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スポーツコンパクト

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

スポーツコンパクト(Sport compact)は、手頃てごろ価格かかくコンパクトカーサブコンパクトカー高性能こうせいのうした車両しゃりょう自動車じどうしゃ分類ぶんるいアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく日本にっぽんではその語義ごぎへだたりがあるため、以下いかこくごとにけて記述きじゅつする。

アメリカにおけるスポーツコンパクト[編集へんしゅう]

アキュラ・インテグラ(5代目だいめ

おおくのスポーツコンパクトはクーペセダンハッチバックといった車体しゃたい形状けいじょうち、いずれも大量たいりょう生産せいさんプラットフォームつくられている。パワートレインは直列ちょくれつ4気筒きとうガソリンエンジン前輪ぜんりん駆動くどうわせが主流しゅりゅうで、あつかいやすさ(ハンドリング英語えいごばん)を重視じゅうししたサスペンションそらりょく特性とくせい向上こうじょうさせるためのエアロパーツ、だいみちホイールの装着そうちゃくなどが共通きょうつう特徴とくちょうとしてげられる。

なお、北米ほくべいでは欧州おうしゅうにおける「ホットハッチ」もスポーツコンパクトのひとつとみなされており、代表だいひょうてきなものではフォルクスワーゲン・ゴルフGTIやミニ・クーパーSなどがある。日本にっぽんしゃのホットハッチやスポーツクーペにも同様どうよう傾向けいこうがみられ、ホンダ・シビックSiやトヨタ・86(GR86)/スバル・BRZなどは、北米ほくべいではスポーツコンパクトに分類ぶんるいされる。

歴史れきし[編集へんしゅう]

シボレー・キャバリエZ24

アメリカにおいて「スポーツコンパクト」とばれる用語ようごはじめて出現しゅつげんしたのは1980年代ねんだいなかばで、当時とうじクーペかた車種しゃしゅのオプションパッケージであった。代表だいひょうてきなものではシボレー・キャバリエZ24(1986ねん)、フォード・EXP英語えいごばんスポーツ・クーペ(1986ねん)、プリムス・サンダンス英語えいごばん1988ねん)など、同年代どうねんだい大量たいりょう生産せいさんされた小型こがたクーペの高性能こうせいのうモデルがおおい。

シボレー・コバルトSS

当初とうしょはあまり注目ちゅうもくされていなかったスポーツコンパクトだが、1990年代ねんだい以降いこう次第しだい注目ちゅうもくあつめるようになり、フォード・プローブ1993ねん)やポンティアック・サンファイア1995ねん)などが登場とうじょう2000年代ねんだいはいると、フォード・エスコートZX2(2001ねん)、ダッジ・ネオンSRT-4(2003ねん)、シボレー・コバルトSS(2005ねん)などが追従ついしょうした[1]

日本にっぽんにおけるスポーツコンパクト[編集へんしゅう]

スポコン仕様しようにカスタマイズされた三菱みつびし・エクリプス

日本にっぽん国内こくないにおいては、おもアメリカ西海岸にしかいがんにおける小型こがた乗用車じょうようしゃ使つかったカスタム手法しゅほう日本にっぽんんだもので、アメリカで販売はんばいされる日本にっぽんしゃなどのスポーツカーや、若者わかものれられる安価あんか小型車こがたしゃ(コンパクトカー)を日本にっぽんやアメリカのパーツで高性能こうせいのう仕上しあげた「チューニングカー」をす。これらは「スポコン」とりゃくされることおおい。

歴史れきし[編集へんしゅう]

発祥はっしょう[編集へんしゅう]

アメリカ在住ざいじゅう有色ゆうしょく人種じんしゅからの発祥はっしょうわれ、わかかれらが安価あんかれることができ、なおかつ高性能こうせいのう日本にっぽんしゃ改造かいぞうして1/4マイル(やく400 m)でのはやさをきそ非合法ひごうほうストリートレースや、週末しゅうまつドラッグレースジムカーナなどのくさレースに参加さんかはじめたのが発祥はっしょうとされている。

