープ・ワゴニア(Jeep Wagoneer SJ)はその始祖しそであるとされる。これらに触発しょくはつされたビッグスリーは、2代目だいめフォード・ブロンコシボレー・K5 ブレイザーダッジ・ラムチャージャーなど、フルサイズピックアップの荷台にだいにシェルをかぶせたワゴンをリリースし、一気いっき市民しみんけんていった。現在げんざい乗用車じょうようしゃふくめた販売はんばい台数だいすうで1-2-3めるほどピックアップトラックがこのまれる[11]北米ほくべい市場いちばでは、かつてはこののクルマにはもととなったピックアップにちかスタイルあたえることが販売はんばいじょう有利ゆうりであった。日本にっぽんしゃでは、1960年代ねんだいから北米ほくべい市場いちばへピックアップトラックを輸出ゆしゅつしていたトヨタと日産にっさんの、N60けいハイラックスサーフD21がたけいテラノが2ドアであること、ピックアップ同様どうようのフロントマスクで室内しつないだかひくいこと、ってつけたようなしつ屋根やね(ハイラックスのFRPせいシェル)やまど(テラノの三角形さんかっけいまど)をつこと、かたねやすいスプリングなど、原初げんしょのSUVの特徴とくちょうおおそなえていた。この2しゃ日本にっぽん国内こくない販売はんばいされたさいには、国内こくない事情じじょうわせ、スプリングはやわらかく変更へんこうされ、ディーゼルエンジンがメインとなっている。とくにハイラックスサーフは、維持いじひく小型こがた貨物かもつ(4ナンバー登録とうろく商用しょうようしゃ中心ちゅうしんのラインナップとしておおきな成功せいこうおさめた。

アメリカのビッグスリー(GM・フォード・クライスラー)は元々もともと小型こがたピックアップトラックを国内こくない生産せいさんしておらず、日本にっぽんしゃとバッティングすることもなかったため、このクラスの輸入ゆにゅう関税かんぜいひく設定せっていされていた。これは日本にっぽんせい乗用車じょうようしゃ輸入ゆにゅう台数だいすう制限せいげんするわりの、一種いっしゅ優遇ゆうぐう措置そちでもあった。のちにこれらのピックアップトラックをベースとした2ドアのハードトップ(ボンネットワゴン)にも優遇ゆうぐう措置そちみとめられたことにより、それまでSUVをがけたことのない日本にっぽんのメーカーが参入さんにゅうすることとなり、てい価格かかくとスポーティーな雰囲気ふんいきけ、ビッグスリーも小型こがたピックアップと小型こがたSUVに参入さんにゅうして一大いちだい市場いちば発展はってんした。2ドア優遇ゆうぐう措置そち廃止はいしされると、トヨタと日産にっさんはこぞって4ドアモデルをメインとしたラインナップへ変更へんこうした。こののがさず日本にっぽんのほとんどの自動車じどうしゃメーカーがこのジャンルに参入さんにゅうし、競争きょうそう激化げきかすることで商品しょうひんりょく急速きゅうそくたかまっていった。ホンダスバルラダーフレームあるいはFR技術ぎじゅつっていないため自力じりきでの開発かいはつあきらめ、両社りょうしゃともいすゞ提携ていけいすることになった。

1980~1990年代ねんだいレクサス・LXランドローバー・レンジローバーメルセデス・ベンツ・Gクラス (ゲレンデバーゲン)などの北米ほくべい高級こうきゅうしゃ市場いちばでの成功せいこうにより、それまで「無風むふう地帯ちたい」だったビッグスリーのフルサイズSUVにもキャデラックリンカーンなどの高級こうきゅうディビジョンが参入さんにゅうし、もとよりエントリークラスの位置いちづけであったサターンまでもがSUVを発表はっぴょうするにいたり、1990年代ねんだい以降いこう全米ぜんべいでのブームは決定的けっていてきとなった。また軍用ぐんようしゃ発端ほったんとするクロスカントリーくるま乗用車じょうようしゃ高級こうきゅうした一方いっぽう、ピックアップトラック発祥はっしょうのSUVも荷台にだいシェルのボディ一体化いったいか(メタルトップ)や4ドアしたことによって、両者りょうしゃ形状けいじょう中身なかみともにちかづいていったことから、1990年代ねんだいからはおなじSUVの範疇はんちゅうかんがえられるようになった。

2000年代ねんだいはいころには、SUVをベースにししつ屋根やねはらったスタイルのスポーツ・ユーティリティ・トラックばれる、従来じゅうらいのピックアップトラックとSUVの関係かんけい逆転ぎゃくてん[注釈ちゅうしゃく 4]したものも登場とうじょうした。

