ジグソーパズル

『古城こじょうの秋あき』1000ピース（部分ぶぶん）ノイシュヴァンシュタイン城じょう

ジグソーパズル製作せいさく中ちゅう。『清水しみず静岡しずおか名所めいしょ交通こうつう鳥瞰図ちょうかんず』954ピース

表面ひょうめんに木片もくへんが貼はり付づけられているピース

ジグソーパズル（英語えいご: jigsaw puzzle）は、一いち枚まいの絵えを幾いくつかの小片しょうへん（ピース）に分解ぶんかいして、分解ぶんかいした物ものを再ふたたび組くみ立たてるというタイプのパズル。

形態けいたい・素材そざい

各かくピースは長方形ちょうほうけいに似にた形かたちながら、各かく辺あたりに円えん状じょうの凸とつ部ぶまたは凹部があり、それにより隣となりのピースとかみ合あうようになっている点てんが、ジグソーパズルに特有とくゆうの特徴とくちょうである。通常つうじょう良よく似にた形かたちのピースが複数ふくすう存在そんざいするが、全まったく同おなじ形がたをしたピースは他たにない。ただし球形きゅうけいパズルなど全体ぜんたいのかたちが特殊とくしゅなものは、同おなじ形がたのピースの連続れんぞくになっていることもある。また幼児ようじ向むけのパズルでは凹凸おうとつがないものも多おおい。

100ピース未満みまんのものから10000ピースを超こえる大型おおがたのものもあるが、一般いっぱん的てきには300～3000ピース程度ていどのものが多おおい。小ちいさい物ものは何なん度ども組くみ立たてて遊あそばれるが、大おおきい物ものになると完成かんせい後ごに額がく（フレーム）に入いれて観賞かんしょう用ようにすることが多おおい。そのため、主要しゅようなメーカーのパズルは、額がくのサイズに合あうようにパズルの大おおきさが決きまっている。

通常つうじょう、最もっとも小ちいさいのが100×147mm (ポストカードサイズ)。初心者しょしんしゃ向むけでは182☓257mm（Ｂ５びーごサイズ）のものが多おおい。全体ぜんたいのサイズが大おおきくなればなるほど、ピース数すうも多おおくなりマニア向むけになるので商品しょうひんの数かずも少すくなくなる。また、全体ぜんたいのサイズはそれほど大おおきくせず、ピースを小ちいさくして難易なんい度どを高たかめたものも多おおい。全体ぜんたいのサイズとピースのサイズとは別べつものであることに注意ちゅうい。

ピースは絵柄えがらを印刷いんさつしたシートを波状はじょうの刃はの付ついたプレスカッターで縦横じゅうおうに切断せつだんして作つくられる。ピースの材料ざいりょうは紙かみが多おおいが、コルクや木きでできたものもある。最近さいきんは透明とうめいピースとして、ガラスやアクリルやプラスチックなどを使用しようしたものもよく出でている。アクリルやプラスチックのピースは、紙かみや木きと違ちがってしっかりとはめこまれて、のり付づけしなくてもバラバラにならないことを売うりにしている。

歴史れきし

ジグソーパズルのジグソーとは、英語えいごのjigsaw（糸鋸いとのこ、いとのこ）のことであり、元々もともとこのパズルが木きの板いたを糸鋸いとのこで切きって作つくられたことからこの名ながついた。1760年ねん頃ころに、ロンドンの地図ちず職人しょくにんで技師ぎしのジョン・スピルズベリが、子供こどもの教育きょういくのためにピースが欧州おうしゅう各国かっこくの形かたちのジグソーパズル（完成かんせいすると地図ちずができる）を作つくったのが最初さいしょと考かんがえられている。

日本にっぽんでは、1974年ねんのモナ・リザ来日らいにち展示てんじの際さいに輸入ゆにゅう販売はんばいされたモナ・リザ柄えパズルの大だいヒットを契機けいきに普及ふきゅうした。

バリエーション

球形きゅうけいパズルを模もしたウィキペディアのロゴ

平面へいめん的てきなジグソーパズルだけではなく、3Dパズル（立体りったいパズル）と呼よばれる立体りったい的てきなジグソーパズルもある。多おおくは、地球儀ちきゅうぎや月つき球だま儀ぎなどの球形きゅうけいパズルであるが、他ほかにも、ビルや家いえ、船ふねのものがある。3Dパズルは、ピース数すうが少すくないものの作成さくせいは難むずかしい。メーカーによって、3D球体きゅうたいパズル、クリスタルパズル、クムクムパズルなどと名称めいしょうと形状けいじょうがそれぞれ異ことなる。