ジャンルとして確立かくりつされたのは1980年代ねんだい中盤ちゅうばんであるとされているが、北米ほくべいインポートシーン英語えいごばんではアジアけい移民いみん中心ちゅうしんに、日本にっぽんしゃ使つかったカスタムが1970年代ねんだいごろから散見さんけんされるようになっていた(それ以前いぜんにも1960年代ねんだいまつダットサン・Zのヒットにより、北米ほくべいでの日本にっぽんしゃもちいたカスタムは一定いってい地位ちい獲得かくとくしていた)。また、1970年代ねんだい中盤ちゅうばんから1980年代ねんだいにかけてのオイルショック影響えいきょう小型こがたFFしゃ(いわゆるサブコンパクトカー)の需要じゅよう急激きゅうげきびたため、従来じゅうらいのFRしゃ一辺倒いっぺんとうだった北米ほくべい市場いちばにおける自動車じどうしゃ勢力せいりょく変化へんかしょうはじめていた。

しかし小型こがたFFしゃ需要じゅようはじめていたとはいえ、当時とうじ北米ほくべいのカスタムシーンにおける小型こがたFFしゃは「安価あんかこわれにくく維持いじやす学生がくせいあししゃものしゃ」といった認識にんしき大半たいはんめており、スポーツカスタムのベース車両しゃりょうえらばれるようなものではなかった。

しかし、ホンダ・CR-X軽量けいりょう軽快けいかい運動うんどうせいつ「スケートボードGT」として評判ひょうばんになったのを嚆矢こうしに、FFコンパクトカーの台頭たいとうはじまる。手頃てごろ価格かかくたか走行そうこう性能せいのう獲得かくとくできることもあいまって日曜にちようドラッグレースなどでもその姿すがたかけることがおおくなり、本格ほんかくてきなカスタムをほどこものあらわれ、現地げんちアフターマーケットパーツも生産せいさんされるようになっていった。そしてVTECエンジンを搭載とうさいしたアキュラ・インテグラ登場とうじょうするとその人気にんき決定的けっていてきなものとなり、インポートシーンはとく日本にっぽんしゃ人気にんき影響えいきょうから、FFしゃ一色いっしょく様相ようそうせていくこととなった。

そのころからインポートシーンでの改造かいぞう手法しゅほう徐々じょじょ変化へんかし、従来じゅうらいホットロッドりであった改造かいぞう手法しゅほうが、当時とうじのホンダのレースシーンでの活躍かつやくから、カーレースを意識いしきしたものに移行いこうしていった。これはアメリカにふるくから存在そんざいした白人はくじん主導しゅどう文化ぶんかの「ホットロッド」、ラテンアメリカけいチカーノによる「ローライダー」にたいする、アジアけい移民いみん主導しゅどうばんともいえる。

初期しょきには日本にっぽんからやってきた高性能こうせいのう小型車こがたしゃということから「ライスロケット英語えいごばん」とばれた。当初とうしょはアジアけい移民いみん中心ちゅうしんだったが、現地げんち自動車じどうしゃ関連かんれんのメディアでも徐々じょじょげられるようになり、現在げんざい人種じんしゅ関係かんけいなくしたしまれ、改造かいぞういちジャンルとして市民しみんけんている。

また、改造かいぞうおこな人種じんしゅによりその方向ほうこう若干じゃっかんことなっており、それにはそれぞれの民族みんぞくせい文化ぶんか慣習かんしゅうかかわっているとされる。モアパワーをこの白人はくじんファニーカーながれを改造かいぞうほどこし、黒人こくじん南部なんぶけいものはローライダーのながれをむメッキ部品ぶひん多用たよう油圧ゆあつけい改造かいぞうほどこ傾向けいこうつよい。そしてアジアけいものかんしては当初とうしょからスピードレーサー志向しこうつよく、JDMなどのハイテクりな改造かいぞうほどこ傾向けいこうがあるとされている。

日本にっぽんへの導入どうにゅう現状げんじょう[編集へんしゅう]

日本にっぽんへの導入どうにゅう1997ねん前後ぜんごで、従前じゅうぜんローライダーなどのアメリカふう改造かいぞうおこなっていた人々ひとびとによっておこなわれた。「スポーツコンパクト」という名称めいしょうは、従来じゅうらいのジャンルと区別くべつするためアメリカの自動車じどうしゃ雑誌ざっしSPORTS COMPACT CAR」よりってつけられたものであり、カスタムジャンルをして「スポコン」と呼称こしょうする場合ばあい和製わせい英語えいごあつかいにちかい。