しかし価格かかくたか燃費ねんぴわる大型おおがたピックアップトラック、およびそれをベースにしたSUVへの依存いぞんたかめていた北米ほくべいビッグスリーは原油げんゆだかリーマン・ショックおおきく失速しっそくし、GMクライスラー破綻はたんった[12]

クロスオーバーSUVのだい躍進やくしんはんSUV活動かつどう[編集へんしゅう]

初代しょだいスバル・フォレスター
日産にっさん・パルサー"S-RV"
既存きそんジャンルしゃにSUVてきなキャラクターをあたえて販売はんばいした車両しゃりょう」のれい
 
ヒョンデ・サンタモ "プラス"
「ミニバンにおける、アウトドアを意識いしきした仕様しよう」のれい
フィアット・500X

前項ぜんこうのようなピックアップトラックベースのSUVや、だい世界せかい大戦たいせん前後ぜんこう軍用ぐんようしゃをルーツにジープランドローバートヨタ・ランドクルーザー三菱みつびし・パジェロといったクロカンけいSUVは、ラダーフレーム構造こうぞうたかめの地上ちじょうだか本格ほんかくてきよんりん駆動くどうシステムなどによる舗装ほそう(オフロード・グラベル)での走破そうはせいたかさを身上しんじょうとしていた。しかし道路どうろ舗装ほそうすすむにつれ、市場いちばでは舗装ほそう高速こうそく道路どうろでの性能せいのう操縦そうじゅう安定あんていせい心地ごこちせいおんせいてい燃費ねんぴなど)をもとめるこえおおくなった。そのため1980~1990年代ねんだいのアメリカや日本にっぽんでは徐々じょじょに、おもいラダーフレーム構造こうぞうではなく軽量けいりょう乗用車じょうようしゃモノコック構造こうぞうもちいて、SUVふうのスタイリングをちつつも快適かいてきせい訴求そきゅうしたCUV(クロスオーバーSUV)が登場とうじょうはじめ、人気にんきあつめるようになった。

CUVはモノコック構造こうぞうである以外いがいはクロカンけいSUVとほとんどわらない外見がいけんもの主流しゅりゅうであったが、既存きそんのクーペやセダン、コンパクトハッチバックの、くるまだか最低さいてい地上ちじょうだか)をげただけであったり、クロカンふう装備そうび(だいみちタイヤ、マッドガード、ボディキットのるい)をつけただけでSUVを名乗なの手法しゅほうも1990ねん前半ぜんはん登場とうじょうした。れいとしてはミラ・RV-4スターレット・リミックスレガシィ・グランドワゴン→ランカスター(のアウトバック)パルサーセリエ/ルキノ・SR-Vなどがある。またミニバンにおいてもとくに(ミニバンやステーションワゴン、SUVなどが一緒いっしょくたに「RV」とばれていた)2000年代ねんだい前半ぜんはんまでは、アウトドアでの利用りよう前提ぜんていとして同様どうようにグリルガードや背面はいめんスペアタイヤなどをもちいた仕様しようやオプションパーツがままられた。ただこのとき少々しょうしょう時代じだいはやすぎたせいかのこったれいすくなかった(その数少かずすくないれいがレガシィである)。

1990年代ねんだい後半こうはんにはトヨタ・ハリアーレクサス・RX)や、スバル・フォレスタートヨタ・RAV4ホンダ・CR-Vといった国産こくさんCUVぜい北米ほくべいだい成功せいこうおさめ、BMWボルボアウディポルシェなど、たかいクルマとはほぼ無縁むえんであった高級こうきゅうしゃメーカーや高級こうきゅうしゃブランドも次々つぎつぎにクロスオーバーSUVを製造せいぞうするようになった[注釈ちゅうしゃく 5]

2000年代ねんだいはいると、原油げんゆ高騰こうとう環境かんきょう問題もんだいたいする意識いしきたかまりから、欧米おうべい政治せいじやメディアによる、SUVにたいするきびしい猛然もうぜんけられるようになった。2002ねんニューヨーク・タイムズ記者きしゃいた『High and Mighty: SUVs - The World's Most Dangerous vehicles and how they got that way』(邦題ほうだい:『SUVが世界せかいきつぶす―世界一せかいいち危険きけんなクルマがれるわけ』)が出版しゅっぱんされた。SUV購入こうにゅうしゃ人格じんかく攻撃こうげきするなど感情かんじょうてき部分ぶぶんおおられるものの、定量ていりょうてきなデータを多数たすうもちいて464ぺーじものボリュームでSUVの危険きけんせい公害こうがいせい非難ひなんしたこのほんおおきな反響はんきょうび、教会きょうかいによる「イエスはなに運転うんてんしますか?("What would Jesus drive?")」キャンペーンや[13]過激かげき環境かんきょう保護ほご思想しそうおとこによる火炎瓶かえんびんでの複数ふくすうのSUV販売はんばいてん襲撃しゅうげき[14]など、一部いちぶ界隈かいわいでヒステリーにちか社会しゃかい運動うんどうんだ。また英国えいこくでも渋滞じゅうたい公害こうがい問題もんだいなどを背景はいけいにSUVへの反対はんたいこえ政治せいじからきた。渋滞じゅうたいぜいはじめて導入どうにゅうしたロンドン市長しちょうケン・リヴィングストン労働党ろうどうとう)は「巨大きょだいよんりん駆動くどうしゃ子供こども通学つうがくさせているおやはバカ(idiotic)だ」「農業のうぎょう用地ようちならともかくロンドンで使つか必要ひつようはない」と公言こうげんしているほか英国えいこく国会こっかいでも自由党じゆうとう保守党ほしゅとうからSUVやオフロード走行そうこう規制きせいをするうごきがあるほど、はんSUVの風潮ふうちょうつよかった[15]