単色たんしょくで構成こうせいされた全まったく無地むじのパズルも存在そんざいする。通常つうじょうのジグソーパズルは絵えや写真しゃしんなどの色いろや模様もようを手てがかりに組くみ立たてるものであるが、無地むじの場合ばあいはピースの形状けいじょうだけを手てがかりに解とくことになる。通常つうじょうよりも数すう段だん難解なんかいで忍耐にんたい力りょくを必要ひつようとするため、過去かこに宇宙うちゅう飛行ひこう士し選抜せんばつ試験しけんにも出題しゅつだいされた事ことがある。このようなパズルで白一色はくいっしょくのものは「ホワイトパズル」や「ミルクパズル」と呼よばれる。こぼれて水溜みずたまりとなったミルクをデザインした完成かんせい後ごも不定ふてい形がたなホワイトパズルもある。

それぞれのピースの絵柄えがらが隣となりのピースとつながらず、独立どくりつした絵柄えがらになっているにもかかわらず、並なべて遠目とおめに見みると全体ぜんたいで別べつの絵柄えがらを構成こうせいするモザイクパズルもある。このバリエーションとして、ピースがすべて同おなじ形がたで、どの位置いちにも自由じゆうに並ならべ替かえることができて、並ならべ替かえることでさまざまな人ひとの顏かおを再現さいげんするジガゾーパズルがある。

日本にっぽんのメーカー

日本にっぽんの主おもなメーカーは、やのまん、エポック社えぽっくしゃ、エンスカイ、テンヨー、ビバリー、アップルワン、キューティーズの7社しゃである。玩具おもちゃ店てんや家電かでん量販りょうはん店てん、ホームセンターなどを中心ちゅうしんに販売はんばいされている。さらに現在げんざいではネット販売はんばいも盛さかんである。

7社しゃによるメーカー会かいは、各かくメーカーの商品しょうひんについての4色しょくカラーのチラシを作つくり、玩具おもちゃ店てんなどで年とし1回かい程度ていど大量たいりょうに配布はいふして、ジグソーパズルの振興しんこうに努つとめている。

過去かこにはボン（エポック社えぽっくしゃと合併がっぺい）、アポロ社あぽろしゃ（2011年ねん8月がつ1日にち付づけでエポック社えぽっくしゃのグループ会社かいしゃになり2022年ねん6月がつ20日はつかにエポック社えぽっくしゃに吸収きゅうしゅう合併がっぺいされた。）セントラルホビー（エポック社えぽっくしゃに事業じぎょうを譲渡じょうと。現在げんざい会社かいしゃは存在そんざいしない）、サンバード、毛塚けづか合ごう紙し所しょ（2016年ねんにジグソーパズル製造せいぞう販売はんばい事業じぎょうから撤退てったい）、トーヨー、コナミ、ギャラリー・エル、サンライク、山やま勝しょう、サンーズ、ハナヤマ、青島文化教材社あおしまぶんかきょうざいしゃ、コマース、ビッグベン、レッズなどもジグソーパズルを製造せいぞう販売はんばいしていたメーカーである。

やのまん

日本にっぽんで初はじめてモナ・リザのジグソーパズルを輸入ゆにゅう販売はんばいし、国産こくさん初はつのジグソーパズルも発売はつばいした老舗しにせ。組くみ上あげた後のちにLEDで点灯てんとうさせるとランプシェードになるものなど、独自どくじの立体りったいパズルも発売はつばいしている。ジグソーパズルを主力しゅりょくとするが、現在げんざいはフィギュアなどの製造せいぞう販売はんばいもしているメーカーである。

エポック社えぽっくしゃ

玩具おもちゃメーカーの大手おおて。日本にっぽんで発売はつばいされているジグソーパズルの中なかで一番いちばん商品しょうひん発売はつばい点数てんすうが多おおい。リリーススピードも最もっとも速はやく風景ふうけい、動物どうぶつ、絵画かいが、イラスト、アニメなど多おおくの分野ぶんやの絵柄えがらを広ひろくカバーしている。