導入どうにゅう当初とうしょ従来じゅうらいのアメリカふう改造かいぞうのベースしゃ日本にっぽんしゃわったものであり、一部いちぶではアメリカしゃもちいたカスタム、とりわけローライダー傍流ぼうりゅうとしてとらえられていたふしがあった(事実じじつ当初とうしょこのジャンルをげていた雑誌ざっしは「Daytona J's(ネコ・パブリッシング廃刊はいかん)」などのアメリカンカスタムであった)。当時とうじからそれぞれのカスタムカー愛好あいこうおこなっていたジャンルにおける文化ぶんか合致がっちした手法しゅほう導入どうにゅうされていたため、ストリートレーサーいろつよいものから派手はで外装がいそうほどこしたローライダーいろつよいものなど複数ふくすう手法しゅほうがあり、ある程度ていどジャンルも大別たいべつされていたが、その方向ほうこうせいについてはかくカスタムカー愛好あいこうあいだでの一定いってい共通きょうつう認識にんしきがあった。

しかし、その雑誌ざっし映画えいがなどのメディアによって露出ろしゅつおおきくなるにつれ、一過いっかせい動向どうこう発生はっせいし、ことなるジャンルのカスタムカー愛好あいこうしゃおお流入りゅうにゅうしてきた。これにより、一部いちぶのカスタムカー愛好あいこう他者たしゃとの差異さい演出えんしゅつするためにあたらしい手法しゅほうそうと躍起やっきになった結果けっかとして、商品しょうひん供給きょうきゅうおこなうアフターパーツメーカーやそのスポンサードをけている雑誌ざっしなどの思索しさくからみ、多方面たほうめんにおいてジャンル拡大かくだいおこなわれ、またベース車両しゃりょう類似るいじせいからメディアによって日本にっぽん従来じゅうらいがたチューニングとのジャンルや手法しゅほう関連かんれんづけもいささか強引ごういんおこなわれたためにその手法しゅほう多様たようし、元々もともと共通きょうつう認識にんしきであったアメリカンカスタム、あるいはその生活せいかつ様式ようしき無視むししたものも数多かずおお出回でまわるようになっていった。

そのため、スポコンカスタムを標榜ひょうぼうしていてもさまざまな要素ようそ認識にんしきはいこんじるようになり、今日きょうでは一言ひとこと説明せつめいがつかないほどの複雑ふくざつなジャンルへと変貌へんぼうげることになった。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

おもに「せる」ことを重視じゅうしした派手はでドレスアップや、オーディオ関係かんけい充実じゅうじつしていることが「スポコン」と定義ていぎされているが、それと同時どうじナイトラス・オキサイド・システム(ナイトロ、NOS)などの装着そうちゃくやよりハイパワーなエンジンへのかわそう出力しゅつりょく向上こうじょうさせたり、高性能こうせいのうブレーキやサスペンション性能せいのうアップをほどこ機能きのうてき方面ほうめんのチューニングもおおく、明確めいかく定義ていぎはない。しかし、絶対ぜったいてきてんはアメリカ有色ゆうしょく人種じんしゅ意識いしきしているてんであり、アメリカを意識いしきしていないカスタムは「スポコン」の範疇はんちゅうにはふくまれない。

ベース車両しゃりょうはアメリカ国外こくがいのメーカーせいのもの(日本にっぽんしゃないしは欧州おうしゅうしゃ)が中心ちゅうしんだが、近年きんねんほんジャンルけにリリースされた小型こがたのアメリカしゃもその範疇はんちゅうふくまれる(#アメリカにおけるスポーツコンパクト参照さんしょう)。

おも改造かいぞう方法ほうほう[編集へんしゅう]

ベーシックなスポーツコンパクトのれい灯火ともしびるいやフェンダー、ホイールなどがUS部品ぶひん構成こうせいされ、シートの交換こうかんそときオーディオの装着そうちゃくほどこされている。

基本きほんてき走行そうこう性能せいのう向上こうじょうのみならず、「せる」ことを重視じゅうしする傾向けいこうがある。なおこれらの改造かいぞうには、車検しゃけん適合てきごうしないか、適合てきごうさせるためには構造こうぞう変更へんこう申請しんせい必要ひつようとなる事柄ことがらふくまれる。

内外ないがいそう外観がいかんじょう改造かいぞう[編集へんしゅう]