三菱みつびし・アウトランダーPHEV

こうした空気くうきかんなかで、むかしながらの燃費ねんぴわるよんりん駆動くどうのクロカンけいSUVの販売はんばい失速しっそくした。しかし比較的ひかくてき軽量けいりょう燃費ねんぴ乗用車じょうようしゃおおきく見劣みおとりしないCUVは、むしろその市場いちばって成長せいちょうつづけた。くわえて2010年代ねんだい以降いこうハイブリッドクリーンディーゼルダウンサイジングターボCVT多段ただんATといったパワートレイン技術ぎじゅつ発展はってんしたことで燃費ねんぴおおきく改善かいぜんし、先進せんしん安全あんぜん装備そうび進歩しんぽによって安全あんぜんめん不安ふあん低減ていげんされた。この結果けっか環境かんきょう意識いしきたか欧州おうしゅうでも市場いちば拡大かくだいし、はんSUVのこえちいさくなっていった。それどころか2010年代ねんだいとおしてセダンクーペハッチバックステーションワゴンいたるまであらゆるカテゴリをらって世界中せかいじゅう成長せいちょうつづけ、英国えいこくでは2008ねんから2017ねんまでの10年間ねんかんで3ばいの30.5%にまでシェアを拡大かくだい[16]欧州おうしゅう全体ぜんたいでも2020ねんにはSUVがそう販売はんばい台数だいすうじつに44%ものシェアをめた[17]。アメリカと中国ちゅうごくでも2010年代ねんだい後半こうはんにセダンをいてSUVが最大さいだいジャンルにおどており、自動車じどうしゃ史上しじょうでもまれ絶頂ぜっちょうむかえている[18]

ランボルギーニ・ウルス

こうしたながれをけて2010年代ねんだい後半こうはん以降いこうランボルギーニロールス・ロイスアストンマーティンフェラーリのようなクーペやセダンのみの硬派こうはさがりだったメーカーたちも続々ぞくぞくとSUVを発売はつばいしている[注釈ちゅうしゃく 6]米国べいこくFCAクライスラーブランド)と米国べいこくフォードリンカーンブランドふくむ)にいたっては北米ほくべいでセダンやハッチバックタイプのコンパクトカーを廃止はいしし、SUVに注力ちゅうりょくすることを決定けっていしている[19]前述ぜんじゅつ乗用車じょうようしゃにSUVのような外観がいかんあたえる手法しゅほう復活ふっかつし、2020ねん前後ぜんこう日本にっぽん国内こくないではインプレッサ・XVアクア・X-Urbanフィット・クロスターなどがまれている。

SUVに反対はんたいするプラカード(2019ねんIAA

ただしCUVは完全かんぜんはんSUVのこえやせたわけではなく、欧米おうべいでは2020ねん前後ぜんこうからふたたびSUVへの攻撃こうげき目立めだつようになった。ドイツでは2019ねんに40だいおとこポルシェ・マカン運転うんてんあやまり4にん死亡しぼうさせるという交通こうつう事故じこがねとなり、官民かんみんはんSUV活動かつどう活発かっぱつ。IAA(フランクフルトモーターショー)では1.5まん~2.5まんにんともされる規模きぼのデモがひろげられ[20]ベルリン中心ちゅうしんミッテ区長くちょうも「戦車せんしゃのようなクルマは都市としにそぐわない」「気候きこう変動へんどうにおける殺人さつじんしゃであり、運転うんてんミスが生命せいめいおびやかす事故じこにつながる」とこうからSUVを批判ひはん。さらには都市としでSUVの走行そうこう規制きせいびかける市民しみん政党せいとうあらわれた[21]英国えいこくでは2022ねんに、「SUVがはしるのをゆるすくらいなら法律ほうりつやぶったほうがマシだ」と主張しゅちょうする環境かんきょう保護ほご団体だんたい『タイヤの消化しょうかen:Tyre Extinguishers)』が、2,000だいのSUVのタイヤの空気くうきくという軽犯罪けいはんざいまがいのことをやってまわり、のちにアメリカや欧州おうしゅう全域ぜんいきニュージーランドでもおこなった。かれらはさわがいしゃようSUVこそけたものの、それ以外いがいのSUVならばハイブリッドカーや電気でんき自動車じどうしゃであっても容赦ようしゃなく標的ひょうてきにした[22]おなじく2022ねんベルギーヘントでも、芸術げいじゅつ家集かしゅうだん『TOON』と地元じもとはんSUV集団しゅうだんんで、市内しないの200だいのSUVにしたケチャップらしたり主張しゅちょうかれたステッカーをけたりしており、市長しちょうが「純粋じゅんすい破壊はかいてき行為こういで、だんじて容認ようにんできない」と声明せいめいしている[23][24]

