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ソロモン (ヘンデル)

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シバの女王じょおうの入城にゅうじょう
performed by the Advent Chamber Orchestra with Humbert Lucarelli and Edino Biaggi on oboes.
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ソロモンの審判しんぱん（ルーベンス画が）

『ソロモン』（英語えいご: Solomon）HWV 67は、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルが1748年ねんに作曲さっきょくしたオラトリオ。同年どうねん5月5日にちから6月13日にちまでの約やく1か月げつで作曲さっきょくされた。

作者さくしゃ不明ふめいの台本だいほんは、旧約きゅうやく聖書せいしょの列れつ王おう記き第だい1巻かん・歴代れきだい誌し第だい2巻かんと、歴史れきし家かフラウィウス・ヨセフスによる古代こだいユダヤ伝でんの賢明けんめい王おうソロモンの伝記でんきに基もとづいている。初演しょえんはロンドンのコヴェント・ガーデン劇場げきじょうで1749年ねん3月17日にちに行おこなわれ、さらに2回かい上演じょうえんされた。カテリーナ・ガリがタイトル・ロール・ソロモン役やくを務つとめた。

オラトリオ全曲ぜんきょくが演奏えんそうされることは稀まれだが、第だい3幕まくに2つのオーボエと弦楽器げんがっきによる短みじかく生いき生いきとした曲想きょくそうで知しられるシンフォニア『シバの女王じょおうの入城にゅうじょう』（または『シバの女王じょおうの到着とうちゃく』）があり、その部分ぶぶんだけが有名ゆうめいになり、しばしば結婚式けっこんしきで演奏えんそうされるほか、ロンドン・オリンピック（2012年ねん）の開会かいかい式しきでも演奏えんそうされた[1]。ほかに第だい1幕まくの最後さいごの合唱がっしょう（ "May No Rash Intruder Disturb" ）は『ナイチンゲール・コーラス』と呼よばれ、単独たんどくで演奏えんそうされる。

なお、本ほん作さくは1759年ねんにヘンデル自身じしんの手てによって改訂かいていされている[2]。

背景はいけい

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『ソロモン』初演しょえんの行おこなわれたコヴェント・ガーデン劇場げきじょう

ドイツ生うまれのヘンデルは1712年ねん以来いらいロンドンに居住きょじゅうし、イタリア・オペラの作曲さっきょく家かとして大おおきな成功せいこうを収おさめていた。音楽おんがくに英語えいごのテキストを使つかう機会きかいは最初さいしょは限定げんていされていた。

彼かれは作曲さっきょく家かとして、1717年ねんから1719年ねんにシャンドス公爵こうしゃくの大だい邸宅ていたくに住すみ、教会きょうかいの讃さん美歌みかと2つのオペラ作品さくひん『エイシスとガラテア』（HWV 49）と『エステル』（HWV 50）を書かき、さまざまな王室おうしつ行事ぎょうじのために英語えいごの声楽せいがく曲きょくを作曲さっきょくし、1727年ねんにはジョージ2世せいの戴冠たいかん式しき頌歌を書かき、イギリス音楽おんがく界かいを震撼しんかんした[3]。

1731年ねんに、1718年版ねんばん『エステル』（聖書せいしょのジャン・ラシーヌ物語ものがたりの英語えいご劇げき）がヘンデルの参加さんかなしにロンドンで上演じょうえんされ好評こうひょうだったので、ヘンデルは同どう作品さくひんを改訂かいていし、彼かれのイタリア語ごオペラが上演じょうえんされていた劇場げきじょうでそれを上演じょうえんしようとした。

しかし、ロンドン司教しきょうは、ステージ上じょうで聖書せいしょ劇げきを公演こうえんするのを禁きんじたため、ヘンデルは『エステル』をコンサート形式けいしきで上演じょうえんし、結果けっか的てきに英語えいごオラトリオを創始そうしした[4]:212。

『エステル』の成功せいこうは巨大きょだいだったので、ヘンデルは1741年ねんの『デイダミア』（HWV 42）をもってイタリア語ごオペラを放棄ほうきし、一連いちれんの英語えいごオラトリオの傑作けっさくを制作せいさくした[5]。

ヘンデルがロンドンのために作曲さっきょくしたイタリア語ごオペラの形式けいしき「オペラ・セリア」は、スター歌手かしゅのためのソロのアリアとレチタティーヴォばかりで、合唱がっしょう曲きょくはなかった。しかし、英語えいごオラトリオではソロのアリアのほかに、戴冠たいかん式しきアンセムで使用しようしたタイプの大だい合唱がっしょうも混まぜ、ヘンデルのイタリア・オペラに投資とうしし楽たのしんでいた貴族きぞくだけでなく、幅広はばひろい社会しゃかい階級かいきゅうの人ひとたちがヘンデルの英語えいごオラトリオを楽たのしんだ[6]。

英語えいごオラトリオ『ソロモン』は、当時とうじのイギリス人じんにジョージア朝あさイギリス帝国ていこくへの祝福しゅくふくとして受うけ止とめられたが、これはソロモンは智慧ちえと正義せいぎを象徴しょうちょうする王おうであり、当時とうじのイスラエルは強大きょうだいで繁栄はんえいしていたからと言いわれている[7]。