  • オールペイントの施工しこう車体しゃたい全体ぜんたいぜん塗装とそうのこと。オールペンとも)。
  • エアロパーツ装着そうちゃく
  • アンダーカーキットとばれるネオンかんやLEDをならべたかん装着そうちゃく車体しゃたい底部ていぶ車内しゃないなど)。
  • バイナルグラフィックスばれるステッカーを車体しゃたい側面そくめんやボンネットに貼付ちょうふ漢字かんじやカタカナなど、日本語にほんごのステッカーが使つかわれることもある。
  • サスペンション改造かいぞうくるまだか調整ちょうせいしきサスペンションを装着そうちゃくしてくるまだかげたり、ハイドロばれるエアサスペンション装着そうちゃくしてくるまだか自在じざい制御せいぎょできるようにする。
  • カーオーディオ装着そうちゃくし、トランクのなかなどにウーファーアンプ、モニターなどを装着そうちゃくする。
  • メーターるい加工かこう変更へんこう追加ついか
  • ドアのガルウィング
  • ボンネットやトランクなどをカーボンせい変更へんこう
  • テールランプのレンズしょく変更へんこうおもしろ)。ユーロテールばれるべつデザインのものにえる。
  • ヘッドライトをデザインのちがうものにえる(リフレクターしきからプロジェクターしき交換こうかんなど)
  • ボディスワップとばれる手法しゅほうで、車種しゃしゅけに設定せっていされている部品ぶひんをボディがわおおきく加工かこうしてけ、市場いちば流通りゅうつうしているくるまたいして個性こせいはかる(それはときとして原型げんけいとなったくるまなにであったのかすらからないこともある)
  • スムージングとばれる手法しゅほうで、モールるいやナンバーポケット、ときにはドアノブまでをもみ、ボディ全体ぜんたいをフラットにせる(これは元々もともとローライダーの手法しゅほうでもある)
  • エンジンルームない各部かくぶのメッキ処理しょりやバフがけ研磨けんま塗装とそうによる装飾そうしょくときにエンジン本体ほんたいやミッションケース、サスペンションアームるいにまでおよぶ)
  • 美観びかん向上こうじょうのために可能かのうかぎ配線はいせんるいやヒューズボックスなどをかくしたりチューブでつつむなどヒドゥン(Hidden)とばれる処理しょり

運動うんどうせい能面のうめん改造かいぞう[編集へんしゅう]

  • ナイトロ(ニトロ)を装着そうちゃくしゃをパワーアップする
  • バケットシートてんしきシートベルトなどをはじめとしたカラフルな内装ないそう部品ぶひん装着そうちゃくする
  • ホイールインチアップ(17~20インチが定番ていばん。これは直進ちょくしん安定あんていせい向上こうじょう意味いみもあるが、だいみちホイールを装着そうちゃくすることにより車体しゃたいおおきくせようとするアメリカにおける通例つうれいてき手法しゅほうでもある)
  • メーターるい加工かこう変更へんこう追加ついか
  • ボンネットなどをカーボンせいにする
  • より高性能こうせいのうなエンジンへのかわそうターボチャージャー、スーパーチャージャーなど、きゅう搭載とうさいトランスミッションかわそう(ATからMTに変更へんこうなど)
  • 高性能こうせいのうでよりいブレーキシステムへのかわそう
  • ワイドトレッド(ワイドボディ)による走行そうこう安定あんていせい向上こうじょうねらいつつインパクトのある外観がいかんへの改造かいぞう
  • ロールケージやスポットしなどレースカーと同様どうよう手法しゅほうによる補強ほきょう機能きのうめんよりもその重視じゅうしして採用さいようされることおおい)
  • 高性能こうせいのうマフラーやヘダース(エキゾーストマニホールド)などへのかわそうこのみの部品ぶひんがない場合ばあい特注とくちゅう製作せいさくされることまれではない)

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ “New Cars for 2003”. Ebony (Johnson Publishing) 58 (1): 120. (November 2002). https://books.google.com/books?id=v9oDAAAAMBAJ&q=Dodge+Neon+SRT-4+takes+compact+sport+sedans+to+a+whole+new+level&pg=PA116 2019ねん9がつ17にち閲覧えつらん. "The Dodge Neon SRT-4, second only to the Viper in quickness, takes compact sport sedans to a whole new level." 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • KKマガジンブックス『Compact Racer』

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]