SUVの長所ちょうしょ短所たんしょ[編集へんしゅう]

フォード・エクスプローラーみぎ)とフォーカス衝突しょうとつ実験じっけん
NEXCO東日本ひがしにっぽん高速こうそく道路どうろパトロールカー(日産にっさん・エクストレイル
ペンシルベニアしゅう警察けいさつのパトカー(フォード・エクスプローラー

クーペセダンステーションワゴンなど通常つうじょう乗用車じょうようしゃくらべると基本きほんてき最低さいてい地上ちじょうだかたかいため、ゆきどう段差だんさあくでボディ下面かめんこす心配しんぱいすくなくなる[注釈ちゅうしゃく 7]。またぜんこうたかぶん積載せきさい容量ようりょうおおきい、アイポイントがたか視界しかい良好りょうこうなど、実用じつようせいすぐれている部分ぶぶんおおい。またそのボディのおおきさゆえ豪華ごうかせい・ステータスせい演出えんしゅつできるメリットもある。

ただし最低さいてい地上ちじょうだかくるまだか)やぜんこうたかぶんロールはば)がおおきく、くるまじゅう各種かくしゅ抵抗ていこう増大ぞうだいなどによりパワーウェイトレシオ燃費ねんぴわるくなるなど、運動うんどう性能せいのうやランニングコストのめんではセダンやステーションワゴンなどにたいしておとる。重量じゅうりょうおおきいためてい回転かいてんいきでのだいトルクが必要ひつようなことや、ピックアップベースのSUVは北米ほくべい市場いちばこのみから排気はいきりょうおおきなエンジンを搭載とうさいしているものがおおいこと、頑丈がんじょうフレームあしまわりの重量じゅうりょう(いわゆるばね重量じゅうりょう)とだいみちタイヤの抵抗ていこう追加ついかされた駆動くどうけい抵抗ていこうおおきな車体しゃたいによる空気くうき抵抗ていこう投影とうえい面積めんせき増大ぞうだいなど、燃費ねんぴ悪化あっかする要因よういんおおい。また車体しゃたい価格かかくもベースの乗用車じょうようしゃよりたかくなるうえ、タイヤもおおきめかつくるまじゅうおもさゆえ摩耗まもうりつたかいため、全体ぜんたいてき購入こうにゅう維持いじ通常つうじょう乗用車じょうようしゃよりもたかくなる傾向けいこうにある。

衝突しょうとつ安全あんぜんせいめんでは、車体しゃたいおおきいぶん頑丈がんじょうなフレームを搭載とうさいでき、クラッシャブルゾーンなどもおおきくとれるため有利ゆうりになりやすい。また乗員じょういん位置いちたかぶん、サイドメンバーが乗員じょういんまも有効ゆうこうはたらく、頭上ずじょう空間くうかんひろいため車体しゃたい上面うわつらつぶれても頭部とうぶしゅまもりやすいというメリットもあるとされ、乗員じょういん保護ほご観点かんてんからは安全あんぜんせいたかいとされる[25]