役やくと声こえ部ぶと初演しょえん時じの歌手かしゅ

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  • ソロモン：アルト：カテリーナ・ガリ
  • ソロモン王おうの妃ひ：ソプラノ：ジュリア・フラージ
  • ニコール（シバの女王じょおう）：ソプラノ：ジュリア・フラージ
  • 遊女ゆうじょ1：ソプラノ：ジュリア・フラージ
  • 遊女ゆうじょ2：メゾソプラノ：シビラ・グロナマン（ピント夫人ふじん）
  • ザドク（大だい祭司さいし）：テノール：トーマス·ロウ
  • レビ人じん：バス：ヘンリー·セオドア・ラインホルド
  • アテンダント：テノール
  • 司祭しさい：合唱がっしょう
  • イスラエル人じんたち：合唱がっしょう

あらすじ

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第だい1幕まく

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ソロモンと人々ひとびとがエルサレムでお祭まつり騒さわぎを催もよおしている。ソロモンは（数すう百ひゃくの妻つまや妾わらわを持もっていたと記載きさいされている聖書せいしょのソロモンとは異ことなり）彼かれの妻つまと結婚けっこんして幸福こうふくのあまり喜よろこび、女王じょおうのために宮殿きゅうでんを建たてることを約束やくそくする。彼かれらは互たがいの愛あいを表現ひょうげんし、花はなの香かおりのそよ風かぜに誘さそわれ、夜よるのために退場たいじょうする。ナイチンゲールが歌うたを休やすむように。

第だい2幕まく

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ひとりの赤あかん坊ぼうについてそれぞれが自分じぶんの子供こどもであると主張しゅちょうする2人ふたりの遊女ゆうじょの物語ものがたりで、ソロモンの叡智えいちが示しめされる。ソロモンは剣けんで赤子あかごを切きり分わけて、それぞれに与あたえることを提案ていあんしながら剣けんを抜ぬく。片方かたがたの女おんながそれなら相手あいてに渡わたす方ほうがいいと泣なき崩くずれ、ソロモンは泣なき崩くずれた女おんなを真しんの母親ははおやだと断定だんていする。売女ばいたとコーラスは、ソロモンの判決はんけつを大だい合唱がっしょうで爆発ばくはつ的てきに称賛しょうさんする。

第だい3幕まく

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シバの女王じょおうがソロモンの王国おうこくへ公式こうしき訪問ほうもんし、王おうと民みんは音楽おんがくで彼女かのじょを楽たのしませ、仮面かめん舞踏ぶとう会かいが始はじまる。壮大そうだいなコーラスの穏おだやかな音楽おんがくが軍事ぐんじ的てき栄光えいこうを褒ほめ称となえ、不幸ふこうな恋人こいびとの絶望ぜつぼうの嵐あらしをなだめ、賢明けんめいな支配しはい者しゃソロモンによるイスラエルの平和へいわ、幸福こうふく、繁栄はんえいの黄金おうごん時代じだいを祝いわう。

曲目きょくもく

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音楽おんがく的てき内容ないよう

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「ソロモン」は豊ゆたかなオーケストレーションがほどこされ、フルート、オーボエ、ファゴット、ホルン、トランペット、ティンパニ、通つう奏楽そうがく器きのオーケストラをフィーチャーする。

壮大そうだいで多様たようなコーラスの多おおくは、当時とうじの一般いっぱん的てきな4声ごえではなく8声ごえ（ダブル・コーラス）である。

第だい3幕まくは非常ひじょうに有名ゆうめいなシンフォニア『シバの女王じょおうの入城にゅうじょう』で始はじまる。オーボエをフィーチャーした明あかるく活発かっぱつな管弦楽かんげんがく曲きょくとして知しられており、オラトリオの文脈ぶんみゃく外がいで単独たんどくで演奏えんそうされることが多おおい。

主おもな録音ろくおん

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出典しゅってん

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  1. ^ Schwarm, Betsy. “The Arrival of the Queen of Sheba”. Britannica.com. 28 April 2014閲覧えつらん。
  2. ^ “G. F. Handel's Compositions”. The Handel Institute. 2013年ねん9月がつ24日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2013年ねん9月がつ28日にち閲覧えつらん。
  3. ^ Kemp, Lindsay. “Programme Notes for Saul”. BBC. 28 September 2013閲覧えつらん。
  4. ^ Burrows, Donald (2012). Handel (Master Musicians Series). Oxford University Press, USA; 2 edition. ISBN 978-0-19-973736-9 
  5. ^ Hicks, Anthony (2013), “Handel, George Frideric”, Grove Music Online (Oxford University Press)  (Paid subscription required要よう購読こうどく契約けいやく)
  6. ^ Martini, Joachim C.. “Programme notes for "Solomon"”. Naxos. 29 April 2014閲覧えつらん。
  7. ^ Lang, Paul Henry (2011). George Frideric Handel (reprint ed.). Dover Books on Music. ISBN 978-0-486-29227-4 

外部がいぶリンク

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