エンスカイ

天田あまだ印刷いんさつ加工かこうより分社ぶんしゃ化か。アニメ『ONE PIECE』『鬼おに滅めつの刃は』などのキャラクターのジグソーパズルを販売はんばい、これらの大だいヒットで近年きんねんの売上うりあげ高だかトップに立たっていた。スタジオジブリほかキャラクターものに特とくに強つよく、アートボックスブランドが有名ゆうめい。立体りったいのクムクムパズルや、特殊とくしゅなモザイクパズルも出だしている。

テンヨー

ディズニーと提携ていけいして、ディズニー・キャラクターのパズルや専用せんようフレームを大々的だいだいてきに多数たすう販売はんばいしている。自分じぶんの顔写真かおじゃしんを携帯けいたいカメラで撮影さつえいしたものがパズルになる『ジガゾーパズル』をヒットさせたこともある。この会社かいしゃの主力しゅりょく商品しょうひんは、パズルではなくてマジック用品ようひん（手品てじな道具どうぐ）。子会社こがいしゃのマギー・ヴワットでジグソーパズルを出だすこともある。

ビバリー

通常つうじょうのジグソーパズル以外いがいに、クリスタルパズルというプラスチック成型せいけい品ひんの立体りったい物ぶつのパズルなども製造せいぞうしており、書店しょてんほか独自どくじの売うり場ばも展開てんかいしている。ジグソーパズルに限かぎらずパズル全般ぜんぱんに強つよいが、近年きんねんではボードゲームやパーティーゲームなどの製造せいぞう販売はんばいにも積極せっきょく的てきである。ディズニー物ぶつのラバースタンプ（はんこ）シリーズなど雑貨ざっかにも強つよい。

アップルワン

光ひかるジグソーパズルという畜光インクを使用しようして印刷いんさつされた平面へいめんパズルを最初さいしょに発売はつばいしたメーカーである。また、社名しゃめいを連想れんそう（リンゴ＋1）させるリンゴ型がたのピースが1個いっこ入はいっている商品しょうひんもある。近年きんねんでは藤城ふじしろ清治きよじの影絵かげえシリーズやイラストレーター・SHUのシリーズはロングセラーのメイン商品しょうひん群ぐんになりつつある。

キューティーズ

フィギュアメーカー。2009年ねんに入はいってからゴジラやアグネス・ラムのシリーズなどで参入さんにゅうし、70年代ねんだいものの怪獣かいじゅうやタレント物ぶつ、ゲームキャラクター物ぶつなど既存きそん他社たしゃの商品しょうひん群ぐんとは一線いっせんを画かくしたマニアックなアイテム選択せんたくが非常ひじょうに多おおい。不二家ふじやペコちゃんなどの有名ゆうめいキャラクターのパズル商品しょうひんも展開てんかいしている反面はんめん、滝平たきだいら二郎じろうきりえや浮世絵うきよえシリーズなど高齢こうれい者しゃ層そうが好このむ絵柄えがらの商品しょうひんも多数たすう製造せいぞうしているやや特異とくいなメーカーである。話題わだい性せいのある商品しょうひんはあるものの流通りゅうつうの問題もんだいからか、なぜか有名ゆうめい家電かでん量販りょうはん店てんなどでも扱あつかいのない店舗てんぽもある。

サンスタさんすたー文具ぶんぐ

アンパンマンやプリキュア、戦隊せんたいシリーズなど、幼児ようじ向むけキャラクターのパズルをリリースしている。ただし、すべてOEM製品せいひんであり、製造せいぞうはやのまんやエンスカイ等とうが担当たんとうしている。食玩しょくがんなどクロスメディア展開てんかいも多おおい。

その他た

最近さいきんは、紙かみや木きでできた物理ぶつり的てきなものだけでなく、コンピュータゲームもある。家庭かてい用ようゲーム機きのソフトのほか、ウェブページに繋つないでブラウザを使つかって遊あそぶものがある。

プラダー・ウィリー症候群しょうこうぐん（PWS）の患者かんじゃは、一般人いっぱんじんに比くらべてジグソーパズルを組くむのが巧たくみいという研究けんきゅう報告ほうこくがある。形状けいじょう・空間くうかん把握はあくの能力のうりょくに優すぐれているためと考かんがえられているが、詳くわしい原因げんいんは不明ふめいである。