その一方いっぽう他者たしゃたいする衝突しょうとつ安全あんぜんせいについては数々かずかず難点なんてん指摘してきされている。たとえば衝突しょうとつ相手あいて軽自動車けいじどうしゃなど質量しつりょうちいさいくるまであると、運動うんどうりょう保存ほぞん法則ほうそくにより相手あいてはじばしてしまい、おおきなダメージをあたえてしまう。アイルランドダブリンにあるトリニティカレッジ研究けんきゅうしゃシムズ講師こうしらによると、米国べいこくからせた重大じゅうだい事故じこかんするデータを分析ぶんせきした結果けっか、SUVはボンネットなど車体しゃたい前部ぜんぶ乗用車じょうようしゃよりたかく、歩行ほこうしゃ衝突しょうとつした場合ばあい歩行ほこうしゃ頭部とうぶ腹部ふくぶなどにより深刻しんこく衝撃しょうげきけるおそれがあるとされる。1990年代ねんだい前半ぜんはんから日本にっぽんなどでアクセサリーとしてグリルガード(カンガルーバー、アニマルバー、ブッシュバーともよばれる)を装備そうびすることが流行はやったが、対人たいじん衝突しょうとつ危険きけんせい指摘してきされ、ウレタン樹脂じゅしせいかたちだけのものへとわり、現在げんざいでは社外しゃがいひん以外いがいほとんどられなくなっている[26]。ユーザーそうという観点かんてんからると、日本にっぽん国土こくど交通省こうつうしょう調しらべではSUVは視界しかいひろくなるため運転うんてんしやすいことから、運転うんてんにあまり自信じしんのない女性じょせい運転うんてんしゃのほか、初心しょしん運転うんてんしゃ高齢こうれい運転うんてんしゃなどに人気にんきたかいとされる。さらにトヨタてん資料しりょうによると年齢ねんれいてきには20さいだい、30さいだい交通こうつう事故じこ発生はっせいりつもっとおお若年じゃくねんそう人気にんきたかいとされており、これら諸々もろもろ事情じじょうからSUVにたいする危険きけんびかける場合ばあい時々ときどきあった。しかしこうした弱点じゃくてんは、近年きんねん自動車じどうしゃメーカーたちのきびしい安全あんぜん規制きせいへの対応たいおう努力どりょく歩行ほこうしゃようエアバッグの採用さいよう先進せんしん運転うんてん支援しえんシステム充実じゅうじつなどによりカバーされるようになってきている。また歩行ほこうしゃ頭部とうぶ保護ほごにおいて、「ポップアップフード」[注釈ちゅうしゃく 8][27]採用さいようする必要ひつよういというてんはメリットといえる。

ぜんこうたかさと全幅ぜんぷくひろさゆえに立体りったい駐車ちゅうしゃじょう駐車ちゅうしゃできないことがおおく、路上ろじょう駐車ちゅうしゃ助長じょちょうする要因よういんひとつにもなっていたが、近年きんねんはSUV以上いじょうたかいミニバンやトールワゴンの登場とうじょう、そしてSUVのていぜんこうすすみ、駐車ちゅうしゃじょうがわ改善かいぜんされてきたことでそれほど問題もんだいにされなくなってきている。

2020年代ねんだいのEV(電気でんき自動車じどうしゃ)シフトにおいて、ブランドのEVだいいちだんとしてSUVがえらばれる傾向けいこうにあるが、これはバッテリー・モーターの積載せきさい都合つごうがつきやすく、また流行りゅうこうのボディタイプのため採算さいさん確保かくほされやすいためであると推測すいそくされている。一方いっぽう航続こうぞく距離きょり重要じゅうようなEVでは空気くうき抵抗ていこうおおきいSUVは不利ふりなため、将来しょうらいてきなSUVの衰退すいたい可能かのうせい指摘してきするこえもある[28]

業務ぎょうむようしゃとしては比較的ひかくてき路面ろめんえらばないで走行そうこうできるてんや、支援しえんよう機材きざい積載せきさいせいすぐれているてんから、NEXCO高速こうそく道路どうろパトロールカーやJAFのロードサービスカーなど、公道こうどう支援しえんおこな業務ぎょうむでSUVが採用さいようされることがおおい。また北米ほくべい警察けいさつではSUVの使つか勝手がってさが注目ちゅうもくされ、従来じゅうらいはセダンが基本きほんだったパトカーがSUVへ移行いこうはじめている[29]

モータースポーツ[編集へんしゅう]

ラダーフレーム構造こうぞうのSUVの場合ばあい走破そうはせい耐久たいきゅうせいつよみをかして、ラリーレイド(クロスカントリーラリー)をはじめとするオフロードけい競技きょうぎ市販しはんしゃクラスを主戦しゅせんじょうとする。小規模しょうきぼ改造かいぞうだけで、衝撃しょうげきによるボディの変形へんけいにせずたのしめるため、トライアルやロッククローリングのようなアマチュアしょくつよ競技きょうぎやダートのあそびでは定番ていばんとなっている。

モノコック構造こうぞうのCUVの場合ばあいはそうした使つかかたむずかしく、一般いっぱんてき乗用車じょうようしゃおなあつかいとなる。ひくセダンハッチバックなどのボディタイプにくらべるとサイズにゆとりがあるため、設計せっけい自由じゆうおおきいというメリット[注釈ちゅうしゃく 9]はあるが、そらりょく重量じゅうりょうおよ重量じゅうりょうバランスのデメリット[注釈ちゅうしゃく 10]すのはむずかしいため、戦闘せんとうりょく見込みこんでもちいられることはすくない。しかし近年きんねんはCUVのてい身長しんちょうでデメリットが緩和かんわされていることにくわえ、市場いちばでの人気にんきたかさと車種しゃしゅ豊富ほうふさもあって、話題わだいせい宣伝せんでん効果こうかねらい、あるいは純粋じゅんすい参加さんかしゃこのみでまれることがえている。また運営うんえいがわもメーカーをむため、CUVが参戦さんせんしやすい規則きそく改訂かいていする事例じれい近年きんねんはしばしられる。

ラリーレイドのプロトタイプクラス・改造かいぞう制限せいげんクラスの場合ばあい販促はんそく都合つごうじょうCUVを外観がいかんもしくはベース車両しゃりょう採用さいようすることがおおい。この場合ばあいはSUVというよりはバギーカーのようなになりやすい。

走破そうはせいより敏捷びんしょうせい重視じゅうしされるラリーでも2008ねんスズキ・SX4、2011ねんにはMINI・クロスオーバー(カントリーマン)がCUVながらWRC(世界せかいラリー選手権せんしゅけん)に参戦さんせんしたことでられる。2022ねん以降いこうのWRCではスケーリング(縮尺しゅくしゃく)により外観がいかんハッチバックとなるが、パイプフレームもちいてCUVもベース車両しゃりょう選択せんたくできるラリー1規定きてい施行しこうされ、これを利用りようしてフォード・プーマ参戦さんせんしている。

ERC(欧州おうしゅうラリー選手権せんしゅけん)ではフィアット・500X[30]北米ほくべいのARAラリー選手権せんしゅけんではトヨタ・RAV4[31]ホンダ・パスポート[32]有力ゆうりょくプライベーターやディーラーけいチームによってまれたことがある。APRC(アジアパシフィックラリー選手権せんしゅけん)では2018ねんにSUVであらそう「SUVカップ」が創設そうせつされており、2019ねんはAP4規定きてい改造かいぞうされたトヨタ・C-HRスバル・XVがグランドファイナルで総合そうごう王者おうじゃきそった。

パイクスピーク・ヒルクライムではベントレーアキュラのSUVが参戦さんせんしたれいがある。

サーキットレースでの使用しよう非常ひじょうすくなかったが、トヨタが2005ねんレクサス・RX400h日本にっぽんめいハリアーハイブリッド[33]、2016ねんと2019ねんC-HR参戦さんせんしたれいがある。またジャガーフォーミュラEのサポートレースとして、電気でんき自動車じどうしゃのCUVであるI-Paceもちいたワンメイクレース「Jaguar I-PACE eTROPHY」を2018ねんから開催かいさいしている[34]

現在げんざい南米なんべい主要しゅようツーリングカー選手権せんしゅけんで、スケーリングをもちいて市販しはんSUVのデザインをそうする車両しゃりょう規定きてい導入どうにゅうはじまっている。TC2000アルゼンチン選手権せんしゅけんは2024ねんから[35]ストックカー・ブラジルも2025ねんからSUV規定きてい施行しこうする[36]

サーキットのオフィシャルカーとしての採用さいようえている。F1のメディカルカーは従来じゅうらいステーションワゴンだったが、2021ねんから高性能こうせいのうCUVのアストンマーティン・DBX採用さいようされている[37]。またSUPER GTのFRO[注釈ちゅうしゃく 11]は、フレーム構造こうぞうわず牽引けんいんりょく積載せきさいせいすぐれた大型おおがたSUVが伝統でんとうてき採用さいようされている[38]

各社かくしゃ商標しょうひょう・ネーミング[編集へんしゅう]

ヒュンダイ・ツーソン

商業しょうぎょうてき理由りゆうから、BMWはSUVではなくSAV(Sports Activity Vehicle)という名称めいしょう使用しようしている。またスバル(富士重工業ふじじゅうこうぎょう)は乗用車じょうようしゃしゅレガシィ」をベースにしたワゴンタイプのクロスオーバーSUVレガシィアウトバックにSUW(Sports Utility Wagon)という独自どくじ呼称こしょうもちいている。そしてランボルギーニ•ウルスはSSUV (Super Sports Utility Vehicle)、ヒュンダイ・ベラクルスはLUV(Luxury Utility Vehicle)を名乗なのっている。さらに、キャッチコピーとしてではあるがツーソンix韓国かんこくけCMでは"Sexy Utility Vehicle"とかたり登場とうじょうした。

また個別こべつ車種しゃしゅについても、トヨタ・RAV4(Recreational Active Vehicle 4Wheel Drive)、ホンダ・CR-V(Comfortable Runabout-Vehicle)、ボルボ・XC60(X《=cross》 Country)、レクサス・GX(Grand Cross-over)など、たコンセプトの名称めいしょう使つか車種しゃしゅおおい。

従来じゅうらいのピックアップけい・クロカンけい区別くべつして、クロスオーバーSUV略称りゃくしょうとしてCUV(Cross-over Utility Vehicle)またはXUV(Cross=X)がもちいられることがある。

一方いっぽうで、米国べいこくかぎられるが、スポーツせい居住きょじゅうせい重視じゅうししたスペシャリティーピックアップトラックSUTSport utility truck)、CUT(Crossover utility truck)などとんでいる。

車種しゃしゅ[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 当時とうじ世界一せかいいちであった米国べいこく工業こうぎょうりょく物語ものがたるがごとく、ジープはウイリスせい、フォードせい水陸すいりく両用りょうようがたくわやく65まん8000だいじゃく、WCはやく36まん3000だいきょうと、大戦たいせんちゅう各国かっこく軍用ぐんよう車両しゃりょうなかでも桁違けたちがいのかずである。
  2. ^ 本来ほんらい多目的たもくてき」に相当そうとうする英単語えいたんごは「Multipurpose」である。しかし「utility」を「多目的たもくてき」とやく事例じれいサイド・バイ・サイド・ビークル別名べつめい「ユーティリティ・タスク・ビークル」の和訳わやく多目的たもくてき用途ようとしゃ)でもあり、もはや日本にっぽん自動車じどうしゃ業界ぎょうかい慣習かんしゅうとなっている。
  3. ^ 自動車じどうしゃ用語ようご語源ごげん判明はんめいしていないケースはめずらしくはなく、SUVがらみでいえば「ジープ」や「ピックアップトラック」も語源ごげん不明ふめいである
  4. ^ 前述ぜんじゅつとお元々もともと「スポーツ・ユーティリティ」がピックアップトラックのグレードのことであったことをかんがえると、先祖せんぞがえりしたともえる
  5. ^ ただしアウディは前身ぜんしんのひとつであるDKWがムンガ(ドイツばん)で、ボルボはTerrängpersonvagn m/43(スウェーデンばん/イタリアばん)、TP21(英語えいごばん)で、それぞれクロスカントリーしゃ開発かいはつ生産せいさん経験けいけんがある。
  6. ^ ただしランボルギーニは80年代ねんだいLM002というクロスカントリーしゃ開発かいはつ生産せいさん経験けいけんがある。
  7. ^ 広島ひろしまけんでは、知事ちじ公用こうようしゃとして地元じもとメーカー・マツダのSUVを導入どうにゅうしているが、これは地元じもと企業きぎょうへの支援しえんであるとともに、マツダに大型おおがた高級こうきゅうセダンやミニバンのラインナップがないことや、道路どうろ環境かんきょうわる離島りとうでの走行そうこう考慮こうりょしたものでもある。
  8. ^ 衝突しょうとつ検知けんちするとボンネットフードが自動的じどうてきがり、歩行ほこうしゃあたまがエンジンにまれるのをふせ機構きこう。フードとフード部品ぶひん距離きょりひろれないひく車種しゃしゅとくにセダンやクーペで採用さいようされる
  9. ^ サスペンションストロークりょうおおりやすい、よりおおきなパワートレインをせやすいなど
  10. ^ たか全高ぜんこうゆえに全面ぜんめん投影とうえい面積めんせきおおきくなって空気くうき抵抗ていこうす、くるまじゅうおもくなる、ロールセンターがたかくなってコーナーリングが不安定ふあんていになりやすいなど
  11. ^ ファースト・レスキュー・オペレーション。2001ねん誕生たんじょうした、コースないでクラッシュが発生はっせいしたとき最初さいしょけつけるオフィシャルカーのこと。ドライバーのほかにレスキューマンと医者いしゃ搭乗とうじょうし、消化しょうかるいはじ救助きゅうじょよう機材きざい多数たすうっている

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ なぜだつセダン、SUV全盛ぜんせいなのか? 水野みずの和敏かずとし かたる『SUVは非常識ひじょうしきわせ』ベストカーWeb編集へんしゅう 2017ねん7がつ30にち
  2. ^ The Roller Coaster History of the SUV SUVS 2021ねん4がつ2にち閲覧えつらん
  3. ^ The Roller Coaster History of the SUVSUVS 2015ねん7がつ13にち
  4. ^ Bronco U-400 four-wheel-drive” (2018ねん1がつ3にち). 2018ねん1がつ3にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2022ねん10がつ10日とおか閲覧えつらん
  5. ^ The History of the Sport Utility Vehicle: Why Is It Called an SUV?
  6. ^ しんモデルの投入とうにゅうつづき、いまもっとも注目ちゅうもくのジャンル 国産こくさんしゃがリードしてきた「SUV」の歴史れきし最新さいしんトレンド
  7. ^ The Roller Coaster History of the SUV July 13, 2015 by SUVS Editor
  8. ^ 「VEZEL(ヴェゼル)」が2016年度ねんど SUV新車しんしゃ販売はんばい台数だいすう だい1獲得かくとく年度ねんどにおいても3ねん連続れんぞくSUVベストセラーに~
  9. ^ 【2WDが9わり車種しゃしゅも!】 ブームのひかりかげよんじゃないSUV」 なぜ流行りゅうこう??
  10. ^ だい40かい アメリカの初期しょきSUV/MPV
  11. ^ ハイラックスだけじゃない。ピックアップトラックをてみよう GAZOO.com 2017.09.24 10:00
  12. ^ Ⅳ-3. 米国べいこくピックアップトラック産業さんぎょうにみる保護ほご主義しゅぎ政策せいさく功罪こうざい みずほ銀行ぎんこう産業さんぎょう調査ちょうさ
  13. ^ 'What would Jesus drive?' gas-guzzling Americans are asked
  14. ^ Man claims role in SUV vandalism
  15. ^ Ken brands 4x4 drivers 'idiotic'
  16. ^ UK market SUV share triples in a decade
  17. ^ European new car market starts 2021 with record market share for SUVs
  18. ^ Ford announcement proves sedans are another victim of the SUV boom
  19. ^ フォードが「セダン」の販売はんばい中止ちゅうしへ SUVなどに集中しゅうちゅう ニューヨーク=こうふちたかし 朝日新聞あさひしんぶんデジタル 2018ねん4がつ27にち1149ふん
  20. ^ A deadly problem': should we ban SUVs from our cities?
  21. ^ ドイツでひろがるアンチSUV、大小だいしょういろんなクルマがいたほうがいいじゃない
  22. ^ SUV-Hating Tyre Extinguishers Group Is Out to Deflate Your Tires
  23. ^ Anti-SUV activists cover SUVs in Ghent with stickers and fake blood
  24. ^ Actievoerders vandaliseren 200 SUV's en jeeps in Gent met nepbloed en stickers: "Te gevaarlijk en vervuilend"
  25. ^ 関根せきね康史やすしSUVと中型ちゅうがたセダンがた乗用車じょうようしゃ前面ぜんめん衝突しょうとつ事故じこにおける乗員じょういん傷害しょうがい内容ないよう分析ぶんせき」『日本にっぽん機械きかい学会がっかいろん文集ぶんしゅうだい83かんだい845ごう日本にっぽん機械きかい学会がっかい、2017ねん、16-00250-16-00250ぺーじdoi:10.1299/transjsme.16-00250NAID 130005303762 
  26. ^ キース・ブラッドシャー 『SUVが世界せかいきつぶす―世界一せかいいち危険きけんなクルマがれるわけ』 片岡かたおか夏実なつみやく築地つきじしょかん、2004ねんISBN 4-8067-1280-9
  27. ^ ポップアップエンジンフード 日産にっさんグローバル公式こうしきサイト 2023ねん11月5にち閲覧えつらん
  28. ^ シトロエン「ポストSUVの時代じだいる」 クルマはもっとちいさく、かるくなければならない
  29. ^ セダン・パトカー、べい定番ていばんゆらぐ SUV台頭たいとう 警察官けいさつかんはやえたいよ」のワケ
  30. ^ FIA R4キット装着そうちゃくマシン、ミラノ・レーシングがフィアット500Xをベースに製作せいさく
  31. ^ Toyota’s Rally RAV4 clinches championship along with NHRA Mile-High triumph over weekend
  32. ^ HOW AN UNORTHODOX RALLY CAR COULD SET A FUTURE ARA TREND
  33. ^ ニュルブルクリンクへの挑戦ちょうせん 2007 ニュルについて
  34. ^ JAGUAR WILL TAKE ITS I-PACE ELECTRIC SUV RACING Collin Woodard September 12, 2017
  35. ^ TC2000 NextGen: primer simulacro con las SUVs
  36. ^ ブラジルも「しん時代じだい」だ。しん規定きてい導入どうにゅうで2025ねんよりSCBもSUV『トヨタ・カローラクロス』参戦さんせんAs-web 2024ねん4がつ20日はつか閲覧えつらん
  37. ^ F1、2021ねんシーズンよりアストンマーティンのセーフティカー&メディカルカーを使用しよう。メルセデスも継続けいぞく
  38. ^ まんいちのとき活躍かつやく新型しんがたFROがSUPER GTに登場とうじょう最強さいきょうのSUV

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]